透き通った世界観にElinの民をひとつまみ   作:無名さん

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サクラコ「どうして、私は何も……!」

あれからミネにアリウスの容態を聞いたところ、重傷者はいないが一日安静にとの事だったのでサオリ達含めたアリウス生の看病を引き続き救護騎士団に任せ、イモーロナクを先に拠点へと帰らせて私と先生はトリニティへと戻る事に。ミネも一度トリニティへ戻るとの事で一緒に。そうしてナギサ達の元へ辿り着くと、ナギサ達だけでなくシスターフッドである歌住サクラコの姿もそこにあった。

 

「皆さん、お疲れ様でした」

 

ナギサが合流した私達へ向けて労いの言葉を掛けてくる。

 

「これで、一旦はアリウスとの一件は解決したと見ていいでしょう。トリニティはこれ以上アリウスとの過干渉は控え、しばらく静観する事と致します。後の事は――」

 

続く言葉を発する事無くナギサは私と先生へと目配せをしてくるが、私がアリウスでやり残した事は拠点を建てる事くらいだ。拠点を建てた後の諸々は先生へ丸投げする気満々なのだが……。

 

「私と彼に任せて。ナギサ達はこれからエデン条約もあって忙しくなるだろうし、アリウスとも今すぐ関わるわけにはいかないだろうからね」

 

当然の様に先生が肯定してしまったので逃げ道を塞がれた。許せん。

 

「ところでナギサ様、アリウスとの関係は今後具体的にどうなさるおつもりですか?」

 

「そうですね、考え中ではあるのですが――」

 

ミネがナギサに対し質問を投げかけるが、トリニティとアリウスの今後――か。私からしてみればそれはアリウス次第という感想なのだが、救いに重きを置いているミネからすれば、実際にアリウス自治区の惨状や生徒達の様子を見て何か思うところがあったのだろう。

 

「少なくとも、いずれはまたアリウスと関係を構築出来ればと考えています」

 

しかし過去が有耶無耶の状態ではまたいずれ同じ轍を踏む事になる事を危惧したナギサは、トリニティに現存している歴史書の発掘及び修復を既に依頼しているとの事。そうして徹底的に過去を洗い出し、アリウスとトリニティが決別する事になった要因を全て把握する腹積もりらしい。

 

「私達シスターフッドもユスティナ聖徒会時代の情報をもう一度よく探すつもりです」

 

「なるほど、あの古書館の魔術師が動くのであれば間違いは無さそうですね」

 

 

――魔術師???

トリニティには魔法使いが存在しているのか?であるならば是非とも接触を図りたい。

 

「――セイア、古書館の魔術師とは一体何者だ?」

 

「君は知らずとも無理はないね。彼女の名前は古関ウイ。図書委員会に在籍しトリニティ全ての書物の管理を行っている人物だ」

 

その古関ウイという人物は古書の解読をしたり、更にはどんなに状態の悪い本であろうとも修復を行えるらしい。その知識量の豊富さはキヴォトスにおいて右に出る者はおらず、そうして付いた二つ名が「古書館の魔術師」との事だった。

 

「噂では本のみならず割れた陶器すらも復元可能との事らしいね」

 

とんでもないぞキヴォトス。

トリニティにはセイア以外にもぶっとんだ能力を持っている生徒がいたのか。是非とも一度会ってみたいものだな。あわよくばペットにしたい。もし塵になって崩れ落ちた魔法書すら復元可能だったらとんでもない革命となる。流石にこれは夢の見過ぎか?いやしかし試してみない事には分からないからな。

 

古書を好むという事なら、会いに行く時はノースティリスに存在する古文書を手土産に持っていくか。エイボンの書やルルイエ異本を持っていけば喜んでくれるかもしれない。

 

そんな事を考えていると先生から声を掛けられた。どうやら今後のアリウスについての事のようだが。

 

「生徒達の寝床は君の拠点のおかげで解決するとして、他の区域についてはどうしようか」

 

ふむ、リオからミサイルを買ってもらうのでそれで幾らか補填は出来るだろう。言い値で買うと言ってくれているのでやろうと思えば自治区全体を補修出来る程度の額をねだる事も不可能ではないかもしれないが、リオとは今後も長い付き合いになるだろうし仲良くしていきたいのでそこまで集るつもりは更々ない。ミサイルの価値も不透明なので確かな事は言えないが、理想的にはアリウスの学校だけでも建て直せる価値があればいいな、といった具合だ。

 

他の区域については――

 

「連邦生徒会を巻き込むか」

 

「え、連邦生徒会を?」

 

連邦生徒会を使う案は元より考えていた事だった。

アリウスがトリニティへ救援要請を送り、シャーレ主導のもと生徒会長を僭称するベアトリーチェを排しに行く。これが今回使った建前だが、何故トリニティではなくわざわざシャーレ主導としたのか。

 

それが連邦生徒会を巻き込む為のものだ。シャーレは組織としては中立を維持しているが、実態は連邦生徒会の傘下にある組織だ。つまり、シャーレの活動は連邦生徒会の認可があってのものと解釈できる。そして連邦生徒会が認可しているシャーレが今回アリウスで動き、自治区の修復を行いたいと要請すれば連邦生徒会としては断りづらいだろうという算段だ。

 

トリニティ内では既にシャーレと共にトリニティがアリウスに向かったという情報を流布してもらっているし、ゲヘナはマコトがこちらの情報を逐一確認しているはず。そして嬉しい誤算としてトキ達がこちらへ来てくれた事でミレニアムも今回の件を早く知る事となった。

 

三大校が今回の情報を握れば遠からずその他の学校にも情報が渡る。そんな中でもし連邦生徒会が要請を断れば、「連邦生徒会は大人によって占領された孤立無援の学校すら無視する」という評価がつき、求心力を失う事になる。ただでさえ連邦生徒会長の不在により軽視されつつある現状で、これ以上の影響力の低下は無視出来ない筈。普通に考えれば断るという選択肢は取れないだろう。

 

「あくどいなぁ……!え、あの時からこんな事考えてたの!?」

 

「うん」

 

当たり前じゃないか。

 

「ん、えげつない。まるでカイザーみたいなやり口」

 

とんでもない侮辱をシロコから受けてしまった……!

流石にあのような屑鉄と一緒にされるのは屈辱すぎる……!

 

「シロコちゃん、流石にそれはかわいそうだよ?」

 

「ん……ごめん、言い過ぎた。黒服みたい」

 

んーーーーーーーーーーーーーーーーーー。

まぁ黒服ならやり手だしまだ許せるか。あいつはちゃんと情報の重要性を知っているからその辺徹底している。宝の件についてもカイザー経由から発覚するまで、私に漏らす事は一切していなかったしな。やはり抜け目ない奴である。本気で敵対するとなれば一番手こずりそうなのは黒服だろうなと思う。

 

「おじさんとしてはそれも異を唱えたいけど、それでも連邦生徒会がちゃんと動いてくれるのか疑っちゃうなぁ」

 

そういえばアビドスは先生が赴任する前から連邦生徒会に救援要請を出してはいたがずっと無視され続けていたんだったか。

 

「ホシノが疑念を抱くのも無理はない。とはいえ、アビドスと今回の件は少し違う部分があるんだ」

 

それは契約があるかどうか。

アビドスは過去の積み重ねにより結果的に法外な金額の借金を抱えてしまったが、あくまでもカイザーとは正式な契約のもとに行われた取引だった。だからこそ連邦生徒会は動くに動けなかった、という言い訳が出来る状況になってしまっていた。

 

それでも物資の救援くらいしてやれよとは個人的に思うが、連邦生徒会にはアビドスの救援を断るだけの建前を用意出来てしまうのが以前のアビドスの状況だったのだ。

 

「契約の厄介さは、黒服と対峙していたホシノならよく知っているだろう?」

 

「あー……うん、そうだね。痛い程分からされたよ」

 

そして先生が契約の抜け道を利用する事で黒服からホシノを取り返す事に成功した、というのが顛末らしい。そして、今回の件についても抜け道がある。

 

「よし、せっかくだ。こちらがこれだけ建前を用意しても断られる抜け道とは何か、考えてみてくれ」

 

いつの間にか私達の会話を部屋にいる殆どの生徒が聞いていたので問題形式にしてみる事にする。とはいえ、政治を担当しているだけあってナギサやセイアは既に理解している様子だ。他にもヒナ、ケイ、トキも理解している。流石は私のペット。優秀だ。

 

「こういった事を考えるのが苦手なのでティーパーティーに入るのは断っていたのですが……」

 

「そうですね。私も普段はシスターフッドとして政治からは離れて活動していますのでこういった事は中々、難しいですね……」

 

「……謙遜なさる必要はありませんよ。むしろシスターフッドであれば得意分野でしょう」

 

「えっ、いや私も本当に――」

 

「そういう事にしたい、と。変わりませんねシスターフッドは」

 

「えっえっ」

 

なんか私が問題を投げかけたせいで雰囲気悪くなってるとこがあるな?まぁ放っておくか。

 

「うーん……ケイもトキも分かってるのにどうしてアリスだけ分からないのですか……」

 

「普段からゲームばかりしているからですよアリス」

 

「頑張ってくださいかわいいアリス。――あ、私は完璧なメイドなのですぐに分かりました。先ほどの仕事の件も含めて抱きしめながら迅速に褒めてください」

 

ちゃっかりさっきの要求と違う事を求めてきているトキだがこんなところで抱きしめたらヒナに何をされるか分かったものではないので聞こえていない振りをしておく。

 

「なるほど、これが焦らしプレイというやつなのですね。私は好みではありませんね。構ってもらえないと寂しくて死んでしまいます」

 

今度ちゃんと相手するから今は許してくれ……。

 

「アリスはヒントが欲しいです!」

 

「ふむ、ヒントはアリウス単体で考えない事と、アリウスの学校名をよく思い出してみてくれ」

 

「アリウス分校、ですよね?単体とはどういう事でしょう……?」

 

そうしてまたアリスがうんうんと唸りだす。流石にアリスにはまだ難しかったかもしれないな。普段の授業で習うような事でもないだろうし。

 

「――あ、そういうことっすか」

 

そうしてアリスが答えを得る前にイチカが答えを得たようだ。アリスには悪いがここいらで答え合わせといこう。

 

「イチカ、答えを教えてくれ」

 

「アリウスは分校だからトリニティの一部って判断されて断られる感じっすかね?トリニティの問題だからそっちでどうにかしろ、的な」

 

「正解だ」

 

歴史的背景を考慮しなければ、トリニティにはアリウスを建て直すだけの力と財は十二分にある。この言い分を盾にされると、こちらとしては向こうの言い分も筋が通っているので頷かざるをえないのだ。

 

「連邦生徒会って、そんな意地悪な事を言うのですか?アリスは悲しいです……」

 

「あくまで可能性の一つとして存在するというだけだ」

 

「今の連邦生徒会であれば断ってきてもおかしくはない。失踪した連邦生徒会長を随分と熱心に探し回っているようだからね。こちらに回す予算は極力減らしたいと考えても不思議ではないね」

 

「最近ではSRT特殊学園が閉鎖する事が決定したそうです。責任を負うべき会長が不在となったから、というのが主な理由だそうですが……」

 

SRTとは一体なんぞや。キヴォトスには本当に色んな学校があるな。

 

「ナギちゃんもセイアちゃんも詳しいね?」

 

全くだな。感心する一方だ。

 

「……はぁ。ミカさんの処分をもう少し重くして周りに目を向ける機会を作った方がいいかもしれませんね」

 

「賛成だ」

 

「えっ」

 

心の中でミカに同調してたら何故かミカが呆れられていた。かわいそうに。

 

「話が逸れるので戻すが、そういった建前を使われる前に先生には連邦生徒会を説得して欲しいんだ」

 

言うだけ言ってみて向こうが動いてくれたらラッキー。ダメだったとしてもまた何か別の方法を考えればいいだけの話だ。断られても連邦生徒会の評価がちょっと落ちるだけ。こちらには何の影響もないので言ったもん勝ちだ。最高だね。

 

だが先生からの提言であればきっとなんとかなるんじゃないだろうか。先生だし。アリウスでも上手く説得出来てたしな。いけるいける。よっ!キヴォトスの最高権力者!

 

「打算まみれで嫌だなぁ……言い出しっぺなんだし君から言ってみたら?リンちゃんなら知ってるでしょ?」

 

「無論リンちゃんの事は覚えているが、あれから一度も会っていないし表向き今回の件は私は勿論、ゲヘナの名前すら出さない様にしてあるからな……」

 

「あっ、その事なのですが……」

 

ナギサが話に入ってきたので事情を聞いてみたところ、どうやらシスターフッドからトリニティへ情報の流布を行った際、私とヒナの存在を明かしたのだそうだ。

 

私の存在を隠匿したかったのはベアトリーチェに私の存在を悟られたくないというのが理由の大部分を占めていた為、私達がアリウスに向かった後でなら公表しても大丈夫ではないかと判断しての事だったらしい。

 

「早めに貴方の存在をトリニティ全体へ認知させておくことで今後私達との連携も取りやすくなりますし、エデン条約も円滑に進むのではないかと判断したのですが……よろしかったでしょうか?」

 

「ナギサが必要だと思って公表したのだろう?ならば私が否定する事はないさ」

 

言われてみればこれからもアリウス関連だったり、あるいは別件でトリニティへ来る事も多くなるだろう。その際に一々姿を隠して来るのも面倒だし、公表してくれた方がトリニティでも行動しやすくなるかもしれない。結果論ではあるが良い判断だ。

 

「――!ありがとうございます」

 

私の指示に反する事をしたせいか最初は不安げにこちらを伺っていたが、私が肯定した事で安心したように今では顔を綻ばせている。

 

「そうだ、ナギサ達にお願いしておきたい事があるんだけどいいかな?」

 

「はい、なんでしょうか先生」

 

「彼とゲマトリアが言ってた色彩っていう存在についても調べておいて欲しいんだ」

 

あー、なんかあったなそんなの。忘れてた。

 

「分かりました。とはいえ色彩という存在は聞いた事がありませんからトリニティでも情報が残ってるかどうか……少々お時間を頂く事になるかもしれません」

 

「うん、エデン条約もあるからね。そこまで急がなくても大丈夫だよ」

 

色彩とやらに期待はしていないので先生にお任せするとして、とりあえずここで話すべき事は粗方済ませたかな。

 

「では私はそろそろゲヘナへ戻るとする。明日のアリウスでの諸々の準備をしておきたいからな」

 

建材の用意をしなければならないしベッドも大量に必要だ。必要最低限の家具も買ったり作製する必要がある。

 

「ご主人様が戻られるのでしたら私達もお暇しましょうか、アリス、ケイ」

 

「はい!魔法使いさん!またミレニアムに遊びに来てくださいね!」

 

「お待ちしています」

 

「三人共今日は来てくれてありがとう。助かったよ」

 

ナギサ達とも別れの挨拶を交わし、ヒナを連れて帰還の魔法を使い拠点へと帰る。

 

 

 

「よし、無事に戻ってこれたな。ヒナも今日は来てくれてありがとう」

 

「ううん、気にしないで」

 

「私はこれから色々と作業をするが、ヒナは学園の方へ戻るのか?」

 

「そうね……。本当はもう少し一緒にいたかったのだけど……」

 

ヒナが名残惜しそうにしているが、またすぐに会えるしなんなら今回怒られてしまった埋め合わせとしてヒナの為に時間を目一杯作るつもりでいる。仮の予定ではあるが、またヒナをノースティリスに連れて行って今度は他の町へ連れて行こうかと考えているところだ。今回は依頼などを受ける予定は無いので普通の旅行のようなものだ。

 

「そ、そうなの?――じゃあ、楽しみにしてるっ」

 

そうして少しだけ雑談を挟み、ヒナがゲヘナ学園へ向かうのを見送った。

 

「――さて、まずはベッドの製作だな」

 

ノースティリスへと戻り、作業場へと向かう。久方ぶりの大掛かりなクラフト作業だ。体力とスタミナには気を遣わなければ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メイド狐は叫んだ。

「この者にジュアの加護を。――レイハンド!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あなたは過労死した。さようなら。遺言は?

 

――しくしく……クソわよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、本当に久しぶりに死んだ気がする」

 

加減を間違えてベッドを作りすぎた。しかも今まで普通のベッドを作っていたのだが、二段ベッドなら数を節約出来ると気付いたのは過労死した後からだった。しょーもな。

 

作ってしまったものは仕方がないので普通のベッドを持っていくが、次にこんな事があれば絶対に二段ベッドの存在を忘れない様にせねばならない。人は学ぶ生き物なのだ。

 

というわけで準備を済ませた翌日、アリウスへと向かう前にモモトークにてナギサから大事な話があるのでトリニティへ寄って欲しいと言われ、先にナギサの元へ向かう事に。

 

――こうして堂々とトリニティの自治区内に踏み込んだのはヒナと初めて来た時以来だ。昨日のナギサの機転のおかげでこうして姿を隠す事無く自治区内を練り歩いているわけだが、道中かなりの数の生徒に見られる。恐らくは昨日の情報が既に生徒へ行き渡っている証拠だとは思うのだが、なんとも居心地が悪い。私の方を見ながらひそひそ話している者もいる。しかし、あからさまに敵意を見せる生徒が思ったよりも少ない。トリニティと協力したおかげなのか、ハスミの様なタイプはトリニティでも珍しいのか判断は付かないな。

 

そうしてトリニティ総合学園まで辿り着き敷地内へ足を踏み入れると、当たり前の事ではあるが更に生徒からの視線が増えた。しかし妙だ。敵意は特に感じないのだが、この視線はどちらかといえば好奇心や畏れが多分に含まれているような……。もしやナギサやセイアとの関係性がバレたか?いや、それなら敵意の方が勝りそうな気もする。しかし色恋の類の話となれば年頃の少女であれば好奇心が勝つか?分からん……。畏怖の感情も見受けられるのが余計にこの状況が分からない要因だ。

 

「あ、あの方はもしかして……」

 

「えぇ、サクラコ様の……噂は本当でしたのね……」

 

 

 

――サクラコ?確かその名はシスターフッドの生徒の名前の筈だが、何故私とサクラコが関係してくるんだ?キヴォトスの宗教組織という事で興味はあったので覚えてはいるが、直接会話をした事はまだ無かったような……。

 

もしかしたらナギサの大事な話という部分に繋がってくるかもしれないので、足早にナギサの元へと向かう事にする。途中ティーパーティーに所属する生徒が迎えに来てくれたのでそのまま案内を受ける事に。

 

「――お待ちしておりました。どうぞこちらへ。紅茶の用意もありますよ」

 

「ありがとうナギサ。頂くよ」

 

ナギサの歓待を受けながら辺りを見渡す。

――とんでもない豪華さだ。パルミアの王宮と大差ない程に華美な装飾が至る所に施され、ティーパーティーの格式の高さをこれでもかと表している。

 

これらの装飾品の素材は何で出来ているのだろうか。解体したら貴重な素材が手に入ったりするかな?

 

まだ見ぬ素材に思いを馳せているとナギサが紅茶を淹れてくれたので一息つく。

 

「――美味いな。紅茶というのは初めて飲んだが、これほどとは」

 

「ふふっ、お口に合ったようでなによりです。貴方の世界に紅茶は存在しないのでしょうか?」

 

「どうだろうな。存在していてもおかしくはないと思うが、少なくとも流通してるのは見たことがないな。これだけの味を出せるとなると、貴族や王族の飲み物として独占しているという可能性もありそうだ」

 

「なるほど、ノースティリスは王政でしたか」

 

ロイテルであれば紅茶の存在を知っているだろうか。とはいえあいつはワインの方が好きそうだし私の代わりに入手してもらうのは難しいか?大手を振ってミシリアに戻る事も難しいだろうしな。

 

「そういえば先生はどうしている?アリウスで合流する予定ではあるんだが、今も補習授業部の所に?」

 

「はい、今頃はヒフミさん達がテストを受けている最中ですね」

 

そうか、昨日はアリウスとの一件で色々あっただろうに、学生というのは大変だな。まぁ退学する事は無くなったのだしそこまで気負う必要も無いのは幸いか。

 

「さて、雑談はこの辺りにして本題へ入ろうか」

 

ナギサに今日トリニティへ入ってから感じた違和感を伝えた。するとナギサの方もその話に関する事だったようで気まずそうな表情を浮かべていた。

 

「その、申し訳ありません。実は昨日シスターフッドにトリニティ内の情報統制に動いて頂いた結果、今の状況を招いてしまいました」

 

どうやら現在のトリニティ内では、シスターフッドのサクラコがゲヘナである私とティーパーティーを手中に収め、今回の事件を利用してアリウスすらもその手に収めようとしている――と。

 

更にはエデン条約を利用してトリニティとゲヘナ、二つの武力を使ってキヴォトスの支配を目論んでいるそうだ。

 

 

 

 

「訳が分からん……!」

 

何をどんな情報操作を行えばそんな事になるんだ。

 

「まさかシスターフッドが今になってここまで派手に動くとは思いませんでした。救護騎士団も今はアリウスに居ますし、初めからこれが狙いだったのかもしれません」

 

訳が分からない事はまだある。何故か私とサクラコが恋仲であるだとか、私がサクラコの下僕となっただとか、そういった類の情報まで含まれている。あまりに錯綜しすぎだろ。道中の生徒の視線の意味がよく分かった。そりゃ好奇心も畏怖もあるわ。

 

「……色々言いたい事はあるのだが、これらの情報もシスターフッドが意図的に流したものである、という認識で良いのか?」

 

「今もティーパーティー総出で情報収集に努めておりますが、恐らくは……」

 

「シスターフッドに連絡は?」

 

「しましたが肝心のサクラコさんへは通じず、他の者にはティーパーティーが関与すべき事では無いと突き返されました」

 

まさかこの状況で謀反とも言える行動を起こすとはな。一体何の意図があってこんな事を?まさか他に見落としていた情報があったか?アリウスも関与しているのか、あるいは全く別の勢力が関係しているのか……シスターフッド単独で事を起こすとは考えにくい。

 

「ティーパーティーはシスターフッドの背後にいる組織、あるいは協力者を洗ってくれ」

 

「分かりました。ですが、貴方はもしかして――」

 

「あぁ、私が直接シスターフッドへ赴き、場合によっては鎮圧する」

 

 

 

 

せっかくアリウスの件が落ち着いたと思ったのに……。

全くもって余計な事をしてくれたな歌住サクラコ。これだから異教徒は!




ヒナちゃの誕生日が近いので、ヒナちゃとのノースティリスでのデートは番外編として書こうと思っています。その際にElinのメインクエスト「闇へ」をヒナと一緒に進めて、一緒に死者の洞窟に赴くストーリーを描こうかなぁと思っているのですが、これいる?

Elin未プレイの方にとってはElinのストーリーを描写しても何も分からないだろうしどうしたものかなとちょっと悩んだりしてるのですが、きっと書く事になると思いますので興味無い方は飛ばしちゃってください。番外編なのでメインには影響の出ない様に書くので多分大丈夫です。
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