絆創戦隊キズナファイブ THE MOVIE 電脳ワールド大決戦!!   作:大荒鷲

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QUEST4~5『デスゲーム開幕』『絆の破壊者』

R.B.Y.G.P.

 

 

 異変は一瞬。だがバイザーの奥の目を開くと、そこに拡がる景色は一変していた。

 

 レッドは思わず周囲を見渡した。自分は先程まで草原エリアにいたはずだ、だが今拡がる景色は剥き出しの岩場に石つぶてばかりが転がる不毛の大地だった。空は依然として薄気味悪い亀裂のような光がうごめいて、唸っている。

 それだけではない。さっきまで隣にはブルーとベルしかいなかったはずだが、いつの間にか周りには大勢の人波があった。よく見なくとも、みんなこのゲームに招待された子どもたちだ。

 

「あ、センパイ!!」

 不意に人垣の奥からよく知っている声が届き、視線を送ると手にダンジョンかどこかで拾ったと思しき剣と盾を持ったピンクがこちらに駆け寄ってくるのが見えた。仕草にも声にもいつもの快活さが感じられない。

 

 どうやらログアウトできないらしい、ピンクがそう告げた。ゲームに詳しくないレッドでも明らかにソレは異常事態だと分かる。

 

 ピンクだけではない、みんな明らかに現状に戸惑い、周囲に目をやっている。次第にフィールド全体にざわめきが広がって行く。何が起こっているのか分からない現状に対する苛立ちのような声……それがどんどん大きくなっていく。

 

「なにやってんだよ」「どうなってるの」「ウンエー出て来い」「ふざけんな」「さっさと出せ」

 

 やがて苛立ちは確実にもっと強い怒りに変わっていく。高学年と思しき男子児童が空に向かって声を張り上げたのを皮切りに何人かの子どもたちが不気味な空に向かって叫び出した。マズイな……。明らかに剣呑な感情がフィールドに広がって行くことにレッドは危機感を覚えた。

 暗い感情は人の心をむしばみ、やがて外に漏れだしてまるで悪性のウイルスのように周りに拡がって行く。事実その刺々しい空気を怖がったのか、小さな子たちが耳を押さえてうずくまったり、小さな声ですすり泣きだすが、興奮に駆られる方はそれに気付いていない。

 

 このままじゃ良くない、そう感じたのはベルも一緒だったようだ。こちらと目が合った彼女は微かに頷くとふわりと宙に舞い上がった。

 

「……あ、ベルだ…」

 

 子どもの一人が呟いた。何をするんだ……とレッドが言うよりも早く、彼女は目を閉じ――唐突に歌を口ずさみ出した。

 

 明確な歌詞がある曲ではない、ほとんど鼻歌も同然だが……まるで鐘楼の音のような美しい声が一帯に広がっていく。気勢を削がれたのか、さっきまで声を張り上げていた子どもたちが静かにひとり、またひとりと振り上げていた拳を降ろしていく。まるで猛火に降り注ぐ慈雨のようだ。

 その様子を見届けたベルは歌を止めて、下にいる子どもたち全員に話しかける。先程の歌声と変わらない、穏やかな気持ちになれるような優しく、静かな声。

 

「皆さん、今NNOで何が起きているのか…わたし自身も分からないです……。しかし今運営が原因を調べて、必ず皆さんがお家に帰れるように努力しています……。不安だとは思いますが……だからこそ落ち着いて、周りと助け合ってください!」

 

 ハッとしたように年長の少年たちが周囲を見回した。不安そうな表情でうずくまる年少組にそこで気が付いた、彼らはバツが悪そうに顔を俯ける。

 そんな少年たちにベルは優しく微笑んだ。

 

「大丈夫、自分を責めないで。わたしは知ってる…あなたたちはさっきダンジョンで先頭に立ってモンスターと戦ったり、傷ついた子たちを守っていたことを……。あなたたちはとても勇気があって優しい子たちだから…きっと出来るよ……」

 

 少年たちが微かに、でも確かに力強く頷いた。その場にもう先ほどまでの焦燥や混乱はほとんどない。ベルの呼びかけが皆の心を鎮めたのだ、と理解したレッドは素直に「スゲェ……」と感嘆の息を吐いた。

 

「当然さ、プレイヤーの心を癒し、救う……それがベルの役割だからな」

 

 同じようにその様子を見ていたブルーが感心したようにそう言った。

 ベルはただのナビゲーターではない。もちろんプレイヤーの動向を見守り、サポートするパートナーとしての役割もあるが、それ以上にフルダイブという空間に置かれるプレイヤーの心理的ストレスを和らげることがベル・シンクというAIに与えられたもっとも重要な役割だ。

 

 そして“彼女”にはそれを行うための機能が備わっている。

 

 例えば……波形の中には“1/fゆらぎ”というという法則性がある。ざっくりいうと人間の心身に、特に心地いい感覚を与える音や光の波形のことだそうだ。

 自然界おいて小川のせせらぎや蛍の光などを聞いたり見たりすると心が落ち着く、ということがあるが、あれは思い込みではなく、これらの音や光の波長が人の脳を刺激し、心にリラクゼーション効果を与えるからなのだ。この波形はごくまれに人の声にも含まれることがある。

 

 先ほどベルがやってみせたのがそれだ。というより“彼女”の声は最初からその波形を解析して、人の心に良い影響を与えるようにデザインされているのだろう。“彼女”の声を聞いていると不思議と安心感や高揚感が湧き上がってくるのが感じられるが、それは恐らくそういうことなのか……。

 

 でもそれ以上に……。

 慈愛に満ちた彼女の微笑みを見てレッドは思った。果たして……それはただのプログラムで収まるものなのだろうか……と。

 

 

 だが。その時。

 

 空から突如空より赤黒い稲光がムチのようにしなって、振り下ろされ――。

 

 無情にもベルの身体を貫いた。

 

「……え…?」

 

 何が起きたのか分からない……ベルはただ呆然とした表情を浮かべていた。そのまま意識を失ったかのように動きを止めた“彼女”は糸の切れた人形のように地面に落下する。

 

「ベルーーーー!!!」

 

 誰かの悲痛な声が聞こえ、それに連動するように一帯に再度子どもたちの悲鳴が上がった。

 

「――はっ……アレはっ……!?」

 

 不意にグリーンが空を指差して叫んだ。釣られるように皆空を見上げる。

 

 不気味な稲妻のような光に埋め尽くされた空。それが突如ガラスのように砕け散り――。

 

 そこから“ソレ”は降臨した。

 

「な……!!」

 レッドが――否、その場にいた誰もが絶句した。現れたのは身長20メートル以上はある巨大な人の姿だった。実体ではない、恐らくホログラムだ。

 

 まるで血のような禍々しい光沢を放つ赤い鎧は爬虫類の表皮のごとく刺々しい。頭部も同色の兜に覆われているが、目に当たる部分はまるでドクロのようにくぼんで、漆黒のバイザーに覆われているため、生気が感じられない。口元は銀色の牙をむき出しにした造形で、気味の悪い笑みを作りだしている。

 その姿はさしずめ邪竜の騎士といったところか。レッドたちの頭上に佇むそれは大仰な仕草で両手を広げ……直後、ドスの効いた低い男の声が一帯に降り注いだ。

 

『キズナファイブ、ア~~ンドこの星のガキども、 ようこそ《俺様の世界》へ!!』

 

 あざけるような高笑いと共に、空に浮かぶ影はそう宣言した。

 

 《俺様の世界》……その言葉が何を意味するかは分からない。だが上空に佇むあの影が運営による悪質なイベントなどではないことは明らかだった。この場にいるキズナファイブの5人には確信があった。

 

 こんなことを目論むものがいるとしたら、それは間違いなく――。

 

 巨大な影は宣言するかのように両腕を頭上に掲げた。

 

 

『俺様はゼツエンダ―の大隊長、絆デストロイヤー・アルヴァストーム!!さぁ楽しいゲームを始めようじゃないかっっ!!』

 

 

R.B.Y.G.P.

 

 

「ゲームだと……!一体どういうつもりだっ!!」

 

 上空に不遜に佇む、アルヴァストームと名乗った敵に向かってブルーが叫んだ。普段はクールを気取る彼が隠す気もないとばかりに怒りを爆発させている。

 

『何度も言わせるな、ゲームはゲームだよ……。それも最高にスリリングでエキサイティングな…』

 

 どこ吹く風といった体でストームはバカにしたようにせせら笑うと、たわむれるように指をパチリ、と鳴らした。

 すると同時に天から無数の流星が降り注ぎ、次々と地面に突き刺さった。先ほどまで皆が遊んでいた街や草原が破壊され、爆炎が上がったかと思うとその中から多数の仮面の兵士――もう見慣れたゼツエンダーの戦闘員――が姿を現した。

 

『フハハハハハハハ!!見たかガキ共!この世界は今やすっかり俺様のモノ……なにもかもが思うがままってわけだ!!』

 

 ストームは心底愉快そうに体を揺すると、もう一度指を鳴らした。

 

「はいはいは~~~い♪お呼びですかストームさま~~~~♪」

 

 するとそれに応じるようにおちゃらけたような声と共に、レッドたちの前に一体の怪人が降り立った。これももう言われなくても分かる……ゼツエンダーが作戦遂行のために作り出す多目的工作兵士“絶縁魔”だ。

 

 ゼツエンダーの目的は絆エネルギーを奪うことであり、幹部がそのために立てた作戦の主な実行役となるのがこいつらだ。ネット回線を破壊したり、人間を強制的に不仲にしたり、不幸のメールを送り付けたり……とにかくありとあらゆる手を使って、人と人の繋がりを破壊する。

 

 大体地球の物品を人型に押し込めたような見た目が多いが……コイツはとりわけ奇妙な姿をしている。上半身はさしずめ木目のような紋様が付いた馬そのもので、下半身や腕は様々な色のラインが複雑にからみ合っている。ハッキリ言ってなんの絶縁魔なのかさっぱり分からない。

 

「はいはいはいは~~~い♪みなちゃんこ~んに~ちは~~~♪♪ボクちんの名前はノットロイ♪今からこのゲームのルールを説明するね~~~♪♪」

 

 どこか人を食ったような陽気な態度でノットロイと名乗ったその絶縁魔はそういうと紙芝居でもするみたいに一枚の黒板を取り出した。そこに勝手に文字が書かれ始める。

 

「逃げてかくれて生き残れ~~~♪友情の鬼ごっこゲーム~~~~♪♪」

 

 友情の、のところをやけに強調した言い方。黒板には次々とルールを記した文字が浮かぶ。

 

「ルールはチョー簡単♪今から30秒数えてあげるからそのスキに鬼―サンたちから全力で逃げること♪隠れてもいいし、()()()()()()とユーカンに戦ってもオールオッケー♪ち~な~み~に~♪♪」

 

 そこまで一息に言うとノットロイは急に「ボーン♪」と歌うようにつぶやいた。それと同時に空から轟音とともに赤い雷がゲームフィールド一帯に落ちた。

 

「あぁんな風に雷に打たれたり、鬼―サンにぶたれたら大ケガだからね~~♪HPが減ったらそりゃあイタいんだからね~~♪そ~~し~~て~~」

 

 そして。ノットロイはそこでいったん言葉を切った。永遠に近い一瞬が場を支配する。その反応を十分楽しんだのか、そいつは再びノリよく陽気な口調で次の言葉を発した。

 

 

「な~~~んんと~~~~♪鬼―サンたちに掴まったらその時点で永遠にゲームオーバーだかんね~~~~♪コンティニューはナッシング~♪1つしかない命を大事にしてね~~~♪♪♪」

 

「……なっ…!」

 

 その言葉にレッド――いや隣にいたブルーも他のメンバーも…どころか、この場に集められたプレイヤー全員が絶句した。

 

 コンティニューは出来ない。つまりゲームオーバーになれば現実世界の自分も死ぬ……ということ?あの絶縁魔はそう宣言したのだ。

 

 悔しいことに恐らくそれはハッタリでもコケオドシでもない。

 

 今レッドたちや星元小学校の児童たちの現実の肉体はゲームメーカ本社の一室でダイブオンを付けたまま横たわっている。その間は自分の意志では指一本動かすことが出来ないのだ。もしゲーム機になにか細工がされていれば……レッドたちはろくに抵抗も対処も出来ない…。

 

 あのアルヴァストームはこのゲームを“俺様の世界”と称した。その言葉通りここはもうかつてのネバー・ネクサイト・オンライン…いや、それどころかゲームですらないのだ。

 

 デスゲーム。命がかかった本物の“戦い”だ……。

 

 ノットロイのパフォーマンスに満足したのか、上空のストームは不遜に笑った。

 

『チュートリアルは以上だ……。制限時間はなし、とにかく逃げまくれ。最後の一人となるまでどんな手を使ってでも……な。生き残ったただ一人を……無事に家に帰してやろう』

 

 ストームが高笑いを上げた。それと同時に上空には「30」と書かれた巨大な文字盤が出現し、1秒ごとに29、28とその数字を変化させていく。さっき言っていた、逃げるのに向こうがくれて「やった」時間だろう。その下には「20」という数字が刻まれている。アレが何かは考えるまでもない……プレイヤーの人数だ。

 

 それと同時に荒れ地ばかりで何もなかったフィールドの一角に扉のようなオブジェクトが出現した。それ以外はどこもかしこもエンガチョンばかり。まるで逃げ出すにはあそこしかない、といわんばかりに。

 

 そして。ことここにいたってようやく、自らの置かれた状況を子どもたちははっきりと理解した。すなわち、NNOがもうゼツエンダーの狩場であり、自分たちは狩られる側の獲物であるというに。

 

 子どもたちの恐怖の悲鳴がフィールドを埋め尽くした。そのまま完全にパニックに呑み込まれたまま、一目散に皆扉の方を目指して走り出した。先に行く者を押しのけてでも、我先にとばかりに。

 

「みんなダメ……!落ち着いて――」

 

 イエローが必死に呼び掛けるが悲鳴や絶叫に掻き消されてしまう。もう誰にも届いていない。

 

 そうだ、ベルは……!

 先ほどストームが放った光のムチに貫かれた少女の姿を求めて、レッドは周囲を探る。

 

 果たしてレッドのいる場所から20メートル離れた位置にベルはいた。傷を負った背中から粒子状の光が漏れていた。わずかに手が動いているが起き上がる気配はない。ただ苦しげに呻いているようにレッドには見えた。

 そしてそんな“彼女”のそばにゆっくりと近づいてくる者がいた。錆のような赤い鎧、左手に盾を持ち、背中に大剣を背負うその姿は――アルヴァストーム。一連の騒動を引き起こした元凶が姿を現した。

 

 その手には何かが握られていて――まさか――レッドはバイザー越しに目を見開いた。それはレッド…否、灯悟にとって最も忌むべきモノだ。

 

「やめろ!ベルに近寄るなぁっ!!」

 

 レッドはあらん限りの力で地面を蹴って飛び出したが……どういうわけかいつもより体が重い気がする。キズナレッドのスーツは灯悟の想いに呼応して常人をはるかに超えたスペックを引き出すのだが…今はそれが感じられない。

 

 仮にキズナレッドが普段通りの力を発揮できたとしても……その距離はあまりに遠すぎた。レッドが接近するよりも早く、ストームは倒れたベルを無理矢理起き上がらせ、“彼女”の胸に手にしていたものを押し付けた。さしずめ円型のバックルのような形をしたそれは、装着されると同時に四方から帯がまるで拘束するように体に巻き付く。

 

「……ンァッ……!キャアァァァァァァァァァァァ……!!」

 

 ベルト帯が完全に腰全体に装着されると共にそこから更に無数のケーブルが出現してベルの身体を呑み込んでいく。苦悶に顔を歪め、ベルが絶叫した。

 

「やめろおぉぉぉぉ……!!」

 烈しい感情が脳を焼き尽くす。今まさに呑まれようとしていくベルに向かってレッドはガムシャラに腕を伸ばした。

 

「……うっとうしぃンだよ…!寝てろゴミムシが!!」

 

 目障りだとばかりにストームは手にしたシールドをレッドの方に向けた。中央部にある目のような箇所から閃光とともに火球が発射され、無防備に突進するレッドの胸に直撃した。

 

「ぐぁあっ……!」

 想定以上の衝撃。レッドはそのまま吹き飛ばされて強かに地面を転がった。

 

 だが痛みなど今はどうでも良かった。早く“彼女”を――ベルを救わなくては……!荒い息を吐きながらレッドは立ち上がる。

 

「ふん……健気なヤツめ……。だがもう遅い!!」

 ストームが吠えるように笑った。巻きつけられたケーブルはまるで鎧やドレスのような形状を為していく。どす黒い闇のような波動が一気に噴き出した。

 

「ハァーーハッハッハッハッハッハッハッハッ!!!見ろ、俺様の新しいオモチャの誕生だっ!」

 

 

 果たして。そこにもうベル・シンクという名の少女の姿はなかった。

 

 

 ゴシック調の意匠がほどこされた黒いドレス。髪は金色に染まり、仮面から覗く瞳は虚ろで血のように赤い。どこか扇情的なその姿は――だが間違いなくベルだった。

 

 しかしレッドはよく知っている。先ほどのベルトのような機具――絶縁帯(ゼツエンベルト)は取り付けられた者を強制的に絶縁魔に改造する装置なのだ。

 

 つまり。

 少女の口元がグニャリと歪んだ。歯をむき出しにした凶暴な笑顔。否が応でも理解する。――今目の前にいる“彼女”は……ベルであってベルではない……。

 

「ウキャキャキャキャ!!ハロハロ~~新しいウチ~~♡なんちゃってウキャキャ!!」

 

 踊るような動きで挑発的な笑い声をあげる。その声は全く変わらないのに、まるで違って聞こえる。何者かがベルの身体を乗っ取って勝手に口を動かしているようだ。

 

「……ベル…?」

 レッドが呆然と呟く。しかし目の前のベル――だった者は小馬鹿にしたような笑い声を上げてレッドにあっかんべーと舌を出す。

 

「ザ~~ンネン♡ウチはもうそんなんじゃありませんよ~だ、ウチはゼツエンダー、そ・し・て♡ストーム様の忠実なヒダリウデなのだ~~~♡」

 ウキャキャキャと笑いながら元ベルはストームの左手にしがみついた。フッとストームが不敵に息を吐く。

 

「時間だ……狩りを始めるとしよう…。ガキどもの位置を探れ……“ハンギャール”…」

「ウキャッキャッりょ~かいイタしました~~♡ケンゲンカイホ―、プレイヤー(獲物)の情報にアクセ~~ス♡」

 ベル――もといハンギャールが指示に従い、メニューウインドウを出現させた。

 

 そういうことか……!ことここに至ってようやくレッドたちは敵の目的を理解した。

 

 ベルは運営からプレイヤーのサポートという役割を与えられている。当然全てのプレイヤーの位置情報を知ることも出来るし、ストレスなどメンタルの状態も把握している。すなわちベルを掌握するということはNNOプレイヤーすべての情報を握ることになるのだ。

 

 敵は最初からゲームなどする気はない。これは彼らの一方的な狩場なのだ。

 

 上空のカウント表示がゼロになり、不気味な鐘の音がフィールド一帯に響きわたる。それに応じるように無数のエンガチョンたちが吠えた。

 

「さぁて…行こうじゃあねぇか……」

 ストーム、そして傍らの二人の絶縁魔が凶悪に笑いながら、その姿を消した。当然従うように戦闘員たちも転送されていく。

 

 あとに残されたのはキズナファイブの5人だけだ。

 

「――行くぞみんな!」

 

 レッドが振り返って後方の4人に叫んだ。グリーンとイエローがもちろん、とばかりにサムズアップし、ブルーとピンクは重々しくうなずいた。

 

 

「絶対誰も死なせない…ベルも助け出す……!お前の好きにはさせないんだぜ……!!」

 

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