絆創戦隊キズナファイブ THE MOVIE 電脳ワールド大決戦!!   作:大荒鷲

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QUEST8~9『反抗開始(承前)『激闘~さぁいこうキズナファイブ~』

R.B.Y.G.P.

 

 

「――!?レッドさん……!」

 その光と轟音はハジメの方にも聞こえた。思わず動きを止めて、音のした方に目を向ける。が、砂煙でハッキリしたことは見えない。

 

「ウキャキャキャ、誰かの心配してるバ~ア~イ~~?」

 しかしレッドの方に気を取られたの見逃さなかったベル――いや今は絶縁魔ハンギャール――が手に持った杖を上に掲げて一帯に雷を降らした。ハジメは苦も無く全て避けてみせたが、巻き込まれたエンガチョンたちが数体チリとなって消え去った。

 

「キャキャキャキャキャ♡よく避けるよく避けるぅ~~♡」

 ハンギャールはなおも面白そうにむちゃくちゃに杖を振り回してあっちこっちに攻撃を打ち込んだ。しかしどの攻撃も狙いがてんで適当だ、かすりもしない。

 

「あ~もぉぉっっ!!ナンデ当たんないんのし~~~!!チョロチョロ避けるなああ!!」

 別に避けてない。攻撃が明後日の方向に飛んでいるだけだ。激しいがあまりに雑な攻撃をハジメは疑問に思った。なんだかまるで意図的に照準がずれているような……。

 

 だがハンギャールの方に気を取られ過ぎたのが良くなかった。いつの間にかストームが自分のすぐ近くまで迫って来ていることに気付くのに遅れた。

 

「――お前うっとうしいな…!」

 

 巨大なチェーンソーのような刀身がうなりを上げて振り下ろされた。

 しかし寸でのところで前に横合いから飛び出してきた影がストームに組み付いてきたため、それがハジメに当たることはなかった。赤いスーツ……キズナレッドだ。

 

「テメエもしつこいんだよっ!!」

 忌々し気に叫んだストームはレッドを突き飛ばすとむちゃくちゃに剣を振り回した。二撃三撃……マトモに斬撃を受けたレッドのスーツから火花が飛び散る。

 

「レッドさん!?」

「俺に構うな!お前は……お前の“絆”を取り戻せ……!!」

 

 仮面の奥でレッド――灯悟がニッと笑った気がした。さっきの攻撃でHPバーはすでに半分を切っている。VRといえど再現される痛みは本物だ。なにより今のNNOでゲームオーバーは死ぬということなのに……決して恐れを見せないし、怯みもしない。

 

 すごく強い人だ……そして同時に……。ハジメは少し前のことを思い出した。

 

『灯悟さん…。どうして僕にかまうの?』

 

 ただのAIに過ぎない女の子を助けたい、なんてそんなハジメの子どもじみた願いを灯悟は笑ったり、大人の正論で止めたりしなかった。それどころか自分もそれに協力するとさえ言ってきた。

 

 キズナファイブは「みんな」のヒーローなのに。どうしてこんな勝手なワルガキ一人のためにそこまでするんだろう?ハジメには分からなかった。

 

『そんなの決まってんだろ!』

 だが灯悟はそんなこと考えるまでもない、とばかりにニカッと笑ってみせるのだ。

 

『AIでもなんでもハジメにとってベルは大切な友だちなんだろ。そんな大切な絆を…絶対奪わせたりなんかしない…。それだけで十分だぜ!!』

 

 とてもまぶしい笑顔。でもその奥にある小さな、深い“穴”がその時見えた気がした。

 

 そしてなんだか分かった。全然住む世界が違うと、勝手に思いこんでいた。でもそうじゃない。

 

 ボクは、この人と、似てる……。

 

「だ~か~ら~ウチを無視すんな~~~!!ってゆーかカッコつけんなし~~~!!!」

 ハンギャールがだだっ子みたいに叫んだことで、ハジメの意識が引き戻される。そうだ……今は一刻も早くボクのしなきゃいけないことをする……覚悟を決めてハジメは迷わずハンギャールに向かって走り出した。

 

「ひぃぃぃぃっっ……!くんなくんなくんな~~~~!!」

 まさか真っ正面から向かって来るとは思わなかったのか、ハンギャールは慌てて魔法を乱射した。下手な鉄砲数うちゃ当たる……いくら狙いがデタラメでもここまで近づけば当然攻撃も当たりやすくなる。雷や風の弾が肩や足をかすめたが、ハジメはひるまなかった。

 

 抜いた剣がまばゆく輝く。

 

「なんでくんのよ~~~!?ストームさま、助けて~~~!!」

 

 慌てて逃げ出そうとするハンギャールだったが、もう遅い。完全に必殺技の間合いに入ったハジメは迷わず、最速の突きを、彼女の胸部に打ち込んだ――正しくはそこに取り付けられた絶縁帯に、だ。

 

「よっしゃあっ!!」

 ストームと戦っていたレッドが快哉を上げた。以前灯悟の親友である清弘がウラギリスにこれを取り付けられて絶縁魔「バンソウキラー」に変貌させられてしまったことがある。その時に使用されたのがあのベルに取り付けられていたアイテムと同じものだった。

 

 そしてハジメの突きは狙い通り、それを貫き、見事破壊した。同時に仮面も砕ける。

 

 依然として姿はハンギャールのままだが、ベルはまるで糸の切れた人形のようにその場に崩れ落ちた。ハジメがその体をしっかり受け止める。

 

「ベル……!!」

 その眉がピクリと動いたのを見たハジメが呼び掛ける。むずがるようにその目がかすかに開いた。ハンギャールとしての血のような赤い色ではない、元のベルの瞳だ。

 

「え……ハジメさん…?どうして……?」

 

 その口調も。良かった……ハジメは安心して大きく息を吐いた。

 

 とにかく作戦は成功した。ここはひとまずレッドも連れて一度下がるべき、と考えて懐から緊急ワープ用のアイテムを取り出した。

 

 

 だが不意に。手の中に抱いたベルが急に小さく体を震わせ出した。

 

 

「どうしたのベル――」

「バッカみたい」

 

 急にベルが顔を上げた。その瞳はまた赤く染まり、バカにするようなニヤケ顔が浮かんでいた。

 

 え――?何が起きたのか理解出来なかった……するよりも先にハジメの胸に稲妻のようなエネルギー波がぶつかり、その体を吹き飛ばしていた。ベルから引きはがされた体はそのまま大きく宙を舞い、叩きつけられた。

 

「なんで……?」

 荒い息を吐きながらハジメは呟く。絶縁帯は確かに破壊したハズなのに……。

 

 続けて更に激しい爆発音が響いた。顔を上げると傍らに同じくダメージを受け、スキンを解除させられた灯悟が吹き飛ばされてきた。さっき出来る限り回復させたHPバーもすでにレッドゾーンまで減っている。ハジメのも半分を切り、残りわずかだ。

 

「フハハハハハ!!貴様らは本当に大バカモノだな」

「だ~まされただまされた~~~~♡まんまとノせられた~~~~♡」

 ストームとハンギャールが勝ち誇ったように高笑いを上げた。

 

「どうせアレを破壊しようとすることなんてお見通しさ。だからあおのジジイの発明品を利用させてもらった…貴様らをヌカ喜びさせるためになっ!!」

「キャキャキャキャキャッ!!!なかなかの演技だったでしょ~~♡♡」

 

 そんな……ハジメの顔が絶望に陰る。それじゃあ……どうやってもベルを救う方法はないのだろうか…。

 

「だがなかなか手こずらせてくれたな……。健闘をたたえて…お前には褒美をくれてやろう…」

 ストームは笑いながら灯悟を上から抑えつけた。先ほどまでのダメージと押しかかる力で指一本動かせない。

 

「ハンギャール……。そのガキを殺せ。……そしてお前は誰一人守れない己に絶望するんだな」

 やめろっ!!足元で灯悟が必死に叫び、あがくがどうにもならない。同じようにろくに動けないハジメの前にハンギャールが立つ。

 

「ウキャキャキャキャキャ♡これでサヨナラね~~小さい勇者ちゃん!!」

 杖の先に魔力で形成した刃を作り出すと、迷わずそれをハジメに振り上げた。

 

「「ベルーーーーーーーーーー!!!!!!!」」

 

 灯悟とハジメ。二人の声が響いた。しかし無情にも刃は振り下ろされ――。

 

 だが。

 

 その直前でハンギャールの腕が止まった。ハジメが思わず顔を上げてよく見ると、槍を持った右手を、“彼女”自身の左手が抑え込んでいた。まるで自分の動きに抗うように。

 

 そして……ハジメは気が付いた。その瞳……血のような赤色が点滅し、本来の“彼女”自身の色を取り戻そうとしているのを。

 

「ベルっ!!」

 思わずハジメは叫んだ。そこで先ほどのことを思い出す。そういえばハンギャールの放った魔法はハジメにはほとんど当たらなかった。あれはもしかして……ハンギャールの中にあるベルの意志が、わざと攻撃を外させていたのか……?

 

 ハジメは今度こそ確信した。ベルは消えてなんかいない……あの姿の奥にまだいるんだ…!!

 

「そうだぜ……。行けハジメぇッ!!ベルを救うんだ!!!」

 

 灯悟の檄が飛ぶ。その言葉に背中を押されてハジメは立ち上がった。目の前でたじろくハンギャールの手を取る。

 

「そうだよベル……!戻ってきて……あんなヤツなんかに負けちゃダメだ!!」

「……ナニいっ――…ハジメ……」

 

 その時ハンギャールの姿に小さくノイズが走った。ニセモノのデータを破ろうとするかのようにそこにベルの姿が見えた。

 

「下らんマネはやめろぉっ!!」

 ストームは怒り狂って灯悟を蹴り飛ばすと、大剣からエネルギー波をハジメに向けて放った。避けるのはもう間に合わない、血のような赤い波動がハジメとハンギャールを呑み込もうとする――。

 

 転瞬。

 

 ハジメの前にバリアが出現し、攻撃を防いだ。ストームが「なにっ!?」と驚く。

 

 だがそれだけでは終わらない。突如4つの影がストームの背後に現れ、ガラ空きの身体に攻撃を叩き込んだ。不意を突かれたストームは対処出来ずに吹き飛ばされ、おかげで灯悟は脱出出来た。

 

「やれやれ……ひとりで無茶すんじゃないわよ!」

「ホントホント。す~ぐ突っ走るんですから」

「しかしこちらも来るのが遅れて申し訳ないであります」

「だがよくやったな……大したモンだよお前たちは……」

 

 エミリ、ツカサ、修二、そして流……キズナファイブの4人が灯悟を支えて、なんとか立ち上がらせる。灯悟は呆然と呟いた。

 

「みんな……なんでここに…?」

 みんなには砦で子どもたちを守っていて欲しいと伝えた。ここで4人とも出てきてしまっては子どもたちの方は誰が守るのか……。

 

「心配はないですよ……みんな来てます!!」

 え……?灯悟は振り返って、今度こそ息を呑んだ。

 

 色とりどりの衣装に身を包んで、武器を手にした子どもたち――星元小学校の児童たち19人がそこに立っていた。

 

「どうしてみんな……」

 あんなに怖がっていたのに、今目の前にいる子どもたちは誰一人として怯えてなどいない。みな決意したように力強い笑顔を浮かべている。

 

「なに言ってんだよ…」

 流が灯悟の肩を叩いた。

 

「みんな自分で言ったんですよ、先輩やハジメ君を助けるんだって」

「もちろんベルもね!!」

 

 すると子どもたちの中から何人かが依然ハンギャールを抑えているハジメの方に駆けだしていった。その中には……先ほど城でハジメを詰っていた男の子もいる。彼らはハジメに駆け寄ると彼を支えるように隣に立った。

 

「なんで……?」

 ハジメは呆然と呟く。男子は一瞬バツが悪そうな顔をしたが、すぐに「決まってんだろ!!」、そう強気に応えた。

 

「ベルを助けるんだろ、力を貸すぜ!!」

「さっきはゴメンな……ずっとお前の戦い見てたよ……。おかげでもう怖くなんかない!!」

「みんなそのために来たんだ!!」

 

 ハジメは後ろを振り返る。後ろの子どもたちも一斉に「そうだよ!!!」と叫んだ。ブルリ……と、力強い声に仮想世界の空気が震える。

 

「ベルは、今日ずっとウチらをサポートしてくれた!」

 

「トチってもミスってもベルは笑ったりしなかったしね!」

 

「初心者だけど…おかげでみんな楽しく遊べたんだよ…!」

 

「あの時だってそうだ……俺たちのこと励ましてくれたっ!!」

 

「みんなハジメくんとおんなじ気持ち!ベルはわたしたちの友達だよ!!」

 

「だからベルも……!」

 

「NNOも!!」

 

 

「「「「「「お前たち(ゼツエンダー)なんかに渡さない!!」」」」」」

 

 

 その瞬間。まるで一迅の風が吹くように。目には見えない、だが確かにそこに感じられる“力”が世界を駆け巡るのを誰もが知覚した。それはやがてハジメのもとに集約し、眩い光となって放出される。

 

「ナニナニナニナンナンダシ~~~……g hbyfuyoy iitdffigo gifudytrxyx yy p」

 

 その光は爆発的に広がってハジメとハンギャールを包み込む。突然の事態にうろたえまくるハンギャールだったが次第にその姿がノイズとなって崩れていく。そんな中で……右腕だけがまるでなにかを掴もうとするかのようにハジメのほうに向けて伸ばされた……!

 

「ベルッ……!!」

 それに気が付いたハジメもとっさに武器を放し、今度こそその手を掴む。つなぎ合った手のひらから更に光が流れ込み――そしてハンギャールの姿が完全にかき消え、ベルが姿を現した。

 

「今だ!行っけええぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

 となりの男子たちがそれを見届けると同時に一気に二人を引っ張った。ベルもまた消えゆくハンギャールから逃れるように一歩を踏み出す。

 

 かくして光が消えた時……数人の少年たちと共にそこには間違いなくベルの姿があった。

 

「ただいまみなさん……ハジメさんも…」

「――ベル…!!」

 

 ハジメの姿を認めたベルが柔らかく微笑んだ。感極まったようにハジメがベルに飛びつき、周囲の少年たちがガッツポーズを決めて飛び上がる。背後で子どもたちの快哉が爆発した。

 

「バカな……」

 低く冷たい声が戦場を震わせた。見るとストームが呆然と、肩を震わせて立っていた。背中から引き抜いた大剣を怒りに任せるように地面に叩きつける。

 

「クソガキ共が……一体何をした……?俺様の完璧な改造プログラムを……どんな裏技を使って破ったというのだ……!!」

 

「――それは違うぜ!!」

 

 目の前の事態が信じられず、わななくストームの言葉をきっぱりと別の声が遮った。

 

 浅垣灯悟だ。仲間に支えられ立っているのがやっとという有様だが、その目はいささかの陰りもない。

 

「ベルを想うハジメの、みんなの心……それが届いて、ベル自身の意志がお前の支配を破ったんだぜ!!」

「……たかが機械人形に意志なんてあるものか…」

 

 そう……アレはただの人工知能…与えられた命令を実行するプログラムに過ぎない。そんなモノが自分の支配から抜け出すなどあり得ない……ハズだった。「分かってないなぁ」流が鼻で笑うように続ける。

 

「シンギュラリティって知ってるか?人が成長するように技術もまた進歩するんだよ」

「彼女はずっとこの世界で多くの人たちと、共に生きてきた……。ベルさんには間違いなくプログラム以上の心が生まれていたのでありますな!」

「あの子を想う気持ちに触れて、それが一気に開花したのね」

「分かりやすくいうと……絆を舐めんなっ!!てことです」

 

 そう……灯悟は腕にはめたキズナブレスにそっと触れた。なんで気が付かなかったんだろう……この世界にはこんなにも“絆”があふれていることに。

 

 多くのプレイヤーが出会い、結んできた“友情”。

 

 その中でつむぎ合った“信頼”。

 

 幾度も交わされた“約束”。

 

 時に戦い、時に共に冒険するなかで育まれる“団結”。

 

 仮想現実を超えて生まれる――“恋愛”ももちろんあった。

 

 ここは現実の世界となにも変わらない。ここで生まれる感情も、感じる痛みも、人との繋がりも全部間違いなく“本物”だ。

 

 

 だとすれば――!!!!!

 

 その時……ブレスが輝き出きだし、それぞれの手に何かが召喚された。

 

 5人はそれを認めると互いの顔を見合わせ、強く微笑み合った。

 

「行くぜ……みんな!!」

 

「「「「おう!!!!」」」」

 

 灯悟の声に応えて一歩前に進み出た一同は、手の中に出現したそれ――絆創甲(バンソウプレート)をブレスにセットした。

 

『ぺっTURN!!』

 

 いつものガイダンスボイス。みなぎって来る力。何もかもがいつも通りの感覚。心が滾るのを感じながら……灯悟、流、エミリ、修二、ツカサ……それぞれがスイッチに手を掛け、同時に、一斉に叫んだ。

 

 

「「「「「「絆装チェンジ!!!!!」」」」」

 

 

 ブレスから一際眩い光が放たれる。それと同時に5人の身体にスーツが形成されていき、やがて頭部がヘルメット状の装甲で覆われる。

 

 光が晴れた時――そこには5色のスーツを纏った戦士が立っていた。

 

 

 先ほどまでのゲーム上に再現されたスキンではない、間違いなく本物の――!!

 

 

「貴様らは……!!」

ストームが呻く。

 

焔のごとき熱く赤い色をまといし戦士の名は。

「燃え盛る熱き友情の戦士!!キズナレッド!!」

 

 水のごとく流麗なたたずまいの戦士は。

「澄み渡る清き信頼の戦士!!キズナブルー!!」

 

 星のように輝く美しき戦士は。

「永久に輝く約束の戦士!!キズナイエロー!!」

 

 決して砕けぬ大地のごとく立つ戦士は。

「固く揺ぎ無き団結の戦士!!キズナグリーン!!」

 

 そして芽吹く花のごとく可憐に舞う戦士は。

「咲き乱れ荒ぶる恋愛の戦士!!キズナピンク!!」

 

 

「「「「「結んだ絆で未来を創る!!!!!」」」」」

 

 5人そろった戦士がそれぞれハイタッチを交わし合い――自らの名を唱和する。

 

 

「「「「「絆創戦隊!!!!!」」」」」

 

 

「「「「「キズナファイブ!!!!」」」」」

 

 

 瞬間。ハジメたちが歓声が爆発した。想いの丈が弾けるようにキズナファイブの背後に激しい火柱が上がる。

 

 最強のヒーローチーム(戦隊)の登場に最早この場に誰一人として絶望している者はいなかった。

 

「ふざけるなよ貴様ら……!!」

 

 ストームは怒りに体を震わせた。閉じ込めたガキどもを絶望の淵に追いやって互いに殺し合わせて、その上でキズナファイブとかいうヒーロー気取りを抹殺する……自分の計画は完璧なハズだった。それが……こんな辺鄙な星の下等生物どもに……!!

 

 絆デストロイヤーとしてこれ以上の屈辱はない。「ノットロイ!!」いつまでも気絶している手下の名をストームは呼んだ。

 

「あーはいはいはいはいストーム様!お呼びですか~~~~!!」

 それでようやく復活したらしい部下が出現したが、元はと言えばコイツが不甲斐ないせいだ、とストームはノットロイの顔面を殴りつける。

 

「今度こそヤツら全員始末しろ!!今度失敗したら……分かっているな…?」

「はいィィィィィッ!分かりました全~員~あちまれ~~~~~~!!!」

 

 ノットロイは慌てて、出現させたウインドウを操作する。チートプログラムが発動し、再び大量のエンガチョン共が大量に出現した。もう余計な手加減はしない、レベルは最大値に設定した。強さは先ほどの比ではない。

 

 だがキズナファイブは少しも恐れない。中心に立つレッドが力強く叫んだ。

 

 

「行こうぜみんな……!かけがえのないこの世界を……絶対に取り戻す!!」

 

 

 全員が頷いた。言葉はもういらなかった。赤、青、黄、緑、桃…5色の戦士がまっすぐに目前の敵へと駆け出した。

 

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