絆創戦隊キズナファイブ THE MOVIE 電脳ワールド大決戦!!   作:大荒鷲

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これでこのお話は終了となります。
お読みいただきまことにありがとうございました。


QUEST11~12『絆のラストバトル!!』『終章:レッツダンス!』

R.B.Y.G.P.

 

 

「よっしゃあ!俺たちの絆の勝利だぜっ――ってアレ?」

 

 爆発する敵を尻目にカッコよく(?)ポーズを決めたレッドだが、仲間のノリがいまいち悪い。というかよく考えたらこのゲームを支配していたハズのストームを倒したのに、なんで外に出られないんだ?

 

 疑問に思っているとストームが立っていた辺りからドス黒い、エネルギーが立ち上り始めた。それは物理的な力で遺跡の天井を破壊して外に飛び出して行く。同時に高笑いがフィールド全体を呑み込むように響き渡った。

 

 間違いなくストームの声だ。

 

「なんと往生際の悪いヤツでありますか…」

「とにかくみんな!ここから出るよ!!」

 

 さっきの衝撃で遺跡が崩れ始めた。グリーンがターボ円陣を巨大化させて全員をそこに乗せると一気に外に飛び出す。

 

 果たして外ではストームの高笑いとともに闇のエネルギーが飛び回っていた。それは不定形な形から次第に一点に収束していき――ついには巨大な怪物の姿へと変貌した。

 

「マジかよ……」

 

 ハジメが呆然と呟く。ゼツエンダーの怪人が追い詰められて巨大化することはよくあるが、明らかに次元が違う。大きさはどんなに見積っても80メートル以上。先ほどの姿とは似つかない闇のような漆黒のウロコに覆われた体表に鋭い爪を備えたたくましい四肢と長くうねる尻尾、そして空を覆い尽くさんばかりの巨大な翼……その姿はまさしくドラゴンか、はたまた悪魔そのものか……。

 

「グハハハハハ!!勝ッタツモリカゴミドモガ……!キサマラハ永遠ニ帰サンゾ、コノ世界諸共沈メテクレルゥゥッッ!!!」

 

 邪龍態となったストームが吠えた。星々すら焼き尽くす奥の手だ。この姿を使わなければならないほど追い詰められたことは屈辱の極みだが、叩き潰せるならむしろ好都合だ。そう……俺様は決してこんなヤツらに負けたのではない……!!

 

 だが……この場にいる者は誰ひとりとして絶望してなどいなかった。子どもたちは誰もがキズナファイブの勝利を信じていた。レッドたちもここで諦めるつもりなどない、必ずみんなが笑顔で遊べるこの世界を取り戻して、みんなで一緒に帰るのだと。

 

 その場にいる全ての心がひとつになった。いつだってそれ()は理屈を超えた奇跡を与えてくれる。

 

 キズナファイブは別の絆装甲をブレスに装着した。

 

「「「「「来ぉぉい!!キズナビースト!!!!!」」」」」

 

 そしてデータの空に突如ゲートが開いたかと思うと5体の機械獣が飛び出してきた。

 

 赤いTレックス型メカ・フレンD。

 

 青い鳥型メカ・トラストーム。

 

 黄色の虎型メカ・プロミストライカー。

 

 緑のゴリラ型メカ・ユニコング。

 

 ピンク色のイルカ型メカ・ラブマリナー。

 

 いずれもキズナファイブの相棒となるメカ、キズナビーストだ。1体でも強力な力を持っているが……真価はそれにとどまらない。

 

 5体のビーストの一斉攻撃を受け、邪龍が怯んだすきにレッドたちはそれぞれに備え付けらたコックピットに乗り込む。そしてもう一度ブレスのスイッチを押し込んだ。

 

 

「無限の絆で未来を創る!!」

 

「「「「絆創合体!!!!」」」」

 

 それと同時に各キズナビーストが変形を開始した。プロミストライカーとラブマリナーが脚、ユニコングが両腕、フレンDが胴体とそれぞれが人体を思わせるパーツへと変形したのちそれらが一斉にドッキングする。最後にトラストームが背中に装着されると同時に胴体から頭部が出現した、その姿はまさに一対の翼をまとった巨大な戦神。

 

 これこそが絆の集大成にして、キズナファイブの最強・最終決戦兵器。

 

 

「「「「「マキシマム・キズナカイザー!!!!!」」」」」

 

 

 仮想世界に顕現した最強の巨神が凄剣グレート・絆ソードを召喚し、ストームに突き付ける。

 

「ふざけたゲームはここで終わらせてやるぜ!!」

「ソンナオモチャデェ…俺様ニ勝テルト思ッテイルノカアアアアアアアアッッッッ!!!!」

 

 ストームの絶叫とともに口から赤黒いビームが放たれる。マキシマム・キズナカイザーの剣がそれを受け止め、斬り裂いてなおも突撃する。爪と刃がぶつかりあって激しい火花を散らした。

 

 NNO世界の上空を邪龍態となったストームとマキシマム・キズナカイザーが飛び回り、ぶつかり合う。飛行速度は完全に互角、邪龍は口から吐くビームに加えて、鋭い爪や翼を刃のように振るい、強靭な尻尾を鞭のように叩きつける。マキシマム・キズナカイザーも果敢に斬りかかり、迫りくる攻撃全てを弾き飛ばすが、ウロコのような体表は硬く、グレート・絆ソードの一撃も意に介さない。

 

「クタバレエェェェェッッッッ!!!」

 

 邪龍が放ったビームがマキシマム・キズナカイザーの胸部に突き刺さる。各所からスパークを散らしてその巨体が街に落下した。

 

「ぐ……なんて強さだ…」

 ブルーが呻いた。デカいだけじゃない、火力も機動力も防御力もマキシマム・キズナカイザーとはけた違いだ。邪龍はるか上空で不遜にこちらをあざ笑う。

 

「……でも、負けてたまるか…!」

 イエローが呟いた。

 

 そう、こっちには絶対負けられない理由がある。

 

 この世界にはどこまでも夢が広がっている。運営はこの世界を創り出すことに情熱を注ぎ、世界中のプレイヤーたちが共に喜びを分かち合い、システムを管理するAIたちは彼らを見守りながらどこまでも進化していく。

 

「わたし…まだこの世界の半分も楽しんでないんだから…!」

「自分も…大学の仲間にこの世界のこともっと伝えたいのであります…!」

 ここは無限の可能性に満ちている。ネットワークという絆で繋がってこれからもどんどん広がっていく。

 

「お前なんかに……」

 遊びの楽しさも繋がり合う達成感も何ひとつ知らないどころか、くだらないとあざ笑うこんなヤツなんかに……!!

 

「壊させたりするもんかあっ!!」

 全員の決意とともになおもマキシマム・キズナカイザーは立ち上がる。その時コックピットに通信が入った。ベルとハジメだ。

 

『もしもしレッドさん!聞こえますか?』

『ベルがシステムの権限を取り返したんだ!ストレージを開いて!!』

 

 そう言えばハジメとパーティーを組んでいたままだったことを思い出した。レッドはメニューウインドウを開くと、ハジメと共有しているアイテムの中にいた事のない剣タイプの武器が入っていた。

 

 武器名は「NEXA‐CALIBER」……なんで読むんだコレ?

 

『絶剣・ネクサカリバー!!ラストダンジョンで獲得できる、このゲーム最強のアイテムだよ』

『それに武器だけじゃありませんよ……ほら見てください…!!』

 

 そう告げるとベルはある画面をコックピット内に表示した。それを見た一同は息を呑む。

 

「これって……」

 

 ハジメが満面の笑顔で叫んだ。

 

『アイツらの配信を逆に乗っ取ってやったんだ!見て、世界中の声がここに集まってる!!』

 

 現実で対応していた博士たちが取った手段がこれだった。ストームはゲームの中継機能を奪って、世界中に閉じ込められた子どもたちが争い合う姿やキズナファイブの最期を見せつけてやろうとしていたらしい。だが、運営の手助けもあってそれを取り返し、同時に閉鎖されていたコメント欄を開放したのだ。

 

 マキシマム・キズナカイザーとストームの戦う光景を映した映像には――無数の書き込みが弾幕のように表示されていた。

 

 

『がんばれキズナファイブ!』『皆で応援してる!!』『負けるな!!』『弟を助けて!!』『諦めるな、前を見ろ、限界を超えろ!』『行けキズナカイザー!飛べキズナカイザー!』『いざ掴めNo.1!!』『VAMOLA!!』『僕らのキズナも使って!』………。

 

 

 キズナファイブの勝利を願う、無数の声が。

 

「……絆を、感じたぜ…」

 

 レッドが声を震わせながら呟いた。他のメンバーも頷く。

 

「ああ…行くぞみんな!!」

「追い詰められてからが…ホントのラスボス戦よっ!!」

「そしてそんな逆境だって、恐れず必ずはね返す!!」

「それが神ゲーってヤツですよねっ!!」

 

 全員の声を背中に受けながらレッドは召喚したネクサカリバーを構える。それと共に剣からまばゆい黄金の粒子が溢れ出した。

 

 それはやがてコックピットの外に漏れだし――マキシマム・キズナカイザーの全身を金色に染めていく。

 

「ナ……ナンダト言ウノダ…コノ輝キハ……!?」

 ストームが驚愕に喘ぐ。見た目だけではない…溢れて来る力が先ほどとは桁外れに高まっている。その手に黄金に輝く剣――ネクサカリバーが出現した。開いた翼から飛び出した粒子がまるで後光のような光の輪をかたち創る。

 

 

「「「「「ゴルディック・キズナカイザー!!!!!」」」」」

 

 

 暗雲が吹き散らされ、きらめく青空を黄金の巨神が飛翔した。

 

「マヤカシダアァァァァァァァァァァァァァッッッッ!!!!!!」

 

 そんなモノは認めないとばかりにストームは最大出力の火焔を放つが、ゴルディック・キズナカイザーが左手をかざすとそれはあっさり消滅し、その輝きには傷ひとつ付けることは出来ない。

 

 そんなバカな…。驚愕するヒマもなく、今度はその巨体が光の粒子とともに消え失せた。かと思えば振り向くヒマもなく、背後に回り込まれ、尻尾と翼を瞬く間に斬り飛ばされる。

 

「バカナ……コンナバカナァァ……!!」

 

 落下する邪龍態に黄金の光が迫って来る。ストームはその光景を認めることが出来なかった。

 

 

「「「「「ネバー・ネクサイト・キズナスラッシュ!!!!!」」」」」

 

 

 虹色に金色の粒子をまとわせた斬撃がストームを斬り裂いた。

 

「俺様ガ絆ニ敗ケルダトォォッ……!?認メン……コンナモノハ認メンゾォォォーーー!!グギャアアアアアアアアアアアアアーーー!!!」

 

 断末魔の叫びとともにその体は爆散し、無数の形のない粒子となって世界に溶けていった。

 

 後に残されたものは――元の光を取り戻したNNOの世界と子どもたちの歓声、そして蒼穹に佇むマキシマム・キズナカイザーの姿だった。

 

 

「結果オーライ、万事解決だぜ!!」

 

 

 レッドの勝鬨とともにマキシマム・キズナカイザーが眼下の子どもたちに勝利のVサインを向けた。

 

 

R.B.Y.G.P.

 

 

 まぁその後もいろんなことがあった。

 

 あの後正式にゲームはクリアとなり、星元小学校の子どもたち20人は無事解放され、無事に家族の元に帰れた。再会した親子たちの笑顔と涙はたぶんずっと忘れられないだろう。

 

 ハジメの両親も事件を聞きつけて慌てて帰国したらしい。ここにいるとは思わなかった両親の顔を見た時、ハジメは最初ポカンとしていたが、次の瞬間には初めてあの年頃の子どもらしい表情を浮かべていた。

 

 事件に巻き込まれた運営だけど…セキュリティを見直して改めてNNOの正式サービスを始めることが決まったと流から教えてもらった。これからもあの世界ではきっといくつもの絆が紡がれ続けるだろう。

 

 流と言えば。ストームの配信を通じて俺たちの活動が世界中に知られてしまったのではないか…と思ったのだがそんなことにはならなかった。裏で万丈寺グループがかなり手を回してくれたらしい。毎度のことながら恐れ入る……。

 

 でも一番心配だったのはやはりベルのことだ。いくらストームに操られていたとは言え、多くのプレイヤーに危害を加えることに加担してしまった。その上シンギュラリティ……要するに自我に目覚めてしまった可能性があるとなれば、最悪サポートAIとしての役目を外され、データを消去されてしまう可能性もあったが……。

 

「それについても、なんとかなりそうだよ」

 後日キズナファイブの基地にて流がそう教えてくれた。

 

「やっぱりたってのお願いがあったそうですよ?あの子たち……どころか世界中のプレイヤーたちから」

「それだけ…多くの人たちから慕われていたのでありますね。ベルさんは……」

「共に遊び、共感しあい……彼女自身も進化してきた……。自我に目覚めるのも必然だったんだろうな」

 そうか……灯悟は安堵のため息を吐いた。これで本当に万事解決というわけだ。ベルがいれば、新しいNNOもきっと多くの人たちに愛されるだろう。

 

「しっかしさぁ!」

 感慨にふけってる灯悟の背中を急にエミリがバンと叩いた。痛え!!

 

「キズナバカだとは思ってたけど、まさかAIとも友達になっちゃうとはねぇ?やることが壮大過ぎんでしょうが!!」

 

 あ、そっか。そう言えば確かにそうかも知れない。それはつまり……人間以外とも友達になれる可能性がまだこの宇宙にはあるということか。

 

 そう思うと……なんだか無性にワクワクする。灯悟は飛び上がるように立ち上がった。

 

 

「よっしゃああ!!なんだか燃えてきたぜ、こうなったら宇宙人だろうが異世界人だろうが絆を結んでやるぜっっ!!」

 

 

END~let’s Dance~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか……機械とすらも心を通わせるとは。……やっぱり君は面白いね…」

 

 もしかしたら君となら僕は運命を……。そこまで考えて銀髪の女性はフルフルと首を振った。詮無いことを考えるのはよそう。僕は定められた道を行くしかないのだから。

 

 それにしても今回は忙しなかった。おかげでロクに挨拶も出来なかったけど…まぁそれはそれで構わない。また次があることを彼女は――二階堂天理は知っている。

 

 

「もう少しで会えるよ…浅垣灯悟くん……」

 

NEXT→Episode18

NEXT→RIDER MOVIE

 




ここまで読了いただきありがとうございました。重ねて感謝の言葉を。

改めて原作の魅力を語り尽くすときりがないのですが、やはり何と言っても戦隊シリーズ…否、ニチアサ特撮に対するリスペクトに溢れた作品だってことなんですよね。これにプラスしてアニメの方もレジェンドスタッフ&キャストが参加しての更なるこだわり強化というたまらない内容になってまして……。

気が付いたらこの作品の二次創作を作りたいという欲求に駆られてあっという間にプロットを起こして書き上げた次第です。自分なりに異世界レッド、そして本家スーパー戦隊シリーズへの愛を込めたつもりなので、楽しんで頂ければ幸いですし、まだ未読の方に興味を持っていただけることがあればこんなに嬉しいことはありません。


あ、ちなみに私は普段仮面ライダーの二次創作小説を書いています。そちらの方もエタるつもりもなくちゃんと書いていますので、かねてよりの読者の皆様におかれましてはもう少しだけお待ちください。

それではまた会う日まで。

え、この後のライダー映画は何かって?知らんなあ
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