モブの味方が聖杯戦争   作:もも吐き

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 亀更新王道展開クソチート、と三拍子揃ってますぜうっへっへ…。
 心を広く持ってくれさいね。


プロローグ

 自分は特別だと思っていた。

 目が覚めたときに、死んだはずの己の意識が続いているという、奇跡。

 一度死んで――、普通は一つしかない人生を終えて、新たなボーナスステージに進んだのだ。もしかしたら俺が死の間際に見ている夢なのかもしれないが。

 

 何もかもに恵まれた最高の人生。

 父母兄と俺で形成される家庭は、とても心地が良くて、暖かい愛情と優しさに溺れながら過ごした。

 神童として可愛がられ、何不自由なく甘やかされて。

 父と母は俺を愛してくれる。兄も俺に優しくしてくれる。

 何でもうまくいく。何でも出来る。

 

 だから――。調子に乗ってしまった。

 自分が、凄いのだと思ってしまった。

 

 己だけが知る世界の未来。少し意識するだけで何でも出来る、無尽蔵の魔力回路。まるでバケモノ(・・・・)のように、何もかもを吸収する脳みそ。

 何だってできるような気がしていた。どんなことがおきても、何とかなると思っていた。

 

 ――だって自分は、特別なんだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これは何だと、少年は狼狽した。

 彼は特別だったのだ。彼自身、そう自負していた。

 ちょっとそれっぽいことを言うだけで、どんな魔術も行使できたし、ちょっと頑張るだけで自分の気配を消すことも、強力な礼装を作ることが出来た。

 

 まごうことなき『特別』。選ばれた自分に感じる優越感。

 それが少年の頭を麻痺させた。自慢の脳みそをまるでゼリーのように蕩けさせてしまった。

 

 

 

 これはさしたる重要性もない話なのだが、少年はとある界隈ではちょっとした有名人だった。

 曰く、『人ならざる才を持った子供が、一般人のように生きているぞ』とか。

 

 それはいかん神秘は秘匿しなければ。と白々しい魔術協会はついにその重い腰を上げてしまったのだった。

 

 

 

 さて、そんなことは露ほどにも知らない『特別』な少年。

 とろけにとろけた脳みそが仕事を放棄していたので、たった(・・・)Aランク礼装であっさりと、本当にあっさりと捕まってしまったのである。

 コイツ本当にあの『黒の断罪者』か…。ヒソヒソと聞こえる自分から名乗った名前が痛々しい。

 

 少年は激しく狼狽した。今世紀最大級にうろたえた。

 

 (な、んで…。何で何で何で何で何で何でなんで――!!

 夢、なんだろ? 目が覚めたらまた飯食って学校行ってテレビ見て遊びまくって母さんは笑ってて父さんは頭を撫でて…――、愛してくれるんだろ!?)

 

 ぐるぐるぐるぐる。

 心のどこかで、気づいていた。何にも見なかったフリをしていた。このまま笑っていれば、いつか何とかなると思った。

 ――気づかない、フリをしていた。

 

 少年、やっと気づく。

 

 (なんだ…。これ、現実かぁ。)

 

 頭上でのこそこそ話。そぉっと耳を澄ませば、あらまぁ聞こえてくる聞こえてくる物騒な話。

 『ホルマリン』『脳髄』『魔術回路』『解剖』『摘出』

 

 ほろり、意図せず涙を零した。

 ああ、思えば短い人生だった。

 まだ一度も、中学校を卒業していない。向こうの両親に親孝行しときゃあよかった。

 ああそういえばこっちの両親も優しかったなぁ…。兄貴も、こんな高慢ちきなクソガキに構ってくれたし。

 

 (このまま俺が行方不明になったら…、きっと心配するんだろうなぁ…。)

 

 家族思いのいい家族。

 相互理解で成り立っていた家族から、自分が抜けたら、あの優しい人たちはどれだけ悲しむだろう。そんな家族を慰めることも出来ずに己は標本になってしまうのか。

 

 そこまで考えが及んだとき、少年のとろけた脳みそは、その瞬間凝固剤でも突っ込んだかのように固まり、正常な回転を始めた。

 

 (産んでもらって、育ててもらって、何の恩返しもせずに、勝手に死んで悲しませる…?)

 

 なんだそれは。クソじゃないか。

 散々に金を愛を貪っておいて、勝手に攫われて勝手に両親のため以外の方法で命を使われる。

 

 (そんなの…――嫌に決まってる!)

 

 ばちこーん。

 アホみたいな音をたてて、アホみたいに高級で複雑な捕縛用の礼装がはじけ飛ぶ。

 

 少年は、そのまま家に帰ったとさ。

 




 プロローグは一番アクの強い書き方でいってみました。
 ツッコミところを感じた方は続きを…読んでくれてもいいのよ…?
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