モブの味方が聖杯戦争   作:もも吐き

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第1話 記憶力以前のお話

 とにもかくにも死亡フラグ回避、これに尽きる。

 俺が生前に見た二次創作たちの数々。その中の誰一人として、聖杯戦争に参加しなかったものは居ない。

 それは、そうしないと話が膨らまないという作者の都合では勿論なく、それが一番安全な選択肢だからだ。

 

 戦争に安全もクソもあるかって考えただろ? だがな、主人公もとい俺が魔術を使わない/使えない場合は、主人公達もとい俺を発見できるのは聖杯戦争参加者では、アサシンだけなのだ。

 原作でも書かれていたが、外道スナイパー衛宮切嗣君にじゅうはっさいは、ヘボ魔術師のウェイバーを見つけることが出来なかった。

 何故なら衛宮切嗣には、優秀な魔術師はこうする、こうしなければならない、という固定概念があるからだ。

 これは彼が優秀な魔術師殺しであるが故の弊害のようなものである。

 つまり、頭が固い。

 

 事実、普通の魔術師は工房も持たずに、普通の生活をしたりは絶対にしないので、別段、彼の頭が固すぎるというワケでもない。

 基本的に魔術師という生物に対する凡その認識は、これで正しい。

 

 この固定観念はかなり都合がいい。要するに、俺の推理が正しければ、何の防衛策も無しに外をほっつき歩いても魔術を使わない限りはアサシンにしか見つかる可能性が無いということになる。

 衛宮切嗣には魔術回路の活動がサーモグラフィ等で分かるらしいが、俺はそもそも魔術を使わない。

 

 ――この戦い、我々の勝利だ!

 

 何に勝ったんだ、という話だが、今回の戦争で一番怖いのは暗殺。この可能性が排除できたのはかなりデカい。

 後は何をすべきか…。あまり頭の回転はよろしくないのだが、必死に考える。

 こちとら前世は中学生までしか経験していない。よって頭の出来は世界で一番馬鹿な生物、高校2年生のものなのである。

 とつぜん命がけの戦争に巻き込まれても、何をすればいいのか分からないのだ。

 

 まず、サーヴァントを召還するのは確実だろう。

 しかし、これにも触媒を用いた召還か、魂の共鳴ッみたいな運ゲーで召還するのか。この時点で既に2択である。

 さらに問題もあり、俺の魔力が足りるのかも分からないし、さらにさらに問題なことに、俺は召還の呪文も陣も覚えていない。

 

 よーく考えていただきたい。俺は以前中坊だったのだ。そんな奴が呪文と魔方陣覚えようとか思うか? 少なくとも俺は思わなかった。

 魔術師の後ろ盾も無い、魔力だけが有り余った俺じゃあ戦争参加すらも、こんな序盤でつまずいてしまう。

 人生マジ世知辛いわぁ…。

 

 とにかく、俺には呪文や陣が何の役割を成しているのか、分からない。

 とりあえず、アホのように魔力を消費して聖杯まで道を作ればイケる…ような気はする…かな。

 多分呪文も陣も、聖杯に魔力のバックアップを要請する類のものだと思う、が…。何ぶん覚えていないもんで。二つとも魔力量にモノを言わせたごり押しになるな。

 

 思考がある程度固まったので、風呂に入る。

 

 

 

 

 

 

 

 「ふぃー。」

 

 召還の触媒なんて高価な物は生憎我が家には存在しない。

 よって触媒なしの相性召還になる。

 

 陣と呪文は…まあ、何とかなるだろ。

 召還場所はどうしようか。外にする? いや、発光してたよな、あれ…。俺が住んでる所からは森林系の場所がかなり遠いので、外は無理だな。

 俺の魔力は原作凜ちゃんと同じく午前2時に最高潮に魔力が高まるし、時間的にも間に合わない。

 大体今日が戦争開始から何日目なのかもよく分からんなぁ。多分セイバーは来日してない、と思うんだが。

 俺空港の近くでバイトしてる友達いるし、金髪銀髪の美形コンビ見たら教えてくれるだろうし。

 

 外は無理、でも出来るだけ早く召還しないと、正々堂々こられたら詰む。

 ………明日、召還が遅れたせいで何かあったらどうしよう…。

 

 

 

 

 

 

 

 献血パックで申し訳程度の陣を書くと、申し訳程度の呪文を唱え、魔力を込める。

 セイバー来日がまだなら、衛宮来日もまだのはずだ。魔術はまだ使っても大丈夫、多分。

 自分の部屋に巨大な結界を張り、この町で一番安全な場所となったそこで、召還を始める。

 

 「えっと…満たせ、満たせ、満たせ。

 繰り返す都度に…んん? 汝、抑止の天秤より…? ごにょごにょ…者よ、我が、寄る辺? に従い、………来たれ、天秤の守り手よ!」

 

 

 ――どうしよう。思ってたよりもうろ覚えだ…!!

 




 うろ覚え感出しすぎたかな。
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