試作品・短編集   作:ウエストモール

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ありふれぬゴ階級の異世界転移 part2

「トータス……聞いたこともないな。ライセン大峡谷……ブルックの町というのも知らん」

 

 助けた人間達……冒険者という職業の彼らから聞いたのは、ここがトータスと呼ばれる場所であるということ。周辺の地名に関しても知識にはなかった。

 

「トータスを知らない人間なんて初めて聞いたよ。皆、やはり彼は……」

「異世界から来たってこと?」

「異世界から勇者一行が召喚されたという話は聞いたことあるけど……」

 

 冒険者達は話し合う。その内容を聞いてみるに、異世界から召喚された者達がいるらしい。なお、話している言語は未知のものだが、意味が自然と分かるという不思議な現象が起こっていた。

 

「すまんが、異世界から来たという者はどのような者達だ?」

 

 そして、こちらの言葉も何故か伝わる。言葉の面で苦労しないのは助かるが、不気味だ。

 

「たしか、殆どが黒髪で黒目だとか……顔つきも珍しかったような……」

「そういえば、噂だとニホンとかいう場所から来たらしいよ」

「ニホンだと?私もそこから来た」

 

 どうやら、異世界から召喚された者達は日本の出身らしい。自身がこの世界に来たのも、その影響の可能性がありそうだ。

 

「是非、私も同郷の者と会ってみたいのだが、どうすればいい?」

「ガタクさん、それなら冒険者になるのがいいかもしれませんよ。一定の身分を持っていた方が移動しやすいです」

「冒険者か……そうか……」

 

 冒険者と聞いて、ガタクが思い出すのは戦士クウガこと五代雄介の存在だ。冒険家として世界を回っており、よく思い出話をしてくれた。彼は今頃、戦士から冒険家に戻って旅をしているのだろう。

 

「しかし、私はステータスプレートとやらを持っていない。あまりそなたらに迷惑をかけるわけには……」

「何を言っているんですか。ガタクさんは私達の恩人ですよ。ステータスプレートの予備が丁度ありますし、差し上げます」

「かたじけない……」

 

 ステータスプレートというのは、この世界における身分証だ。アーティファクトなる道具の一種であり、血を垂らすことで能力値や技能を表示してくれる。

 

 早速、血を垂らしてみるとステータスプレートが青く変色する。この色は人によって異なるらしい。その内容を見てみると……

 

ゴ・ガタク・バ ?歳 男 レベル:???

天職:戦士

筋力:8000

体力:8000

耐性:8000

敏捷:8000

魔力:500

魔耐:300

技能:原子操作・変身[+格闘体][+俊敏体][+射撃体][+剛力体][+電撃体]・格闘術・棒術・射撃術・剣術・双剣術・騎乗・風属性適性・言語理解

 

「このように出たが……」

「何じゃこりゃあ!?」

「おいおい、マジかよ!」

「異世界人のステータスやべえ……」

 

 ステータスプレートの中身を見せてみると、多少の差異はあれども全員が驚きを隠せていない。

 

「私、何かやってしまったか?」

「ガタクさん、実は……」

 

 彼らによると、この世界で最高クラスの騎士を遥かに凌駕するステータスだったらしい。ガタクは彼らからアドバイスを受け、プレートの機能で隠蔽することにした。

 

「ところで、この魔力とやらは?」

 

 分からないことばかりなので、ガタクは彼らから色々と学ぶことになった。

 

 

 

「ありがとう。そなたらのお陰で色々と分かった。私はこれからブルックにて冒険者になろうと思う」

「ガタクさん、あなたが倒した魔物の素材を持っていってください。当面の資金にはなるはずです」

「何から何まですまないな……」

 

 出会った冒険者の一団は気の良い連中だった。彼らに出会わなければ、この世界のことを全く知らぬまま進むことになっていただろう。

 

「また、何処かで会えるといいな」

 

 ガタクはトルネイドに跨る。自力で走ってきた未知の乗り物の姿に彼らも当初は驚いていたが、今では慣れたようだ。

 

 トルネイドが発進する。目的地はこの先にあるというブルックの町だ。そこで冒険者となるべく、ガタクは草原を走り抜けていく。

 

(この世界は厄介かもしれない……)

 

 トルネイドを走らせながら、ガタクは思う。冒険者の話によるとトータスではエヒトなる神が信仰されており、異世界より勇者なる存在を召喚したのも神とのことだ。

 

 勇者一行は神の使徒と呼ばれており、エヒトが滅亡寸前の人類を救うために召喚したとされ、人々から尊敬を集めている。信仰心はかなり高いようで、教会が幅を利かせている程だ。

 

 故に、この世界では神の意思が最優先される。都合の悪いことがあったとしても、全てねじ曲げられるのだろう。気付けば周囲が敵になっている可能性もあるため、慎重に動く必要があった。

 

 やがて、ガタクはブルックの町へとたどり着く。すでに夕日は沈みそうで、辺りは暗くなり始めている。

 

 ガタクはトルネイドを停車させると、謎の乗り物とそれを駆る人物に驚いている門番に平然と話しかけた。

 

「すまんが、ここがブルックの町か?」

「あぁ、そうだが……まずはステータスプレートを。あと、この町に来た目的は? それと、その乗り物は?」

 

 革鎧に長剣の門番はステータスプレートの提示を要求すると同時にいくつかの質問をしてくる。彼はきちんと門番の仕事をしていた。

 

「これがステータスプレートだ。目的は旅の途中の補給と冒険者の登録。そして、この乗り物は俺の相棒で一種の魔導具とでも思ってくれ」

 

 ステータスプレートを提示し、質問に答える。ステータスも隠蔽して一般的なスペックにしてあるし、バイクのことも上手く誤魔化してブルックの町に入ることができた。

 

 その後、ガタクは冒険者ギルドという施設に行って冒険者として登録し、素材も売って当面の資金を稼いだ。

 

「ふう、今後はどうすべきか……」

 

 ブルックの町で取った宿の一室にて、ガタクは情報を精査して今後のことを考えていた。

 

「舐められないためにも、冒険者としてランクを上げる必要はあるか……」

 

 冒険者にはランクがある。下から順に赤、黄、紫、緑、白、黒、銀、金と変化し、この世界における通貨の同じ色であるため、冒険者の価値に直結するものだった。

 

 ちなみに、黒まで上がればそれなりに認められるらしい。ガタクはグロンギの戦士として、頂点を目指したいと思っていた。

 

「後は、魔法か……」

 

 そして、この世界特有の技術である魔法についても習得するつもりだ。モーフィングパワーと各形態への変化はあるが、少しでも技術を身に着けてさらなる強さを求めるつもりだった。

 

 ステータスプレートによると、ガタクには風属性の適性があるらしい。魔法を教えてくれる人さえいれば、すぐにでも習得できる自信はあった。

 

 グロンギの戦士は体内の魔石ゲブロンによって学習能力が高いのだ。実際、古代文明の彼らは目覚めた後、現代文明に対する理解を深め、高い階級のグロンギほど溶け込めていた。人間の組織に入り込んだ個体がいるほどだ。

 

 風の刃などが使えれば、攻撃の威力を上げることだってできる。そもそも、初代仮面ライダーの属性は風であり、ライダーファンとしては憧れるものだった。

 

(やることは多いな……だが、私はゴの戦士。必ずこのゲゲルを乗り越えてみせよう)

 

 ゲゲルとはグロンギの言葉でゲームのことであり、主に彼らによるタイムリミット付きの殺人ゲームを指す。だが、ガタクは自らに課せられた試練をそう呼称することにした。

 

(あぁ、やはり疲れたな……)

 

 そして、ガタクはベッドで眠る。グロンギの再生能力は凄まじいものであるが、それは肉体に限る話。やはり、一日で様々なことがありすぎて、精神的に疲れたのだ。

 

 ここから、ガタクの冒険が始まる。

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