試作品・短編集   作:ウエストモール

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ギャバンインフィニティとありふれのクロスです。とある多元宇宙出身のギャバンのオリ主が出ます


ありふれぬギャバンは世界を越える part1

 宇宙刑事ギャバン。それは、その宇宙にて一人だけ名乗ることを許される名誉ある称号だ。

 

 銀河連邦警察特別捜査班の悔堂(かいどう)ザイアは多元地球Ω0057の宇宙刑事ギャバン・リベンジにして、次元超越者である。特殊なエモルギーを浴びた彼は次元を超越し、多元宇宙を股に掛けてエモルギア犯罪と戦っていた。

 

 ある日、ザイアはいつも通り捜査のため多元地球間を移動していたのだが、突如として発生した時空の歪みに巻き込まれ、行方不明となってしまう。次の瞬間、彼が見たものは知らない天井だった。

 

「……ここは、何処だ?」

 

 彼は目を覚まし、体を起こす。周囲を見渡してみれば、見知らぬ建物の中であることが分かった。しかし、内装の様式は地球基準なら何百年も前に相当するものだ。

 

「このような建物、まだ地球に残っていたか?」

 

 少なくとも室内に電子機器や家電の類は見当たらない。照明は電気式ではなく、まだ日中らしく火が点いていない蝋燭があり、彼の知る生活様式とは大きく乖離があった。

 

「っ!?」

 

 こうしてしばらく周囲を観察していたが、やがて彼は重い足音が近付いてくることに気づく。警戒していると扉が開き、彼は第一村人と遭遇した。

 

「あら〜ん、ようやく目が覚めたのねぇん❤おねぇさん、心配しちゃったわぁ〜❤」

 

 そこに現れたのは、化け物だった。身長は二メートル程で筋肉モリモリマッチョマン、劇画のように濃ゆい顔面、ピンクのリボンで纏めた三つ編み、おまけに布面積少なめのメイド服を着た変態だ。

 

「で、で……出たぁぁぁぁぁ!?」

 

 様々な犯罪者と対峙してきたザイアでも、それには耐えられなかった。彼は悲鳴を上げ、バタリとひっくり返ってしまった。

 

 

 

「なるほど、トータスという世界か……創作物にあるような世界が実在したとはな……」

 

 ザイアは先程の化け物……いや、服飾店の店長であるクリスタベルに謝罪した後、いまいる場所について色々と尋ねていた。

 

 どうやら、ここはトータスと呼ばれる世界であり、文明レベルは中世のようだが魔法という独自の技術がある一昔前に流行ったような剣と魔法のファンタジーの世界らしい。

 

 設定はかなりシンプルだ。たった一つの大陸に人間族と魔人族、亜人族という三つの種族が存在し、互いに信じる神の違いで争っているのだとか。そして、現在は人間族と魔人族の戦争において前者が危機に瀕しており、異世界からの勇者召喚を行う予定らしい。

 

 そして、ザイアがいる場所はブルックといい、人間族の国家の一つであるハイリヒ王国の領土の辺境に位置している町だ。他にはヘルシャー帝国やアンカジ公国といった国もあるようだ。

 

「あなた、これからどうするのぉん?この世界のお金なんて持っていないでしょ?」

 

 クリスタベルは見た目によらず、普通に良い人だった。異世界の人間であるザイアに色々なことを教えてくれたし、今後のことも心配してくれている。

 

「旅をして帰る手段を探したい。なにか、路銀を稼げる仕事はないだろうか?」

 

 一応、警察官なので副業は不味いが、背に腹は代えられない。最悪、稼ぎは帰る前に何処かに寄付してしまえばいいだろう。

 

「それならぁ、冒険者になるのがいいわぁ❤色々な町に出入りしやすいし、腕っぷしがあれば路銀も稼げるはずよぉ❤」

「冒険者か……何か条件はあるのか?」

「登録料とステータスプレートが必要よぉ❤おねぇさん、元は金ランクの冒険者だったから、口添えくらいはできるわぁ」

「それは助かる。だが、どうして俺を助けてくれる?」

 

 クリスタベルが良い人なのは十分に理解したが、警察官としての性なのか少しは警戒してしまう。すると、彼?彼女?は話してくれた。

 

「私も昔、助けられたことがあったのぉん。だから、私も誰かを助ける。それだけのことよ❤」

「そうか、あんたも助けられたのか。悪かったな、俺はあんたを信じよう」

「よかったわぁん❤」

 

 その後、ザイアは冒険者ギルドという組織に連れて行かれ、冒険者として登録した。その際、彼はステータスプレートというまるでゲームのような便利アイテムを入手し、自らの能力値を知ることになった。

 

 ちなみに、こんな感じだ。

 

悔堂ザイア 25歳 男 レベル:1

天職:戦士

筋力:5500

体力:1510

耐性:1480

敏捷:1110

魔力:650

魔耐:650

技能:剣術・斧術・警棒術・格闘術[+逮捕術]・身体強化・洗脳耐性・物理耐性・先読・言語理解

 

 このスペックはトータスにおいて中々あるような数値ではなく、伝説に出てくるような存在と同格ということで驚かれた。あまりにも目立つので、このことはギルドの一部の人間にしか知らされていない。

 

「さて、旅でもしようか」

「エモ!」

 

 

 

 

 

 あれから何ヶ月が経過しただろうか。未だに帰る手段は見つかっていないが、色々と分かったことや変化があった。

 

 まず、分かったことはザイア自身の能力では元の世界に帰れないということだ。彼はエモルギアと共鳴することで多元宇宙を行き来できるのだが、それはあくまでも地球の存在する並行世界に限るものなのだ。

 

 つまり、これまで移動していた宇宙は同じ座標の上で重なり合う構造になっているが、今いるトータスは横軸で存在している完全なる異世界ということである。

 

 なお、エモルギアとギャバンシステムの運用は可能だった。人前で蒸着する機会はあまりないだろうし、そもそも目立つので使うつもりはなかった。同様の理由でギャバリオントリガーを武器にするのも禁止であり、主に現地調達の武器だけを使っていた。

 

 計画されていたという勇者召喚も行われた。情報を集めてみると、とある地球に存在する高校の一クラスがまるごと召喚されたらしい。これは普通に誘拐事案である。向こうの警察は慌てているだろう。

 

 本来、普通の人間が並行世界に移動すると生命維持すら困難な状態になるのだが、彼らにそのような様子はない。このことが、トータスが完全に異世界であることを確信させてくれた。

 

 変化についてだが、ザイアの冒険者ランクが黒に到達した。最高ランクが金でその次が銀、それに次ぐのが黒、その下に六つのランクがあるので、かなりの高位だ。

 

 黒、銀、金のクラスは他の冒険者から一目置かれる立場であり、通常の依頼とは異なる指名依頼を受けることもあるという。ある日、ザイアは指名依頼を受けることになった。

 

「ようやく着いた……」

 

 依頼を受注するため、やって来たのはヒューレンという大陸一の巨大な商業都市だった。ここにあるギルド支部の支部長からの指名依頼である。内容はこれから知ることになるだろう。

 

 冒険者ギルドフューレン支部に到着し、ほぼ顔パスで応接室に通されるのだが、そこには四人の人間がいた。

 

「やあ、ザイア君。よく来てくれたね」

 

 その一人は金髪オールバックの男性で、フューレン支部の支部長イルワ・チャングだ。すでに何度か会っているので友人みたいなものである。

 

「それで、君にお願いしたい依頼についてだが……行方不明者を捜索してほしい」

 

 イルワによると、とある伯爵家の三男が飛び入りで参加した冒険者パーティが行方不明になっており、北方の山脈地帯で魔物の群れが出現するという異変の調査を行っていたところだという。

 

「分かった。人の命がかかっているというのなら、依頼を受けよう。それで、この三人は見慣れない連中だが……」

 

 ザイアはソファに腰掛けている三人を見る。一人は東洋人のようだが白髪眼帯で痛い中二病ファッションの青年、彼に密着している金髪の小柄の美少女、最後はウサミミの亜人でおそらく奴隷だろう。

 

「あぁ?」

「ん……」

「こ、こんにちは……」

 

 青年はヤンキーのようにガンを飛ばしてくる。金髪少女は無口で、ウサミミの亜人族はまだ話が通じそうな気がした。

 

「彼らと一緒に依頼を受けてほしくてね。ハジメ君、ユエ君、シア君というんだが、実力は保証するよ」

「君はハジメというのか……」

「何か文句でもあんのか?」

 

(ハジメ……間違いなく日本人の名前だ……少なくともこの世界にこんな名前はない。勇者召喚と何か関係が……?)

 

「いや、悪い。珍しい名前だったからな」

「俺は遠くから来た。そりゃ、聞いたこともないはずだ」

「遠く……ね」

 

 ザイアは彼に興味を持った。もしかしたら、元の世界に帰れる手段のヒントを見つけられるかもしれないと。ハジメは彼の調査対象となった。

 

 その後、正式に依頼の受注が完了し、すぐに出発する。あの三人は徒歩でフューレンから少し離れた場所に移動した。馬などは使わないのかと疑問に思いつつも追従するのだが、彼らには驚きの移動手段があった。

 

「これは……それは君達のものか?」

 

 ハジメの持つ指輪が輝いたかと思うと、虚空から光を放ってバイクのような乗り物が姿を現す。というより、完全にバイクだ。

 

「俺達のものだ。あぁ、一つだけ言っておくが、俺はお前と馴れ合うつもりは毛頭ない。俺達は先に行くぞ、付いてこられるなら付いてこい」

「おいおい、俺は乗せてもらえないのか?」

「生憎だが、これは三人乗りだ。じゃあな」

 

 ハジメがバイクに乗り込み、ユエがそれに続いて彼の前に座り、シアは申し訳なさそうな顔をしながら後ろに座る。エンジン音すら響かせず、それは発進して彼方に消えた。

 

「行っちまったな。だが、俺は刑事だ。逃げられると思うなよ。行くぞ」

「エモ!!」

 

『クイール! チャージ!』

 

「……蒸着」

 

『クイール!』

 

『アクティベイト!』

 

 ザイアの体が青い光に包まれ、そのまま空へと飛び出す。彼は常人を越えた速度で何度も空高く跳躍を繰り返し、目的地へと先回りした。




蒸着プロセスをやるまで書いていこうと思います
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