Duel Masters デュエルと願いとドラゴン娘   作:新米ユーリ/神座/DMP

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まず、更新が遅くなってしまってすみません!
リアルが忙しくなるタイミングで体調を崩してしまいました……皆さんはインフルに気を付けましょう。
そしてごめんなさい。リアルの都合で更新頻度が結構ガタガタになりそうです。


では気を取り直して、「青春のひと時」どうぞ!


22話:青春のひと時――緊急! クリーチャーが出た!?

『ねえライト、放課後ちょっと手伝ってよ』

 

 昼放課の終わり際、そう言って翔子がしてきた頼み事は部活の雑用だった。

 なんでも、担当だった先輩が体調不良になり、予定してた活動が一旦止まったらしい。他に割けれる人員もいないらしく、そこで条件に合致して暇そうな俺に頼んだそうだ。

 

 唐突すぎるとは思ったが、特に問題はなかった。実際、予定なんて皆無だったし。

 水晶も今日はしゅうら姉と買い物をしながら帰るらしく、俺が一緒にいるとむしろ邪魔になる。見事に暇ってわけだ。

 そんなこともあって、俺は頼み事を了承して放課後、漫研の部室に来ていた。

 

『僕は自分の手で未来を選ぶ!』

「「「いけーっ人の業!!!」」」

『みんな、あなたを待ってる! 目覚めてェェェ!』

「「「アスカァァァァァァ!!」」」

 

 部室の後方、パーテーションで区切られてるいくつかのスペースから、色んなセリフと視聴者の叫びが聞こえてくる。

 本当に何でもありだな、この部活。

 

(……ヤベェとは聞いてたがよ、色々とすげぇな)

 

 漫研こと、漫画研究部。

 その活動は名前の如く、様々なジャンルの作品を研究して、自分たちでも作品を作ろうというものだ。その制作物は漫画の他にもイラストや小説も作っており、そのジャンルも多種多様。言ってしまえば、超高熱量なサブカル好きの集まりだ。

 

「Oh,Yes! いい感じ! 降りて来たぜおい!」

「うっさい! もうちょい音量下げろ!」

 

 かなり広い部室の中には傾斜台付きの机がいくつも置いてあって、そこで何人も紙に向かって何かを描いてる。イラストなのか漫画なのかはよく分からん。

 他にも液タブで何かを描いてる人もいれば、モニターで何かを集団で見てる人やノートパソコンと向き合っては何かを打ち込んでる人もいる。

 もはや、部活というよりも同人サークルって表現する方が適切なんじゃねぇだろうか。

 

「で、なんで俺はコスプレなんかされてるんだよ!」

 

 そんな部員がひしめき合う部室の後方、パーテーションエリアから少し離れた場所で、俺はコスプレ衣装を着せられていた。

 しかも、その状態でポーズもして完全制止状態。周りを色々な撮影機材やカメラを構えた人、縫道具を片手に持った先輩方が囲んでる。

 何が悲しくてナチ風軍服のコスプレなんぞして、こんなことにならなきゃならんのだ。

 漫研の活動ってコスプレの撮影もすんの?

 

「まあまあ、そんなカリカリしないで。似合ってるよ、ライト。水晶ちゃんに見せたらクラっとさせれるぐらいにさ」

「お世辞どうも、ってか水晶とはそういうのじゃねぇつってんだろうが」

「うーん、やっぱりメラビートに寄せた方がさっきよりは良さそうかな。3ターン目にリソースを稼いで、チェンジからドラ息子に繋ぐのがいいかも」

 

 当の元凶たる翔子は、部室後方の一角にある置き畳の上で、ちゃぶ台にカードを広げてデッキをいじっていた。

 どうもデッキ本体以外にも改造用のパーツを持ってきてたらしく、昼放課の負けで分かった問題点を修正してるみたいだ。

 

「こ、この野郎……!」

 

 元凶を睨みつけて恨めしい声をあげてると、反対側から申し訳なさそうな声が聞こえてきた。

 

「うっ……翔野君、ごめんね」

「えっ、あっ、いや……」

 

 声に込められた申し訳なさに、思わず言い淀んだ。

 顔を声の方へ向ければ、童顔に丸眼鏡をかけた低身長の女性が、見事な一眼レフを構えながら大層申し訳なさそうな顔をしていた。下手すると泣き出す一歩手前なんじゃないだろうか。

 構えてる代物と表情のギャップも凄すぎる。

 

「ち、違うんっすよ、古本先輩。先輩は悪くないんで」

 

 古本先輩。漫研の副部長を務めてる三年の先輩で、今の俺をカメラで撮りまくってるその人。

 ともかくギャップが凄すぎる人だ。表情としてることもそうだが、体型も色々と凄い。

 童顔低身長なのに、色々と立派だ。それでいて引っ込むところは引っ込んでるんだから、その体つきは凶器と言っていい。

 

「でも、急なお願いで迷惑かけてるし」

「それは……仕方ないっすよ。担当するはずだった二年の先輩がこれなくなったのは、どうしようもないですよ」

 

 そもそも、先輩には悪いが申し訳ないと思うのも筋違いだと思う。

 今やってる撮影はカメラ班の練習と衣装班がやった裾関係の確認が目的だって始まるときに聞いた。素人からすればどんなスケジュールで動いてるのか分からんが、あんまりぐだつかせたくないって思うのは自然で、代役を立てるのはおかしいことじゃない。

 休んだ先輩は俺と体型が近いらしく、そういう奴に話が来るのも納得できる。

 つまり、今の状況で悪いのは関わってる中で一人だけ。俺も古本先輩も被害者だ。

 

「悪いのはそこで一人くつろいでる翔子なんで。先輩は気にしないでください」

「えぇー、酷いなぁ」

「うっせ! 元はお前が内容を誤魔化したせいだろうが!」

 

 部室に向かう道中で何をするのか聞いた時、『うーん、ちょっとした雑用みたいなものだよ』って言ったこと、忘れてねぇぞ。詐欺みたいな手口で連れてくんなよ。

 その後、部室に入ったら無数の手に捕まって、強制的に着替えさせられたし。

 

「翔野君……ごめんね、次は別のポーズをお願い」

「あっはい、了解っす」

 

 それから古本先輩に言われるがまま、俺は色んなポーズをしては大量の写真を取られていった。途中、衣装の裾をいじることになっては急に脱がされたりすることもあって、今日の経験は忘れる事なんてないと思う。

 

「よし、これで終わり。翔野君、楽にしていいよ」

 

 その後、撮影は何のトラブルも起きずに終わった。

 着替え終わって翔子のいる置き畳でくつろいでいると、古本先輩は何枚かの写真を持ってやってきた。

 

「翔野君、本当にありがとね。衣装はひとまず大丈夫。写真についても大丈夫そうだよ」

「ああ、いや、代役としてちゃんとやれたならいいんですけど」

 

 ぶっちゃけ、今回みたいなキメキメな写真撮影なんて初めてだから、ちゃんとやれてたのか自信はない。

 気まずく頭をかいてると、古本先輩は持っていた写真を渡しながら笑顔で言う。

 

「そんな不安がることないよ。むしろしっかりやれてたのにビックリ! よかったらまたやってほしいなぁって思ったもん」

「そ、そうっすか」

 

 渡された写真を見れば、そこには軍服を着た自分がポーズを決めた姿がしっかりと綺麗に映っていた。自画自賛みたいな気もするが、結構決まってると思う。

 ただ、少し不安なこともあった。

 

(取りあえず、しゅうら姉や水晶に見つからない場所で保管だな)

 

 貰い物な以上、捨てるのは良心が痛むからできない。でも、この写真は他の面々には見せられない代物だ。水晶やロムはともかく、リンやしゅうら姉に見つかったら絶対に揶揄われる。

 下手したら水晶に見つかって、しゅうら姉に伝わる可能性がある以上、誰にも見つからないようにするのは絶対だ。

 

「そんな鞄の奥深くに入れなくてもいいのに」

「うっせ、どうしようが俺の勝手だろ」

 

 貰った写真を鞄の奥底へ突っ込んでると、翔子がニヤニヤと笑う。こいつ、小突いてやろうか。

 

「ねえライト、一戦やろうよ。ひとまず改造が纏まったからさ」

「……本当にお前って物怖じとは無縁だよな」

 

 少し睨んでみても、翔子の奴はどこ吹く風と言わんばかりにデッキを構えてた。本当にこいつは自由だな。文句を言っても無駄か。

 

「いいぜ。どんなデッキに仕上げてきても、押しつぶしてやるよ」

「そうこなくちゃね」

 

 鞄からデッキを取り出すと、互いにやる気の満ちた視線がぶつかり合う。

 ちゃぶ台の上にプレイマットが敷いた後、準備が整うのに時間はかからなかった。

 

「それじゃあ、やろうか」

「ああ、いくぞ」

 

 手札を握り、向き合う俺達の間にはこれからの戦いへの高揚感しかない。

 

「「デュエマ! スタ──」」

 

 どちらから言うでもなく、火蓋は切られた。

 

 

「Wait! まだ話は終わってませんわ!」

「逃げるなでし!」

 

 

 ──筈だった。

 

「……今の声って」

「ん? どうした?」

 

 突然聞こえてきた叫びと同時に、何かが漫研の部室前をドタドタと音を立ててに通り過ぎていく。それを聞くや否や翔子がピタリと動きを止めた。

 その表情は何か気がかりらしく、俺のやる気にもブレーキがかかった。

 翔子は少し悩みながら呟く。

 

「んーいや、さっきの声──」

 

 

 

『緊急事態発生! 緊急事態発生! 校内にて不審な生き物が複数体暴れ回っておる! 部活動で残っている生徒達は直ちに避難せよ! 直ちに避難せよ!』

 

 

 

 そんな時、突然の放送が翔子の声を遮った。

 

「「はいっ?」」

 

 響き渡った放送は、俺達は硬直させた。

 その内容にも驚いていたが、声の主とその焦り様が予想外であり、俺達の理解を遅らせていた。

 

「これって」

「ああ、校長の声だな」

 

 桜龍高校の学生・職員ならば絶対に分かる声の主。しかも、その主が慌ててる状況など、思い当たることは一つしか思いつかない。

 

「……クリーチャー絡みだよな?」

「十中八九ね。それも実体を持ってるタイプのだ」

「だがよ、今まで放送なんてなかったぞ」

 

 今までになかったことで首を傾げてると、翔子が悩みながら指を二本立てた。

 

「考えられるパターンは二つ。一つは目撃者が多い所に出てきたパターン、無理矢理にもでも人を散らせようとしてるって可能性。もう一つは今までのより凶暴なのが出てきたパターン、被害が出る前に人を散らせようとしてるのかも」

「……後者だと不味いな」

 

 何も情報がないから妄想の域を出ないが、予想を聞いただけで血の気が引いてくる。

 今まで生徒会と一緒に退治してきたクリーチャーは比較的安全な奴が多かった。少なくとも、カードで憑りついてくる奴よりも対処は簡単だったし、デカさ的な意味で面倒だったのは何時ぞやの《デスマッチ・ビートル》ぐらいだ。

 

「ちょ、部長! どうします!?」

「おい! データのバックアップ取れ!」

「ちょっと! 危ないでしょ!」

「落ち着けお前ら!」

 

 俺達が緊迫して話してる一方で、漫研の部室は混乱に晒されていた。

 当然ではある。いきなり非常事態になって混乱しない奴なんていない。それも学校でなんて、リアルじゃ早々ないんだから、衝撃だって倍増だ。

 

「ライト、今のうちに出よう。そうしないと、出れなくなっちゃうよ」

「だな、会長たちと合流しねぇと」

 

 デッキをケースに突っ込み、いざという時の準備を終わらせると、俺と翔子はバレないように部室を出た。

 誰かに見つからないよう物陰に移動すると、翔子がスマホで連絡を取る。

 連絡はすぐに繋がった。

 

「やっほ、アーシュちゃん。今いいかな?」

『翔子ちゃん!! 助けてください!』

 

 開口一番、飛び出したのは明らかに切羽詰まってる会長の叫び(SOS)だった。

 

 

 

※ ※ ※

 

 

 

『緊急事態発生! 緊急事態発生! 校内にて不審な生き物が複数体暴れ回っておる! 部活動で残っている生徒達は直ちに避難せよ! 直ちに避難せよ!』

 

 僕──御崎賢哉がその放送が聞こえてきたのは、放課後の校舎屋上で尾瀬先輩から話を聞き終えたところでのことだった。

 

「な、なんだ?」

「ん? 高校生活の中でこんな放送聞いたの始めてたぞ」

 

 取り乱す僕に対して、尾瀬先輩は少し驚いただけで冷静さを保っていた。

 この人、立場は僕とさほど変わらないはずなのに、なんで落ち着いてるんだろう。これが年長者の落ち着きってものなのだろうか。

 

「犬とか迷い込んできたことはあったが、そん時はちゃんと何が来てたか言ってたもんな──まさか、いや……ん?」

 

 尾瀬先輩は顎に手をやりながら、呟いて考えをまとめていた。

 その口ぶりから過去にも似たようなことがあったらしいが、僕の中にはさっきまで聞いていた話のこともあって、嫌な予想が浮かんでいた。

 

(まさか、クリーチャーが出てきたんじゃ)

 

 不審な生物なんて言われたら、クリーチャーが正体なんじゃないかという気がして仕方ない。

 しかも、先輩から知ってる話を全部聞いたせいで、色々な心配事が湧いてきては消えない。

 

(ライト、神上さん……)

 

 友達がクリーチャーと戦ってることを知った。

 現実の痛みを伴うデュエマでクリーチャーに憑りつかれた人と戦い、勝つことで人を助けていることを知った。尾瀬先輩も神上さんに助けられたらしい。

 その話のお陰で、僕の中にあった疑問にも答えを得られた。

 自分もそのデュエマで助けられてる。ここ最近見ていた夢は、正気を失っていた間の記憶だったんだ。

 

(どうすればいいんだ?)

 

 不安で心がかき乱されていた。もしかしたら、友達が危険な目にあってるかもしれない。自分を助けてくれた友達が、だ。

 なのに、何をすればいいのか分からない。今まで身に着けてきた武道は、この状況でなんの役に立ってくれなかった。

 

「……よし、見に行ってみるか」

「えっ?」

 

 突然の提案に僕の口から呆けた声が漏れた。

 先輩の方を見ると、彼は真剣な表情を浮かべていた。

 

「クリーチャーが出てきたかもしれねぇ。犬とか普通の動物が紛れ込んだなら、それでいい。だが、クリーチャーなら話は別だ。あんなのが出てきたら、知らねぇ奴はビビって腰抜かす。下手するとうまく逃げれてねぇ奴がいるかもしれねぇ。様子は見に行った方がいいだろ」

「それは、そうですね」

 

 確かに何も知らない人がクリーチャーの姿を見たら、かなり驚くだろう。もしも遭遇してる人がいれば、先輩が言ってるような状況はありえる。

 避難誘導ぐらいはできるかもしれない。

 

「ならさっさと行くぞ」

「あっはい!」

 

 そうして僕は先輩に促されるまま、校舎屋上を後にした。

 

 

 

※ ※ ※

 

 

 

 会長からのSOSを聞いた後、俺と翔子は武道場へ向かっていた。

 何が起きたのかはよく分かってない。通話越しの会長はあまりにも切羽詰まっていて、説明すらおぼつかない状態になっていた。ただ分かったのは、会長たちが武道場にいることと、クリーチャーが出たことだけだ。

 

「会長! 無事か!?」

 

 武道場へ駆け込むと、そこで会長は地封院の肩を借りていた。

 どうも只事じゃないみたいだ。

 

「アーシュちゃん! 大丈夫!?」

「翔子ちゃん、それに翔野さんも」

「本当に何があったんだよ……」

 

 会長へ駆け寄ると、彼女は顔を青くしていた。

 本当にいっぱいいっぱいって感じだな、本当に何があったってんだ。

 

 

「そろったようじゃな」

 

 

 そんな時、後ろから声をかけられた。

 

「あ? 誰だよ、こっちは──は?」

 

 振り向いて声の主を確認すると、俺は驚きで声を詰まらせた。

 クリーチャーが出てきた場所に生徒会以外の奴がいることにもビビってるが、原因はそれだけじゃない。

 そこには生徒会に向き合う形で、五人の女子がいた。

 

 中央には赤のメッシュが入った黒髪に胴着を着た空手家。

 左側にいるのは褐色肌にスク水を着てる場違いすぎる女子と、ヘッドフォンを首にかけて携帯ゲーム機を持った無表情な女子。

 右側にはラケットを片手にスポーツウェアを着た赤い髪の女子と、ツーサイドアップにした灰色の髪に絵画用エプロンを着た女子がいる。

 

「えっ、なんで……」

 

 その面々に翔子も驚いて固まっていた。

 だが、当然な反応だ。俺は一度しか会ってないが、赤い髪の女子と灰色髪の女子は別のクラスにいる翔子の友達なんだから。

 そして、その驚きは俺が感じてるものと同じだ。

 

「なんでお前がここいるんだよ……伍代!」

 

 思わず声が荒くなった。

 対する五人組の中央で腕を組む赤メッシュの空手女子──同じクラスの一員である伍代ドーラは不可解そうに眉をひそめる。

 

「なんじゃ? 貴様、儂を知っておるのか?」

「なっ……おまっ」

 

 こいつ、マジか。名前を憶えてねぇのはともかく、クラスメイトの顔ぐらい憶えろよ。

 確かにこいつはクラスでも周りと距離はあったが、これは流石にあんまりだぞ。

 

「まぁよい。その二人が来るまで待ってやったのだ。もう始めるぞ」

 

 そんな俺の驚きを無視して、伍代は不敵に笑う。

 

「ルールは先に言った通りじゃ。校内で暴れ回っとる不審な生物を多く捕らえたチームが勝者となり、予算の決定権を持つ」

「へ? しょ、勝負……?」

 

 脈絡もない言葉に戸惑った。

 ちょっと待ってくれ、勝負ってなに? 予算の決定権ってなんのこと? 俺達が来る前に話が進んでるの? というか、不審な生物ってクリーチャーのことだよな?

 

(まさか……いや、そんなわけ)

 

 色々と今分かってることを簡単に整理してみると、考えたくない可能性が頭をよぎった。

 そんな時。

 

『ヘドゥルルルル』

 

 俺の眼前に黒板消しから黒い身体が生えてる異形が出てきた。

 

「なっ!」

 

 突然現れたクリーチャーに、俺はすぐに距離を取った。

 現れたそいつは頭が黒板消しで、ヘドロのような黒い身体を持った小さい異形だ。

 

「《消男》……こいつが今回の原因か」

 

 俺はすぐさま警戒体勢を取った。どんだけ小さくてもクリーチャーはクリーチャー。普通の人間からすれば何があるのか分からない。

 だが、どうすりゃいいんだ。こんな堂々で出てこられたら、クロスファイアを出せない。生徒会だってドラゴンの力を使えない。こっちは動けないぞ。

 

「ほう、ちょうどよい」

 

 そう思った刹那、《消男》の身体が突然ぶれて姿を消した。

 

「まずは一匹、これで同点じゃな」

「はぁっ!?」

「えっ、嘘!?」

 

 次の瞬間、消えた《消男》は伍代の手に捕まれていた。

 その光景に俺も翔子も驚愕を隠せなかった。

 なんで伍代の奴、平然とクリーチャーを捕まえてるんだよ!?

 

「おい、まさか……冗談だろ?」

 

 血の気が引く感覚が襲ってくる。それと同時に最悪な予想がまたよぎった。

 不審な生き物、捕まえる、勝負……そして目の前の伍代、もうここまできたら厄満じゃねえか。

 

「なあ、生徒会。これってまさか」

 

 "ぐぎぎ"と音が出る位ぎこちなく後ろを振り返る。

 頼むから会長たち、嘘だと言ってくれ。

 

「……すいません、翔子ちゃん、翔野さん」

 

 そこでは会長が申し訳なさそうな顔をしていた。

 

「……マジ?」

 

 嘘だろ? 勝負ってクリーチャー取っ捕まえんの!?

 

「では行くぞ! アオハル組!」

 

 そんな混乱してる俺達をよそに、伍代たち五人組が武道場を飛び出していった。

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