Duel Masters デュエルと願いとドラゴン娘   作:新米ユーリ/神座/DMP

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今更ではありますが、現在この作品は2025年前半のカードプールでお送りしております。

※ ※ ※

生徒会とアオハル組の勝負に巻き込まれてしまったライトと翔子。
それぞれ関わりのある者たちと出会う中、事態は思わぬ方向へ向かっていく。
そこへ突如現れたのは不思議な格好をした二人の友人――リンとロム。
事態はより混沌を極めていく。


25話:超獣ハント――未知なる決闘者たち

 張り詰めた空気の中、ボクらは廊下で立ち尽くしていた。

 

「水上? 間桐?」

 

 ライトが愕然として固まり、小さく呟く。顔は強張り、瞠目していた。まるで目の前の光景に本能がエラーを出しているように。ボク──神上翔子も同じ気持ちだ。

 

(あのシールドみたいなのは何だ? なんで、リンとロムがここにいるんだ?)

 

 目の前にあるのはクリーチャーの群れと、襲われそうになった尾瀬先輩と賢哉君。それを拒むように現れたデュエマのシールドらしき光の板。

 そして、明らかに何か知っている様子で現れた友達2人。何がなんだか分からない。

 

「「「うそ……」」」

 

 そんなボクの耳に3人の声が届いた。すずちゃんとアオハル組の2人だ。

 

『リン?』

「なんでリンちゃんがおると?」

「ロム? なんでここに……」

「すずちゃん? どうしたの?」

 

 見れば、前にいる女子4人の反応は2つに割れていた。

 アオハル組の2人とすずちゃんは唖然とする一方、ゼオスちゃんは訳が分からないのか困惑していた。どうもアオハル組の2人はリンと、すずちゃんはロムと顔見知りらしい。

 

(もしかして、ロムが言ってた中学の友達ってすずちゃん? というか、関係者揃いまくりってどういう状況だよ……)

 

 まさか、あの2人の関係者がボクら以外に3人も同じ場にいるなんて。どんな偶然なんだ。

 

「──Eradicate the Creature(クリーチャーを討て)。ミッションを遂行する」

 

 そんな中、ロムが冷たい視線と共にスマホを掲げた。それにリンも続く。すると突然2つの画面が強い光を放った。

 

「ぐっ、な、なんだ?」

 

 咄嗟に顔を両腕で覆い隠すが、光は僅かな隙間からこっちの領域へ踏み込んでくる。

 直射を避けても辺りすら確認できない光。辺りは白に塗りつぶされている。

 そこから数瞬して光は収まった。

 

「…………なんだ、これ」

 

 腕を下ろすと、そこには奇妙な光景が広がっていた。

 廊下の風景であるのは変わらない。だが、視界全体がまるでフィルターをかけられたように薄黄色に染まっている。そして、リンとロムの周りが特にに変わっていた。

 

「よし、準備完了! かかってきなよ、クリーチャー!」

「先に言うことがあるだろ……ったく」

 

 二人の腕は装甲らしきものを纏い、その前方にはそれぞれ5枚の光の板が、手元にはデュエルスペースらしき光の盤が展開されて、デッキも置かれてる。なんか見覚えがあるな。

 

「これって、デュエルエリア?」

「……なんか俺達のとは違いそうだぞ。見てみろ」

「えっ? あっ、ほんとだ」

 

 いつの間にか再起動していたライトに促されて周りをちゃんと見てみると、違いがあった。

 シールドがあるのはリンとロムの前だけ、クリーチャーの方には何もない。

 ボクらが知ってるデュエルエリアとは違うみたいだ。

 

「《消男》が6体、あとは《暴立の小熊猫(アラシスタンド・レッサー)》と《味息子サン・グリル》か。すぐに終わる。お前ら、終わるまでそこにいろ」

「そうそう、ちゃちゃっと終わらせちゃうから待てて」

 

 二人は手札を引くとクリーチャーへ視線を向けた。どうやら開戦みたいだ。

 

『ヘドゥルルルル』

『グルルルゥ』

『フガ―!』

 

 クリーチャー達が唸り声をあげると、8体が2つの群れへと別れていく。

 黒板消しの群れは半分に別れ、それぞれが《暴立の小熊猫》と《サン・グリル》へ群がり纏まっていく。できた2つの群れは《暴立の小熊猫》がリンを、《サン・グリル》がロムを睨みつけた。

 

「アタシのターン。《デッドダムド》をチャージしてターンエンド」

「俺のターン。《無敵魔誕カースペイン》をチャージ、エンドだ」

 

 2人はそれぞれマナをチャージしてターンを終える。どうも2つのデュエルが同時に進行してるみたいだ。

 すると、《暴立の小熊猫》と《サン・グリル》は即座に各々の敵へ飛び掛かった。

 

「えっ、いきなり殴って来た!? 召喚酔いは!?」

「一体何がどうなってんだ……?」

 

 ライトと一緒に驚いてると、短剣と爪がシールドを砕いていった。

 散っていくのはリンが1枚、ロムは2枚。

 起きた差はおそらく《サン・グリル》が能力を使ったからだ。名前を聞いて思い出したけど、あのクリーチャーはツインパクトで、攻撃時に自分の下面を使える。その効果には対象にしたクリーチャーのシールドブレイク枚数を増加させれる。それを自身に使ったんだ。

 

「ありゃ、向こうは最初からやる気全開っぽいね」

「……初っ端から面倒だ」

 

 シールドの破片が飛び散る中、2人は平然とした態度を崩さなかった。それに応えるように破片が光を放ちながら2人の手へ集まっていく。

 

「「ゲット、S(シールド)・トリガー」」

 

 その宣言と共に2人はカードを掲げた。

 

「来い《地獄の冥将ゼツゴ》。そして呪文、《フェアリーライフ》だ」

「こっちも《フェアリー・ライフ》!」

 

 現れたのはチャリオットを引いた2頭のスケルトンホース。そして、2人のデッキからカードが動き出した。

 

「《フェアリーライフ》の効果でアタシのマナは1枚加速!」

「1マナ加速。《ゼツゴ》の登場時効果でデッキから上2枚を墓地へ、そして墓地から《ベル・ヘル・デ・ジャクソン》を手札に加える」

 

 リンはマナが、ロムはマナと墓地と手札が潤っていく。

 シールドはリンが4枚、ロムが3枚。

 

『フィイイイイィィィィィン!!』

 

《ゼツゴ》が嘶きをあげると、残った《消男》の群れはおずおずと下がっていった。

 ターンが2人へ回っていく。

「アタシのターン! 《終末の時計(ラグナロク) ザ・クロック》をチャージして、2マナで《アイオン・ユピテル》を召喚!」

 

 リンがクリーチャーを召喚すると、彼女の前に自然文明の紋章と共に黄緑色のバイク乗りがエンジンを吹かしながら現れた。

 それに続くようにロムもカードを掲げる。

 

「俺のターン、《シンバーロ》をチャージ。そして《ゼツゴ》を《魔誕の凶獣ベル・ヘル・デ・ジャクソン》に進化」

 

 ロムの宣言と共に《ゼツゴ》が炎に包まれる。その炎を破って現れたのは、死神の大鎌を携えた蜘蛛の如き多脚の魔人。その姿は巨大だ。リンが出した《ユピテル》は人間サイズから一回り大きいぐらいだけど、こいつは違う。立幅も横幅もデカい。廊下に現れたこともあって、ただでさえ不気味なのに圧迫感が凄いことになってる。

 

「こいつは召喚時、相手フィールドのクリーチャーを参照し、その数だけコストの減少させる。俺が担当してるのは4体、よってこいつは3マナで出てくる」

『ヴォオオオオオオオオ!』

「《ベル・ヘル・デ・ジャクソン》で攻撃。《サン・グリル》をやれ」

 

 雄叫びを上げる魔人にロムが命令を下すと、大鎌が振り上げられる。それと同時に盤上のカードも動き始め、《ベル・ヘル・デ・ジャクソン》の下敷きとなっていた《ゼツゴ》が墓地へ落ちた。

 

「この瞬間、《ベル・ヘル・デ・ジャクソン》のメテオバーン発動。攻撃時、こいつの進化元となったカード1枚を墓地に送ることで、相手のパワー5000以下のクリーチャー全てを破壊する」

 

 魔人の大鎌が炎を纏いながら振り下ろされ、横一閃。

 その一撃が3体の《消男》と《サン・グリル》を焼き払った。

 

「終わったぞ。そっちも早く終わらせろ」

「はいはい、分かってるって」

 

 ロムの気だるげな物言いにリンは呆れた様子で言う。

 だが、その顔にはすぐに笑顔が戻ってきた。

 

「《アイオン・ユピテル》で《暴立の小熊猫》に攻撃!」

 

 リンの指示に従って《ユピテル》が走り出す。すると、その頭に翼を広げた鳥を象った紋章――侵略者のエンブレムが浮かび上がった。

 

「――するときに、侵略発動!」

 

 リンの手札から2枚のカードが、マナゾーンからは1枚が飛び出して盤上の《ユピテル》へ重なっていく。それに合わせてフィールドの《ユピテル》も姿を変えていく。

 

「S級侵略、進行開始!《SSS(トリプルエス)天災(ディザスター) デッドダムド》!」

 

 水・闇・自然(アナカラー)の紋章と共に現れたのは、メカニカルな装甲を纏い鬣のなびかせる侵略者だった。

 侵略。それは指定された文明や種族を持つクリーチャーが攻撃するとき、手札から攻撃中のクリーチャーの上に重ねて進化することができる能力。小さいコストのクリーチャーが一気に化ける強襲性能が高い能力でもある。

 そんな中でもS級と付く上位能力は手札以外のゾーンにあるカードも出てくる。《デッドダムド》は更に格別だ。あれが持ってる【SSS級侵略[天災]】は手札以外にも墓地とマナからも出てくるんだから。

 

「《デッドダムド》の効果発動! このクリーチャーを他のクリーチャーの上に重ねた時、相手のクリーチャー1体を選び、墓地かマナか手札に送る。それを3回!」

 

 リンの宣言と同時に《デッドダムド》が進行方向を《消男》へ変えた。

 

「《消男》3体は墓地送り!」

 

 侵略者の拳はすれ違いざまに叩き込まれ、敵対者を霧散させた。

 そして、《デッドダムド》は勢いを殺さずに最後の敵へ迫る。

 

「これで最後、《デッドダムド》で《暴立の小熊猫》とバトル!」

『フシャアアアア!?』

 

 物理的に重たそうな拳の一発は、神速と共に放たれた。《デッドダムド》と《暴立の小熊猫》はすれ違い、一瞬の沈黙が起きる。

 次の瞬間、敵たるレッサーパンダは倒れ霧散していった。

 これで、もう敵はいない。

 

「ゲームエンド! Winner is me!」

「目標鎮圧。Mission Complete」

 

 敵の消滅を尻目に、2人の勝利宣言は掲げられた。

 リンは明るく楽しそうに、ロムは冷たく静かに。

 

 

 

 

 

 2人のデュエルが終わると視界に掛かっていた薄黄色のフィルターは消え去り、廊下には元の色合いが戻ってきた。だが、場の空気はデュエル前と変わらず静寂の中だ。

 

「……何がどういうことなのか、説明してくれるんだよな。間桐、水上」

 

 ボクの隣でライトがゆっくりと口を開く。

 横目で顔を見てみると、鋭い目をリンとロムに向けていて警戒がありありと出てる。ボクも警戒はしてるけど、警戒の度合いは多分ライトの方が上だ。

 

「睨むな。鬱陶しい」

「うーん、まあ話してもいいんだけどねぇ。でも、先にやらなきゃいけないことがあるんだよね」

 

 ゴリゴリに警戒されてるっていうのに、リンとロムに気にするような素振りはない。

 それどころか、デッキを腰につけたケースに突っ込むとスマホを弄り始めた。いや弄らないでよ、今って割とシリアスな状況なんだけど。

 

「だから、詳しいことはまた後でね」

 

 リンはスマホを弄る手を止めると、スマホの画面をこっちに向けてきた。すると、また強烈な光が目に飛び込んできた。

 

「ぐっ、また……!?」

 

 二度打ちが予想外すぎて光を遮るのが遅れた。そのせいで今度は目を閉じてた後でも結構チカチカする。

 

「うっ、どういう仕組みで光ってるんだよ。スマホの画面で出せる照度じゃないでしょ……って」

 

 目を開けるとそこにリンとロムの姿はなかった。

 

「うそでしょ……」

「ったく、何がどうなってんだよ……」

 

 その状況にボクもライトも言葉を失うしかなかった。

 いや、本当にどうやっていなくなったんだよ。足音とか聞こえなかったんだけど。

 ボクらのデュエルとは違うクリーチャーとの戦いといい、分からないことだらけだ。




4月初投稿だよ、地道に頑張ってくので応援よろしくお願いします。
今回出てきた特殊なデュエルについてや今までのデュエルとの関係性については明かす予定ですので、どうかお待ちください。

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