Duel Masters デュエルと願いとドラゴン娘   作:新米ユーリ/神座/DMP

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どうも、皆さん。お待たせしました。
ギリギリ5月中に出せてよかった。


26話:超獣ハント――ドラゴン娘と決闘者

 リンとロムが姿を眩ませた後、俺たち6人は事の発端となった武道場へ戻ることにした。

 

(殆どが混乱してるよなぁ)

 

 戻ることが一致したのは別に示し合わせたってわけじゃない。恐らく生徒会もアオハル組も混乱し過ぎて勝負どころじゃなくなったんだろう、俺──翔野来人や翔子と同じように。

 賢哉と尾瀬先輩の方はその様子を見てなのか「色々と話したいことはあるだろうが、後で話そう」と言って解散していった。

 

(色々と起き過ぎだろ。アオハル組との勝負だけでも手一杯だったってのに、賢哉にクリーチャーのこと知られるわ、水上と間桐が訳知り顔で出てくるわ。お腹いっぱいだっての……!)

 

 思い返すだけでも頭が痛くなってくる。特にリンとロムのことは全部分からん。妙な格好のことも俺達とは違うデュエルについてもだ。

 

「あれ? もうみんな揃ってるの?」

 

 上の空のまま武道場に入ると、隣にいた翔子が不思議そうに呟いた。

 

「ん? ありゃ、ホントだ。勢揃いじゃねぇかよ」

 

 その声につられて見てみると、武道場のど真ん中に生徒会とアオハル組の面子が揃っていた。しかも両勢力ともに疲れてる。俺達がイレギュラーと対面してた時も頑張ってたんだな。

 

「よう会長、お疲れ」

「やっほ、アーシュちゃん」

「……翔子ちゃん、それに翔野さんも。お疲れ様、です」

 

 俺たちが声をかけると会長は息切れしながらも挨拶を返してくれた。疲れてるってのに本当に好い娘だな、この娘。

 

「それで、状況はどんな感じなんだ?」

「はい、それが──」

「10対10、互角じゃ」

 

 会長の声を遮ったのは、疲れを滲ませた声だった。声の主へ振り返ると、会長と向き合う形で伍代も肩で息をしていた。流石に空手部の最強新入生でも断続的な追いかけっこは堪えるらしい。

 

「マジか、これで決着ついてないのかよ……」

「まあ、途中で獲物の数が減ったしねぇ」

「……あれがここで響いてくるのか」

 

 思わずぼやいた呟きに翔子は苦笑すると、俺は片手で顔を覆いながら天を仰いだ。今の状況とその原因に心当たりがあるし、まさかそれが直接関係してくるとか思わないだろ。

 

『ヘドゥルルル……』

 

 そんな時、声が聞こえた。

 

「どこだ!? って居た!」

 

 声の出所へ顔を向けると、会長の足元にすっかり見慣れた黒板消しが居た。

 

「えっ、ちょ、えいっ!」

 

 すかさず会長が慌てながらも《消男》の身体を両手で掴み取る。これで11対10、両陣営メンバーも揃っていて、急に得点が入ってきて土壇場の逆転ってことも起きないだろう。この勝負は生徒会の勝ちだ。

 

「油断したな、最後に奪ったもんが勝ちじゃ。覚悟……!」

 

 だが事はそう上手く運ばず、動いた影があった。伍代だ。

 奴は会長めがけて飛び掛かり拳を振るってきた。あの野郎、それアリかよ……!

 

「アーシュちゃん!!」

「ひぃいいい!?」

 

 翔子が声を荒げ、俺達が驚いたのも束の間。伍代の一撃を会長は反射的に受け止めた。ドラゴン化させた腕で。

 

「はっ! つい反射で……!」

「あ、アーシュちゃんの腕が……」

「流石にマズい……!」

 

 思わず身の毛がよだった。水色の鱗に包まれた会長の腕は突き出された伍代の拳をしっかりと受け止めてる。それを見た伍代はというと、驚いているのか顔が強張り瞠目してる。この状態じゃドラゴン化を誤魔化すのは絶対に無理だ。

 

「ほう?」

 

 そう思った矢先、伍代が笑った。

 

「儂の拳を受け止めるとは……やっと本気を出せる奴と出会えたようだなぁあ!」

 

 すると伍代の笑みに獰猛さが増していった。彼女は掴まれた腕へさらに力を込めると、体の周りに火花が舞い始める。火花は伍代の頭部へ集まると、形を成していく。その形は龍の角だった。

 

「な……ッ」

「つ、ツノ!?」

「もしかして新しいドラゴン娘!?」

 

 驚く俺達をよそに、伍代は次の行動に移っていた。掴まれた腕を振りほどいてからの素早い踵落とし。対人のリアルファイトに慣れてない俺達じゃ直ぐに対処はできない。

 

「アーシュちゃん!」

 

 そんな俺たちの間にゼオスが割り込んだ。彼女の組んだ腕に踵落としは阻まれ、あろうことか即座に伍代の足を掴んだ。

 

「何ッ!?」

「オラァッ!」

 

 ゼオスの豪腕が伍代の体を片手で投げ飛ばす。激しい音を立てながら伍代の体は武道場の壁に激突した。かなり凄ェ絵面だが、人体って片手の腕力で投げれるもんだったか?

 

「くはは……! 貴様、何者じゃ」

「サーヴァ・K・ゼオス、リュウガクセイよ?」

 

 かなりヤバい音がしたってのに伍代は不敵に笑った。対するゼオスも楽しいのかに不敵に笑う。

 

(なんつう笑い方すんだよ、この2人……!)

 

 怖えぇよ、肉食獣がするやつだよ。JKがする笑顔じゃねぇだろ。ってそんなこと思ってる場合じゃねぇ!

 

「クロスファイア!」

「ジョニー!」

 

 俺と翔子が腰のデッキに手を掛けたのは同時だった。互いに相棒のカードを掲げると、無法竜とガンマンが本来のサイズで現れた。

 

《ゼオスの嬢ちゃん、そいつから離れな》

《後はオレたちが押さえるぜ》

 

 2体はゼオスを庇うように前へ立ち、彼女を下がらせた。同時にジョニーはリボルバーを、クロスファイアはブレードが伍代に突きつける。

 

《なあ、空手家の嬢ちゃん。その力はなんだ?》

《クリーチャーが化けてるわけじゃねぇだろ。テメェ、なにもんだよ……!》

 

 ジョニーとクロスファイアが鋭い目で伍代を睨む。まさに警戒心MAX、普通だったらクリーチャーが人間に向けるそれじゃない。でも、今の伍代は例外だ。

 なんで生徒会以外の奴がドラゴンの力を持ってるんだよ。

 

「もしかして、クリーチャーに取り憑かれてる?」

 

 翔子がおどけて言う。だがハッタリだ。口元は笑っていても、冷や汗がしっかり浮かんでるし警戒で表情もガチガチに固い。

 

「……あの校長がやらかしたって線も否定できねえな」

 

 場の空気は完全に張り詰めていた。

 

「──Wait《待ちなさい》!」

 

 そんな空気を、熱く凛とした声が静寂を引き裂いた。

 

「ちょっと待ってよジュラ子!」

「わりぃがこっちは取り込み中──」

 

 

 

 

 ──声の主へ振り向く。そこには()()()()()()()()()()()()()()4人の女子の姿があった。アオハル組がドラゴン娘になっていた。

 

 

 

 

「「はっ?」」

 

 間抜けな声が揃って出た。

 

「マロン? ジュラ子? は、へ、う、嘘でしょ!?」

 

 翔子が口をあんぐりと開けた、かと思うとあわあわと目をまわし、顔を青ざめさせた。

 

「なんの悪ぃ冗談だよ……!」

 

 俺も頭が痛くなってきた。心なしか胃辺りもキリキリする。勘弁してくれ、今日だけで情報量がオーバーフローするっての。

 

「はあ!? なんでアイツらも角生えてるんや!?」

「ボクたち以外にドラゴン娘って沢山いたの!?」

「何がどうなってるんだ、これは」

「あら、お揃いネ」

 

 生徒会も突然のことに驚いたり困惑していた。それはそれとしてゼオスさんや、お揃いとか呑気なこと言ってる場合じゃないと思うんですが。

 

「そこのCreature、彼女から離れなさい!」

「というか、神上の持ってるカードから出てきたでし? 気になるでし!」

「何がどうなっとーと?」

『そこの2人は色々と知ってるみたいだね』

 

 対するアオハル組はクリーチャー2体とパートナーである俺と翔子に警戒や困惑、興味とか色々な感情が混ざった視線を向けてきた。

 

(どうする? リアルファイトはごめんだぞ……)

 

 状況はかなりよくない。俺と翔子は根っからのオタク人種。実際に戦うなんて絶対に無理だ。しかも相手はドラゴン娘。もしドンパチが起きたらクロスファイアたちに頼るしかない。

 だが、向こうも超常の力を持っていても一般女子高生だ。万が一があっても困る。

 

「くっくく」

 

 伍代が立ち上がり、笑った。愉快そうに、獰猛さを隠さずに。

 

「よい、良いぞ! 僥倖とはこのことじゃ!」

 

 得物を突き付けられているっていうのに、伍代は笑うのを止めない。それどころか、一歩前へ踏み出す。

 

《なっ、マジかよこいつ!?》

《なんつう嬢ちゃんだ。肝っ玉にも程があるぜ》

「サーヴァ・K・ゼオスと言ったな。それと生徒会長。そして強き化外が2匹。ようやくじゃ、ようやく対等に渡り合える者に出会えたなァ!」

 

 驚くクロスファイアとジョニーを余所に、伍代は突きつけられたブレード、その峰を握る。

 そして──

 

「はあぁッ!」

 

 ──投げた。クロスファイアごと。

 

《ぬおあ!?》

《クロスファイア!》

「マジかよ……ッ!」

 

 その光景に目を疑った。

 クロスファイアが武道場の反対側へ飛んでいく。

 人間が1.5倍はあるだろう巨体を投げ飛ばすとかどんな悪い冗談だよ。

 

《翔子、オレから離れるなよ》

 

 ジョニーが翔子を自分の背後へ隠すように動く。

 

「クハハハ!」

 

 張り詰めた空気の中、伍代は笑いながら進む。ジョニーの銃口を横切り、俺たちの脇を通って武道場の出入口へ向かっていく。

 

「好敵手足り得るものに出会えた。よってこれ以上何もせん。此度の勝負はお主らの勝利でよい」

「……好き勝手言うじゃねえかよ、テメェ」

 

 やってることも言ってることも無茶苦茶だ。

 

(……でもどうすりゃいい? ドラゴン娘はデュエルエリアに引きずり込めねぇだろうし)

 

 実際、実験はしてない。でも取り憑かずに実体を持ってるクリーチャーと近い括りにいるはずだ。そうなると俺にはドラゴン娘への対抗策はない。頼みの綱だったクロスファイアは投げ飛ばされてるし。

 

「ライト、ここは行かせよう」

 

 頭を悩ましてると、ジョニーの背後で翔子が呟く。

 

「おい翔子」

「状況はこっちが不利だよ。相手はドラゴン娘が5人、それも武術をかじってる子がいる。分からないことも多い。なら一旦考える時間がいるよ」

「……それは、そうだけどよ」

 

 言葉に詰まりながら彼女の方を向く。そこには真っ直ぐな目をした翔子が俺を見ていた。

 

(どんなこと言っても譲らねぇ、か)

 

 彼女の強い瞳には『絶対に抗戦するな』という意図が言外に滲んでいた。こうなったら取れる動きは1つだ。

 

「大丈夫かクロスファイア!」

 

 伍代へ背を向けて、俺は吹っ飛ばされた相棒の下へ駆け寄る。

 

「Wait!? ドーラ、待ちなさい!」

「勝手に巻き込んで帰るんじゃないでし!」

「ちょっと待ちんしゃい皆!」

『1回お開きにした方がいいみたいだね』

 

 すれ違う形で残りのアオハル組は伍代を追って駆けていった。

 

《うぐぁー、目が回るゥ》

「手酷くやられたな」

 

 壁に激突していたクロスファイアは逆さまになって目を回していた。

 

「カードに戻って休めよ、相棒」

《お、おう。そうさせてもらうぜ》

 

 ボンッ、と音を立てクロスファイアがカードに戻ると、それをデッキケースへ仕舞う。

 

「……ったく」

 

 そして尻餅をついた。もうクタクタだ。心身ともに。

 

「はぁ、もう何がどうなってんだか」

 

 ──アオハル組が出ていった武道場には、俺達と生徒会が残された。





ドラ娘漫画がジャックポット編に入っちゃったよ……
本家の方も新展開が来ちゃったし。

もっと筆が早くなりてぇ……
それはそれとしてGPはドギ悪とバイケン(しのぶちゃん)が活躍とか予想できんて……
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