Duel Masters デュエルと願いとドラゴン娘 作:新米ユーリ/神座/DMP
始まったボクと尾瀬先輩のデュエルは序盤、互いにリソースを貯める動きから始まった。
「俺のターン。《
尾瀬先輩はカードをマナゾーンへ置くと、ターンを終える。
先輩のデッキはどうやらスノーフェアリーを主軸にしたものらしい。
「ボクのターン、ドロー。《王道の弾丸ジョリー・ザ・ジョニー》をチャージ。そして1マナで《ベイビーポンの助》を召喚」
普段のデュエマと同じように、マナをタップしてクリーチャーを召喚する。
すると、ボクの目の前に「Jo」の紋章と共に、ベビー服を着てデフォルメされたガイコツのクリーチャーが現れた。
(すごい! ジョーカーズが、クリーチャーが実体化してる!)
思わず心が高鳴る。
ジョーカーズ。それはデュエマの原作漫画において子供の自由なあり方から生まれた種族。
それ故に奇抜な姿が多く、最初のカードは五つの文明の色を持たない無色群だけど、その姿にはちょっとした可愛さがある。
ボクのデッキはそんなジョーカーズで構成される、無色──五つの文明から外れたデッキだ。
「ボクの場に無色のクリーチャーがいることで、
ボクの宣言と共にデッキのカードが一人でに動き出す。
G・ゼロ。それは踏み倒しの一種だ。
特定の条件を揃えることで、本来必要になるマナを使わず無料で使用することができる。
「さあ、頼むから外れないでよ」
三枚のカードが表向きになる。
まず現れたのは《ヤッタレマン》と《ベイビーポンの助》、どちらも無色のクリーチャーだ。
そして最後の一枚に現れたのは、上下に別々の名前とコストが書かれているカード──ツインパクトカード。
クリーチャーの名は《透明妖精リリン》、その下に描かれているのは呪文《妖精のプレリュード》。この一枚のカードも無色だ。
よって、ボクの手札は三枚も増える。
「これでターンエンド」
滑り出しは上々と言っていい。
最初のターンで《ベイビーポンの助》を出して、《ニヤリーゲット》でリソース回収は理想的な動きだ。
「俺のターン。《伝達妖精セージ》をチャージ、2マナで《
二枚のマナがタップされ、自然文明の紋章と共に”キャハハハハハ”という笑い声が響く。
そして、桜色の服に身を包む妖精が──事件の元凶だろう存在が現れた。
「ステップルの効果発動、デッキトップをマナゾーンへ。これでターンエンド」
その登場時能力で先輩のマナが一枚増える。
(マナゾーンに落ちたのは《宇宙妖精エリンギ》か)
あのクリーチャーは複数の文明を持つ
「ボクのターン」
ターンが巡り、カードを引く。
おそらく次のターンで先輩は何かしら動いてくる。なら、こっちも準備を整えなきゃならない。
デュエルの状況は互いにリソースを蓄えている段階だ。
ボクが手札を、先輩がマナを確保して準備を進めている。
でも、デュエマのゲームシステムの関係上、先に大きな動きを取れるのは先輩だ。
使えるマナと文明の数が多いほど、選べる択が多くなるんだから当然だけど。
「《ベイビーポンの助》をチャージして、2マナで《透明妖精リリン》召喚。これで終了だ」
純白の光と共に、紫を基調とした着物に身を包む妖精が現れる。
このカードは無色のクリーチャーにかかるコストを永続的に一つ減らす。こっちも少しでも早く取れる択を増やしてくしかない。
「俺のターン、《エスメル》をチャージ。3マナ、ツインパクト呪文《
先輩のデッキから三枚のカードが浮かび上がる。
あれは種族に「ジャイアント」か「スノーフェアリー」を持ってるカードを全て手札にする呪文だ。先輩のデッキはスノーフェアリー、ほぼ確実に手札が三枚増える。
「さあ、スロットの時間だ」
三枚のカードが表向きに変わる。
現れたのは《百景妖精アセビ=アンドロメダ=クシナダ》、《学識妖精サイクリル》、《桜風妖精ステップル》。全てスノーフェアリーのクリーチャーだ。
「当たりだな。三枚全てを手札に。ターンエンドだ」
「嫌なのが見えたな」
思わず顔が苦しさに歪む。
先輩は確かに当たりを引いた。次のターンにマナへ置ける単色のカードと展開に必要なカードをしっかりと引き当てたよ。
「ボクのターン。《王道の弾丸》をチャージ、《リリン》の軽減で1マナになった《ヤッタレマン》を二体召喚。これでターンエンド」
二つの「Jo」と共に応援団のようなクリーチャー二体が現れる。
ボクのデッキはコスト軽減が肝になる。あともう少しだ、パーツが足りない状況ではあるけど、もう少しである程度の準備が終わる。
お願いだから、まだ終わらないでくれ。
「俺のターン、《ステップル》をチャージ」
先輩のマナが五枚に到達する。それなりの動きができる程にマナが溜まってしまった。
さっき手札に加えていた、あのクリーチャーが来る!
「数多の秘境、数多の絶景、続く旅路は無限の美を映し出す! NEO進化! 来い、《百景妖精アセビ=アンドロメダ=クシナダ》!」
ステップルが花びらをまき散らし、花びらが繭となって妖精を包む。
そして、花の繭が散り崩れると、サファリジャケットに身を包む妖精が現れた。
「《アセビ》の登場時能力、発動。カードを一枚引き、手札かマナゾーンからコスト4以下のスノーフェアリーを踏み倒す! 《学識妖精サイクリル》をバトルゾーンへ!」
尾瀬先輩の手札が増えるのと同時に、角帽を被った妖精が現れる。
「《サイクリル》の登場時能力でマナを一枚追加だ」
現れたの効果で先輩のマナまで増える。でも、まだ終わりじゃない。
だって、《アセビ》の効果は出てきた時だけじゃない。それに《サイクリル》にもまだ能力が残ってる。
「《サイクリル》、マッハファイターで《ヤッタレマン》を潰せ! その攻撃時、能力発動! 墓地からコスト4以下の呪文を一枚、手札に回収だ!」
角帽を被った妖精が《ヤッタレマン》を叩きのめした。それと同時に墓地のカードが先輩の手札へ戻っていく。
《サイクリル》は自分のスノーフェアリーが攻撃する時、墓地の呪文を回収する。その場合、呪文とクリーチャーが一体になっているツインパクトカードも回収できる。
ドローソースの《巨打設計図》まで回収されるのは厄介すぎるよ。
「《アセビ》でシールドを攻撃! その瞬間、効果発動! 一枚ドローし、スノーフェアリーを踏み倒す! 《伝達妖精セージ》をバトルゾーンへ!」
冒険家の妖精がボク目掛けて走って来ると、ピンクと白の衣服を着た妖精が現れる。
「W・ブレイクだ!」
二枚のシールドが叩き割られ、その破片がボクに襲い掛かった。
「ぐっ……!」
破片が肌を切り裂く。咄嗟に腕で顔を庇ったけど、それでもわずかな隙間から顔に斬り傷がついている。
「シールドチェック」
二枚のシールドが手札に加わる。でも、そこにトリガーはない。
「これが、ジョニーが言っていた痛みってことかな」
《そうだ。クリーチャーとの戦いはお前にとって痛みが伴う》
「そんな所まで原作リスペクトしなくていいよ」
多分だけど、ダイレクトアタックなんてされた日には大怪我なんてレベルじゃ済まなそうだね。
「ボクのターン、ドロー」
どうにかボクも展開を進めなきゃならない。
(今日はかなり引き運に見放されてるな……)
なのに、ボクの手札にはまだ攻勢に転じるためのパーツが足りない。
「《ナッシング・ゼロ》をチャージ。1マナで《ヤッタレマン》を召喚。これでターンエンド」
再び《ヤッタレマン》が現れる。
でも、ここまでだ。攻め手が足りない時に半端な攻撃をして、
「俺のターン、《セージ》をチャージ。そして《サイクリル》をNEO進化、二体目の《アセビ》を召喚。その能力で一枚ドローし、《ステップル》をバトルゾーンへ」
「流石にマナが伸びすぎだよ……」
冗談じゃない。二体目の《アセビ》は聞いてないよ。
《ステップル》の効果でマナも増えてる。
まだ打点が揃っていないけど、このままじゃ本当に不味いかもしれない。
「これでターンエンド」
「えっ?」
でも、攻撃は訪れなかった。なんで? プレイミ?
そう思っていると、先輩がデュエルが始まってから初めてボクを見た。
「お前のデッキに入ってる受け札、マナで見えてる《ジョニー》以外にツインパクトの《タイムストップン》が入ってるだろ。大抵のデッキは三種十二枚の受け札を入れる。残りの一種は絞れないが、それだけでも警戒する。お前を攻め落とすのは、トリガーすら踏み潰せるようにしてからだ」
「ッ!?」
バレてる。デッキに入れてる受け札がバレてる。
いや、待ってよ。そこ予想してくるの!? しかも的中させてるし!
(いや落ち着け、ここで焦ってもしかたない。ただプレイが乱れるだけだ)
深呼吸をして、焦った心を落ち着かせる。そう落ち着くんだ、Stay coolってやつだよ。
楽しむことは忘れず、戦いの中では冷静に。デュエマの基本だ。
「ボクのターン、ドロー」
カードを引いて考える。焦っても仕方ない、今は取れる最善手を打つしかない。
「《リリン》をチャージ。そして軽減効果で1マナになった《ネフェル・カーネン》を召喚。その登場時能力でデッキトップを表向きにし、そのカードがジョーカーズなら手札に加える」
現れたのは胴体が金庫で頭がエジプトの黄金のマスクなクリーチャー。その効果でデッキの上が表向きになる。
「ジョーカーズ呪文《
やっとだ。やっと小さいけど相手への妨害ができる。
些細な抵抗だけど、やらないよりはマシだ。
「そして、ボクのマナと場に合計で七体のジョーカーズがいることで、G・ゼロ達成。手札に加えた《勝熱と弾丸と自由の決断》をノーコストで発動!」
《勝熱と弾丸と自由の決断》はG・ゼロ持ちの呪文だ。
その効果は三つある。
一つはコスト3以下のカード一枚の除去、二つ目は自身のクリーチャーへの疑似
その中の二つを選んで使うことができる代物だ。
「効果選択はコスト3以下の除去と効果の無力化。《ステップル》をデッキ下へ、《アセビ》一体の能力をこのターン終了時まで無効化する」
《ステップル》の姿が霧散し、二体いる《アセビ》の一体がぐったりと倒れる。
「ターンエンド」
できる抵抗はここまでだ。クリーチャーの除去が一体しかできなかったが歯がゆい。
あとは次のターンが巡って来るのを祈るしかできない。
「俺のターン、《ステップル》をチャージ。3マナ、ツインパクト《巨打設計図》発動。デッキから上三枚を表向きにし、ジャイアントとスノーフェアリーを手札に」
やっぱり使ってくるよね。ほぼ確定の三枚ドロー。
表向きになったカードは《世界樹妖精カルミア・ディダノス》、《宇宙妖精エリンギ》、そして三枚目の《アセビ》。
酷過ぎるよ、なんでそっちはそんなに引きが良いんだ。
「そして、シンパシーによって2マナ軽減、6マナタップで召喚だ」
残ったマナがタップされた。
すると、今は四月のはずなのにボクらがいる屋上に雪が降り始めた。
「凍てつく吹雪は遍く敵を殲滅する! さあ来やがれ《守護地龍 ザノウハウ》!」
吹雪が吹き荒れ、その中から青き龍が姿を現わした。
あれは妖精の守護龍。あいつがいるだけでスノーフェアリーは破壊耐性を得る。
それだけでも厄介すぎるのに、あいつにはまだオマケがある。
「登場時能力で三枚ドロー。行け《ザノウハウ》! あの邪魔なガイコツを潰せ!」
手札が補充されるのと同時に、青き龍が《ベイビーポンの助》を捻り潰す。
「これでターンエンドだ」
「……ここからどうするかな」
ターンは何とか巡って来た。でも光明はまだつかめてない。
まさかここまでフィニッシャーになるカードが来ないとは思わなかったよ。
「ボクのターン、ドロー」
カードを引く。そしてそれを見た時、ようやく光明が見え始めた気がした。
「《ベイビーポンの助》をチャージ。そしてG・ゼロは達成済みだ。呪文《ニヤリーゲット》!」
この呪文は生命線だ。今のボクが勝利を引き込むためにはリソースを掻き集めるしかない。
そして三枚のカードがめくれる。
そこにあったのは──《王道の弾丸ジョリー・ザ・ジョニー》、《透明妖精リリン》、《
「ああ、やっとだね」
手札に加わったカードを見て、少し笑えてきた。
本当にやっとだよ。欲しいタイミングでやっと来てくれた。
「ボクの場とマナにはジョーカーズが八枚、《ヤッタレマン》と《リリン》の軽減を含めて1マナタップ。さあ、出番だよジョニー! 《王道の弾丸ジョリー・ザ・ジョニー》召喚!」
風が吹き荒れ、砂塵を巻き上げる。
出来上がった小さな竜巻を打ち破り、ヒーローが姿を現わした。
鋼の身体をウェスタンハットや茶色のフード付きマントで包み、二丁のリボルバーを携えた最高のガンマン。
凛とした佇まいの彼は召喚されると短く口を開いた。
《こっちの姿で呼んだか》
「もう一つの姿が来てくれなかったからね。でも、その姿も強いでしょ?」
《誰に言ってるんだ。当然だ》
「だよね。だから頼んだよ、最高のガンマン」
《嬉しいこと言ってくれるな。まかせろ》
ジョニーの嬉しそうな声と共に、ボクは尾瀬先輩へ指鉄砲を突き付ける。
「《ジョニー》の登場時能力、発動! ボクの場とマナゾーンの合計でジョーカーズが五枚以上あるなら文明を指定し、その文明を持つ呪文を封殺する!」
ここで勝負を決めないとボクの勝機は一気になくなる。
だからこそ、この選択は重要だ。相手のデッキに入っている呪文のS・トリガーで、今明らかになってる文明は水と光。
その二つなら──
「文明指定、光!」
《さあ、打ち抜くぜ!》
ジョニーの弾丸が放たれ、光の呪文を封殺する。
先輩のマナに置かれてるカードで、ボクが通そうとする勝ち方の邪魔になるのは光文明のシールド操作だ。
「ジョニーでシールドへ攻撃! その瞬間、アタックチャンス発動! 《破界秘伝ナッシング・ゼロ》!」
これがボクの通したい勝ち方だ。
《ナッシング・ゼロ》は無色のクリーチャーが攻撃する時、ノーコストで使用できる呪文。
無色のクリーチャーはこのカードで必殺の力を得ることができる。
「デッキの上から三枚を表向きにし、その中にある無色のカードの数だけ自分のクリーチャーのブレイク数を上昇させる!」
カードが三枚表向きとなる。
現れたのは──《ヤッタレマン》、《ベイビーポンの助》、《ネフェル・カーネン》。
全て無色のカード、
これでジョニーは五枚のシールドを全て砕ける。
「ジョニー! 全てのシールドを打ち抜け!」
《ぶち抜く!》
尾瀬先輩を守るシールドが全て消えた。
これで押し通す!
「《ネフェル・カーネン》でとど──」
「S・トリガープラス並びにG・ストライク発動」
でも、現実はそう上手くいかなかった。
「G・ストライク、《探究の絆》。対象は《ジョニー》。そしてS・トリガープラス、《宇宙妖精エリンギ》。お前のクリーチャーを全タップ。そして二枚ドローし、手札一枚をマナへ」
砕けたシールドが光となって、逆転の軌跡を具現させる。
ボクのクリーチャー全てが膝をつき、尾瀬先輩のリソースが増えていく。
「ターン、エンド」
思わず俯き歯を噛みしめる。
G・ストライクやS・トリガーというリスクは分かっていた。それを含めて賭けに出たつもりだったけど、その上で賭けに負けた。
あと一手届かない……!
「俺のターン。《
ターンが尾瀬先輩へ回っていく。
最悪だ。向こうはマナが十枚、手札もシールドが加わる前に必要なパーツが揃ってる。
リソースの差が大きすぎる。
「──ダブル・シンパシー、発動。俺の場にいるスノーフェアリー四体分、コスト8軽減」
突如、ボクらがいる屋上が揺れた。地震かと思ったけど、おそらく違う。
明らかに揺れが
「その在り方は揺らがず、命の守護は不滅なり! 来い《世界樹妖精カルミア・ディダノス》!」
現れたのは、校舎を軽く超える巨体を持った妖精のクリーチャーだった。
本当にデカい。妖精なんて言葉が似合わない程にデカい。
そのパワーは50000と巨体に恥じない値だ。
「こいつは他のスノーフェアリーをブロッカーに変える。そして、そいつらは俺のターンの終わりにアンタップし、お前はそいつらを選べない」
「ぐっ……」
厄介すぎる。
ブロッカーの増産やクリーチャーの
でも、恐ろしいのはそれだけじゃない。
「《エリンギ》で《ジョニー》を攻撃。その瞬間、《カルミア・ディダノス》の効果発動。《エリンギ》の代わりに《ジョニー》とバトル!」
巨大な拳が《ジョニー》を押しつぶした。
そう、これが一番厄介なんだ。《カルミア・ディダノス》は他のスノーフェアリーが行うバトルを代行する。つまり、パワー50000以下のクリーチャーによる攻撃が一切通らない。
「一体目の《アセビ》でシールドを攻撃! その効果で一枚ドローし、手札から《氷打の妖精》をバトルゾーンへ!」
「ぐあっ……!」
シールドの破片が顔を、首を切り裂いた。
傷から血が流れ出たのが、肌を伝う感覚で分かる。
まるで血が生命力そのものを外へ出しているようで、思わず膝をついた。
「ふー、ふー、ふー」
《立てるか?》
呼吸を整えていると、ジョニーの声が聞こえてきた。
心配そうにしてる声だ。機械の身体でも声音で感情って分かるものなんだね。
「ああ、まだやれるよ」
砕かれたシールドがボクの手へ集まって来る。
そして光が放たれた。
まだ、勝利の女神様には見放されてないみたいだ。
「S・トリガープラス! 《
光と共にスマホと電話のパーツが一体になったクリーチャーが現れる。
ボクの命を首の皮一枚で繋げてくれる最後の希望だ。
「その効果で、ボクはこのターン敗北せず、相手は勝利できない! そして相手のコスト3以下のクリーチャーをデッキボトム送りだ! 《氷打の妖精》にはご退場願おう!」
「さっきの手札回収で見えてたが、ここでそいつを引くか……!」
現れた《
「だがシールドは全て砕く! 二体目の《アセビ》でシールドを攻撃! 攻撃時効果でドローし、マナから《氷打の妖精》をバトルゾーンへ」
最後のシールドが砕かれる。S・トリガーもG・ストライクもない。
でも、これで終わりだ。向こうはボクに止めをさせない。
ボクのターンは巡って来る。
「ターンエンド。この瞬間、タップしていたスノーフェアリーは《カルミア・ディダノス》の効果でアンタップする」
一方で、相手の守りは万全だ。《カルミア・ディダノス》以外は全てブロッカーで、バトルも代行されるせいで純粋なパワーバトルじゃ突破できない。
だけど、勝ち筋はまだある。
「ボクのターン」
カードを引く。その引き当てたカードを見て、ボクは勝利を確信した。
「《
五枚のマナがタップされて、準備は整った。
それに応えるように風が吹き始める。
「嵐だろうと風の内。たかが逆風、恐れることなし! 全ての風がボクらの味方だ!
行こう《ハイパー・ザ・ジョニー》!」
吹き荒れた風がバトルゾーンへ竜巻を形作り、一発の弾丸が竜巻を内側から打ち抜いた。
それだけで竜巻は霧散していき、中から現れたのは一人のガンマン。
黒鉄の身体を赤い衣服で包み、つば広のウエスタンハットは彼の目元を隠している。
「は、《ハイパー・ザ・ジョニー》だと……! 《王道の弾丸》入りのジョーカーズなら相方は《夢の弾丸》のジョニーじゃねぇのか!?」
現れたジョニーの姿に、尾瀬先輩が慌てふためいた。
まあ、その驚きは分かるよ。大会の環境で使われてるデッキだと、その組み合わせが鉄板だ。
相手のデッキ次第でS・トリガーによる逆転を全部封殺できる可能性があるからね。
「はは、酷い言われようだね、ジョニー」
《悪かったな、こっちが俺の本来の姿だ》
その慌てように少し笑えてきた。
一方でジョニーはなんだか不機嫌そうだ。多分だけど、自分の姿に文句を言われたせいで不貞腐れてるのかな。
「ボクはその姿が好きだよ。最高にカッコいいって思う」
《お前……》
「もともと、君本来の勝ち方がカッコよくて惚れちゃったしね」
《さっきも今も、嬉しいことばっか言ってくれるぜ。なら今度こそ決めるぞ》
「ああ、やってやろう」
ジョニーが銃を、ボクが指鉄砲をもう一度先輩へ突き付ける。
「《ハイパー・ザ・ジョニー》はボクの場とマナに五枚以上のジョーカーズがいるなら、ブロックされない!」
確かに向こうの盤面は強固と言っていい。でもブロッカーが何体いようと、破壊耐性を持っていようと、もう関係ない。
今度こそ終わりだ。
「《ハイパー・ザ・ジョニー》でトドメだ!」
《こいつで終わりだ!》
放たれた最後の一発が敵を貫いた。
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