仮面ライダーガヴ 怪物姫の軌跡   作:Xccount10

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仮面ライダーガヴの最終回記念に投稿します。





はじまりは逃走劇から

 

 

 

 

ヴゥー!ヴゥー!ヴゥー!ヴゥー!

 

 

 

 

警報がそこら中で鳴り響き渡る

 

 

 

 

カッ カッ カッ カッ カッ カッ

 

 

 

 

 

降りろ。下へ。下へと

 

 

 

 

螺旋の如く続く階段を降りる。

 

 

 

 

走れ 走れ 走れ———前へ、前へ

 

 

 

 

 其処は日の光は何処にもなく、微かな蛍光灯が妖しく光っている。見たこともない機械やパイプが繋がれ工場のように思えた。

 

背後から飛び交う光弾を背に二人はひたすら逃れようとする。

 

 

「か、母さん!はぁ、はぁ………わぁっ⁉︎ 」

 

「コマリ———大丈夫だよ。あと少しだ」

 

 

 その工場を駆けるのは二人。

 

一人は長身の女性。太陽のような金の長髪に、ルビーのような赤い瞳は危機的状況でも不安を感じさせない落ち着きさがある。

 

 もう一人はその女性を幼少期に戻したような風貌で、コマリと呼ばれた少女は不安と恐怖にいっぱいいっぱいの表情で女性の手を離さないように握り走っている。

 

 

 そして二人を追う黒ずくめの追跡者達。『エージェント』

その姿は黒いマスクに赤のラインが無機質に光っており、その手には銃を思わせる武器で容赦なく光弾を撃つ。

 

 

「降りるよ。つかまって———」

 

「へ?うああぁぁッ!!」

 

 

 女性——母さんは少女を走りながら抱き上げ、高く飛び上がった。

そこへ下の階に見事に着地してそのままの状態でさらに駆け出す。

 

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ」

 

「……………」

 

 

 二人は曲がり角で壁を背にして身を隠した。入り組んだ構造の建物のおかげで撒いたが、状況は最悪。いずれにしろ見つかってしまうのは時間の問題だ。

すると母さんはコマリの両肩を掴み意を決して話す。

 

 

「コマリ、先に行って。此処は私が食い止める」

 

「ど、どうしてっ⁉︎ 一緒に逃げようよ…!」

 

「このまま二人で逃げ続けたら必ずどっちかが先に捕まる。そうなったら終わりだ…」

 

 

 最悪どちらかが捕まれば、人質になってしまいもう片方が逃げられずに両方捕まってしまうリスクがある。

勿論そんなことには絶対にさせないが、この状況下でそうならない保障はどこにも無い。

 

そんなコマリに———母さんは震える私に頭を優しく撫でた。

 

「……母さんは…?」

 

「…ある程度食い止めたら、すぐに向かうさ」

 

 

嘘だと、コマリはなんとなく、いや、本質的に理解した。母親は生きて帰らないだろうと。

 

 

その時

 エージェント達が接近しながら銃を発射し、光の銃弾がその周りに直撃し火花が散り二体のエージェントが二人が隠れていた曲がり角に追い付き一番近くにいた母さんに襲い掛かる———しかし

 

「それに知ってるだろう」

 

 

 

ズドオォン!

 

 

 

 音が遅れて来た。

瞬間、エージェントの一体が地面にめり込んでいた。エージェントの身体がその攻撃に耐えられなかったのか、灰のように霧散し何も残らなかった。

 

 

「———私は強いって」

 

 

一瞬の内に彼女はエージェントが現れた瞬間に接近。そして拳による一撃で地面に叩き込んだ。

 

 

「それにこのままじゃどんどんアイツらが来る。私がいくら強くても、捕まったら……多分殺される……今が脱出できるチャンスなんだ」

 

 

 コマリは分かっていた。これを逃したらもう次は来ない事を

そうだ。どんなに母さんが強くても勝てない…アイツらに。あの時に抱いた恐怖を思い出して微かに震える。

 

 

「あぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜……ごめん…なんとか元気づけようとしたけど、やっぱり下手くそだなぁ。私」

 

 

 そんな私に母さんは頭を掻きながら溜息をついた。

その姿は母親として娘を満足に安心させてやれない己自身の不器用さを悔やんでいた。

 

 すると母さんが手をそっと出した。

 

 

 

「ならこういうのはどうかな———……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……———はい。これで大丈夫」

 

 

「ぅん…………。うん………っ……」

 

 

 

「さぁ、行ってコマリ」

 

「〜〜〜〜〜〜〜ッ!」

 

 

 コマリは後ろを振り返らず、がむしゃらに走った。目じりに涙を浮かべて走る。

 

 

 

コマリが奥の通路に逃げたのを最後まで見届けると体をう〜んと伸ばしどうとでもない様に呟く

 

 

「さてと、もうひと踏ん張りしますか…」

 

 

 

 

 もうあの子は大丈夫だ

 

 

 

あっちの世界で、私がいなくて苦労する事もあるだろう。

 

先にいる()()()と合流出来れば良いことづくめだ。

 

 

でもきっと沢山の良縁に恵まれる。

君は知らない。私にとってどれほど救いになったのか。

 

 

だからこそ自分の命だって賭けられる。

 

 

 

 

 

 

 

 そんな想いに耽っていたが後ろから沢山の足音が聞こえ振り返ると、大勢のエージェントが殺到し囲まれていた。全員が戦闘態勢に構え、一切の油断は存在しない。

 

 

「対象の一人を発見。これより捕縛します」

 

「捕縛?違うね。『抹殺』だろ……それも()()スパイスの材料に…キミ達の主人にとっては同じことさ」

 

「……………」

 

「知らないとでも思っていたのかい。ブーシュがやたらと隠していたが……アレ、出回っちゃいけない禁製品の類だろ」

 

 

そんな状況で女性———ユーリンは笑う。

 

 

「そう簡単に獲れる程安くはない。———私の命もあの子の命も」

 

 

「この先からは一歩も通さない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 コマリは勢いよくドアを開け、そこから眩い光の中に入る。扉から転がるように出たそこは異様な空間があった。

 

 

「あっ…ここ、もしかして…」

 

 

 目を見開くと此処はまさに扉の世界とでも云うべき不可思議な空間だった。

 

 

扉、扉、扉、あちらにも、こちらにも

 

 

 見渡す限りに様々な扉が存在し、重力が存在しないのかどうかも怪しく、それと同時に沢山の階段が様々な方向にあるせいで上下感覚が狂いそうになる。

 

 

 下からなにか音が聞こえた。コマリは恐る恐る下(もうどっちか上か下か分からないが)を覗き込もうとすると———

 

先程の黒い追跡者———『エージェント』が顔を覗かせ光線銃を構えていた。

 

 

「うわっ! ああっと…!」

 

 

床から光弾が貫いた。

思わず尻餅をついたおかげで避けられた。

 

さらに追い詰める様にエージェントが光の銃弾が次々と床を貫き近づいていく中、起き上がったコマリは辿々しながらも逃げる。

 

 

「何処までついてくんだよっ!?」

 

 

 上から別のエージェントが現れ、重力を無視したかのような動きで銃弾を撃つ。

 

 コマリは思わず避ける。

しかしその背後に床をぶち破って現れたさっきのエージェントがピンポン球のように銃弾をコマリ目掛けて跳ね返した。

 

 

「あぶなッ!!って、うおぉぁッ!?」

 

 

 あまりの不意打ち対し、コマリは無理矢理回避したがバランスを崩し身を投げ出し落下しそうになるが、扉を足場にして着地する。

 

扉が足場になったおかげで安堵したのも束の間、突然足に地が付かなくなった。足場にしていた扉が開いた。

 

 

「え」

 

 

同時刻、飛行機上空にて

 

 

 

 

 

「わあわああああああぁぁぁぁぁぁ———っ!? 落ちる落ちる落ちる落ちるううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっ!!」

 

 

飛行中の飛行機の扉が突如開き、そこから少女が飛び出た。

 

 

 

 

 

 風を切り空に落ちながら雲を突き抜けた瞬間、眼下に広がるのは美しい地上の光だった。

その光景はまるで星空を反転させたかのように地表を飾る。

 

 

 

「これが、母さんのいた世界…」

 

 

 

 そんな歓喜も束の間、コマリはある事実に気付く

 

落下は止まらないのだ。

 

 

あ、ヤバい。これ地面に激突して死ぬ———

 

 

 

そして風を切りながら落ちてゆく中で、コマリは意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とある浜辺

 

ザザァーン……ザザァーンと繰り返す波の押し引きしるリズム。海水特有の塩の香りと共に、静かな自然の音が木霊に広がる。

そこに一人の少年が歩いていると何かが打ち上げられているのに気付く。

 

なんと少女が倒れていた。

海から打ち上げられていたのか、髪や服も全身がずぶ濡れで目を開けていない。

 

 

 

 

 

少年は恐る恐る手に持ってた木の棒で少女をつつくが、ピクリともせず返事もない。

 

 

「死んでる?」

 

 

さらに木の棒でつつくが微動だにしない。

いよいよ死んでいる可能性が濃厚になってきた。

 

 

「……警察?……救急車かな?」

 

 

 すると少女は濡れた唇で微かに動かし声を発する。

 

 

ぐヴウうううぅぅぅ〜〜〜

 

 

 何処からかお腹の虫が大音量で鳴いている。この少女からだ。

 

 

「な、なにか…なにか、食べるものを…」

 

 

 

「———生きてる」

 

 

 

 

 

 

これが少年と少女(不審者)との出会いだった。

 

 

 

 

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