放課後。部活動の時間だ。俺はいそいそと荷物をバッグに詰め込む。
「ゆっきー! 今日部活終わったら……」
「一緒に帰るか?」
「やたっ!」
ピョンと飛び跳ねる来天。毎度の事ながらかわ、うおっほん!
「朝も言ったけど渡したいものあるからさ、待っててね!」
「へいへい」
来天は、ピースしながら俺に言う。それから慌ただしく荷物を抱えて教室を出ていった。
「なあ山下」
「どうしたよ塩」
「佐藤だ! てめえわざとだな?」
「まあな。で? 何だ?」
「渡したいものって……何だよ?」
「さあな」
「おいおいまさか! ……青春の思い出じゃねえだろうな!」
「んだそりゃ?」
「あ~ちくしょ~いいなあ~。俺もあやかりてー」
「つかお前そろそろ部活行った方がいいんじゃねえか?」
「だな。行ってくらあ」
「おう。じゃあな」
佐藤はピッと指を立てながら、教室から出ていった。ちなみにバドミントン部だ。
「さて、と……じゃあ俺も行くか」
俺はおもむろに机から立ち上がる。
「写真部に」
俺は写真部もある文化部がごった返す部室棟へと足を運んだ。
「……ん?」
写真部の部室のドアの前にちょっと人だかりができている。何かあったんか?
俺はヒョコッと後ろから覗き見る。
と、そこには――
『ご主人まだ~? えくすかりばあ』
と書いてある貼り紙が。んだこりゃ? おいおい誰のイタズラだ? 佐藤か? あんにゃろ。
「へいへい、ちょいごめんよ~」
俺はよいしょよいしょと人垣をすり抜けベリッと貼り紙を剥がす。んでもってクシャクシャっと丸めてポケットに突っ込んだ。
「うーす」
ガチャッと写真部の部室を開けた。
「やや! 山下君」
「こんにゃくちは」
部活仲間の田中道重(たなかみちしげ)と鈴木勝(すずきまさる)が椅子に座ってカメラを弄っていた。
「うい。ってか鈴木。こんにゃくちはって何だよ」
俺がはあと息をつくとアハハと田中が笑う。
「こんにちはの中にこんにゃくを入れてるんだね」
いちいち解説をする田中は短髪眼鏡の大人しめのいいやつだ。対して――
「くっくく。来たなコレ」
自分のイミフな挨拶にツボってる鈴木はロン毛眼鏡のおかしな野郎だ。悪いやつじゃーねーけどな。
俺含めて写真部は先輩含めて全員で5人。ギリギリ部の人数に足りている。写真部の主な活動はまあ、写真を撮ることなんだけど……毎回何撮るかっていうので各々個性出んだよな。
「今日は、これだね」
「俺は、これ、だよ~ん」
田中と鈴木がそれぞれ写真を見せてくる。田中は山や空、川といった風景が多く、鈴木はプラモデルの写真が多かった。
「まあ、いつものこったな」
「山下君は……ああ」
田中が俺に聞こうとして、1人気付いたように頷く。
「これか?」
鈴木が小指を立ててくる。んなんじゃねえっつの。
「俺はただ、その瞬間を、切り取りてーだけさ」
俺のカメラのフィルムは来天の写真で溢れている。もちろんデジカメの方もな。
写真部での活動です~。また次回でござる~。