デュエルアカデミア不合格列伝   作:交響魔人

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不合格になった一部の受験生、彼らが十代達の入学より1年早く入学していた世界線。
 隼人君と同期という設定です。


IF ~まともな不合格組が入学出来て居たら~
IF ~まともな不合格組が入学出来て居たら~


「いいか、お前達。デュエルアカデミアは3つの寮に分けられているんだな。中等部の生徒はオベリスク・ブルーに。編入試験の成績優秀者はラー・イエロー。そして俺達オシリス・レッドはレッドゾーン、危険な奴らって事。ここにいる時点で、未来なんて無いんだな…。まぁ、例外はあるけど。」

「例外って?」

 

 コアラのような留年生、前田隼人は遊城十代の問いに答える。

 

 

「ブラック寮。こいつらは黒い制服を着ている掃き溜め、隔離所の生徒。いいか?オベリスク・ブルーやラー・イエローはともかく、こいつらと関わったら碌なことにならないぞ。」

 

 

 

 説明を聞いた十代は、学園の探索に向かう。

 

 

「アニキ、どこに行くんすか?」

「なぁ、翔。ブラック寮についてどう思う?」

「どうって?」

「おかしいだろ?レッドゾーンのオシリス・レッドがあるのに、どうして別の寮をわざわざ用意するんだ?」

「確かに…。」

 

 

 

 ふと、十代は駆けだす。

 

「デュエルだ!デュエルの匂いだ!」

「あ、アニキ?!」

 

 

 

 

 

 そうして十代が到着するも、周りにはオベリスク・ブルーの1年生が大勢いた。

 

 

「なあ、何の騒ぎだ?」

 

「ああ?!ひっこめ、オシリス・レッド!」

「今から、我ら中等部のデュエル・エリートがデュエルをするんだ!!邪魔するな!」

「だったら俺も混ぜて」

 

「アニキ、不味いっスよ!ほら、向き合っているの…」

「もしかして、ブラック寮?」

 

 

 隼人から「関わるな」と釘を刺された、全身黒タイツの上に黒いサマーコートを着ている寮生。一体、どんな理由で隔離所と呼ばれる寮へ入れられているのか。

 

 

 

「連弾の魔術師を召喚!こいつは、通常魔法が発動するたびに、相手に400ポイントのダメージを与える!永続魔法、悪夢の拷問部屋!効果ダメージが発生するたびに、300ポイントのダメージを与える。昼夜の大火事!800ポイントのダメージに加え、連弾と拷問部屋で700ポイントの追加ダメージ!火あぶりの刑!600ポイントのダメージに700ポイントの追加!悪夢の鉄檻を発動、700ポイントの追加ダメージ!ファイヤー・ボールを発動して500ポイントのダメージ!」

「なっ?!ひ、卑怯だぞ、うぎゃああああ!」ライフ0

 

 連弾の魔術師と悪夢の拷問部屋で一気にライフを削るブラック寮生。

 倒れたブルー寮生の手札、スキルドレイン、ハ・デスの使い魔、幻影の壁、タルワール・デーモン、破邪の大剣-バオウが地面に散らばる。

 

 

「俺のターン、ドロー!融合を発動!リボーン・ゾンビとリターン・ゾンビを手札融合!死霊公爵を融合召喚!死霊公爵の効果でモンスターを追加召喚!来い、サイバーデーモン!速攻魔法、融合解除発動!死霊公爵をデッキに戻し、リボーン・ゾンビとリターン・ゾンビを墓地から復活!サイバーデーモンとリターン・ゾンビを生け贄に、メカニカル・ハウンドを召喚!どうだ!これが俺が編み出した必殺、ハンドレスコンボだ!」

 

 ブルー男子の場には、メカニカル・ハウンドとリボーン・ゾンビが並んでいる。

 

 

「何がハンドレスコンボだ。そんなこけおどしなんて通用しない!俺は、ガトリング・オーガを召喚!カードを5枚伏せる。」

「ちっ、攻撃力800の雑魚はどうでもいいが、伏せカード5枚は面倒だな…」

「ガトリング・オーガのモンスター効果発動!1ターンに3度まで、俺の魔法&罠ゾーンの裏側表示カードを任意の数だけ墓地へ送って発動!墓地へ送った数×800ダメージをお前に与える!全弾発射、ファイヤー!」

「ぎゃああああああ!」ライフ0

 

 

 あっという間に二人のオベリスク・ブルーの生徒を倒す、ブラック寮の男子生徒。

 

 

「くっ、あれがブラック寮2年、蓮壇 宏佑(れんだん こうゆう)と腕切 終(わんきり おわる)か。」

「すっげぇ…、一瞬でライフを削り切った」

 

 

 十代が感心していると。

 

「スカラベの大群の効果発動、守護天使ジャンヌを破壊。イナゴの軍勢を反転召喚して効果発動、フィールド魔法、死皇帝の陵墓を破壊する。バトルフェイズ。」

「卑怯だぞ!お前にプライドは無いのか!」

「…ああ?」

「スカラベの大群やイナゴの軍勢で俺のカードを破壊して、俺の超レアカード軍団の攻撃をレベル制限B地区でロックする、ふざけるな、こんな真正面から戦わないなんて、デュエルじゃあ」

「デュエルだよ。ステータスが低くて勝てないモンスターを、魔法・罠のコンボで守り、勝てるようにする。お前がどう思うのかは自由だが、それを俺に押し付けるな。」

 

 

 盤面が完成しているブラック寮の生徒。

 

「虫壁 均(むしかべ きん)。リバース効果の雑魚モンスターで場を荒らす卑怯者か…」

「ロックが完成する前に叩き潰すのが一番か」

 

 

 単体では攻撃力500や1000だが、モンスター効果で裏側守備表示になるカードを駆使する先輩のデュエルを、十代はじっと見つめる。

 

「バトル!水陸両用バグロスで、ガトリング・ドラゴンを攻撃!このダメージステップに速攻魔法、収縮を発動。これにより、元々の攻撃力2600は1300となり、パワー・ボンドで元々の攻撃力2600が加算され、3900となる。」

「奴のバグロスは二枚のフュージョン・ウェポンとフィールド魔法、伝説の都アトランティスで攻撃力が5050…く、くそっ!なんでだ、何でこんな雑魚モンスターに!」

「どうだ!これが俺のデッキ、【バグロス・ビート】だぁ!」

 

 

 その盤面に、丸藤翔は顔を引きつらせる。

 

「ば、バグロスって…その融合モンスターっスよね?しょ、正気っスかぁ?!」

「いかにも。陸戦型 バグロス、海を守る戦士、水陸両用バグロス MK-3と水陸両用バグロスは三積み。エースモンスター、水陸両用バグロスより高い攻撃力のモンスター及び、攻撃力?のモンスターは入れていない。」

 

 さらりと衝撃的な事を言われ、翔は硬直する。

 

 

「あいつが、ネタデッキ使いの影堂 潛(かげどう ひそむ)か…。あいつが最弱だな。」

 

 

「いや、そんな事は無いぞ。」

「割と勝率は高いぞ。俺達同士のデュエルでは。」

 

 

 割って入った、ブラック寮の男子生徒にオベリスク・ブルーの1年生は大きく飛びのく。

 

「こ、こいつは!ブラック・マジシャン使いの黒魔 遊導(くろま ゆうどう)!」

「それと、たとえ月一試験や学期末の試験だろうとお構いなく、定期的に海馬オーナーに呼び出される、五大院 秀也(ごだいいん ひでや)!」

 

 

 ブルー男子の発言に、五大院は軽くため息をつきながら『その分、追試やレポート提出が課されるんだけどなぁ』と呟く。

 

 十代は目を輝かせる。

 

 

「ブラマジ使い?!で、でもだったらどうして、ブラック寮なんだ?」

「ブラック・マジシャンを寄越せというアンティデュエルを仕掛けられたり、デッキを仕舞っておいた特注の金庫がドリルでこじ開けられそうになってな。隔離扱いにしてもらったんだ。」

「だったら、俺とデュエルしてくれよ!アンティなんか無しで!」

「まて、今日は初日だ。まずは学園生活に慣れてからの方がいい。俺は逃げも隠れもしない。」

 

 

 そう言われた事で、十代は一歩下がる。

 すると、瞬殺したブラック寮の男子二人に変わって、二人のブラック寮の女子生徒が前に出てくる。

 

 

 

「えぇっ?!お、女の子も居るっスか?」

 

 その翔の発言に、二人の女子生徒は顔を向ける。

 

 

「その様子だと、前田からブラック寮について聞いていたか?」

「でも、確か女子は全員、オベリスク・ブルーに配属されるはずっス…。」

 

 

 二人は軽く肩をすくめると、オベリスク・ブルーの生徒に向かって歩いていく。

 

「見ていれば分かるぞ。なんで、ブラック寮なのかが。」

「えっ?」

 

 

 十代達が見ている前で、デュエルが始まる。

 

 

「罠発動、奇跡の残照!自分は墓地からこのターン、戦闘破壊されたニードルワームを特殊召喚。速攻魔法、地獄の暴走召喚を発動!」

「くっ、ボク様のデッキにトライホーン・ドラゴンは1枚のみ…」

「速攻魔法、皆既日食の書を発動。場のモンスターは全て裏側守備表示になる。最もこのエンドフェイズ、お前の場の裏側守備モンスターは表側守備表示となり、その枚数分、ドロー出来る。」

「くそっ!【デッキ破壊】相手では、ドローした所で…!」

 

 

 コンボを決められるブルーの1年生。

 

 

「我は、レベル2のジャイアントウィルスに、レベル10のDTナイトメア・ハンドをダーク・チューニング!ダーク・シンクロ!現れろ、レベル8!魔王龍ベエルゼ!」

「な、な、何だこりゃあああ!だ、だったらこ、こいつを喰らえ!奈落の落とし穴!」

「ベエルゼは破壊されない!」

「ば、馬鹿な…」

 

 

 初めて見る召喚法に、十代は目を丸くする。

 

「あ、あのさ…今、何が起こったんだ?」

「ああ。レベル10のダーク・チューナーからレベル2のチューナー以外のモンスターのレベルの差のモンスターを、融合デッキから特殊召喚したんだ。」

「えっと…。融合のカードも無しで?」

 

 

 十代の発言に、五大院は苦笑する。

 

 

「なんか初々しいな。俺達、1年前はこうだったよなぁ。」

「初見で理解できるデュエリストって、この世にいないんじゃないか?あの子はロサーナ・カムラウ。」

「そして、デッキ破壊をしているのが、如月 菫(きさらぎ すみれ)。オベリスク・ブルー女子寮へ配属しようとしたところ、猛反発されたからブラック寮にいる。」

 

 

「あの、五大院先輩はどうしてブラック寮なんだ?」

「ああ。俺は降霊術師で、準備に3か月かかるが死者の魂を一日だけ現世に呼び戻せるんだ。」

 

 

 オカルトになれていない十代は、思わず一歩後ずさってしまう。

 

 

「おお、この感じ。僕と同じだ。」

「し、信じているっスか?」

「まぁ、無理に信じろとは言わないけど。本当強かったよな、伝説のファラオ。」

「そろそろ勘弁して欲しいんだが。なんでも、彼ばかり現世に戻っている事に、神官団から苦情が出ているらしいんだ。軽々しいとか、私も一度戻りたい、と。」

「ああ、ファラオの側近の…。聞き入れてやらないのか?」

「ファラオとデュエル出来ると思っていたら、神官シャダだの、神官カリムが出てきたらどう思う?」

「あー…。武藤遊戯さんなら、色々話を聞けるから喜びそうではあるが。他の人は納得できないか。」

「シモンさん、怒っていたからなぁ。海馬オーナーに。『何がチェンジじゃ!3000年後の民は無礼にもほどがある』って。」

 

 

 親し気な会話だが、十代には電波バリバリの会話にしか聞こえない。

 

 

「あ、あの…俺、そろそろ歓迎会に行かなきゃ。ブラック寮へはそのうち遊びに行くから。いくぞ、翔」

「ま、待ってくれよ、アニキ~!」

 

 

 

 

 歓迎会の直前、十代は隼人に話しかける。

 

 

「俺、ブラック寮の先輩とデュエルしに行く!」

「や、やめとくんだな!あいつらはオベリスク・ブルーの生徒にも勝つような実力者ぞろいなんだぞ!勝ち方もかなり異色だったり、派手だったり…」

「確かに、俺も降霊術の末裔って話は信じられないけど…。でも、面白そう!俺、絶対にブラック寮へデュエルしにいくぜ!」

 

 

 

 

 

 

 同時刻、『古代の機械城』を連想とさせるブラック寮では歓迎会が始まっていた。

 

 

「今年、ブラック寮の新入生は0か。」

 

 オレンジチキンを貪りながら、黒魔は話題を振る。

 

 

「まぁ、成績不振なだけなら、オシリスレッドだし。」

 

 モンゴリアンポークを食べながら、虫壁が発言する。

 

 

「でも、あのオシリス・レッドの新入生は来るんでしょ?」

「そうだな。何せブラマジ使いが居るんだから。」

 

 

 ロサーナと如月はチャオメンを大皿から取り分けながら、会話に入る。

 

 

 ハニーウォールナッツシュリンプを食べていた影堂も会話に混ざる。

 

「皆が良ければ、そのオシリス・レッド生を我らがブラック寮に入れるのはどうだ?」

「いや、それは…」

 

 

 ブロッコリービーフが乗っていた皿を空にした、蓮壇が待ったをかける。

 

「こんなデュエル・アカデミアの隔離所に無垢な新入生を入れるのはどうなんだ?」

「いや、そいつが望むならブラック寮に入れよう。そうすればしばらく、俺達が先攻を取れる。」

 

 

 腕切の発言に、チャオメンを啜り始めた如月が手を止める。

 

 

「そういう事をするから、毎回、月一試験では後攻取らされるって分からない?」

「あーあ、先攻さえ取れれば、手札次第だがカイザーだって倒せるんだけどな。」

 

 その名前は、このブラック寮では爆弾ワードである。

 

 

「ちょっと聞いてくれよ、アイツ、ダメージ・ポラリライザーを抜いてピケルの魔法陣を使うようになったんだけど!サイバー流って、リスペクトデュエルを掲げているんだよな?身内メタは卑怯だよな?」

「というか、カイザーってサイバー・ジラフをデッキから抜いているよな?使っている所を最近見ないんだが。」

「この前、オーバーロードフュージョンからのキメラテック・オーバー・ドラゴンにメテオ・ストライク装備された。もう絶対に許さない。」

「ブラック・マジシャンを闇のデッキ破壊ウイルスの媒体にして、魔法カードを宣言したのに、アイツ、魔法カードを3ターンの間、1枚も引かなかったんだが。カイザーって何なの?」

「簡易融合でバグロスを特殊召喚、トリガーに激流葬を発動にチェーンして亜空間物質転送装置で逃がしたら、ゲットライドでアーマード・サイバーンを装備させて破壊耐性付与された。」

 

 

「対策されるって事は、それだけ脅威と思われているって証拠じゃない。私なんて、対策すらされない。巨大化で攻撃力8000になったサイバー・エンド・ドラゴンで叩き潰された。思い出した。虫壁。何故あのデュエル、マジック・プランターでグラヴィティ・バインドを2枚ドローに変えた?あのまま置いておけば」

「サイバー・ツイン・ドラゴンの攻撃を凌ぎ、スカラベの大群の攻撃にドレインシールドまで使わせた。これ以上は高望み。大嵐やエヴォリューション・バーストを引かれる前に、ドローに賭けた。負けたが、あの選択は後悔しない。結局、あのドローはサイクロンだったし。」

 

 

 グリルドマンダリンチキンをジンジャーエールで流し込んだ五大院は、思わず笑ってしまう。

 神・スライムを盾に、ディアバウンド・カーネルによるビートダウンを仕掛けた所、DNA改造手術で機械族に変えられ、キメラテック・フォートレス・ドラゴンでまとめて除去された。

 クリボーで凌ぎ切れた、と思ったら闇属性・レベル8のフォートレスを生け贄に、速攻魔法、表裏一体により光属性・レベル8のサイバー・ツイン・ドラゴンを特殊召喚され、連続攻撃で負けた。

 

 

 そういえば。伝説のファラオの魂から言われた事がある。

 

 

『…ところで。どっちが彼女だ?』

 

 その問いには、NOと答えた。少なくとも、この学園にいる間、そういう関係になるべきではない。

 男女の友情は、成立するはずだから。

 

 




どうしようもないな、という受験生や家庭の事情で入学を拒絶した生徒以外の面子で執筆してみました。

カイザーからの評価
 月一試験では自分と戦えるというだけで満足しているか、勝とうとする野心があっても実力が伴わない生徒が多い中で、真剣に勝ちを狙ってくる実力を兼ね備えた決闘者達。
 先攻ワンキルする生徒だが、手札にモンスターが固まってワンキルできず負ける事もあるので、別に卑怯だとは思わない。デッキ破壊も立派な戦略の一つだと思えるようになった。【サイクル・リバース】は伏せカードの読みあいが楽しい。
 楽しそうにデュエルしているからブラック寮の面子に混ざりたいけど、クロノス教諭と鮫島校長がダメというから混ざれない。
 いつか、翔を連れてブラック寮へ行き、弟の事を彼らに紹介したい。

 影丸理事長及びアムナエルからの評価
 三幻魔事件を起こす際には、ノース校にでも短期留学させる。
 現時点では、幻魔の扉すら効かない魔王龍ベエルゼの所有者である、ロサーナと先攻ワンターンキル率の高い男子、腕切と蓮壇は確定。
 
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