デュエルアカデミア不合格列伝   作:交響魔人

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このカードは、少なくともGXの二次創作で出してはいけないカードだと思います。


襲来!カオスエンド・ルーラー-開闢と終焉の支配者-

 その受験生が会場に入ってくると、周囲が一斉にざわめく。

 

 ウェーブがかったフワフワの黒髪とピンクのツートンカラーを水色のリボンでツインテールにまとめ、バチバチのまつ毛の下には濃い目のアイシャドウで彩られた鳶色の瞳。

 

 首には黄色のチョーカーが嵌められ、逆十字架のネックレスが胸元で揺れる。薄ピンクのフリル付きの洋服を着こなし、分厚い厚底靴を履いている。

 

 

 

(地雷系だ…)

 

 

 明らかに、そうと分かる外見の少女は試験官の前で一礼する。

 

「受験番号13番、龍城 愛美(たつき まなみ)。よろしくお願いします。」

「こ、これから試験を開始する。先攻は受験生からだ。」

 

 

「…先攻、ドロー。速攻魔法、手札断殺を発動。互いに手札を二枚捨てて、新たに二枚ドロー。ジャイアントウィルスと異次元の女戦士を捨てて、2枚ドロー。」

「ふむ。私は猛進する剣角獣と岩石の巨兵を捨てて二枚ドローする。」

 

 

「私は、墓地の戦士族・光属性モンスターの異次元の女戦士、悪魔族・闇属性モンスターのジャイアントウィルスを除外。」

「な、何?!まさか、カオスソルジャー開闢の使者-か?!もう片方の、混沌帝龍終焉の使者は禁止カードになったから…。いや、学生ならカオス・ソーサラーか?」

 

 

 緊迫する試験官に対し、彼女はエースモンスターを繰り出す。

 

 

「カオスエンド・ルーラー-開闢と終焉の支配者-を特殊召喚。」

 

 

 出てきたモンスターを前に、試験官は思わずしりもちをつく。

 

 

「な、なななな何だ?!開闢と、終焉の支配者…?」

「ちなみに、このカードの特殊召喚は無効化されず、特殊召喚成功時に、互いにカード効果を発動出来ないから。」

「つまり、神の宣告や激流葬は発動出来ないという事か…。」

 

 

「魔法カード、手札抹殺。互いに手札をすべて捨てて、捨てた枚数分ドロー。クリッター、ブレイドナイト、遺言の仮面を捨てて3枚ドロー。」

「私は援軍、城壁、頼もしき守護者、救済のレイヤード、カオスライダーグスタフを捨てて、5枚ドローだ。」

 

 

「魔法カード、暗黒界の取引を発動。互いにカードを1枚ドローして、1枚捨てる。仮面魔獣デス・ガーディウスを墓地に捨てる。」

「私は辺境の大賢者を捨てる…。一体、何を狙っている?」

「どうかしました?」

「いや。君の場には強力なモンスターが居る。にも拘らず、君は手札交換カードを使っているからな。」

「狙いはあります。」

「ならば、見せて貰おう。」

「今、先生の墓地には、手札断殺で2枚、手札抹殺で5枚、暗黒界の取引で1枚、合わせて8枚のカードが墓地にあるはず。」

「その通りだ。」

 

 

 それを確認すると、彼女は高らかに宣言する。

 

「ライフを1000払い、効果発動…相手のフィールド・墓地のカードを全て除外し、その後、効果で除外した数×500ポイントのダメージを与える。」ライフ4000から3000

「何だって?!うわああああああ!」ライフ0

 

 

 

 

 まさかのワンターンキルに、会場は騒然とする!

 

 

『な、何だよあのモンスター』

『あんなの、勝てるわけが無い』

『ええい、うろたえるなお前達!モンスター効果にチェーンして、スキルドレインや天罰を発動すればいいだろうが!』

『『流石、万丈目さん!』』

 

 

『な、な、なんなんスか?!おきて破りのモンスターっス~!』

『禁止カードに指定された混沌帝龍でさえ、終焉の使者…。そのカードでさえ、自身も墓地へ送られる。だが、攻撃力3500が場に残るとは。まさに、支配者だな…』

 

 

 

 

 

 そんな中、一人のスタッフが鋭い眼光で睨んでいた。

 

 

「あのモンスターカード…もしや、三幻魔の力すら凌駕するのでは…?」

 

 

 蠢く敵は、冷徹に判断を下す。当然の事だ。影丸理事長に忠誠を誓うエージェントである彼は知っている。

 影丸理事長が、三幻魔を掌中に収めるために、どれほどの時間をこの計画に費やしたのかを。

 

 

 それを壊しかねない危険分子は排除せねばならない。何せ、今や仕上げの段階。

 計画のキーパーソン、デュエルモンスターズの精霊と心を通わす遊城十代を入学させるという事は特に問題ない。

 

 電車が遅延しようと、彼のご両親と鮫島校長は懇意の中。入学は出来る。ならば…。

 

 

「…ご報告します、大徳寺様。気がかりな受験生が…。はい、ではそのように。」

 

 

 

 彼には、結婚を控えた妹と、老いた祖母が居る。金はいくらあっても困らない。

 影丸理事長は、報酬だけはきっちりと支払ってくれる。

 

 

「…遅いぞ、『情報屋』、依頼だ。メールを送る。この女が関わった事件を可能な限り洗い出し、返信しろ」

 

 

 知り合いの伝手に仕事を任せつつ、表向きの実技試験をサポートする一職員として、速やかに、確実に事務仕事を処理する。

 

 

 

 送られてきたメールを確認し、職員は口角を軽く持ち上げる。

 

「アンティルールがらみの事件を20件…。これを批判材料にすれば」

 

 

 

 

 その後。職員会議にて。

 

 

「デュエルの内容はスプレンディード!まぁ、個性的なファッションセンスの持ち主デスーガ…」

「失礼します、実技担当最高責任者、クロノス・デ・メディチ様」

「どうしたノーネ?フルネームで呼ぶトーハ?」

「こちらをご確認ください。被害者から、彼女を告発するメールが送信されました。」

「ナンデスート?!ア、アンティルールを20件も起こしているノーネ?!」

 

 

「20件?!それは少し…」

「いや、挑まれた物かもしれないぞ?」

「待ちたまえ。あの外見のデュエリストに、アンティルールを仕掛けるか?」

 

 流れが不合格に傾いているが、まだ足りない。

 そもそも、このタイミングでのメールによる告発はかなり不自然。合格してから「こういう事件を起こした生徒を入学させるのか?」という形で報告するのが普通の流れ。

 

 

 だが、男はクロノス教諭をはじめとした職員から、日々の仕事っぷりから評価されている。

 

 そんな中、職員が駆け寄ってくる。彼は影丸理事長のエージェントでは無い。

 

 

「失礼します。大徳寺先生からお電話が入っております。」

 

 

『皆さん、お疲れ様ですのニャ。何か困った事はありませんかニャ?』

「大徳寺先生、こっちは特に問題ないノーネ」

 

「待ってください、クロノス教諭!実は大徳寺先生。受験生の一人について議論しておりまして…」

『どういう生徒さんですかニャ?』

「それが、中学生の時に、デュエルモンスターズがらみの事件を20件も起こしており」

『なんと。そんな生徒は栄光あるデュエルアカデミアの生徒にふさわしくありませんニャ。即刻、不合格にするべきですニャ』

 

 

 普段温厚で、めったに怒らない教員が冷淡に話した事で、その場の流れが変わる。

 

 

「確かに、大徳寺先生の言う事ももっともだ。」

「在学中に事件を起こされたら…」

 

 

 

 高い実力を示したが、何せ見た目が地雷系という事と、影丸理事長の息がかかった職員の暗躍もあり…。

 彼女には不合格通知が発送された。

 

 

 

 

 

 

 後日。

 

 

 

 

 

「…ねぇ、まなてゃ?デュエルアカデミアはどうだったの?」

 

 地雷系少女の親友は、友を愛称で呼ぶ。

 

 

「デュエルアカデミアは私と相性が悪かった。」

 

 つまり、落ちたという事か。

 見た目は地雷系なのに、こういう言いまわしを彼女は良く知っている。

 

 

「何がいけなかったのかな?先攻ワンターンキルは派手過ぎ?」

「まさか、実技試験であのカードを使ったの?!」

「使える物はなんでも使わないと。」

「それはそうだけど…。」

 

 

 きっと、あの効果にドン引きされたのだろう。

 

「まぁ、良かったんじゃない?アンティルールは禁止だけど、やっているという噂だし。」

「アンティ…。そもそも、アンティって互いの掛札が釣り合わないと成立しないよね?」

「そうね。」

「なら、何で私の開闢の使者をアンティで奪おうとする輩が後を絶たないの?釣り合うレアカードも提示出来ないのに」

「開闢の使者に匹敵するレアカードをアンティで奪っていたら、今頃大金持ちでしょ…」

 




 これがOCG化されるとは思っていませんでした。
 さすがに手札に干渉する効果は消されていますが、GXの時代ではカードパワーが強すぎる気がします。

 入学試験でパワーカードを使った場合、こういう風に排除されると思います。
 三幻魔覚醒を目論む計画の最終段階で計画をぶち壊しかねないイレギュラーであれば、内外示し合わせて不合格にするでしょう。
 最も、受験生の後見人がオーナーの海馬瀬人、あるいはペガサス会長だったり、神様による転生であれば別です。
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