デュエルアカデミア不合格列伝   作:交響魔人

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【デッキ破壊】に人権はありや?

 デュエルアカデミアの実技試験会場。

 多くが男子生徒を占める中、数少ない女子生徒が颯爽と会場へ入る。

 

 

 

「受験番号4番、如月 菫(きさらぎ すみれ)です。」

 

 

 綺麗な長髪の黒髪は後ろで束ねられており、ぱっつんと切りそろえられた前髪の下からは、勝気な瞳が試験官をじっと見据えている。

 同年代と比べてもメリハリのある体型であり、人目を引く容姿だ。

 

 

 

 

 

『『決闘!』』

 

 

如月 ライフ4000 デッキ35

手5 フィールド 

    魔法・罠 

試験官 ライフ4000 デッキ35

手5 フィールド 

    魔法・罠 

 

 

「先攻は受験生からだ。」

「自分の先攻、ドロー!自分はモンスターをセット。永続魔法、戦場の惨劇を発動!」

「何?その永続魔法はたしか…」

「カードを1枚伏せて、ターンエンド!」

 

 

如月 ライフ4000 デッキ34

手3 フィールド セットモンスター

    魔法・罠 戦場の惨劇 伏せ1

試験官 ライフ4000 デッキ35

手5 フィールド 

    魔法・罠 

 

 

「私のターン、ドロー!儀式魔法、ジャベリンビートルの契約を発動!」

「ジャベリンビートル専用の儀式魔法!」

「手札からレベル3の森の住人ウダン、レベル1のものマネ幻想師、レベル4のダーク・エルフを生け贄に!ジャベリンビートルを儀式召喚!」

 

 攻撃力2450の大型昆虫族モンスターが現れる!

 

「バトルだ、行け、ジャベリンビートル!セットモンスターを攻撃!」

「セットモンスターは、ニードルワーム!さぁ、デッキの上からカードを5枚墓地へ送ってもらおう!」

「やはり、その手のモンスターか」

 

 試験官のデッキから、剣の女王、落とし穴、太陽の戦士、バーニングソルジャー、見習い魔女が墓地へ送られる。

 

 

「このままターンエンド」

「エンドフェイズ、永続魔法、戦場の惨劇の効果発動!デッキからカードを5枚、墓地へ送ってもらおう!」

 

 

 試験官のデッキから、千年ゴーレム、名工虎鉄、ギロチン・クワガタ、闇魔界の戦士ダークソード、キャノン・ソルジャーが墓地へ送られる。

 

 

如月 ライフ4000 デッキ34

手3 フィールド 

    魔法・罠 戦場の惨劇 伏せ1

試験官 ライフ4000 デッキ24

手1 フィールド ジャベリンビートル

    魔法・罠 

 

 

「自分のターン、ドロー!魔法カード、浅すぎた墓穴を発動!互いに墓地のモンスターを裏側表示で復活させる。自分の墓地にはニードルワームのみ。よって、ニードルワームをセット!」

「ならば私は墓地から、闇魔界の戦士ダークソードを復活させる!」

 

 そのセリフを聞いた如月は少し困惑した様子を見せたが、デュエルを続ける。

 

「自分はこのままバトルフェイズに入る。だが、攻撃はせず、メインフェイズ2に入る!」

「何?そんな行為に何の意味が」

「永続魔法、戦場の惨劇の効果発動。モンスター同士が戦闘を行っていないターンの自分メインフェイズ2に、手札を1枚捨てる事で発動できる!デッキから「戦場の惨劇」1枚を選んで自分の魔法&罠ゾーンにセット!自分は超電磁タートルを捨てて、デッキから二枚目の戦場の惨劇をセット!そのまま発動する!」

「これで、10枚のデッキ破壊…!」

「モンスターをセットして、ターンエンドだ!」

 

 

 

 

如月 ライフ4000 デッキ32

手1 フィールド (ニードルワーム) セットモンスター

    魔法・罠 戦場の惨劇 戦場の惨劇 伏せ1

試験官 ライフ4000 デッキ24

手1 フィールド ジャベリンビートル (闇魔界の戦士ダークソード)

    魔法・罠 

 

 

「私のターン、ドロー!魔法カード、融合を発動!!」

「やはり。」

「なっ、何故気づいた?」

「貴方の墓地には、上級通常モンスター、千年ゴーレムがあった。また、墓地から剣の女王をセットする事も出来た。だが、あえて闇魔界の戦士ダークソードを復活させた。となれば、貴方の手札は融合、もしくは漆黒の闘龍のどちらか。今のドローで、足りないカードを引き当てた。違いますか?」

「いかにも。手札の漆黒の闘龍、場の闇魔界の戦士ダークソードを墓地に送り、闇魔界の竜騎士ダークソードを融合召喚!バトルだ、ジャベリンビートルで、セット状態のニードルワームを攻撃!」

「ならば、ニードルワームの効果発動!デッキの上からカードを5枚、墓地へ送ってもらう!」

 

 

 試験官のデッキから、ネオバグ、シーカーメン、妖精王オベロン、魔法のランプ、ならず者傭兵部隊が墓地へ送られる。

 

「闇魔界の竜騎士ダークソードで、セットモンスターを攻撃!」

「クリッターの効果発動!自分はデッキからネクロフェイスを手札に加える!」

「…ターンエンド。」

「ここで、永続魔法、戦場の惨劇の効果発動!さぁ、デッキの上から10枚、カードを墓地へ送ってもらう!」

 

 

 試験官のデッキから、白兵戦、コスモクイーン、ホーリー・エルフの祝福、タルワール・デーモン、青い忍者、闇、レインボー・フラワー、プリヴェント・ラット、キラー・トマト、赤い忍者の10枚が墓地へ送られる。

 

 

 

 

如月 ライフ4000 デッキ31

手2 フィールド 

    魔法・罠 戦場の惨劇 戦場の惨劇 伏せ1

試験官 ライフ4000 デッキ8

手0 フィールド ジャベリンビートル 闇魔界の竜騎士ダークソード

    魔法・罠 

 

 

「自分のターン、ドロー!魔法カード、闇の誘惑を発動!デッキからカードを2枚ドローして、その後、手札の闇属性モンスターを除外!自分は、ネクロフェイスを除外する!」

「ネクロフェイス…!その効果は確か!」

「ゲームから除外された事で、効果発動!互いにデッキの上からカードを5枚除外する!」

 

 

 如月のデッキから、手札抹殺、月の書、光の護封剣、メタモルポット、太陽の書が除外され、

 試験官のデッキから、隼の騎士、白衣の天使、戦士ダイ・グレファー、ホーリー・エルフ、治療の神デイアン・ケトが除外される。

 

 

 

「私はモンスターをセット。これでターンエンドだ!」

 

 

 

 

 

如月 ライフ4000 デッキ23

手2 フィールド セットモンスター

    魔法・罠 戦場の惨劇 戦場の惨劇 伏せ1

試験官 ライフ4000 デッキ3

手0 フィールド ジャベリンビートル 闇魔界の竜騎士ダークソード

    魔法・罠 

 

 

「…君は、勝ったと思っているのだろう?」

「否。まだ貴方のデッキが残っている。勝ったと思うのは、勝敗が決してから。」

「このデッキには、まだモンスターカードが一枚だけ残っている。それを引き当てれば…勝てる可能性がある。私のターン、ドロー!私は、悪魔の調理師を召喚!」

「攻撃力1800…。」

「バトルだ!悪魔の調理師でセットモンスターを攻撃!」

「自分のセッモンスターは、悪魔の偵察者!リバース効果発動!デッキからカードを3枚ドローしてもらう。ただし、その中の魔法カードは全て捨てて貰う!」

「…私が引いたのは、黒いペンダントとツイスター。どちらも捨てる。そして…悪魔の偵察者の効果で3枚目のドローが出来ない。私の負けだ。」

 

 

 

「試験終了。おめでとう、君の勝利だ。最後に一つだけいいか?君の伏せカードは何だったんだ?」

「魔宮の賄賂です。」

「なるほど。合否は追って通知する。」

「ありがとうございました。」

 

 

 丁寧に一礼し、彼女は会場を去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 礼儀正しく、相手のプレイングから手札を推察する洞察力、デッキ破壊があと少しで完了するという状況でも慢心しない姿勢。

 だが彼女の入学については大激論となった。

 

 

「デッキ破壊使いを入学させるのは…。そもそも、デュエルモンスターズとはライフを削りあってこそ」

「デッキ破壊で敗北した決闘者はデッキとの信頼関係が失われ、二度とそのデッキを手に取らなくなるという。他の生徒のモチベーション低下に繋がるのでは?」

「デッキ破壊は相手のデッキを破壊し、絆を断ち切る行為ナノーネ!」

 

 

 

 【デッキ破壊】自体がマイナーかつ否定的に思われる戦術という事もあり、彼女には不合格判定が出た。

 

 

 

 

 

 

 デュエルアカデミア不合格通知は、少なからず如月少女に影響を齎した。

 オーナーの海馬瀬人はデッキ破壊を戦術として使う。そんな彼が作った学校ならば、自分の【デッキ破壊】をさらに研鑽させられるのではないか?

 

 だが、突き付けられた現実は拒絶。

 そんな彼女は、地元の不良少年とその手下たちと対峙する。

 

 

「聞いたぜ?なんでも、デュエルアカデミアで不合格だったそうじゃないか?」

「…お前には関係ない。」

「ハンッ!今日はお前に確実に勝てるデッキを用意した。覚悟しろ!」

「いいだろう。ならばその思惑ごと、お前のデッキを破壊しつくしてやろう!」

 

 

 尭天 弓魚(ぎょうてん ゆみお)は、ニヤニヤと底意地の悪そうな顔で、デュエルディスクを構える。

 

 

 

 

 

 彼は無理やりアンティルールでレアカードを奪って、デッキを強化していた。正義感が強く、見過ごせない彼女は4回打ち負かした。

 

 確実に勝てるデッキと言っても、関係ない。自分が選んだ戦術、ライフポイントではなく、デッキの枚数を減らして勝つ、デッキ破壊という信念を貫くだけ。

 

 

 

如月 ライフ4000 デッキ15

手2 フィールド セットモンスター

    魔法・罠 戦場の惨劇 戦場の惨劇 戦場の惨劇 

尭天 ライフ4000 デッキ1

手4 フィールド 

    魔法・罠 伏せ1

 

 

「自分はこれでターンエンドだ。」

「けっ、お前。勝ったと思っているだろう?」

「そんな事は無い。ここから逆転される可能性はある。だからこそ、最後まで気を抜くことはしない!」

「うるせぇ!お前はもう終わっているんだよ!俺のターン、ドロー!これで、俺のデッキはとうとう0枚になっちまった…。だが、ここからお前は負ける!」

「ならば自分を打ち負かせばいい。出来るというなら、な。」

「魔法カード、生者の書-禁断の呪術を発動!お前の墓地からネクロフェイスを除外して、俺の墓地からワイトキングを特殊召喚!」

「ワイトキング…!墓地のワイトの数だけ攻撃力をアップするモンスター、だが、ワイトとワイトキングのみである以上、攻撃力は最大で5000のはず!何故、攻撃力が8000になっている!」

「ワイト夫人は墓地に存在する限り、ワイトとして扱う!そして忘れてないだろうな?ネクロフェイスが除外された事で。」

 

 ネクロフェイスが異次元に消え、それと同時にデッキの上からカードが5枚飛び出る。

 

 

「くっ…。自分のデッキから5枚のカードを除外する。本来ならばお前のデッキも除外されるのだが…すでに、お前のデッキは無いから無意味か…。」

「まだまだ!二枚目の生者の書-禁断の呪術を発動!お前の墓地から二枚目のネクロフェイスを除外して、墓地からワイトキングを特殊召喚だぁ!」

「ま、またしても!だが、まだ自分のデッキは残る…!それに!」

 

 デッキ残り5枚。嫌な予感がしているが、それでも彼女の心は折れない。

 

 

「これで、自分のネクロフェイスは全て除外された!どうやら自分のネクロフェイスの効果を逆手にとってデッキ破壊を目論んでいたようだが、これ以上、私のデッキを破壊する事は」

 

「速攻魔法発動ぉ!異次元からの埋葬!」

「な、何?!」

「除外されているお前のネクロフェイス3枚を墓地へ戻す!三枚目の生者の書-禁断の呪術を発動!お前の墓地からネクロフェイスを除外して、墓地からワイトキングを特殊召喚!」

「くっ、こ、こんな事が…!」

 

 

 攻撃力6000のワイトキングが並び、彼女のデッキは尽きてしまった。

 このままターンエンドされれば、デッキ切れで負けてしまう。

 攻撃してくれれば、セットしていたメタモルポットの効果により、互いに5枚ドローする効果で引き分けに持ち込めるが、ここで攻撃するほど愚かでは無い。

 

 

「魔法カード、シールドクラッシュ!お前のセットモンスターを破壊だぁ!」

「な、何!」

 

 

 メタモルポットが裏側守備表示のまま破壊され、如月の表情が絶望に染まっていく。

 

 

「バトルだ!さぁ、選べ!墓地の超電磁タートルを使うか、それともこのままダイレクトアタックを受けて負けるか!」

「じ、自分は…。自分はっ!墓地から超電磁タートルを除外して効果発動!バトルフェイズを終了する!」

「あーあ…攻撃を止められちまったぁ…。仕方ないなぁ、俺はこのままターンエンドだ。」

「くっ…。」

 

 

「さぁ、どうした?お前のターンだぜ。カードを引けよ。」

「じ、自分は…カードを引けない…。デッキにカードが残されていないから…。自分の、負け、だ…」

 

 

 

 負けを認めた瞬間、周りの取り巻き達が大爆笑する!

 

 

「ギャハハハハ!見ろよ、デッキ破壊がデッキ破壊されてらぁ!」

「ざまぁねぇな!」

「だからデュエルアカデミアにも落ちるんだよ!」

「これに懲りたら、もう俺達の邪魔をするんじゃねぇぞ!」

 

 

 

 【デッキ破壊】は嫌われる戦術。勝っても大ブーイングが巻き起こり、負ければこのように嘲笑される。

 そんな事は、如月少女は分かっていた。だが、それでもいつかは。

 

 自分をデュエリストとして認め、切磋琢磨しあえる相手と巡り合える。

 その想いはこの日、完全に踏みにじられることとなる…。

 




どれほど誠実で人格者だったとしても、デッキ破壊使いと言うだけで色眼鏡で見られると思います。
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