IS〜転生者は楽しみたい〜   作:聖命蓮

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昼休みの談合

 

〜side蓮矢〜

 

 

 

━昼休み・生徒会室━

 

 

楯無「蓮矢、聞いたわよ?セシリアちゃんと闘うんですって?」

 

蓮矢「・・・情報回るの早くない?」

 

 

生徒会室で昼ごはんを食べるために訪れたオレと本音、簪を待っていたのは、

会長席に満面の笑みを浮かべたゲンドウポーズをしている楯無と、壁際でお茶を入れていた虚さんだった。

 

まぁ、いつメンですわ。

 

 

皆が揃って各々が昼ごはんを食べ始めた時に、何の脈絡もなく、楯無が先程のセリフをぶっ込んできたのだ。

 

 

蓮矢「まぁ、オレはあくまでついでだよついで。メインは織斑一夏とオルコットの2人。

っていうか、1年に広まってるならまだしも、2、3年にもその話広まってるの?」

 

虚「そうね。私も話だけは聞いたわ。どういう経緯でそうなったのかは知らないけれど・・・。」

 

楯無「私も虚ちゃんと同じ感じね。

・・・ねぇ蓮矢、どうしてそんなことになったの?」

 

蓮矢「う〜んとね・・・。」

 

 

2人に聞かれたオレは正直に話すことにした。

だってねぇ?オルコットとの『ゲーム』で決まったのは『レコーダーの録音消去』であって、『内容を話さない』ってワケじゃないからな。

 

代表候補生サマとあろうお方が詰めの甘いこって・・・。

 

 

蓮矢「━━━と、まあこんな感じかな?

あ、一応言って置くけど、オレ個人としてはこれ以上問題を大きくしたくないから、ここだけの話にして欲しいんだけど?」

 

 

一通り話し終えたオレは、自身の希望を付け加える。

別にオルコットのことは嫌ってる訳じゃないからね。

但し、織斑テメーはダメだ。

 

 

楯無「う〜ん・・・。蓮矢がそういうならコチラからは特に何もしないわ。

国に報告したところで、子供の戯言と言われてしまえばそれまでだもの。

 

それより問題なのは、もう1人の男(織斑一夏)の方ね・・・」

 

 

バッと扇子を開きながら、ため息を着く楯無。扇子には、『問題児』と書かれていた。

 

 

虚「そうですね。蓮矢くんと違って自分の立場を理解していないようですし・・・」

 

 

困ったわぁ、と言わんばかりに頬に手を当てる虚さん。

でもまぁ、言わんとすることは何となく分かる。

 

織斑一夏(アイツ)は自分のコトを客観視出来ていない気がする。おまけで浅慮で常識知らずときたもんだ。

今まで何して過ごしてきたんだろうかと不思議に思うレベルである。

 

 

蓮矢「今まで甘やかされて過ごして来たんだろうね。なんてったって、天下のブリュンヒルデがバックに構えて睨みを効かせてるんだから、それだけで周りからはチヤホヤされるし、不埒な輩は排除できてたろうよ。

織斑に関しては、トラブルを避ける意味でも、コチラからはノータッチ、向こうから来たら最低限の対応でいかせてもらおうかね」

 

 

織斑の扱いについて言うと皆が一様に頷く。

とりあえずは皆も同じようなスタンスで行くみたいだな。

簪が異様に力強く頷いてるのが気になるけど・・・。

 

 

本音「・・・でさ〜?れんれんはどうするの〜?クラス代表とは関係ないけど、一応2人と闘うんだよね〜?」

 

 

本音がモッキュモッキュと弁当を食べながら聞いてくる。

多分本音が聞きたいのは、どの機体を使うのかってことだろう。

 

機体かぁ・・・どうするかなぁ・・・?

 

 

蓮矢「別にデータ取るだけなら、何使ってもいいんだけど・・・。強いて言うなら、そこそこ機動力ある機体の方がいいかな?」

 

楯無「そうなると・・・学園にある訓練機だと『ラファール』になるわね。

1機だけイタリアの『テンペスタ』があるけど、欧州系の人達から人気で予約で一杯なのよ。最低でも2週間待ちよ。」

 

蓮矢「へ〜、テンペスタがあるんだ?シェア率でいったらアメリカの『ファング』の方がありそうなのに?」

 

虚「ファングもあるにはありますけど、デザインで敬遠されがちなんですよね・・・。」

 

 

デザインねぇ?

確かにファングは『力こそパワー』を地で行く『デカくてゴツい』機体ではあるが、安定性と稼動効率がウリである。とはいえ、花の女子高生にはその『無骨さ』はあんまり理解できないんだろうな。

 

 

楯無「っていうか蓮矢、あなたホテルに軟禁される前に『工房』に行ってたんでしょ?篠ノ之博士から専用機渡されたりしなかったの?」

 

 

こちらをジトっとした目で見てくる楯無。

バカな・・・なぜバレて・・・。いや、簪か本音経由なら何時でも知れるか・・・。

それなら隠す必要もなし。

 

 

蓮矢「『専用機』は渡されなかったよ?

━━━代わりに『I()S()()()』渡されたけど。」

 

楯無・簪・虚「は?」

 

 

目が点になる3人。

ん?本音がいないって?本音なら飯食い終わって早々に寝たよ、俺の膝を枕にして。

 

あ、コラ。涎を垂らすのは止めなさい。

 

 

虚「で、でも、蓮矢くんからはISの反応はありませんでしたよ?ですよね、お嬢様?」

 

楯無「え、ええ。現に、私のミステリアス・レイディは何も反応してないわ。蓮矢、ISコアって今持ってるの?」

 

蓮矢「持ってるも何も、これだよコレ。」

 

 

オレは顳かみのところに付けている『星のついたヘアピン』を指で指す。

 

 

蓮矢「コレが今の待機状態。コールすれば━━━ほら。」

 

 

ヘアピンが消え、代わりにオレの手のひらの上に現れる紫色の水晶体━━━オレの専用機の━━━『ISコア』

 

 

簪「ホントだ・・・。ホントにISのコアだ。

 

 

━━━でも、なんで?」

 

 

大分アバウトな聞き方をしてくる簪。

まぁ、聞きたいであろう事は何となく分かるよ?付き合い長いから。

 

 

蓮矢「オレちょくちょく工房に通ってたじゃん?

あれ、束姉に会いに行くついでにデータ取りも一緒にやってたんだよね。シミュレーターでISを動かしたりしてさ。

オレとしては束姉の夢に少しでも協力出来たらって考えてたんだけど、肝心要の束姉本人はオレにプレゼントする専用機のデータ採取の為だったらしいけどね。

得意な獲物、距離。逆に苦手なコトは。とか色々調べた結果━━━高水準のバランス型だと言うことが分かったらしい。」

 

楯無「高水準の?」

 

簪「バランス型?」

 

虚「ですか?」

 

本音「むにゃぁ・・・」

 

 

4人それぞれが反応する。

いや、本音は寝言みたいだけど・・・まぁいいや。

 

 

蓮矢「近距離(クロスレンジ)遠距離(アウトレンジ)関係なく、平均以上に動けて、獲物もこれといって不得意なものもない。

BT適性もあったみたいで、それなりの数のビットも動かせる。その他も色々。

これといって突出した部分がないのが現状のオレ、みたい。」

 

楯無「・・・何それ怖っ。」

 

 

地味に傷つくから怖いとか言うなよ。

心は硝子だぞ。

 

 

蓮矢「━━━んで、ここで束姉は困ったワケだ。

何かを突出させた『特化型』の機体にするか、それとも『バランスが取れた性能』の機体にすべきなのか。

『特化型』にすれば、面白そうな機体が出来るかもしれないけど、特化されなかった所が所謂『死にステ』になる。

『バランス型』にすれば、『死にステ』は無くなるかもしれないけど、面白みに欠ける。

 

悩んだ挙句、束姉のとった行動は━━━『オレに全部丸投げする』コトだった。」

 

 

ちゃんちゃん。とコアを受け取った経緯をざっくりと説明したのだが・・・

 

 

楯無・簪・虚「━━━━━━━━━。」

 

 

目の前の3人は宇宙猫みたいな顔になっている。

更識姉妹はともかく、虚さんのこの表情はかなり貴重だな。

 

 

蓮矢「そういえば、最初の質問にまだ答えてなかったね?

なんでISを持ってるのにセンサーが反応しないのか。

答えは『コアネットワークに繋いでいないから』だね。ゲームで言うところの『オフライン状態』って言えばいいかな?

色々と機能は制限されるけど、代わりにネットワークを使ったセンサーに一切反応しなくなるんだよね。

まあ、コレ見つけたの束姉なんだけどね。」

 

 

いつもの思いつきで、束が「自分で命名しておいてなんだけど、『コアネットワーク』ってオフラインにできたりしないかな?」って言い出し、ものの5分程で、やり方を確立してのけた。

マジでなんなのあの人・・・。

 

 

蓮矢「んで、今は設計図を引いてる段階だね。『実験機』として使う気満々だから、色々詰め込むつもりなんだよね。

 

━━━で、試しにこんなものを組んでみたんだけど・・・。」

 

 

拡張領域から取り出したのは愛用のノートPC。

カタカタとキーボードを叩いてから表示された画面を3人に見せる。

3人が画面を覗き込み━━━

 

 

簪「━━━何コレ、すっごく複雑なソースコード・・・。」

 

楯無「『並列思考』『演算処理』『言語理解』に『会話ルーチン』?」

 

虚「━━━━━!?蓮矢くん。これって」

 

 

簪が大量にある複雑なソースコードの数に引いていて、楯無は、読み取れたコードの内容を口にする。

あ、虚さんが気づいたっぽいな。

流石束姉の弟子、伊達じゃない。

 

 

蓮矢「虚さんは気づいたみたいだね。

このプログラムは束姉とクロエさん監修の元、制作した『AIの基礎プログラム』だよ。」

 

 

トントンと、PCの画面を指で小突きながらそう言うと、虚さんはやっぱりと言わんばかりの顔に、更識姉妹は首を傾げている。

見えはしないが漫画的な表現だと、頭の上に?マークが浮かんでいるような感じの顔だ。

 

 

楯無「・・・その『AIの基礎プログラム』?を作って一体どうするの?」

 

 

どうするの?って言われても・・・

 

 

蓮矢「どうするも何も、ISコアに『喰わせる』んだけど?」

 

楯無「はい?」

 

蓮矢「時に姉さんや?ISには『コア人格』なるものがあるって話、聞いたことある?」

 

楯無「え?え、ええ。聞いたことはあるわよ?長いこと専用機に乗っていると、専用機の『意思』って言うのかしら?それが感じられる時があるって━━━

 

・・・え?ちょっと待って、蓮矢?まさかあなた・・・。」

 

 

急に話題が切り替わったからか、楯無が困惑気味に答え━━━何かに気付く。

 

 

蓮矢「多分、そのまさかかなぁ〜?

この『基礎プログラム』をISにぶち込んだら、コア人格と意思疎通が出来るようになるのか、っていう検証」

 

 

楯無、虚の2人は「やっぱり・・・」と言わんばかりに溜息をつき、答えを予想していなかった簪は目を見開き驚いている。

 

 

蓮矢「まぁ、その辺のシステム面が定まってからだね、本腰入れて専用機の製作に入るのは。

あ、虚さん。製作の時はお願いしても良いですか?」

 

虚「ええ。良いですよ。

 

とはいえ、まずは簪さまの機体を完成させないと、ですが・・・」

 

 

━━━なんですと?

 

 

蓮矢「簪の機体?・・・え、もしかして、『工房製』じゃないのか?」

 

 

簪に視線を向けながら問う。

 

 

簪「・・・うん。私の専用機の担当は『倉持技研』━━━主に『打鉄』をメインに作ってるとこ。」

 

蓮矢「なんでまた?束姉(知り合い)がいるところの方が融通効くだろ?」

 

楯無「知らないの?代表候補生の乗る専用機はIS委員会が担当企業(スポンサー)を決めるの。

よっぽどの事がない限り担当の変更は出来ないのよ。現に私もそうだしね?」

 

 

へぇ〜。知らんかった。

それでかねぇ?原作でも簪が倉持から鞍替えしなかった理由は。

結局、簪が機体を引き取って完成までもっていってたし。

 

でもまさかこの世界でもかぁ・・・。

恐らく・・・いや間違いなく、織斑の『白式』にリソースを割いているからだろ?簪の専用機の開発が滞っているのって。

後フォローもなくほっぽり出すだけとかマジで終わってると思う。まぁ、何が言いたいかと言うと━━━倉持・・・救いようがねぇな!ってこと。

 

 

でも結局の所、『倉持』が作る『弐式』と、この世界の『布仏姉妹(束の弟子)』が作る『弐式』だったら間違いなく後者の方が性能良いと思う。

 

それこそ、殆ど『工房製』って言っても過言じゃないと思えるほどの腕前だからね。

 

 

蓮矢「━━━なら、とりあえずはオレも簪の専用機を作る手伝いでもしてようかな?

合間合間に武装をひとつふたつ作って、オルコットとアホ斑にぶつけとけば良いでしょ。」

 

本音「むにゃ・・・セッシーはともかく、おりむーはメタメタでいいでしょー・・・Zzz」

 

 

最早寝言か本心か分からないレベルの言葉が本音から放たれる。

 

 

・・・おいバカ。モゾモゾするな、顔をオレの股間方向に向けるな。オレのサンダルフォンが最後の剣(ハルヴァンヘレヴ)しちまうから。

やめろッ!深呼吸するんじゃぁない!!

 

 

簪「・・・本音がそこまで言うレベルで嫌ってるってなかなかないね?」

 

蓮矢「それな〜?なんでだろうな?オルコットならともかく、織斑を嫌ってるワケが分からん。

 

ま、オレも織斑キライだけど。」

 

虚「蓮矢くん。人目がないからって言っても口にするのは良くないですよ?」

 

 

虚さんに窘められ、ちょっと小さくなる(反省)

こう言われたら、反発しようにも出来んよ。

 

 

蓮矢「━━━んじゃ、放課後に簪の専用機の組み上げに手を貸すとするわ。数日のうちはアリーナの使用許可も降りないだろうし・・・。イメトレもいいけど、ある程度は体も動かしておきたいからな。

 

おーい。本音〜?起きろ〜?(ほっぺペシペシ)」

 

本音「うにゅ〜・・・あと5分・・・。」

 

 

そう言って起きた試しが無いんだよなぁ・・・。

仕方ない。ココは心を鬼にして・・・。

 

 

蓮矢「・・・袖に仕込んでるお菓子を没収するぞ」

 

本音「起きたぁ〜」

 

 

なんて早い手のひら返し。オレじゃなきゃ見逃しちゃうね。

 

 

簪「なんて早い手のひら返し。オレじゃなきゃ見逃しちゃうね。って顔してるよ?」

 

 

なにィ!?簪、キサマッ!読んでいるな!?

 

 

簪「今度は、キサマッ!読んでいるな!?って顔してる。

蓮矢はネタに走る時ちょっとだけ雰囲気が変わるもの。」

 

 

ダニィ!?

・・・ここまでにしとこう。キリがなくなる。

 

 

蓮矢「━━━ほれ、本音〜?教室戻るぞ〜?」

 

本音「む〜〜〜。・・・・・・おんぶ。」

 

 

背負えと手を広げてアピールする本音。

目元がいつも以上にとろんとしてる。

下手すりゃまた寝るな。

 

 

蓮矢「・・・分かったよ。ほれおいで。」

 

 

本音に背中を向けてしゃがみ、背負う体勢にはいる。

本音は目をぐしぐしと擦りながら背中に身体を預けて・・・。

 

 

蓮矢「━━━んじゃ簪、放課後な。」

 

本音「またね〜」

 

 

他のメンツに一言言ってから本音を背負い、生徒会室を後にするのだった。

 

 

 

〜side蓮矢out〜

 

 

 

ー蓮矢、本音が居なくなった後の生徒会室ー

 

 

簪「いいなぁ・・・おんぶしてもらって・・・」

 

楯無「お姉ちゃんならいつでもしてあげるわよ?」

 

簪「・・・お姉ちゃんのバカ。」

 

楯無「なんで!?」

 

虚「(お嬢様・・・少しは空気読んでください・・・。)」

 

 

緩い空気になっていた。

 





作者です。
日常回を挟みました。やっぱり日常回はネタに走ってなんぼよ。
そして、今回の話のどこかに主人公の専用機のヒントを仕込みました。何かわかるかな?

次回は放課後━━━弐式組み立て回ですね。

お楽しみに
以上作者でした。
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