〜side蓮矢〜
千冬「織斑、来週の代表決定戦についてだが、政府から専用機が用意されることになった」
学園入学二日目、朝のHRは織斑センセーから放たれたこの言葉から始まった。
━━━もっとも、言われた本人である織斑はなんの事だ?と言わんばかりに首を傾げているが・・・。
それを見た織斑センセーが小さくため息を吐いてから
千冬「・・・・・・織斑、昨日渡した参考書の36ページ、上から2行目を音読しろ」
そう言われた織斑は自分の机から参考書を取り出し、言われた箇所を読み始める。
一夏「えーと・・・ISコアは現在、全世界で467個しかない━━━?」
それでも『意味』が分からないのか首を傾げている織斑。
察しが悪いなと考えていると、織斑の隣にクラスメイトの1人がスススッと近寄って行き
クラスメイト「そのうちの貴重な1つを織斑君用に貸してくれるってことだよ」
一夏「・・・あぁ、そういうことか」
助け舟を出すコトで漸く理解できたのか、なるほどと手を打ち、頷いていた。
クラスメイト「織斑君に専用機?」
クラスメイト「いいなぁ、羨ましい・・・」
クラスメイト「1年のこの時期に専用機って・・・」
周りのクラスメイト達も徐々に騒ぎ始めてきた。
反応は純粋に驚く者、専用機が渡されることを羨む者、変な勘繰りをする者。実に様々だ。
そして、そうなると次に出てくる話は━━━
クラスメイト「・・・ってコトは、更識君にも専用機が?」
こういう話題である。
その言葉が耳に届いたのか、織斑センセーは若干言いづらそうにしながら
千冬「・・・で、だ。更識については━━━」
蓮矢「まぁ、ある訳ないでしょうね」
センセーの言い終わる前に横から口を出す。
オレからすれば既に調べが付いていることだし、その事を知っているからその様に言ったワケなのだが・・・。
一夏「・・・なんでそう言い切れるんだよ」
若干ムッとした様子の織斑がややケンカ腰に言ってくる。
オレはホントに分かんねぇのか?と言わんばかりにやれやれと肩をすくませながら、説明を開始する。
蓮矢「・・・さっきの話聞いてたか?ISコアは超貴重品なんだぞ?それこそ1つ捻出するのにどれだけの時間を掛けた会議が行われると思ってんだ?1日2日じゃ効かねぇんだからな?」
一夏「だからって━━━」
蓮矢「・・・理由その2、作る為の時間が少なすぎる。年明け早々に世間バレしたテメェと違って、オレが動かせるって判明したのは2週間前だ。
機体を組み上げるのにどれだけ時間が掛かるのか分かってるか?
一夏「で、でも━━━」
簪の件が思い浮かび語気が強くなるが、尚も納得する様子の無い織斑に、嫌気が刺してきたオレは最後の理由を述べる。
蓮矢「理由その3━━━もし、コアが1つしか無かった場合、
一夏「な!?千冬姉は関係ないだろ!」
蓮矢「あるんだよボケナス。
少なくとも、
姉のことを話に出され、言葉を荒らげ睨みつける織斑をオレは一蹴する。
クラスメイト「やっぱり、千冬様の弟だから・・・」
クラスメイト「そりゃそうなるよね・・・」
周りもヒソヒソと話し始める。いずれも、オレの言葉に同意する声が散見された。
その声が織斑の耳にも聞こえたのだろう、バッと織斑センセーの方を見る。
その視線に気づいたセンセーは露骨に視線を逸らした。
いけませんねぇ?その反応は『肯定』してるも同然だぜ?
いくらポーカーフェイス決め込んでても、態度に出ていたら意味ねぇし・・・
クラスメイト「あの先生っ!篠ノ之さんってもしかして篠ノ之博士の関係者なんでしょうか?」
クラスメイトの1人が織斑センセーに質問をする。
恐らくは織斑が姉の関係者だったから専用機を貰えたのであれば、箒も束の関係者であるならもしかして━━━と邪推しての言葉なのだろう。
その質問に対し、織斑センセーは━━━
千冬「・・・そうだ。篠ノ之はアイツの妹だ。」
箒は篠ノ之束の妹であるコトをあっさりと認めたことでクラスメイト達がザワザワと騒ぎ始めた。
蓮矢(いやいや、個人情報簡単にバラしてんじゃねぇよ。
警備の大変さをまるで理解していない発言に内心苛立ちを覚えるが、周りは全く気付かない。
クラスメイト「す、すごい!このクラス有名人の身内が2人もいる!」
クラスメイト「ねぇねぇ!篠ノ之博士ってどんな人!?やっぱり天才なの!?」
クラスメイト「篠ノ之さんも天才だったりする!?今度ISの操縦教えてよ!」
一応まだHRの最中なのだが、クラスメイト達は興奮した様子で矢継ぎ早に質問をぶつけ始める。━━━だが、
━━━バンッ!!
箒「あの人は関係ないっ!!」
勢いよく机を叩いて立ち上がり、叫ぶ箒。
箒が突然叫んだことで、先程まで騒いでいたクラスメイト達も静まり返る。
箒「・・・私はあの人じゃない!教えられるようなことも何も無い!」
フンッと鼻息荒くして言い切ったあと、立ち上がった時と同じように、勢いよく座る箒。周りのクラスメイト達は困惑しているのか、皆ポカン顔だ。
蓮矢「プッw」
・・・失敬。笑ってしまった。
みんなのポカン顔にじゃない。箒の言葉に、だ。
だって━━━ねぇ?
今の言葉は昨日の晩飯時に聞いた話と矛盾してるんだもの、そりゃあ笑っちまうってもんよ。
蓮矢「━━━!・・・・・・。」
その時、不意にオレに向けての殺気を感じ取ったが、表情に出すことなく、そのまま瞠目し流れるように出処を探り始める。
蓮矢(・・・教室の前の方・・・正面・・・いや、ちょい右か?)
頭の中で席順を思い浮かべていき、ダダ漏れになっている殺気の主を特定する。
蓮矢(━━━━━━っ。やっぱりテメェかよ・・・)
人物の特定に成功したものの、ココロの中で舌打ちする。
蓮矢(昨日一切絡んで来なかったから、てっきりアイツの頭ン中からオレは消え去ったモンかと思ってたんだが・・・。ちょいと認識が甘かったかねぇ?)
薄く目を開け、こちらに向けて『殺気を飛ばしてくる人物』の方を見る。
視線の先に居たのは━━━
箒「・・・・・・・・・・・・・・・」
まるで親の仇でも見るかの様にオレを睨みつけている箒がいた。
あの様子じゃ、何か危害を加えてくるかもしれん、要警戒だな。
千冬「・・・・・・ゴホン!HRは以上だ。1限目の授業に遅れないよう準備しておけ、以上!」
織斑センセーはこの場の雰囲気に居た堪れなくなったのか、そう言い残してさっさと教室から出て行った。山田先生もその後ろをパタパタと追いかけて行く。
━━━というか居たんですね?山田先生・・・。織斑センセーの存在感に飲まれて気づきませんでした・・・すんません。
蓮矢(・・・とりあえず、次の授業の準備でも━━━)
セシリア「━━━でも安心致しましたわ。訓練機だから負けた等と言い訳されても困りますから。
・・・まぁ?勝負の結果は見えていますけどね?」
一夏「・・・?なんで?」
セシリア「あら、ご存知ないのね?いいですわ、教えて差し上げましょう。私━━セシリア・オルコットはイギリスの代表候補生。つまりは、現時点で専用機を持っていますの。」
一夏「へぇー」
セシリア「・・・なんですの?その気の抜けた返事は?バカにしてますの?」
・・・・・・なんでお二人ともオレの席の隣で喋ってるんですかね?
近いよ、距離が!物理的に!
巻き込まれたくないから離れてやってくれよぉ・・・。
一夏「でもそれなら、蓮矢はどうなるんだよ?オレと違って、専用機ないんだろ?」
ほらァ!思った傍から巻き込まれたァ!
フラグ回収が早すぎるんよ。
セシリア「━━━そういえばそうでしたわね。・・・残念ですわ。蓮矢さんとなら
あれま?なんでか知らんが、セシリアからの評価が中々に高い?
なして?
蓮矢「・・・おや?イギリスの代表候補生サマにそこまで買って頂けるとは、光栄ですね?」
セシリア「・・・何やらカベの様なものを感じますわね?蓮矢さんにはセシリアと名前で呼んでもらいたいですわ。」
だ・か・らぁ!なんでそんなに好感度高いの!?まだ、代表決定戦前だよ!?
ここまででセシリアにやったコトっていえば
・めっちゃおちょくった
・
・強制的に謝らせた
くらいだよな?それで、なんでこんなに好感度が上がってるん?
蓮矢「え〜と?オルコットさ━━━「セシリアとお呼びになって下さいませ?」・・・セシリア?なにゆえそんなにオレの評価高いんですん?」
せ、セリフに被せてきたよ、このお嬢様。
名前呼びしないといつまでも先に進まないと判断したオレはセシリアを名前呼びして問う。
セシリアは名前呼びされたことに気分を良くしたのか、微笑みながら答え始めた。
セシリア「━━━蓮矢さんは、私の過ちを指摘するどころか、その訂正の機会まで下さいましたわ。その際に行った『ジャンケン』でも、私の考えを見抜く思考と洞察力・・・素晴らしいものでしたわ」
蓮矢「お、おう・・・?」
なんかべた褒めなんですけど!?
やっべ、何か恥ずかしくなってきた。
セシリア「そんな蓮矢さんが駆る専用機が相手であればいい勝負が出来ると思っていたのです・・・。ですが━━━」
先程まで笑みを浮かべていたところから一転し、何やら寂しげな表情になるセシリア。
その表情に、本当にオレとの勝負を心待ちにしていたんだなと思わせるだけのモノを感じた。
オレはセシリアを正面に見据えて
蓮矢「━━━セシリア
訓練機だからって舐めてかかってきたら足元掬うからな?」
ちょっとだけ圧を掛けて言い放つ。
言われたセシリアは驚いたと言わんばかりに目をぱちぱちと瞬かせていた。
蓮矢「お前との勝負が楽しみなのはオレも同じだ。だがな、専用機じゃないからって理由で本気で戦わないってのは話が違うってモンだろ?」
そこまで言うとセシリアはハッとした様な顔になり、次いでフッと不敵な笑みを浮かべ
セシリア「・・・そうですわね。蓮矢さんであれば、機体の性能差なんて簡単に覆すのでしょうね・・・。
分かりましたわ。蓮矢さん、全力で迎え撃たせてもらいますわ!」
蓮矢「おうよ、期待してな。
・・・ま、オレはクラス代表には関係ない『前座』だろうから、気楽にやらせて貰うけどな。」
口ではそう軽口を言いつつも、やる気を漲らせた目でセシリアを見るオレと一切の油断なく構えるセシリア。
竜呼相打つ━━━そんな言葉が脳裏を過ぎるくらい、他のクラスメイト達から見れば両者が交わす視線がまるでバチバチとヒバナを散らして━━━正に、好敵手と書いてトモと呼べる、理想的な関係に見えたコトだろう。
・・・・・・曇りに曇った目の『2人』を除いて━━━
一夏「蓮矢!真剣勝負に手を抜くなんて男として最低だぞ!」
箒「一夏の言う通りだな・・・まぁ、あれこれ御託を並べていても、キサマみたいな卑怯な手を使わなければ勝てない軟弱な男が専用機に乗った一夏に勝てるわけないだろうがな」
口を出してきた2人・・・方や蓮矢の言った軽口を真に受け、見当違いの義憤に駆られた
蓮矢・セシリア「「・・・まだ居たのか(んですの?)」」
一夏「な!?蓮矢!セシリアも!そりゃないだろ!?」
完全に2人の空間だったところに、急にしゃしゃり出てきておいて何を驚いているんだか。
というか織斑、オマエほとんど喋って無かっただろ?居なくなったと思ってたわ。箒に至っては、会話にすら入っていなかったクセに偉っそうにペラペラと・・・。
━━━というかさァ?
蓮矢「織斑、テメェ何度も同じこと言わせんなよ?勝手に呼び捨てすんなって何度言えば分かんだ?アァ?」
セシリア「そうですわね。私も貴方には名前で呼んでくれなんて言ってませんのに、急に名前呼びなんて馴れ馴れしい方ですわね?」
オレが再三にわたる注意をドスをきかせながら喋り、セシリアが嫌悪感を顕にしながら指摘する。
一夏「別に名前呼びくらいいいだろ!?」
蓮矢「良かねえよ阿呆。大して親しくもねぇヤツに名前呼びされたくねぇ。距離感バグってんのか?」
セシリア「貴方についてるその耳は飾りですの?私が何時、
何度繰り返したか分からない『押し問答』とも取れるセリフに頭痛を覚えつつ、悪態を混ぜるオレと、正論パンチどストレートにぶん殴るセシリア。
織斑はオレら2人に言われて少し━━━ほんの少しだけたじろぐが・・・
箒「キサマら━━━!」
織斑が口を開くその前に、横に居た
蓮矢「・・・一応聞いておく。何の真似だ?篠ノ之。」
箒「キサマらが一夏を無視するからだろう!」
セシリア「・・・私達が織斑さんを無視したからと言って、何故貴女が怒っているのです?」
箒「黙れっ!!キサマらが一夏無視したことに変わりないだろうが!」
━━━ガンッ!!
箒が言い訳にすらなってすらいないワケを叫びながら、木刀でオレの机を叩く。
セシリア「あ、貴女ねえ━━━!」
蓮矢「止めとけセシリア。コイツに何言ってもムダだ。」
ヒートアップしかけるセシリアを宥める。
箒はフンッと鼻息荒くしながら、オレを見下したような視線を向け
箒「言い返すことも出来んか。軟弱者め」
蓮矢「ハイハイ、軟弱者軟弱者〜。分かったらサッサとその
まるで野良犬でも追い払うかのようにシッシッとジェスチャーを入れる。
箒「キサマっ・・・!私が誰か知っての言動なんだろうな!?」
そんなオレの態度が気に食わなかったのか木刀をオレに突きつける箒。
蓮矢「ただの一般ピーポー」
箒「私は篠ノ之束の妹だぞ!!」
そんな箒に対し平然と言うと、箒が吠えるように戯言を吐かす。
周りの人も呆気にとられたように固まる。
だってなぁ?さっきの━━━HRのアレから全然時間が経っていないのにこの発言だぜ?
蓮矢「━━━プッw」
箒「━━━!?」
おっと、堪えきれなかった笑いが吹き出てしまった。
だぁってぇ〜天丼だったしぃ〜?
箒「キサマっ・・・!さっきも笑っていたな!何だと言うんだ!」
蓮矢「オwマwエwww自分で言ってる意味分かってるwww?
あ〜ヤバいwツボったwww
ひーひー・・・ふぅ・・・
ブフォwww」
ヤベェ・・・ガチでツボっちまった・・・。ケテ…タスケテ……www
堪えきれず爆笑し始めたオレを見て、箒は更に怒りのボルテージを上げる。
箒「一体何がおかしい!えぇい!いい加減に笑うのをやめろ!!」
蓮矢「フー・・・フー・・・。
あ〜・・・漸く収まった・・・。
で、なんだっけ?オレが笑った理由だっけ?いいぜ?教えてやるよ。
オレが笑った理由はな━━━
こんなキレイなダブスタに加えて手のひらくるっくるの
理由を聞いた箒を含め、周りが静まり返る。
セシリア「・・・ダブスタってなんですの?」
本音「セッシー、ダブスタって言うのはね〜?『ダブルスタンダード』の略称だよぉ。」
セシリア「・・・なるほど、そういうことですの。」
沈黙を破ったのはセシリア。意味が伝わらなかったようであったが、本音がすかさずフォローしてくれた。
意味を聞いたセシリアは納得と言ったように首肯する。
一夏「・・・なんだ?その・・・『ダブルスタンダード』って?」
蓮矢「はぁ・・・。簡単に言うと『二重基準』のことだ。自分に甘く、他人に厳しいとか、身内と部外者で態度を変えるとかだな。
んで、今回該当するのは『篠ノ之束の妹』この言葉の扱い方だ」
蓮矢「織斑昨日の夜、篠ノ之とメシ食ってた時に上級生に『ISの操縦教えてやる』って声掛けられたろ?」
一夏「あ、あぁ。・・・って、なんでお前が知ってるんだ?」
蓮矢「周りにいたヤツらから聞いた。・・・お前さぁ、いい加減自覚しろよ?お前は世界中から注目されてる身なんだぞ?そんなヤツの一挙手一投足は周りの女子にとって格好の話のネタなんだからな?
・・・話を戻すぞ。その上級生の提案を織斑は━━━いや、篠ノ之は断ったな?
なんて言って断った?」
一夏「えーと・・・たしか『私が教えるので大丈夫です。私は篠ノ之束の妹なので』って・・・」
箒「一夏!」
蓮矢「ほ〜ん・・・なるほどねぇ?
じゃあ次、さっきのHRだ。
クラスの連中がISのこと教えてくれって言った時、
セシリア「・・・『あの人は関係ない。教えられるような事は何も無い』・・・ですわね。」
蓮矢「
織斑には、篠ノ之束の妹だからISのことを教えると、言っておきながら、周りにはあの人とは関係ないから教えられない、って言ったんだぜ?
更には今さっき、言ったよな?
『私は篠ノ之束の妹だぞ』って。関係無いって言ってから舌根も乾かぬうちに身内関係持ち出す節操のなさよ。
コレを『ダブスタ』って言ってんの、なんか間違ってるか?」
箒「黙れぇぇぇぇ!!!」
━━━━バキャッ!!
次々とオレが質問し、他の誰かが回答していく中で、箒がついにキレた。
持っていた木刀をオレの机に力任せに叩きつけたことで、遂に机の耐久力が限界を迎え━━━派手に壊れる。
フーッフーッと、肩で息をしながら怒りに満ち満ちた視線でオレを睨みつけてくる箒。
そんな箒をオレは━━━心底くだらないモノを見る目で見ていた。
とりあえず周りに被害が出ないようにクラスメイト達に離れているようジェスチャーを出してから
蓮矢「・・・姉の名前が通用しないと分かった途端、今度は暴力か?
終わってんな、オマエ」
箒「うるさいうるさいッ!!そこになおれ!天誅を下してやる!!」
そう言って木刀を上段に構える箒。
チラッと織斑の方を見るが、凶行に及ぼうとしている幼なじみを止めようとする気配すらなく、黙って成り行きを見ているようだった。寧ろ━━━
蓮矢(・・・ったく。箒のヤツ、精神的な成長が皆無どころか寧ろ悪化してねぇか?
織斑も、止める気配が微塵も感じれないな。呆気に取られているとかそんな感じでもねぇ・・・。というか、視線から殺意にも似た黒いものを感じるんだが)
努めて冷静に、状況を整理していく。
この騒動をとっとと終わらせるにはどうすれば良いか・・・。
導き出されたのは━━━
箒「天誅ぅぅぅぅ!!!」
箒が大声を出しながら、オレの頭に狙いを定めたのか、真っ直ぐに木刀を━━━唐竹割りの要領で振り下ろす。
しかし、フェイントも何も無い
箒「なっ!?」
蓮矢が身体を半身にしただけで容易く外れ、標的を失った木刀は床に叩きつけられる。
━━━ガッ!!!
返す刀で切り上げられる前に、木刀の刀身の丁度中間ら辺の峰に足を置き、これ以上振り回される前に押さえ付ける━━━だけでなく
蓮矢「・・・すぅ・・・ハァッ!!」
━━━バキンッ!!
木刀に乗せた足に気合いと共に一気に体重を掛けへし折ると、踏み抜いた脚を軸に一気に身体を反転させつつ距離を詰め、箒に背を向けるように密着し━━━━
━━━━ドンッ!!
箒「━━━カハッ!」
背中に箒が触れたと思った瞬間、太鼓のような音と共に箒の体がくの字に折れ、後方に吹き飛んで行く。
教壇まで飛ばされた箒は勢いそのまま、黒板に激突した後、そのまま意識を手放したのかズルズルと崩れ落ちた。
クラスメイト達「「「「「・・・・・・・・・。」」」」」
セシリア「━━━なんですの?今のは・・・」
教室内が静寂に包まれる中、セシリアが疑問を口にする。
その質問に答えたのは━━━
本音「今のはねぇ〜『鉄山靠』ってワザだよ〜」
以外にも本音だった。
クラスメイト「鉄山靠?」
本音「雑に言うなら身体が密着した状態から出される『体当たり』だね〜。格ゲーとかに偶に出てくるよ〜」
クラスメイト「へ、へぇ〜?」
本音が軽く説明すると、クラスメイトが若干引き気味にではあるが納得したように首肯していた。
蓮矢「・・・うし。とりあえず意識飛ばしたからこれ以上暴れることはねぇだろ・・・。セシリア、オレは壊された机の予備がないか先生に確認してくるから、織斑センセーか山田先生が来たら、代わりに現状説明頼んでもいいか?」
セシリア「あ・・・は、はい!分かりましたわ!」
本音「れんれ〜ん。私は〜?」
蓮矢「本音は━━━そうだな・・・もし授業が始まってもオレが戻って来なかった時の為にノートとっててくれ」
本音「分かったぁ〜」
一夏「蓮矢!お前━━━!」
周りに指示を出してゆく中、やはりと言うかなんと言うか織斑が突っかかって来ようとしているのが分かった。
蓮矢「オマエは、さっさと篠ノ之を保険室に運んで行け。
頭とかは打っていないはずだが、万が一ってことがあるからな」
一夏「な、なんでオレが━━━」
蓮矢「オレが運んでる時に篠ノ之が目を覚ましたらまた暴れるかもしれないだろうが、織斑なら暴れることはないだろ?
ホレ、急がねぇと織斑センセーが来るぞ?」
一夏「・・・分かったよ。運べばいいんだろ、運べば」
渋っていた織斑だったが、関わりたくないという本音をキレイに包み隠した
蓮矢「・・・んじゃ本音、セシリア。戻ってくるまで頼むわ。
他も、状況聞かれたら説明しておいてくれよ」
本音・セシリア「「分かったぁ〜(りましたわ)」」
クラスメイト「うん!分かったよ!」
クラスメイト「バッチリ
教室から出て行ったのを確認してから一言クラスメイト達に告げ、足早に教室から出て行く。
向かう先は職員室。織斑達が余計なコトを吹き込む前に先手をとっておかないとな・・・。
〜side蓮矢out〜
作者です!
という訳で今回の話は、もう1人のアンチ対象である「篠ノ之箒」をフォーカスしたものになりました。
ヤバさを際立たせるためとはいえ、IS使わずに生身でバトらせる必要が出てきて、そこに持っていく描写をどうするか、にだいぶ時間を取られました。
そしてそんな箒とは対象的に、主人公への好感度が爆上がりしたセシリアサン。アンチ対象との分かりやすい比較になればと思う次第です。
次回もお楽しみに
感想、好評価して頂けると作者が喜びます。
以上作者でした!