ー放課後ー
━━━え?急に時間が飛んだって?
箒をボコした後がどうなったか気になるって?
じゃあ、簡潔に言ってしまうと
箒は、反省文25枚の罰が課された。
正直軽すぎる罰だと思う。
周りに人が居てもお構いなく
器物破損、暴行、下手すりゃ殺人未遂の役満になっていたかもしれないと考えると、罰が軽いと言ったのも分かってもらえるんじゃないかと思う。
だが、それでも罰が軽いのはやはりと言うかなんというか、『篠ノ之束の妹』であるコトが理由ではあるんだろう。
肉親に何かあって、
結局のところ、上は『保身』に走ったと。
そう言う事だ。
オレ?オレは特にお咎めなし━━━とはいかず、反省文を書かされるハメになった。
と言っても5枚程ではあるが。
始めはオレに厳罰を課そうとしていたらしいが、周りに多くの目撃者がいた事、人的被害が無かったことで、減刑が計られたらしい。
1番デカかったのは、
セシリア「蓮矢さんは、周りへ被害出さないようにするために自ら矢面に立たれたのです!その様な勇気ある行動をなされた方が何故罰されなければいけないのですか!?」
騒動の至近距離にいたセシリアの言葉は無視することが出来なかったようで、厳罰レベルだったのが無罪レベルまで引き下げられた。とはいえ、何もお咎めなしだと納得しない連中がいるのも確かで・・・
列挙すると織斑姉弟と箒、女権団に類する連中だが、そいつらを黙らせる為に、一応の罰を受けるべきだという理事長の一計に乗り、反省文を書くコトになったのだった。
尚、これらは昼休みの時間内で決まったコトである。
━━━というのが、端折った部分の詳細だ。
ちなみに、反省文はとっとと書き上げ、理事長宛に提出した。
なんで担任に出さないかって?面倒事になる予感がしたからだ。
そんなのお断り、ノーセンキューだ。回避できるなら回避する、そういうスタンスなんでね。
てなワケで━━━場面を戻そう。
〜side蓮矢〜
真耶「訓練機の貸し出しですか?」
蓮矢「はい」
放課後、オレは山田先生に訓練機の使用許可を貰いに職員室に来ていた。
前日のうちに楯無と虚さんからは、今週は予約が一杯で借りれないかもしれない。とは聞いていたが、念の為自分でも確認しに来ていた。
だってさ?入寮するのに1週間掛かるって言われてたのに、急に入寮して下さいって言ってくるような場所だよ?
言ったコトが二転三転するような場所にいるんだから、逐一言質はとっておかないと・・・。
オレにそう言われた山田先生は何かを確認するようにカタカタとPCを触った後
真耶「えーとですね。訓練機は予約制で来週いっぱいまで予約済みなんです。」
蓮矢「あ、やっぱりそうでしたか」
流石にそこは1日2日じゃどうにか出来なかったか・・・。
そうなると、ぶっつけ本番になるのか・・・。1回くらい『慣らし運転』的なのを出来れば良かったんだけどな━━━
真耶「で・す・が!」
山田先生が妙なタメを作りながら、ズイっと前のめりになる。oh......なんと立派に揺れるスイカ。擬音にするなら『どたぷん』か。実に、ハラショー・・・。
真耶「学園上層部から男性操縦者には機体を融通するよう通達が来てるんですよ!」
蓮矢「ハラ・・・・・・え?融通?」
あっぶねぇ、考えてるコトがそのまま口に出るとこだった。
間一髪で思考を切り替え、山田先生がこちらに見せるように何か書かれているプリントを突き出していた。
えーと?なになに?
『学園に在籍する男性操縦者には専用機が渡されるまでの間、訓練機の使用を優先させる事』
他にも色々書かれていたが、要約してしまえばこんな内容だった。
蓮矢「━━━ってコトは?」
真耶「はい!更識君は優先的に訓練機を借りれますよ!」
山田先生が満面の笑みを浮かべて肯定する。
あれ?でもそうなると━━━
蓮矢「・・・それって、後に使う予定だった人で揉めたりしないです?
他の人からしたら、上が決めたコトなんて、『知ったことじゃない案件』ですよね?」
真耶「え!?━━━あ、そうですね・・・。どどどうしましょう!?」
オレの指摘に山田先生が慌てふためき始め、どうしようと涙目で訴えかけてきた。
そればっかりはオレも知ったことじゃないんだが・・・。
歳上の女性が涙目で擦り寄って来るのは何か・・・こう━━━クルものがあるよね?
分からん?・・・分からんか・・・そうか・・・( •ω• )
???「あら、なら私の使ってるのを使う?」
蓮矢「━━━え?」
横から唐突に声を掛けられ、反射的にその声の方を見ると、そこに居たのは━━━
蓮矢「━━━エドワース先生?」
エドワース「昨日の朝ぶりね、更識クン。」
真耶「エドワース先生、お疲れ様です!」
声を掛けて来たのはエドワース先生。
昨日話したはずなのに何故か数ヶ月ぶりに話すような気がする・・・
蓮矢「エドワース先生、さっきのはどういう?」
エドワース「偶然アナタ達の会話が聞こえちゃってね?ちょっとだけ口を出させてもらったわ。
更識クンは自分が訓練機を使うと、他の人にシワ寄せが行くんじゃないか、って思ってるのよね?」
エドワース先生の言葉にこくりと頷く。
その様子にクスッと笑った後
エドワース「それなら、『生徒用』の訓練機じゃなくて、『職員用』の訓練機を使えばいいのよ」
蓮矢「・・・『職員用』の訓練機?」
真耶「え、その━━━いいんですか?」
エドワース「イイわよ?どの道ISを使っての実技をやるのはGW後だもの。その間くらいなら全然構わないわよ。」
オレが疑問に思う中、山田先生がおずおずと言った感じで聞くが、当のエドワース先生はあっけらかんと言ってのける。
蓮矢「あ、あの〜?『職員用』って何です?」
若干話に乗り切れなかったオレは2人に質問する。
真耶「えっとですね?更識君は学園に訓練機が何機あるか分かります?」
蓮矢「確か、各学年に15機ずつの45機でしたよね?内訳はラファール15機、打鉄20機、ファング5機、テンペスタ、メイルシュトロームが2機ずつ」
エドワース「正解・・・だけど、なんでそんなに詳しいのよ・・・。まだ入学して2日目でしょ?」
蓮矢「整備課の人達と仲良くなったもので」
きっしょ、なんでわかるんだよ。と言わんばかりにドン引きしているエドワース先生。
そんなに引かないでくださいよ。泣き喚きますよ?
真耶「あはは・・・。さ、更識君が言ったのであっていますよ。整備課の人達と仲良くなったのであれば、機体情報も正確でしょうし・・・。
ちょっとだけ訂正させてもらうとすると、更識君が言った数が、学園にある機体の『総数』ではないというコトですね。」
蓮矢「『総数』じゃない?━━━━まさか」
山田先生の言葉で、ひとつの可能性が思い浮かんだが、ソレを口にするよりも早く、エドワース先生と、山田先生が答え合わせを始めた。
エドワース「多分、更識君が考えたので正解よ。
学園の所有する訓練機にはね━━━『予備機』があるのよ、職員が使う用にね。」
真耶「配備数は少ないですけど━━━半ば専用機みたいなモノですね。学園名義で、管理は個人みたいな。」
蓮矢「へぇ〜・・・でも、いいんですか?エドワース先生。」
エドワース「いいのよ。あげる訳じゃないし、あくまで『貸与』よ。しかも、期限付きでね?
それに、別に規則違反している訳じゃないしね?男性操縦者の『意思』を優先した結果、予備機を『優先』して『貸与』する。
何か間違っているところ、あるかしら?」
ウインクしながらそう言ってのけるエドワース先生。力になる的なことは言われてたけど、ココまでとは思って無かった。
『詭弁』もここまで上手く使うのは中々出来ることじゃない。何か━━━こう・・・一筋縄じゃいかない人生の経験的な何かが垣間見えるというかなんと言うか・・・。
一種の『スゴみ』的なのを感じる。
エドワース「━━━で、更識クン?どうする?」
蓮矢「・・・そこまでお膳立てされたら、無下になんて出来るわけないじゃないですか━━━ありがたく使わせてもらいます。」
オレは先生の申し出を受けることにした。
これで、訓練機でぶっつけ本番なんて自殺行為はしなくて済む。
真耶「じゃあ、更識君、早速機体の確認しちゃいます?あ、エドワース先生はどうしますか?一緒に行きます?」
エドワース「私は全然イイわよ?タスクも特に無いし・・・。何より、更識クンがどれくらい動けるのか興味あるわ」
山田先生が席から立ち上がると、それに続くようにエドワース先生も立ち上がり、職員室の入口に向かって歩き始める。
蓮矢「・・・えっと、オレの意思は?」
あまりにも早すぎる展開に若干置いてけぼりになりながらも2人を追いかけて行くのだった。
〜side蓮矢out〜
〜side真耶〜
蓮矢「━━━すっげぇ・・・」
目の前の光景を見た更識君からそんな言葉が漏れていました。
真耶「ふふっ。すごいですよね〜?私も初めて見た時は同じようなコト言いましたよ。」
私達3人が今いるのは学園の地下区画にある『地下アリーナ』
本来なら教師陣がIS操縦のカンを鈍らせないように練習する為の施設なのですが━━━
エドワース「━━━まさか職員室から飛び出したは良いけど・・・アリーナ、整備室の使用許可が取れなかったなんてねぇ?」
真耶「うぐぅ・・・」
エドワース先生に痛いところを突かれてしまい、呻き声が漏れ出てしまいました。
意気揚々と職員室を出て、整備室に向かったのですが、何処もかしこも使用中で空きが全くなかったのです・・・。
うぅ・・・頼れる先生だと思われたくて、自信満々にいったのですが・・・。
へ、変な人だって思われたりしてないですかね!?
蓮矢「ま、まぁ・・・。降って湧いたような話ですし、善は急げって言葉もありますから・・・。
寧ろ、自分の我儘に付き合ってもらう形になってしまったみたいで申し訳ないです」
と、歳下にフォローされてしまいましたぁ・・・
真耶「あうぅ・・。織斑先生みたいに頼られる教師目指しているのにぃ・・・。何時になったらそうなれるのか・・・」
歳下にフォローされたという事実が、スゴく精神的にキてしまい、思わず愚痴のようなモノが溢れる。
蓮矢「山田先生が?」
エドワース「
それを聞いた2人が、一言呟いた後互いに顔を見合せ━━━
蓮矢・エドワース「「無いわ〜」」
同時に否定の言葉を発していた
真耶「えぇ!?な、なんでそんなこと言うんですかぁ!?」
そこそこのショックを受けつつ聞くと、最初に口を開いたのは更識君でした。
蓮矢「なんでって言われても・・・正直、山田先生のキャラにあっていないというか・・・。イメージができないと言うか・・・。」
そんなに合ってないですかね!?
しかもイメージ出来ない!?そこまで言います!?
エドワース「あら、更識クンはそういう理由なのね?」
蓮矢「そりゃまぁ。1日2日で、その人のナリを判断するには早すぎますから。少なくとも1週間は欲しいですね。」
━━━2人が凄く仲良く見えるの気がするのは気の所為ですかね?
心做しか時折更識君から感じる壁のようなものも一切感じませんし・・・。
・・・あれ、何か疎外感のようなものを感じるんですが・・・?
エドワース「━━━世間話はこの辺りにして、やる事やっちゃしましょ。付いてきて更識クン、整備室はこっちよ」
蓮矢「はーい・・・ほら山田先生、置いて行きますよ〜?」
私が疎外感を感じている間に、2人が整備室の方へと向かって歩き出す。
真耶「━━━━━ハッ!?ま、待って下さいよ〜!」
慌てて離れて行く2人の背中を追いかけて行くのだった。
━side真耶out━
━side蓮矢━
〜地下アリーナ 整備室~
エドワース「━━━それじゃ、出すわよ」
空いているIS整備用のハンガーにエドワース先生が
すると、置いていたドッグタグが光の量子となって消え、ハンガーラックの方に量子が流れて行き、ISの形となって実体化していく。
蓮矢「━━━この機体は・・・」
エドワース「私が乗っているIS、そして、これから更識クンに乗って貰う機体━━━『ラファール』よ。」
現れたのは『ラファール・リヴァイヴ』
カラーリングは学園にある訓練機と変わらないのだが、何故か『他の訓練機とは違う』と感じたのだ。
蓮矢(なんだ?この『違和感』みたいな感じ・・・目の前にあるのがラファールだけどラファールじゃない、そんな奇妙な感じ・・・)
真耶「?更識君?どうかしました?」
ラファールをジッと見ながら首を傾げているオレを見た山田先生が不思議そうに尋ねる。
蓮矢「いや、なんかこの機体から違和感的なのを感じまして━━━」
エドワース「あら、もしかして気づかれちゃったかしら?」
率直に違和感を覚えたコトを伝えるとエドワース先生がイタズラがバレた子供のような笑みを浮かべながら話し始める。
エドワース「このラファールはね、機動力の方を限界ギリギリまでチューンしたモノになってるわ。機体制御の為にスラスターの数も増設してるくらいだしね。
例えるならそうね・・・見た目は『ラファール』だけど中身としてはイタリアの『テンペスタ』に近いモノになってるわ。
多分だけど、更識クンが感じた違和感は、直感的にソレを感じ取ったからじゃないかしら?」
そう言われてから再び目の前の機体に目を向ける。
よくよく見てみると確かにエドワース先生が言ったように、スラスターとバーニアの数が通常のラファールよりも増えているが、決して闇雲に数を増やした訳でなく、スピードを上げると共に細やかな機体制御を可能とする様な調整が施されていた。
エドワース「登録してある名前は『ラファール・リヴァイヴ』だけど、私はこう呼んでいるわ━━━『オラージュ』ってね」
蓮矢「オラージュ・・・『テンペスタ』繋がりですか?」
エドワース「そゆこと♪」
真耶「え?え?どういうことですか?」
名前の意味に気づき、エドワース先生に聞くと、イイ笑顔で肯定された。そしてそんなオレらを山田先生が困惑しながら見比べている。
エドワース「ほらほら山田先生、オラージュを設定変更の準備しちゃいましょ。更識クンはこっちが準備してる間に着替えて来ちゃって。」
蓮矢「え、着替えって言われてもオレISスーツ無いんスけど?」
エドワース「・・・ならジャージでも良いから!」
エドワース先生に背中を押され、部屋の隅に追いやられてしまう。
蓮矢「分かった!分かりました!着替えます!着替えますから!そうグイグイ押さないで下さいよ!
・・・覗かないで下さいね?」
真耶「フリですか?」
エドワース「フリね?(じゅるり)」
蓮矢「そこォ!!変なところで、息を合わせるんじゃないよぉ!?
マジで見ないで下さいよ!?万が一覗いたら出るとこ出ますからね!?」
少しだけ
━side蓮矢out━
はい作者です
いや〜大変でした・・・。
インフルにかかり数日ダウンして、回復したと思ったら今度は家族に風邪をうつされ・・・。
作者の体調はボドボドだぁ!!と言わんばかりでした・・・。
読者の皆さんも体調には十分お気をつけて下ちい。
さて、本文の方に触れますか。
次の話で漸く今作の主人公がISをまともに動かす予定です。
どんな動きを見せてくれるのか乞うご期待!
以上作者でした!