IS〜転生者は楽しみたい〜   作:聖命蓮

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大っっっ変お待たせ致しました!





蓮矢VSセシリア③

 

 

〜side蓮矢〜

 

 

 

 

 

蓮矢「・・・・・・。」

 

 

周囲が煙に包まれる中、僅かに視線を上の方に向ける。

 

その先には薄らとではあるが、黒い影が見える。他の誰でもない、対戦相手のセシリアの影だ。

 

 

 

・・・なんで煙の中に居るのに、セシリアが何処にいるのか分かるかって?

 

非常に頼れるAI様(マリア)のチカラです。

オレがオープンチャンネルで話をするでしょ?すると、会場━━━アリーナに設置してあるスピーカーから音が聴こえるわけだ。

で、この『音』の反響を使って、セシリアの位置を割り出してるってワケ

言ってしまえば、イルカやシャチなんかが使う『エコーロケーション』ってヤツだ。

 

 

ドドドォォォン!!!

 

 

短く3回の爆発音が聴こえた。

恐らく、残っていたミサイルが着弾した音だろうと考え、視界端に表示されている残量SEの表示を確認する。

 

 

セシリア 69%

 

蓮矢 62%

 

 

━━━━━はて?

ミサイルの直撃を食らったにしては対してSEが減っていないことに首を僅かに傾げる。

 

 

 

マリア『・・・マスター。

残存していた残りの『山嵐』が撃墜されました。』

 

蓮矢(━━━ほう?)

 

 

マリアからの報告を聞いたオレは思考を巡らせる。

 

試合前に調べた限りでは、セシリアの弱点は原作同様、自身が動いている間はビットを操作出来ない、というのは共通していた。

織斑がコレに気づいてなかった様だが、念の為ワザと当たらずとも遠からずの限定的な弱点を口にしたのだ。

 

 

 

 

しかし━━━━━

 

 

蓮矢(それだと辻褄が合わない。ミサイルはセシリアと最後のビットにほぼ同時に着弾するように合わせた。

 

原作弱点の同時には操作出来ないってのを考慮して━━━。

 

だが、SEの減り的に一発も直撃していないところを見ると考えられる可能性としては━━━)

 

マリア『━━━ビットを確認。

どうやらセシリア・オルコットはマルチタスクを成功させたようです。』

 

 

やっぱりそうなるよなぁ・・・。

 

 

 

 

 

━━━━この世界は、オレの知る『インフィニット・ストラトス』の世界ではない。

 

仮に、そうだったとしても、「更識蓮矢」という転生者(イレギュラー)が関わっている以上、原作から乖離するのは自明の理、というヤツだろう。

 

 

だからこんな序盤でセシリアがマルチタスクを成功させる(原作乖離)なんてコトが起きた。

 

・・・あれ?セシリアって原作でマルチタスク成功させたことあったっけ?

偏光射撃(フレキシブル)は成功させた描写はあったはずだけど━━━どうだっけかなぁ〜?

 

下手すりゃ原作より強くなってたりする?

 

 

 

蓮矢「(・・・まぁ、起きちまったことは仕方ねぇ・・・。

今できることを全力で━━━やるだけだッ!)

 

マリア━━━残りの弾は?」

 

マリア『あと2発です』

 

 

 

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・

・・・・・・・・

・・・・・・

・・・・

・・

・

 

 

 

は?

 

 

瞬間、思考が真っ白になり、マリアから返って来た言葉を理解するのに数秒要する。

 

で、思考停止(フリーズ)から回復すると━━━

 

 

 

蓮矢(━━━━━あるぅぇぇぇぇ!?

ナンデ!?タマガナイナンデ!?

 

お、落ち着け━━━冷静に・・・クールになれ・・・

 

クールに━━━━

 

 

 

 

いや、無理だろォォォォォ!!?)

 

 

混乱の極致にいた━━━

 

 

 

蓮矢「(ななななななんでだッ!?試合前に確認したハズ━━━

 

 

・・・いや、してねぇ!?

ヤベぇ!?てっきり本音がやってくれてるもんだと思ってたのが完璧に仇になっちまった!!

クッソ・・・普段からダブルチェックを心掛けていたつもりだったが、まさかこんな所でPONするなんて・・・)

・・・ちなみに残ってる弾の内訳は?」

 

マリア『SE変換弾と大型パイルバンカー用の鉄芯です』

 

 

━━━マジかぁ・・・。

 

よりにもよってその二つかぁ・・・。

 

 

 

SE変換弾━━━その名の通り、自身のSEをビームに変換しチャージ、ぶっぱなす弾・・・いや、そうするシステムを内包した『カートリッジ』と言った方がいいだろう。

 

 

参考にしたのは『零落白夜』━━━。

あくまで『参考』にしただけであって、バリア無効化までは再現していない。

当たれば消費したSEより多少多くSEを削るレベルに留めてある。

 

というのも、バリア無効化(ソレ)を搭載しまえば、タダでさえ『兵器』として見られているISが、束の夢である『宇宙を飛ぶ』機会を永遠に失いかねない

束の協力者を自称する以上そんな真似は出来ない。

 

 

━━━話を『変換弾』の方に戻して・・・

 

バリア無効化をしない代わりに1つ、ちょっとした『特性』を盛りこませてもらった。

 

その特性とは━━━━

 

 

 

 

 

・・・・・・まぁ、見てからのお楽しみってコトで。

 

 

 

━━━で、だ。

実の所、この『変換弾』物凄くコスパが悪い。

消費SEのことじゃない。もっと根本的な所で・・・

 

 

一発撃つと、銃口の螺旋構造━━━ライフリングが発射時のエネルギーに耐え切れず歪んでしまうのだ。

そうなってしまえば、弾は真っ直ぐ飛ぶことは無い。下手をすれば暴発の可能性もある。

故に━━変換弾を撃ってしまえば、銃身をバラして、バレルを総取替しなければ再使用不可となる。

 

 

・・・かといって先にパイルバンカーを使うのも、リスクがあり過ぎる。

マルチタスクを使えると分かった今、ビットが残っている状態でセシリアに近付くなんて、自殺行為にも程がある。

 

 

 

・・・となれば、『変換弾』の一撃でキメ切るしかない。

 

 

マリア『━━━マスター。間もなく煙幕の効果がなくなります。』

 

蓮矢「(・・・腹くくるしかないか)分かった。マリア、変換弾を出してくれ。コイツで一気にカタをつけるッ!」

 

マリア『了解』

 

 

 

ガチャン━━━

 

 

SEを他機体に譲渡する際に使用する有線ケーブルを砲に繋ぎ、量子変換されていた『変換弾』のカートリッジを装填する。

 

 

 

さぁ、閉幕(ショーダウン)と行こうか

 

 

 

 

〜side蓮矢out〜

 

 

 

 

 

〜sideセシリア〜

 

 

 

 

━━━━今、何が起きたのだろうか・・・?

 

目の前で起きたことが理解の範疇を超えて━━━いや、理解はできるが・・・

 

すんなりと納得できていないだけだ。

 

 

 

 

 

ビットが、ミサイルの直撃を回避した後、凄まじい速さの三連射で残っていたミサイル全てを堕とした。

 

 

目の前で起きた事だけを言葉にするとこうなるのだが━━━セシリア(本人)からするとちょっと変わる。

 

 

ビットが、『セシリアの意図しない動きで』ミサイルの直撃を回避した後、『反撃しようと考えてもいないのに動き出し』凄まじい速さの三連射で残っていたミサイル全てを堕とした。

 

 

セシリア目線だと先程の文章もここまで変わる。

傍から見ればマルチタスクを成功させたようにみえるかもしれないが、実際にはビットが『勝手に』動いたのだ。マルチタスクとは全くの別モノ━━━。自分以外の他の誰かが操作した。そうとしか考えられない━━━。

 

 

セシリア(・・・それに、先程聞こえた『声』は━━━)

 

 

━━━そこまで必死にお願いされたらぁ〜

答えたくなるのですよぉ〜♪

 

 

 

自分の気が触れたのではないのなら、間違いなくそう聞こえた。

その直後だ━━━ビットが急に動き出したのは

状況から推察するに、その声の主が操ったと見て間違いないだろう。

 

━━━だが、分からない。

 

 

加勢したとして、声の主に何かしらのメリットが生まれる?

 

それとも、男性操縦者を負かすこと自体に意味がある?

 

 

とにかく、声の主の目的が分からない━━━。

 

 

そこまで考えたあと、セシリアは余計な思考を振り払うかのように頭を振り、再度集中する為に目を閉じる。

 

 

セシリア「(━━━━━とにかく今は、そんなことを考えている暇はありませんわ。

目の前の試合に集中しませんと━━━━

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━は?)」

 

 

 

今日何度目になるか分からない『驚愕』━━━

 

 

しかし、それまでとは一線を画すレベルの光景が目を開けたセシリアの眼前に広がっていた。

 

 

一言で言い表すなら━━━一(・)面(・)の(・)青(・)。

 

見上げれば、雲一つない澄み渡るような快晴の青空。

下を向けば、凪いだ水面が空の景色を反射している。水面だと分かったのは単純に、自身の足元から波紋が広がって行ったからだ。

 

 

総じて、上も下も青い世界。

 

 

セシリア「━━━ココは一体・・・?」

 

 

極めて現実的では無い世界を前に思案していると、不意に━━━

 

 

 

???「━━━『心象世界』と言うものなのですよぉ〜」

 

セシリア「!?」

 

 

後ろから声をかけられ、振り向きながら跳ねるように距離を取る。

声のした方に居たのは━━━コチラに笑顔を向ける不思議な雰囲気を纏った金髪の女性。

 

 

???「そう警戒しないでほしいのですよぉ〜?」

 

セシリア「その声は━━━!」

 

 

目の前の彼女の声を聴き、セシリアは気付く。ビットが動き出す前に聞こえた声にソックリであると━━━

 

セシリアの表情からそれを読み取ったのか

女性は小さく微笑み

 

 

???「あ、気づきましたぁ〜?

ではではぁ〜、自己紹介をするのですよぉ〜♪」

 

 

くるりと身を翻したあと、身につけている衣服の裾を指で摘んで持ち上げた。

 

 

???「━━━私はコアNo.258。貴女の専用機、『ブルーティアーズ』のコア人格なのですよぉ〜♪」

 

セシリア「ブルーティアーズ!?貴女が!?」

 

???「そーなのですよ〜♪」

 

 

全く想像していなかった事を告げられ目を見開き驚くセシリア。

そんな様子をにこやかに笑いながら肯定する彼女━━『ブルーティアーズ』だったが、スッと表情を真面目なものへと変える。

 

 

ティアーズ「実は━━━お願いしたいことがあってぇ〜、セシリーをココに呼んだのですよぉ〜」

 

セシリア「━━━お願いしたいこと・・・ですの?」

 

 

口調は変わっていないものの、先程までのほわっとした雰囲気とは違い、真面目な雰囲気になるティアーズ。

そのタダならぬ雰囲気にセシリアは自身の疑問を一旦後回しにして耳を傾ける。

 

 

ティアーズ「私に〜『名前』をつけて欲しいのですよぉ〜♪」

 

セシリア「・・・『名前』?

『ブルーティアーズ』が名前じゃないんですの?」

 

ティアーズ「それは、機体名(ガワ)の名前であって〜、コア(ワタシ)の事じゃないのですよぉ〜?」

 

 

そう言われ、セシリアは考える。

 

彼女の『名前』を━━━じゃない。

『何故名前を欲しがるのか』━━━だ。

その意図を読もうと考えるが・・・全く掴めない。

 

しかし、彼女━━ティアーズがこの空間に私を引き込んだことから、『名付け』をしないと元いた所へ返す気は無いと半ば脅迫されているようなモノだ。

 

 

セシリア「(━━━何にせよ、望みを叶えるしか方法がありませんわね・・・。

ですが━━━)

名前を付けるのは別に構わないのですが、何故名前を欲するのか、理由を聞かせて貰えます?」

 

ティアーズ「モチのロンなのですよぉ〜♪」

 

 

 

━━━調子が狂いますわね・・・。

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・・・

・・・・・

・・・・

・・・

・・

・

 

 

 

ティアーズ「━━━━━というワケなのですよぉ〜♪」

 

 

理由を長々と語ったティアーズは、大変満足と言わんばかりに笑顔を向けている。

 

 

セシリア「・・・要約すると、名前を欲しがっているのは、私と親交を深めたいから。そうすればティアーズをより理解できて、機体の稼働率が上がり、ビットの操作性の向上が見込める上、ゆくゆくは偏光射撃(フレキシブル)の習得に繋がると・・・。

それまでの間は、貴女がビットの操作を変わることで穴埋めをする。

 

確かに私にもメリットのある話ですわね」

 

 

要約してしまえばそんな所だった。

なんで要約したか、ですか?

だって彼女の話━━━7(・)割(・)方(・)関(・)係(・)な(・)い(・)雑(・)談(・)だったんですもの・・・。

如何に彼女(自分)がセシリア(私)を見てきたのか。私しか知らないはずの情報をこれでもかと列挙されてしまっては彼女が『ブルーティアーズ』であることを認めるしかありませんわ・・・。

 

 

ティアーズ「分かってもらえたのですね!?ではでは早速名前を━━━」

 

セシリア「ですが、本当によろしいのですか?」

 

 

確認する様に言うと、ティアーズはコクコクと勢いよくうなづき、期待の篭った眼差しで見てくる。

 

 

セシリア(ティファニア・・・エール・・・メイビス・・・どれもしっくりきませんわね・・・。)

 

 

幾つか名を考えるが、コレだ、というのが浮かばない。

何かが違う。その感覚が拭えない。

 

 

━━━感覚・・・感じる・・・思い・・・

 

 

 

━━━━あ。

 

 

セシリア「━━━━━━フィール・・・というのはどうです?」

 

ティアーズ「フィール・・・フィール!

気に入ったのですよぉ!!」

 

 

フィールという名前が相当気に入ったのかティアーズ━━━いや、フィールは腕を広げ、その場でクルクルと回り始める。

 

フィール・・・意味は『感じる、思い』。

これから先の景色を・・・フィール自身の手で感じ取って欲しい。という祈りを込めて名付けた。

 

 

セシリア「気に入っていただけたようでなによりですわ。

 

改めて、よろしく頼みますわね━━━『フィー』」

 

フィール「おぉ〜。名前だけじゃなく愛称まで〜!

 

が・ぜ・ん!やる気が出てきたのですよぉ〜!!」

 

 

心なしか、フィールが燃えているように見える。だが、ここに限っては凄く頼もしく見えた。

 

 

セシリア「・・・蓮矢さん(あの方)に勝ちたいですわ。

 

━━━フィー、協力して下さる?」

 

 

(`・ω・´)フンスッ!と鼻息荒くやる気を出しているフィールに向かってセシリアは手を差し出す。

 

 

フィール「モチロンなのですよぉ〜♪」

 

 

対してフィールは差し出されたその手をノータイムで取り返す。

 

 

セシリア「━━━では、そろそろ戻りましょうか?」

 

フィール「そうするのですよ〜♪」

 

 

手を繋ぎ、横並びになった2人は正面を見る━━━━━━━

 

青い世界が徐々に薄れて行き━━━━

 

 

・・・・・・・・ぁぁ

 

・・・・ぁぁぁぁぁぁ!

 

ワァァァァァァァァァ!!

 

 

割れんばかりの歓声に出迎えられ、アリーナへと意識が戻って来る。

 

 

眼下には少しずつ薄れ始めている白煙が広がっており、心象世界に連れられる前からそこまで時間が経っていないように思われた。

 

 

セシリア(戻って・・・来たのですよね?)

 

 

ライフルを持っていない方の手を握っては開くを数度繰り返し、戻ってきたことを軽く確認する。

 

そこへ━━━━━

 

 

蓮矢「━━━そろそろケリつけるとしようじゃないか・・・なぁ、セシリア?」

 

 

アリーナのスピーカーから未だ姿が見えない彼の声が流れる。

湧き上がっている歓声とは全く真逆の酷く冷たい━━━生物的な『温度』が取り除かれた・・・機械的な声音。

 

先程まで上がっていた歓声は、まるで凪いだ水面に石を投げ込んだ波紋のように静まり返っていく。

 

空気が━━━変わる。

 

熱狂し、湧いていた空気が、更識蓮矢(彼)が作り出した冷たい空気に。

客席にいたクラスメイト達が空気に飲まれていく中、セシリアは━━━

 

 

セシリア(・・・次の攻防で決めるつもりですわね)

 

 

冷静に蓮矢(彼)の思惑を思案する。

 

 

セシリア(残存SEは約5割。彼はそれを消し飛ばすつもりだと、宣言したも同然・・・。

であれば、何故このタイミングで?

試合開幕直後であれば、確実に当てるタイミングなどいくらでもあったハズですのに・・・。コチラの警戒心が上がったこの終盤で、そのカードを切る意味など・・・

 

 

 

・・・・・・いや、この終盤でしか切れないカードだとしたら?)

 

 

そうであるならと仮定して、更に考える。

 

 

セシリア(終盤にしか切れないカード・・・。逆転狙いの捨て身のギャンブル特攻か、デメリット持ちの一撃必殺か。

ですが、先程までの計算高い動きでコチラを翻弄していた蓮矢さん(彼)が、ギャンブルアタック(捨て身の特攻)なんてしてくるでしょうか?

 

・・・してきそうですわね。なんなら、「その可能性を考慮してないそっちが悪いだろ?」って煽ってくるところまで想像できてしまいましたわ。

 

 

━━━と、すれば・・・。そのどちらにも対応出来る策を考えなければいけませんわね。)

 

 

セシリアは暫く考え━━━

 

 

セシリア「(・・・フィー。作戦を伝えますわ)」

 

フィール「おぉ〜♪やってやるのですよぉ〜♪」

 

 

フィールの返答を合図とし、セシリアは動き始めた。

 

 

 

 

〜sideセシリアout〜

 

 

 

 

〜side蓮矢〜

 

 

 

セシリア「━━━あまり長引かせても後に響くだけですわね。

名残惜しいですが、貴方のおっしゃる通り━━━次で決着といたしましょう。」

 

 

オレの問いかけに対してセシリアからオープンチャンネルでの返答が返ってくる。

 

 

蓮矢(・・・ちょいと『間』があったのが気にはなるが、多分何かしらの策でも考えてたんだろうな。)

 

 

セシリアの手を予測しながら、エコーロケーションで割れているセシリアのいる方向に向けて砲口を構える。

 

セシリアがいるのはアリーナ中央の上空・・・オレが張った煙幕の丁度真上、要は完璧に頭上を取られているわけだが━━━今に限れば、オレにとって非常に都合が良い。

 

 

蓮矢「━━━この構図・・・『ラストシューティング』にそっくりじゃねぇかw

簪が見たらテンション爆アゲ間違いなしだなァ・・・。」

 

 

取り留めもない事が脳裏を過ぎり口角が少し上がる━━━が、すぐに頭の片隅に追いやり、再度集中する。

 

正面は煙で覆われ、先は見えないが━━━

マリアが探知したセンサーが、セシリアがいる位置を割り出しているその方向に向けて━━━

 

 

蓮矢「━━━━行くぜ

 

 

 

『増殖する(インクリース)━━━━━」

 

マリア「━━━マスター!ティアーズからミサイル接近ッ!回避をッ━━━━━━!!」

 

蓮矢「ッ━━━━━━━━!!」

 

 

マリアの警告に反応し、即座に放とうとした一撃を中断。言われるがまま回避のために瞬間加速でその場から離れようとして━━━気付く。

 

 

蓮矢(セシリアの位置は真上━━━虎の子のミサイルを撃ってきたのは煙幕からオレを引きずり出す為か━━━

 

ミサイルから逃れようと不用意に煙幕から出れば狙撃される。かといって、その場に留まればミサイルの餌食、または爆風によって煙幕は散らされる。

 

この短時間で良くもまあこんな策を思いつくモンだっ━━━!!

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━だがッ!!)

 

 

 

━━━━ィィィィイイイン!!!

 

 

セシリアの思考を読んだ上で、瞬間加速を使う為に更にスラスターの圧力を、回転数を上げていく。

 

そしてブルーティアーズから発射されたミサイルが煙幕を突っ切って視界に現れたと同時にスラスターの圧力が瞬間加速可能な領域に到達する━━━

 

 

蓮矢「━━━瞬間加速っ!」

 

 

━━━ドンッ!!!

 

 

という音と共にスラスターの中で高められた圧力が解き放たれる。

1度の瞬きのうちに煙幕の範囲から出るだろう殺人的な加速の中で、更に一手を繋ぐ。

 

 

蓮矢「スラスター連結解除(パージ)」

 

━━━ガキン。

 

 

煙幕の範囲から出るほんの少し手前で背部のバックパックごと連結していたスラスターをオレから切り離す。

 

するとどうなるか━━━

 

 

蓮矢「〜〜〜〜〜ッ!行ってこいッ!!」

 

ゴゥッ━━━━━━!!

 

 

瞬間加速を使用した時の慣性そのままにすっ飛んでいくオレと、マリアがスラスターの角度を調整しオレとは違う方向に飛んでいくオレ不在のバックパックという二手に別れたのだ。

 

そして、移動の要とも言える背部スラスターを失ったことで、微々たるものではあるが減速していくオレとは違い、分離したバックパックを量子化せずに瞬間加速の速度そのままに━━━否、オレというウェイトと空気抵抗から解き放たれたバックパックは僅かに速度を増し飛んで行く━━━。

 

 

それこそ、煙幕の範囲からオレが出るよりも速く━━━。

 

 

━━━ドォォォォン!!

 

 

背後でミサイルが着弾したのか、少々派手めの爆発音が響く。

 

煙幕が爆風によって散らされようとした、その時━━━

 

 

━━━━━━━バッ

 

 

セシリア「━━━━━!そこですわッ!!!!」

 

 

煙幕から真っ先に飛び出した『物体』にセシリアは間髪入れずにライフルを構え、引き金を引く。

ライフルから放たれたビームは寸分たがわず飛び出した標的に命中し、爆発する。

 

 

セシリア「ヤりましたの!?」

 

蓮矢「残念!ソイツは残像だっ!」

 

 

セシリアのちょっと過激じみた言葉に短く返す。と同時に、バックパックが出てきた方向とは別のところから、スライディングをしているかの様にズザザザザッと滑り込みながらセシリア目掛けて砲口を向けた蓮矢が出てくる。

 

 

セシリア「しまっ━━━━━━!!」

 

 

セシリアがこちらに気付くがもう遅い。

 

 

 

蓮矢「果てな━━━増殖する炎の矢(インクリース・フレイムアロー)!!!」

 

 

砲口からセシリアに向かって極太のビームが放たれる。

 

 

セシリア「なっ!!?ビーム兵装ですって!!??」

 

 

セシリアが目を見開き驚愕の声をあげ、一瞬動きが止まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その止まった一瞬が・・・セシリアから『勝利』の二文字を完全に消し去った。

 

 

 

━━━ヴゥン

 

 

放たれたビームが一瞬『ブレる』

一筋だった紅色の極太の帯が2本、3本と枝分かれ(増殖)していく。

 

 

 

セシリア「━━━━━━━━━ぁ」

 

 

気が付いた時には紅の『壁』が目の前まで迫っており、攻撃範囲から逃れられなかった。しかし━━━

 

 

セシリア「それなら━━━━━━ッ!」

 

 

それでもSEの減りを少しでも抑えるためにライフルを、背中にあるカスタムウイングを自らの前に展開し瞬時に壁を作る辺り、流石代表候補生と言ったところだろう。

 

 

蓮矢「削りきれぇぇぇぇ!!!」

 

 

嘆願するかのような雄叫びが、ビームの奔流に掻き消され自身と、セシリアのSEが凄まじい勢いで減損していく。

 

SEの減り具合的にセシリアの方が先に尽きる。

先にゼロになった方が敗北するISバトルのルール上、蓮矢が勝つのは必然━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━そのハズだった。

 

 

 

セシリア「くぅぅぅ・・・・・今ですッ

 

 

 

 

フィーッッッッッ!!」

 

 

フィール『待っていたのはこの『瞬間』ッ!なのですよぉ!!』

 

 

 

 

━━━━ボッ!

 

 

蓮矢「なにィ!!?!」

 

 

先のミサイルでの爆風で吹き飛ばしきれなかったケムリの中から飛び出してきたのはセシリアの・・・最後のブルーティアーズ。

 

最後にして唯一残されたセシリアの武器が、砲口をこちらに向けていた。

 

 

 

━━━━ビッッッッッッ!

 

 

そこから放たれた蛍光色の閃撃は正確に蓮矢の装甲外に命中し、SEを減らしていく。

 

 

蓮矢「チィィイッ!!」

 

セシリア「ァァァァァアア!!」

 

 

互いに声を上げる━━━

目まぐるしく減損していく両者のSE━━━

 

 

 

 

そして・・・遂にその時が訪れる。

 

 

 

 

ビィィィィィ━━━━━━!!

 

 

『SE両者共にエンプティ、よってこの試合は引き分け(ドロー)となります』

 

 

 

ワァァァァァァァァァ!!!!

 

 

アリーナ全体に響くアナウンスが告げた通り、同時にSEが尽きるという、バトル史上滅多にない結末と湧き上がる歓声をもってこの試合は幕を閉じたのだった。

 

 

 

〜side蓮矢out〜





お待たせいたしました作者です。
ガチモンのスランプに陥っていまして・・・。
書いては消して書いては消してを繰り返し、気が付いたら前話の投稿から2ヶ月近く経っていました・・・。

さて本編の方に触れますが、実の所、セシリア強化の案自体は、今は亡き前作から考えていたものでした。個人的に無事に形に残せて大変満足してます。
そして、オリ主君の技。まぁ、1つの武器で特性の異なる弾丸を撃つ。という伏線を張っていたので気づいている人もいるかもしれませんが、参考にしていたのは『SISTEMA C.A.I. 』です。
山嵐は嵐×晴れ、今回は未搭載でしたが、春雷を搭載していた場合嵐×雷にする予定でした。
ん?雨属性は?って?バリア貫通なんて搭載できるわけないじゃないですかぁ。

ま、そんなこんなで次はVS一夏戦ですが・・・1話だけ閑話休題的なインターバルを入れる予定です。

そしてそれに伴い、お久しぶりのアンケートを実施致します!
テーマはズバリ!

『オリ主君が対一夏戦で使用する得物』です!

期限は次の話が上がるまで!
皆様奮ってご参加下さい!

以上作者でした!

オリ主君が対一夏戦で使用する得物

  • 徒手空拳でボコボコに!
  • 敢えて一夏と同じブレオン仕様!
  • 不意打ち搦め手上等の超卑怯な手満載!
  • ↑全部突っ込んでクレメンス!
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