IS〜転生者は楽しみたい〜   作:聖命蓮

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対一夏戦は前半後半の2パートです。

舌戦多めの前半パート、開始ィ!!



蓮矢VS一夏 前編

 

 

〜side蓮矢〜

 

 

 

カタパルトから射出され十数分ぶりにアリーナへと戻る。

観客席からは俺を応援する声もちらほら━━━あれ?なんか多くない?クラスの6割近くが俺の応援に回ってる気がする。

 

半数超え・・・多数決なら勝ってるな。

歓声の中、アリーナに降り立つ。

 

 

蓮矢(織斑は・・・まだ来てないみたいだな)

 

周りを見渡すも織斑の姿がない。まだ来てないのかと考えた所で━━━━

 

 

一夏「おおおおぉぉぉぉぉ!!!」

 

 

織斑の馬鹿でかい声がアリーナ全体に響き渡る。

うるせぇなっと眉を顰め、声の方に向き直り━━━

 

 

蓮矢「はぁ、ようやく来やがった━━━━━ッ!!?」

 

━━━━ガキィィン!!

 

 

一言悪態をつこうとしたのを止め、織斑が振り下ろしてくる【雪片(剣)】をバックステップで躱す。

 

 

蓮矢「〜〜〜あっぶねぇなっ!!?何考えてんだテメェ!?」

 

一夏「女相手に卑怯な手を使って、それでも男かよ!!」

 

蓮矢「はあ!?」

 

一夏「絶対に許さねぇ!!オレがぶっ倒してやる!!」

 

 

何故こんな真似をしてきたのか問うが、返ってきたのは全く答えになっておらず、余計に困惑する。

織斑はそのまま斬ろうとしているのか剣を振り回し始める。

 

 

蓮矢「開始のッ・・・合図も待たずにッ・・・斬りかかって来るようなッ・・・ヤツにッ・・・卑怯者扱いッ・・・されたくはねぇ━━━━━━なッ!!」

 

━━━ガッ!

 

一夏「おわっ!?」

 

 

振り回す剣を足運びと最低限の上半身の動き(スウェー)で躱しつつ、振り下ろし直後の隙を狙いガラ空きだった土手っ腹に添えるように脚を置き、弾かれるように蹴って一気に後方へ跳ぶ。

その軽い蹴りで織斑はバランスを崩したのか少し蹌踉ける。その間にも更に距離を空けるために俺はバックステップを繰り返し、織斑が一息で間合いを詰めれない距離まで下がり、「ふぅ」と一呼吸入れる。

 

 

蓮矢『━━━改めて聞くぞ。織斑、今のは何の真似だ?』

 

 

睨みを利かせながら、問答無用で斬りかかってきた織斑にプライベートチャンネルを使い問う。

弁明があれば聞くが?と言外に匂わせるが、頭に血が上っているのか、鼻息荒く如何にも怒っていますと言わんばかりの剣幕で話はじめる。

 

 

一夏「何なんだよ!さっきの試合は!!」

 

 

声を荒らげ、吐き出された言葉はアリーナ全体に響き渡る。

周りの━━━クラスメイトに聞かれたらマズイかもしれないと欠片ほどの配慮で態々プライベートチャンネルを使ったにも関わらず、織斑の返答はオープンチャンネルを使ったものだった。

顔の向きはそのまま、ハイパーセンサーを使ってクラスメイト達のいる観客席の様子を確認する。クラスメイトの大半が「何を言っているんだ?」と言わんばかりに首を傾げていた。

 

 

蓮矢「さっきの試合?セシリアとのか?」

 

一夏「そうだ!!煙に隠れてコソコソ動いたり、銃なんて卑怯なモノ使いやがってッ!!」

 

蓮矢「━━━━━━━へぇ」

 

 

頭の中の温度が急激に下がるのが分かった。

━━━コイツは、自分が何を言っているのか分かっているのだろうか?

いや、分かっていないからこその言葉なんだろう。

織斑からしてみれば、『更識蓮矢』を指して卑怯者と言っているのだろうが、如何せん主語がデカすぎる。何も事情を知らないヤツが今の言葉を聞いたら『銃を使うヤツらはみんな卑怯者だ』と言っているようなものだ。

 

 

一夏「そんな卑怯者はオレがボコボコにして間違いだったと認めさせてやる!!

 

 

さっさと構えろ!!」

 

蓮矢「なるほどなるほど?お前が(アホみたいな理由で)カチキレてるのはよぉ〜〜〜〜〜〜く分かった。

 

じゃ、俺からの質問だ。」

 

 

俺には全く理解できないが、分かったフリでもしないと話が進まない。

箒といい、織斑姉弟といい、話の通じなさは、ホントに同じ人類なのか疑いたくなるレベルだ。

 

 

蓮矢「試合開始の合図を待たずに斬りかかって不意打ちかましてくるようなヤツはなんて言うんだ?」

 

一夏「お前ッ!そんなことまでしてたのかッ!!?」

 

 

 

 

 

 

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━━━━━━━━━(º ロ º )ハッ

 

一瞬意識が飛んだ!?

織斑自身がやってきたコトを言ったのに、オレがやったことにされている!?

責任転嫁、なんてレベルじゃねぇ!!

 

 

蓮矢「オレじゃねえよアホタレ。今さっきテメェがやったことだろうが。さも当然のように人に擦り付けてきやがって、客席で見てるクラスメイト達(証人)がいるのによくンなこと言えるな。頭パープリンかよ。」

 

一夏「なんだとっ!?」

 

 

いや、何だとじゃないが?

流れる様な毒を吐き出してしまったオレもオレだが、織斑の目からは凡そ『反省』だの『後悔』の色が見えない━━━やべぇことした自覚無しって所か。

 

・・・え?端的に言って織斑の方がやべぇヤツじゃん。

 

 

蓮矢「ホレ。とっとと答えろよ?審判のスタート合図の前に後ろから斬りかかって来るヤツは『卑怯者』じゃねぇのか?」

 

一夏「・・・・・・・・・(ギリッ)」

 

 

いや、ギリッじゃないが?

何睨みつけてんだコラ?

喧嘩売ってんのかコラ?買うぞコラ?

 

 

蓮矢「・・・喋る気がねぇならとっとと開始線まで下がりやがれ。」

 

 

ザッザッ、と足元を示す。

オレの足元にはスタートラインが引かれていた。勿論織斑の足元にはラインは引かれているはずもない。遥か後方に引かれているラインを顎で指し示すと、織斑は無言のまま俺に背を向けてライン向かって歩き始める。頻りに後ろを気にしながら・・・。

 

 

いやいや、そんなに確認しなくてもいいぞ?試合が始まってるならまだしも始まってもないのに後ろから斬りかかるなんてコト、俺はしないからな?━━━お前と違って。

 

 

織斑がスタートラインに立つ。と同時に

 

 

【これより『更識蓮矢』対『織斑一夏』の試合を開始します。】

 

 

待ってました、と言わんばかりにアナウンスが入る。

織斑は出しっぱなしのブレードを構え直す。対して、俺は武器を出さずに棒立ちのままで対面する。

 

 

━━━━━━━━【Battle Start】

 

 

一夏「うおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 

織斑がブレードを上段に振りかぶり雄叫びを上げながら突撃してくる。

 

瞬時加速は使ってない。フツーに突っ込んでくるだけ。セシリアと比べるまでもない、圧倒的練度不足がそこかしこに見て取れた。

 

ただ避けるのは造作もない。だが━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それでは、コチラの気が収まらない。

コイツはこの場でボコボコにする。

身体も━━━精神(ココロ)も。

 

慈悲?━━━あるわけなかろうジョーシキ的に考えて。

 

 

 

とりあえずは━━━━━

 

 

 

スッ…と、突っ込んでくる織斑に向かって指を指して━━━━━

 

 

 

 

 

蓮矢「卑怯ォォ者ォォォォォォ!!!」

 

 

大絶叫をかました。

 

 

 

 

 

 

〜side蓮矢out〜

 

 

 

 

〜side一夏〜

 

 

 

 

蓮矢「卑怯ォォ者ォォォォォォ!!!」

 

一夏「はぁ!?」

 

 

人を指差したかと思えばいきなり叫び出した蓮矢に驚き、素っ頓狂な声を上げながら急停止を掛け立ち止まる。

 

 

蓮矢「武器を持っていないヤツ相手に武器を使うなんて『卑怯者』がすることだ!!

不意打ちするなんて『卑怯者』以外ないんだろ!?だったらお前も『卑怯者』だ!!

つーかよォ?お前さっきおかしな事言ってたよなァ!?『銃を使うヤツは卑怯者』だの『女相手に卑怯な手を使った』だの『男だったら正々堂々と剣を使え』だの!!

 

訳分からんアホ丸出しの、道端に落ちてる犬のクソにも劣る自論を他人に押し付ける行為を平然と行える精神性━━━━━敢えて言おう・・・カスであると!!」

 

一夏「なんだとっ!?」

 

蓮矢「では問おう!!」

 

 

矢継ぎ早に何かを言ってきたかと思えば、いきなりカス呼ばわりされたことが頭にきて言い返そうとするが、それよりも先に蓮矢が口を開く。

 

 

蓮矢「今日までの一週間、お前は一体何をしてきた?」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━は?

 

突然ワケの分からない事を聞かれ先程までの怒りが何処かに飛んでいってしまった。

 

 

一夏「何をって・・・・・・剣道だけど」

 

蓮矢「・・・それだけか?」

 

一夏「は?」

 

蓮矢「それだけかって聞いてんだよ、このスットコドッコイ・・・。

 

 

あ〜、もうイイわ。そのツラで大体分かった」

 

 

蓮矢の言っている真意が分からない一夏は呆けた様な顔になるが、その表情を見た蓮矢が一方的に話を区切る。

 

 

蓮矢「━━━IS使っての試合だってのに、一切IS関係に触れることなく生身で剣道だけやってた・・・。

 

 

━━━━━オマエさぁ、ナメてんの?」

 

一夏「っ!?」

 

 

蓮矢からいきなり放たれた圧に一瞬竦むも、言い返そうと口を開くが━━━

 

 

蓮矢「ISを使わなくても過去の試合映像を見て勉強するなり、方法はいくらでもあったハズだ。少しでも見ていたら『煙幕を使うな』だの『銃を使うのは卑怯』だの巫山戯た文言は出てこないハズだからな。

実際問題、織斑センセーがブリュンヒルデになった試合でも、相手は銃火器を使っていた。・・・なんなら織斑センセーも接近する為の牽制目的で銃を使っていた試合があったくらいだ。」

 

一夏「なっ!?」

 

 

目をひん剥いて驚く一夏

 

世間で織斑千冬(姉)は『剣一本で世界を制した』コトで知られていた為、てっきり『全ての試合を剣一本で勝ち抜けた』と考えていたコトによる認識の齟齬があった。

千冬も千冬で、自宅でISに関わる話を一切しなかった為、訂正する機会を失っていたこともこの勘違いを加速させる遠因となっていた。

 

 

一夏「━━━━━━で、デタラメ言ってオレを混乱させようとしてるんだな!?

そ、そうだ、そうに決まってる・・・あの千冬姉がそんな卑怯なマネ━━━━━」

 

蓮矢「━━━まぁ、その事についてはどーでもいいや。

・・・それよりもっと深刻な問題があるんだから」

 

一夏「?何だよ深刻な問題って」

 

 

蓮矢の意味深な言葉に首を傾げる一夏だが、それを蓮矢はハッと鼻で笑う。

 

 

蓮矢「散々人を『卑怯者』って罵っておいて、そいつから指摘してもらうってナニ?

一から説明しないと分からないバブちゃんなんでちゅか〜?」

 

一夏「なっ・・・お前っ!!」

 

蓮矢「キレるってことは図星かぁ?救いようが無いね、マジで」

 

 

真面目な顔つきになったかと思えば、急に嘲るような顔をしたりで、若干薄気味悪くなってきた。

 

 

蓮矢「・・・なら、1つ『勝負』といこうじゃないか」

 

 

上手く言葉にできずにいると、蓮矢は笑いながらそう告げた。

 

 

一夏「━━━勝負?」

 

 

蓮矢の意図が全く掴めず、オウム返しのように返す。

蓮矢はコクリと頷いて続ける。

 

 

蓮矢「お前が勝ったらお前の言うことをなんでも聞こう。『深刻な問題』についてもきっちり説明するし、お前が言った卑怯者のレッテルも甘んじて受け入れようじゃないか。」

 

一夏「・・・そっちが勝ったら?」

 

蓮矢「別(・)に(・)何(・)も(・)な(・)い(・)が(・)?」

 

 

は?

 

と、いよいよもって蓮矢が何を考えているのか分からなくなり、最早表情を取り繕うことも出来なくなる程に動揺する。

 

 

蓮矢「勝負の内容は・・・そっちに合わせてやるよ。『剣道』で勝負だ。

 

って言ってもISを使ったものにするから多少ルールを決めさせてもらうけどな。」

 

一夏「━━━いやいや!ちょっと待てよ!

なんだよそれ!オレに有利過ぎるだろ!?」

 

 

一応は突っ込んでおくが、内心では━━━

 

 

一夏(剣での勝負ならオレがあんな卑怯者に負けるハズがない!)

 

 

コレだけである。しかし、それを露骨に態度で出しては、自分の優位性を失うかもしれない。と本能で察知し、敢えて言う逆張りに近いコトをしたのだが━━━

 

 

蓮矢「大丈夫だよぅ。だってお前━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弱いもんw」

 

 

━━━ビキっ

 

 

笑いながらそう言った蓮矢に対し、一夏の額に青筋が浮かび始める。

 

 

蓮矢「んじゃ、ルール説明な。

 

基本的には生身の剣道のルールに準ずる。

したがって、飛行やスラスターを使用したブーストは禁止。

面、胴、篭手等はISを纏っている都合上あまり関係ないが、それ以外を故意に狙うのはナシ。

銃火器や特(・)殊(・)兵(・)装(・)等(・)の使用も禁止し、剣だけで戦うこと。

禁止したもの使用した場合、敗北とみなす━━━こんなとこでどうだ?」

 

一夏「━━━ああ、いいぜ」

 

 

特段おかしな点は無かった為、条件を了承し、剣を構える。

 

対する蓮矢はオレに向き直━━━━

 

 

蓮矢「おーい、誰か剣道の審判できる人いる〜?」

 

 

━━━らずに、客席にいるクラスメイトの方に向かって歩いて行った。

 

 

一夏「・・・・・・って、オイ!?」

 

 

思わずツッコむ一夏を蓮矢はチラッと一瞥しただけで何も言わない。

そのまま客席付近まで飛んで行き、空中で静止した後クラスメイトの皆に声をかける。

 

 

蓮矢「え〜っと、この中で剣道部に入ってたり、やってました〜って人いる?いたらさ?申し訳ないんだけど審判役やってくれないか?」

 

 

かなりの距離が空いているはずなのにも関わらず相手の声が聞こえるってなんか変な感覚だな・・・

 

 

クラスメイト「あ、私剣道部に入ってます。中学もやってました。」

 

蓮矢「おー、助かるぅ。判定は基本的なとこだけでいいよ。ポイントが入った時と、反則が入った時だけコールしてくれればいいから」

 

クラスメイト「分かりました」

 

 

審判役を引き受けてくれた子が客席の最前列まで降りてくる。

蓮矢もこっちに向かってゆっくり戻って来る。

 

 

蓮矢「・・・・・・・【時雨】」

 

 

蓮矢が何か呟いたかと思えば、右手が一瞬カッと光り、気付いた時にはその手に刀を握っていた。

 

 

一夏(━━━大丈夫だ。アイツがどれだけやれるのか知らないけど、オレは全国優勝した箒と特訓したんだ!負けるハズがない!)

 

 

オレは蓮矢の正面に立ち、雪片を中段に構える。

蓮矢も同じように中段に構えようとするが、動きが何処かぎこちなく感じた。

 

蓮矢が両手で刀を握り構えたところで━━━

 

 

クラスメイト「━━━━━始めっ!」

 

一夏「おおぉぉぉぉ!!」

 

 

審判役の子の合図と同時に間合いを詰める。

 

開幕同時の速攻。

 

蓮矢から剣道初心者特有の動きのぎこちなさを感じ取った一夏が自身の考えた最良の策であり、箒相手に勝ちを収めることが出来た唯一の方法。

 

一気に間合いを詰め、一刀目で動揺した相手の剣を力技で払い除け、二刀目で決める。

 

 

一夏(━━━まずはその剣を!)

 

 

蓮矢の持つ刀に狙いを付けて一刀目を繰り出す。

雪片を振りかぶり、右斜め上から袈裟斬りの要領で勢い良く振り下ろす━━━━

 

 

雪片は蓮矢の刀の側面へ吸い込まれるように進んで行き━━━━━

 

 

一夏(━━━━━もらった!!)

 

 

そう確信した瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

コッ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━?

 

 

 

?????

 

 

 

 

目の前の光景が理解出来なかった。

 

なんで━━━━━━━━━━

 

 

 

一夏「なんで(オレが払い除けたハズの)刀を持ってるんだよ!!?」

 

 

 

目の前には先程と変わらずやりにくそうに中段で刀を構える蓮矢の姿があった。

何も言わない蓮矢に腹を立て文句をつけようとして━━━━━違和感を感じた。

 

 

━━━━━━━カシャン

 

 

自分の足下から何かが落ちる音がした。

 

 

クラスメイト「【竹刀落とし】・・・織斑君に反則1回」

 

 

審判役の子が判定を出す。

思わず声をあげそうになるが、視界の端に自分の手が映り言葉を失う。

 

消えていたのだ。手に持っていた【雪片】が・・・。それに気づいて先程音がなった自身の足下を見ると、地面に【雪片】が転がっていた。

 

 

 

なんで━━━━━━どうして━━━━━━

 

 

頭の中がそんな言葉に埋め尽くされる。

 

 

 

蓮矢「・・・さ、あと1つ決めれば俺の勝ちだな?」

 

 

ニヤニヤと実に意地の悪い笑みを浮かべながら、蓮矢が呟くように言った。コレが蓮矢の仕業だと理解した時、瞬間的に頭にカッと血が上がるのが分かる。

 

 

一夏「・・・テメェ、この卑怯者が━━━!!」

 

蓮矢「おいおい、卑怯者とは心外だなぁ?オレはきちんと【剣道のルール内】でやり合ってるんだぜ?

審判に聞いてみればいいだろ?【コイツ(更識蓮矢)はズルをしていますか?】ってな」

 

 

━━━バッと、審判役の子を見ると、「え、マジで聞くつもりなの?」と言わんばかりの顔をして、小さく息をついてから口を開く。

 

 

クラスメイト「・・・現段階で更識君はズルも反則もしてないわ。さっきの織斑君の剣が弾かれたのは更識君が【巻き上げ】を使ったからね。・・・そもそも、あまり決まることのない技なのよ?コレ。

柄をしっかり握っていれば落とすことなんてないんだから。」

 

 

そう言われてしまい、二の句も告げれなくなる。

より簡潔に言われれば「油断してたお前が悪い」といわれているのだから。

 

━━━だから

 

 

一夏「〜〜〜〜〜っ蓮矢!お前初心者じゃなかったのかよ!?」

 

 

標的を変えた。審判役の子から未だ意地の悪い笑みを浮かべている蓮矢へと

 

 

蓮矢「・・・何を言い出すのかと思えば・・・。オレは【初心者】だ。なんて一言たりとも言ってねぇぞ?」

 

一夏「じゃ、じゃあ、なんで構えがぎこちなかっただよ!?それを見ててっきり初心者なのかと━━━」

 

蓮矢「・・・はぁ?動きがぎこちなかった?

 

 

・・・そりゃそうだろ?コレ見ろコレ」

 

 

そう言って蓮矢は右腕を上げる。

左腕と違い、ゴツくてデカい右腕を軽く振る。

 

 

蓮矢「手のひらが左右で違うんだぞ?刀の柄が上手く掴めねぇんだよ。

動きがぎこちない?当然だろうが。片手だけ普段の4倍近いサイズなんだぞ。そんなんで普段通りに動けてたまるか」

 

一夏「うっ・・・」

 

 

呆れたような目を向けながら至極当然のコトを言う蓮矢の言葉に、一夏は呻くことしか出来ない。頭に上がった血も、論破される事に氷水を掛けられたかのように急激になりを潜めていく。そこへ更に客席からの全身を射るような視線が殺到する。その様相は正に針の筵と言ったところだ。

 

 

蓮矢「━━━━オイ、何ボサっとしてんだよ?さっさと構えろや

 

それともなにか?今更ながらに勝ち目がないと怖気付いたか?━━━━━━腰抜け」

 

 

一夏「━━━━━━━ッ!!」

 

 

蓮矢の煽りは冷えた頭に良く響いた。

冷静になりつつあった一夏だったが、再び怒りによって頭に血が上る。

 

上等だ、やってやるよ!と言わんばかりに再び中段に構える一夏。

 

 

クラスメイト「・・・始め!」

 

 

一夏が構えたことで漸く開始の合図が出される。

しかし、先程とは打って変わって一夏と蓮矢(両者)が中段に構えたまま動かない。

 

 

一夏(さっきのはオレが油断してたからあんな卑怯な手でやられたんだ。今度は油断しないっ!

初心者じゃない事は分かったから今度は様子を見て━━━━━━)

 

 

先程の反省を活かし、無策で突っ込むのを止める。確実に仕留められる隙を見つける為に【見】に徹する。

 

 

蓮矢「・・・そういやお前、篠ノ之と剣道の特訓してたって言ってたな?

なんだ?同じ流派(同門)だったりするのか?」

 

 

不意に、構えた状態のままの蓮矢が口を開く

 

 

一夏「・・・だったらなんだよ」

 

 

コチラの集中を切らす作戦かと考え、ぶっきらぼうに言い返す。

 

 

蓮矢「ふ〜ん?確か━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━こうだったか?」

 

 

ゆっくりと刀の切っ先を上へと持って行き、蓮矢の構えが完全に【上段】へと変わる。

 

その時━━━

 

 

一夏「━━━━━━えっ」

 

 

一夏から見た蓮矢が、別の人と重なって見えたのだ。

 

その構えを見たのは1度だけだが、その姿は確かに━━━

 

 

一夏「━━━━━━━━━箒の父さん(柳韻さん)?」

 

 

幼かった頃に剣道を教えてくれた箒の父━━篠ノ之柳韻(師範代)の影が見えた。

 

 

蓮矢「フー・・・織斑、頑張って防げよ?

 

 

 

 

 

 

 

篠ノ之流━━━烈の極み【天津風】ッ!!」

 

 

 

━━━━ゴウッ!!

 

 

一夏「なっ!!?」

 

 

━━━━ギャリィィィィィ!!

 

 

十分に空けていたと思っていた距離をブーストを使わずにたった一歩で潰され、肉薄されたことに驚くが、それと連動して上段から脳天目掛けて振り下ろされる一太刀目を辛うじて防ぐ

 

 

しかし━━━━

 

ギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャッ!!

 

 

一夏(速ッ・・・重ッ━━━━━━━!!)

 

 

繰り出される一撃一撃が速いうえに恐ろしく重い。

まるで巨大な鉄球を叩きつけられているような、そんな重さが信じられないような速さで━━━頻度で降り注ぐ。

 

 

 

蓮矢「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァァァ!!!」

 

 

まるで吸血鬼の親玉の様な言葉と共に、蓮矢が放つラッシュ、ラッシュ、ラッシュの嵐

 

 

━━━本来であれば、たった1週間程度の特訓しかしていない一夏では捌くことすら出来ない超連撃なのだが・・・

 

頭に辛うじてが付くものの一夏は捌けている。

 

 

 

 

 

 

そしてその一方的な攻防は・・・程なくして音が止み、終わりを告げた。

 

 

 

〜side一夏out〜

 

 

 

 

 





作者です。
対織斑戦前半パート如何だったでしょうか?
ほぼ舌戦がメインで一夏の精神面の幼稚さを如何にして強調するのか、がめちゃくちゃ大変でした。
結果としては【話を聞かない、すぐに手が出るクソガキ】に寄せる形になりました。
上手く表現できているといいのですが・・・。

さて、蓮矢君が使った【天津風】ですが、出典元は【落第騎士の英雄譚】からです。
篠ノ之流の技を調べたのですが、零拍子しか描写が無かったので、新たに生やすことにしました。他にも考えたのが【無職転生】の水神流の流、カウンター技の候補です。もしかしたら今後出てくるかもしれません。

ではでは、次で織斑戦は終了となります。
次回をお楽しみに!!

以上作者でした!
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