〜side蓮矢〜
一夏「ハァ・・・・・ハァ・・・・・ハァ・・・」
蓮矢「・・・よく耐えたじゃねぇの」
全ての連撃を捌ききった一夏だったが、肩で息をするのを隠せないレベルで疲弊していた。
対して、蓮矢は息つく間もない程の連撃を放った直後にも関わらず、けろりとしている。
たかだか1週間しか運動していない者と、日頃から運動し続けている者の体力の差が如実に表れたものであった。
蓮矢「どうする?まだ続けるか?」
一夏「やるに・・・決まってんだろ!!」
息も絶え絶えな状態の一夏がフラフラになりながらも剣を構える。
そんな一夏を横目に、蓮矢は互いの残存SEを確認する。
更識蓮矢:残存SE91%
織斑一夏:残存SE37%
まともなクリティカルヒットこそなかったものの、絶対防御に切っ先を掠らせる等で、ゴリゴリと織斑のSEを削った結果である。
━━━━━そもそもだが、織斑は大きな【考え違い】をしている。
そもそも、
剣道の勝負といっても、オレたちが勝手にやってるだけで、ISバトルには何ら関係ないのだ。
しかし、逆は成り立つ。
本来のバトル内容である相手のSEを削りきれば、強制的に終了となる。
言い方を変えてしまえば【茶番】である。
もっとも?アリーナにいる中で気づいていそうなのは審判役をかってくれた娘━━━確か【四十院神楽】さんだっけか?そのくらいみたいだけど。
アリーナの壁面に取り付けられてるディスプレイでしきりにSEを確認してるみたいだし。
さて・・・現状確認をしようか。
オレSE損傷ほぼナシ、連撃放ってほんのキモチ程度消耗。元気健在、ピンピンしてる。
対して織斑。SE3割強、連撃防ぎきりめっちゃ消耗。疲労困憊、フラフラしてる。風前の灯。
現状では、オレの勝ちは濃厚とみていいだろう。
とはいえ、油断してPONするのはあまりにも恥ずかしいから、油断はしない。
慢心★ダメ★絶対。
━━━━では逆に、ココから織斑が逆転勝ちできそうなパターンを考えてみよう。
すぐに浮かんだのはこの2つ。
パターン1
オレから2本取ってあくまで【剣道】の正攻法で勝つパターン。
パターン2
【剣道】で勝つのを諦め、ワンオフアビリティの【零落白夜】を使った一撃必殺で勝負を決めに来るパターン。
パターン1は多分無理そう。
自分でいうのもアレだが、オレと織斑とでは【剣道】に限らず、【剣術】の分野で実力差があり過ぎる。それはもう【気合い】だの【根性】だのと精神論ではひっくり返せないレベルで。
織斑の現段階での体力では正攻法でやり合うには分が悪すぎる。織斑が嫌っている【卑怯な手】でも使わない限りは隙すら作れないだろう。
となると、有り得そうなのが【2】の方かな?
何なら頭の【剣道で勝つのを諦める】が抜けて零落白夜で勝つことしか考えてないかもしれん。
━━━あ、織斑の雰囲気が変わった気がする。
感覚的には【ぶちのめす】って考えてたのが、【ぶっ殺す】になった感じ。
殺意マシマシの目で見てくる。
おいおい、そんな目で見ないでくれよ。
興奮しちゃうじゃないか♠
・・・おっと、勘違いしないでくれたまえ?オレはノーマルだ。オデ、女の子大好き。野郎はノーセンキュー。
シャルロット?男装女子だからセーフ。イイよね、ボクっ娘。
・・・話を戻そう。
あの織斑の感じからして零落白夜でぶった斬りに来るだろう。
・・・・・・・くっくっく。
視野狭窄も甚だしい限りだ。
それこそがオレの狙いだというのに━━━
蓮矢「・・・いつまで黙ってるつもりだ?来ねぇなら━━━こっちから行くぞ?」
一夏「ッ━━━!!やれるもんならやってみやがれッ!!
【零落白夜】ァァァッ!!!!!」
織斑が叫ぶと織斑の剣━━━【雪片】の刀身がパカッと割れ、光の刃が形成される。
【零落白夜】・・・織斑千冬が世界一になった際に搭乗していた専用機【暮桜】のワンオフアビリティ。
自らのSEを消費し、バリアを無効化する光の刃を形成。その刃を当てることで絶対防御を強制発動させSEを大幅に削る。一撃必殺にして諸刃の剣ともいえる特殊兵装。
━━━━━━━━━そう、【
蓮矢「はい、アウト〜」
一夏「千冬姉の剣でお前に勝つ!!ウォォォォォ!!!」
オレの声は聞こえなかったのか、織斑は零落白夜を起動させたままコチラに向かって駆け出す。そして勢いよく雪片を振りかぶり━━━━━━━━
━━━スポンッ
一夏・クラスメイト達「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」
織斑の手から雪片がすっぽ抜け、そのまま放物線を描いて後方に飛んでいった。
チラりと四十院の方に視線を向けると、それに気づいた四十院が小さく頷く。
審判の了承を得たと考え、【時雨】をしまうと━━━━━
蓮矢「ウェポンNo.008━━━コール」
拡張領域から新たな武器を取り出す。
ジャラッと音をたてるその武器の先端を、落下し始めている雪片に向かって━━━
蓮矢「━━━ホッ」
ぶん投げた。
ジャラララララララ!
金属が擦れ合う音を奏ながらその先端は雪片をほんの少し通り過ぎ、先端を繋ぐ鎖がクンッと折れ曲がる。
一夏「━━━━━は?えっ、オイ!?」
ココで織斑が漸く正気に戻るが、何もかもが遅すぎる。
<判断が遅い!!
鱗滝サン、ステイステイ。
そのままクイッと鎖を引っ張れば、あら不思議。
蓮矢「よっと」 (パシッ)
織斑の雪片が引き寄せられ、オレの手にすっぽりと収まってしまったではあ〜りませんか。
━━━チャリ
垂れ下がる鎖同士が触れ合い、子気味のいい音を出す。
蓮矢(大分久しぶりに使ったけど、案外鈍って無いようで良かった。)
雪片をぶん取る為に取り出したのは【鎖鎌】。鎖を伸ばせばリーチも伸びる。でもって、鎖自体もISの装甲の端材で作っているから、耐久性に問題なし。絡めとって拘束することもできる。
・・・まぁ、扱いに慣れればの話だけど。
尚、織斑の手から離れた時点で光の刃━━━零落白夜は消失している。
織斑から離れると効力を失うのだろうか?
・・・ペンタブかな?
一夏「返せッ!返せよッ!!ソレはオレの━━━千冬姉の力だぞッ!!!」
蓮矢「え〜?落としたみたいだから拾ってやったのに、そんな言い方すんの〜?」
一夏「だったら今すぐ返せよ!!
それに、なんだよそれ!剣道にそんなもの持ち込んでッ!反則だろ!!」
鎖鎌を指さしながらギャンギャン騒ぐ織斑。予想通りの反応ではあるが、実際目にすると・・・うん、クるものがあるな。
蓮矢「じゃあ、オマエもだろ?」
一夏「はぁ!?オレが何時反則なんて━━━」
蓮矢「1つ、特殊兵装を使った。2つ、刀を落とした。どっちも反則だろ?」
一夏「━━ッ!」
織斑が「何で」と言わんばかりの表情に変わる。
蓮矢「お前は確かに言ったぞ?『零落白夜』って、『千冬姉の剣でお前に勝つ』ってな?
オレが知らないとでも思ったか?お前の姉、織斑千冬がモンドグロッソを制した時に使用していたIS【暮桜】。それに搭載されていたワンオフアビリティ【零落白夜】の存在を━━━」
一夏「━━━━━━チッ!」
おいコラ舌打ちしたな?!
蓮矢「何でお前がブリュンヒルデと同じワンオフを使えるのかは知らねぇけどな・・・。そいつはワンオフアビリティを使用する都合上、特殊兵装扱いだ。この区分は公式戦のルールブックに実際書いてあるからな。」
一夏「・・・クソっ。雪片がすっぽ抜けたりしなければ・・・。」
蓮矢「ハッ!まさかとは思うが、すっぽ抜けたのは運悪く━━━とか思ってねぇだろうな?残念、そいつはオレが仕込んだコトだ!」
一夏「はぁ!?テメェ・・・やっぱりイカサマしてたのか!!」
蓮矢「イカサマだぁ?ノンノン。純然たる技術だよコレは。
お前・・・さっき俺が出した連撃を全部剣で捌いた━━━それが間違いだ。」
織斑の表情に困惑の色が出てくる。
観客からも「え、アレって防いじゃダメなの?」と上がった声をセンサーが捉えた
うむ。俺自らが解説してしんぜよう。
蓮矢「俺が使った烈の極み【天津風】は、本来の速度で振るってないんだよ。寧ろ威力重視で遅かったもんだ。お前がギリギリ捌けるくらいまでスピードを落としてな?」
一夏「なっ!?」
蓮矢「ここでクイズだ。何で態々お前にも防げる速度で連撃を繰り返したと思う?
シンキングタイムは5秒だ。」
一夏「え、は?な、なんでって━━━」
蓮矢「はい、時間切れ〜
正解は【防がせること自体が目的だったから】でした〜」
織斑の顔には余計に分からなくなったと言わんばかりに先程以上に困惑の色が強くなる。
蓮矢「【天津風】と併用して【発勁】の一種を使わせてもらった。
剣が当たった瞬間に衝撃波としてお前の腕に【発勁】を流し込む。するとあら不思議、しばらくの間手に力が入らず、なんにも持てなくなるってワケだ。」
そこまで言ったところで漸く理解出来たのか、織斑の表情が困惑から悔しそうに歯噛みした表情へと変わる。
蓮矢「━━━で、どうする?剣道では俺の勝ちになったワケだが?
━━━━━まだ、やるかい?」
一夏「当たり前だ!オレは絶対に諦めねぇぞ!オマエをボコボコにするまではな!!」
う〜ん。最後のワンフレーズが無ければ【主人公】って感じなんだけどなぁ?余計な文言が付いてるせいで、三下臭がプンプン漂ってるZE★
蓮矢「でもなぁ〜?俺は武器を持ってない相手に向かって一方的に斬りかかるなんて野蛮なコトはしたくないしなぁ〜?」
まるで近所の
織斑の神経を逆撫でする様に、ネットリとした言い方を心掛け・・・
そうすれば━━━━━━
一夏「〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!だったら殴り合いでケリをつけるだけだッ!!
武器なんて捨ててかかって来いッ!!!」
はい釣れた〜w
でも、最後に「野郎、ぶっ○してやるぁぁぁ!!」が付いていなかったので減点。
蓮矢「ほう?武器を使わずに殴り合いで俺に勝てると?」
一夏「あぁ!」
蓮矢「木刀を振り回す篠ノ之を無傷でノシた俺を相手に本当に勝てると?」
一夏「・・・・・・・・・・・・・・あぁ!」
オイ。なんだ今の間は。
苦々しい顔すんな、如何にも忘れてたって感じの反応しやがって。撤回なんざさせねぇぞ。
蓮矢「そっちがその気なら━━━━━お前にはとっておきの【魔法】を見せてやるよ」
足を肩幅に開き上半身を軽く捻って左手を腰だめに構える。
その構えは宛ら【か○はめ波】の溜めの様だ。
一夏「魔法?ある訳ないだろそんなもの。」
蓮矢「あるんだなぁ、コレが━━━。
その身をもってとくと味わいな。古より伝わる超・究極大魔法━━━魔法の鉄拳【マジカル★パンチ】を━━━!!」
━━━ドンッ!!
この試合初めての瞬時加速を使って空いていた距離を潰す。
更に必殺のエネルギーを捻出する為に、腰、肩、肘、手首の関節をギリギリ限界まで捻るコトでパワーを溜める。
蓮矢「マァァァァジィィィィィィカァァァァァrrrrルゥゥゥゥゥぅぅ」
織斑の顔面目掛けて殴り掛かり━━━
一夏「━━━━━━ッッッ!!!」
巨大な鉄の塊が顔面目掛けて飛んでくる光景に本能的な恐怖を覚えたのかガードを上げて両腕で顔面を守る一夏
━━━━━自ら上げた両腕に遮られ、蓮矢の姿が見えなくなる。
そんな明確な隙を見逃すはずがなかった
蓮矢「パァァァァンチィィ!!!」
━━━━━━ゴシャァァ!!!
一夏「ゲファァァァァ!!??」
クラスメイト達「「「「「「えぇぇぇぇ!!!???」」」」」」
腹に攻撃を喰らい、派手に吹っ飛ばされた織斑の汚い叫び声と客席からの驚愕の声が響き渡る。
━━━━━ズドーーン!!!
織斑はそのまま吹っ飛び、アリーナの壁に叩きつけられ━━━━━━━
『織斑一夏SEエンプティ、更識蓮矢の勝利となります』
装甲外(腹)へのダメージプラス壁に叩きつけられた衝撃でSEを削り切ったらしく試合終了を告げるアナウンスが流れた。
セシリアとの試合が終わった時とは真逆の静まり返ったアリーナ。
・・・うん。この沈黙は耐えれない。
ので、ぶっ壊すことにした。
蓮矢「・・・説明しよう。魔法の鉄拳【マジカル★パンチ】とは━━━
パンチの3倍の威力に匹敵する
そう、先程織斑にぶち込んだのはボディへのミドルキック。
顔面狙いのパンチモーションを敢えて見せておいて、ガードを上げさせて、逆に無防備になった胴体を狙うワケだ。
・・・金的を狙わなかったのは温情である。
━━━━━ガラッ
そうこうしてたら、壁に叩きつけられてた織斑がよたよたとフィールドを歩いて来た
一夏「・・・・・・・・・き、キックじゃねえか・・・。」(ドサッ)
あ、気絶した。
見事なまでの飲茶ポーズ。芸術点が高いですね。
それはともかく、聞いてないだろうが、一応返しておくとしよう。
蓮矢「・・・その辺が、なんとな〜く【マジカル】だろ?」
終わった終わったと、グッと伸びをして踵を返し、本音達がいるであろうピットに向かって歩き出す。
・・・織斑は放置なのかって?
放置するに決まってるじゃん。コッチにゃボコす理由はあっても助ける義理なんて無いわけだし。
何より━━━━
この期に及んで
まぁ、オレがやらなくても向こうの織斑センセーだったり、モップだったりが回収するでしょ・・・・・・多分。
蓮矢(さてっと━━━俺の試合は全部消化しきったし、後はのんびり高みの見物をするとしますか)
と、考えながらアリーナを後にしようとする蓮矢に、客席からパラパラとまばらな拍手が送られたのだった。
〜side蓮矢out〜
作者です。
これにて蓮矢君の試合は全て終了になります。
一瞬だけの登場とはいえ、リクエストされていた【鎖鎌】も出せて内心ホッとしてます。
色々探してみましたけど、鎖鎌をメインで使ってるキャラってなかなかいないんですよねぇ・・・。
見つけたので犬夜叉の【琥珀】くらい?しかも戦闘描写がほぼ無いという・・・。
悩んだ結果、アイテム回収用に使う苦肉の策を取りました。
他に案が出てこなかったんや・・・。コレで満足しておいて下ちい。
それでは、次回をお楽しみに
以上作者でした。