捨てられ少女の壁作り ~聖女に捨てられ魔物があふれた国で、もふもふと一緒に結界を作ります~   作:龍翠

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「おお……!」

「わあ……!」

 

 ぺたぺたと旅をする道中で出会ったレスターの住む町にたどり着いて、リフィルとアレシアは思わず声が出ていた。

 町。そう、町だ。リフィルは町に入るのが初めてだ。おそらくアレシアも初めてなんだと思う。だってリフィルと同じように、目をきらきらとさせているから。

 石造りの家々が並ぶ町。たくさんの人が行き交い、リフィルと同い年ぐらいの子供たちが笑いながら遊んでいる。お店らしきお家の前では、若い女の人がお店の人と談笑していた。

 これが、町! なんだかすごい!

 うきうきとした気分で、レスターに案内されて町の中に入って。

 

「え」

「なにあれ……」

「ま、魔物……!?」

 

 困惑の声が広がっていくことに、リフィルとアレシアは戸惑ってしまった。

 町の人たちの視線はどれもリフィルの方に向いて……。いや、向いていない。その後ろ側に向いてると思う。つまり、魔物を引きずるレオンに。

 

「目立つよね」

「ん……」

 

 アレシアの呟きに、リフィルは神妙な気持ちで頷いた。目立つと思う。こればかりは仕方ない。だって。

 

「レオンはかわいいから」

「違うよ!?」

 

 あれ? 違ったみたい。アレシアもレスターも呆れていた。

 

「おかしい……。レオンはかわいいのに」

「かわいいけど、今回は違うの」

「かわいくない?」

「かわいいけど……! そうじゃなくて! 魔物で目立ってるの!」

「まものは、かわいくない」

「かわいいで目立ってるんじゃないよ!?」

 

 だめだこれ、とアレシアが頭を抱えてしまった。はて、どういうことだろう。レオンを見る。レオンは小さなお口で魔物の尻尾をくわえて、ここまで引きずってきてる。

 さすがレオン。ちっちゃくて力持ち。かわいくてすごい。

 レオンを撫でると、どうだとばかりに胸を張った……ような気がした。かわいいからもっと撫でよう。

 

「あー……。言いにくいのだが……。行かないか?」

「ん」

 

 レスターに促されたので次に行こう。とりあえずは、魔物を買い取ってくれるお店に行かないといけない。

 最初に立ち寄った村では行商人さんが買い取ってくれたけど、きっとここではどこかのお店に行けばいいはず。どこに行けばいいかな。とりあえず近くのお店に……。

 

「待ちなさい。どこに行くつもりかね」

「まものを、おみせに、うる」

「そんなものを店で買い取れるわけがなかろうに……。こちらだ。ついてきなさい」

「どこにいくの?」

「無論、ギルドだとも」

 

 ギルド。初めて聞く名称だ。リフィルはそんな施設を聞いたことがない。リフィルが生まれた村やアレシアの村でもなかったはず。

 どんな場所なんだろう。ちょっと楽しみ。そう思うのと同時に、リフィルはレオンの様子を見てはてなと首を傾げた。

 だって、なんだか見るからに興奮してるから。

 

「うにゃあ……!」

 

 そわそわしてる。目をきらきらさせてる。きらきらの、そわそわだ!

 

「リフィちゃん。レオン、どうしたのかな?」

「わからない。ふしぎ」

 

 でも、機嫌が悪いわけでもないんだし、別にいいかなと思う。だって、きらきらそわそわなレオンは、とってもかわいいから。

 

「ギルドはこっちだ」

 

 レスターに案内されて向かったのは、町の大通り沿いにある建物。二階建ての建物で、時々出入りする人は鎧を着た人たちだ。

 それを見てレオンがさらに興奮してる。大きな魔物を引きずる猫なレオンに周囲がざわざわしているけれど、それすら今はもう関係ないみたい。とってもわくわくだ。

 

「にゃうにゃう! ふしゃ!」

「これはわたしでも分かるよ。早く入りたい、だよね」

「ん……。でも、ふしぎ」

「どうしてこんなに興味津々なのかな?」

 

 分からない。分からないけど、まあいっか。

 レスターと一緒に、リフィルたちはギルドに入った。

 ギルドは、なんと言えばいいのか、ちょっと食堂っぽい感じだ。ジュリアのお宿の食堂に似てる。カウンターがあって、テーブルがあって……。でも、椅子はないみたい。

 中には当然ジュリアはいないけれど、なんだか怖い人たちはたくさんいた。筋肉がすごい男の人とか、ローブを着た魔女っぽい女の人とか。

 そんな人たちが品定めをするように、じろりとこちらに視線を向けてきて。

 

「ひぅ……」

 

 ささっとアレシアがリフィルの後ろに隠れた。

 

「ん……。だいじょうぶ。だいじょうぶ」

 

 アレシアはリフィルには慣れてくれたけれど、とっても人見知りをする子で、わりと臆病だ。だからこんな怖い視線を向けられたら、ちょっと怯えてしまう。

 そんなアレシアを睨むなんて、ひどい人たちだ。

 

「君たち。こんな子供を睨むなんて、恥ずかしくないのか?」

 

 レスターの言葉に、その場にいた人たちが気まずそうに目を逸らした。鎧の男の人が肩をすくめて言う。

 

「悪かったよ。でもよ。そんなでかい魔物を引きずってこられたら、俺らだって警戒するっての」

「獲物が大きすぎてつっかえてるわよ」

「え」

 

 慌てて振り返ると、魔物の尻尾をくわえていたレオンが足をぱたぱたとさせていた。魔物が大きすぎて、ドアから入れなかったらしい。つっかえてしまってる。

 あわあわと足をぱたぱたさせてるレオンはとてもかわいいと思う。

 みんなでそんなレオンをほっこりと眺めていたら、鎧姿の男の人が呆れたように言った。

 

「いや、誰か手助けしてやれよ……。解体してほしいんだよな? 解体場は裏手側だから、建物をぐるっと回ってくれたらいいぞ。案内してやる。それにしてもすごい猫だな……」

 

 鎧の男の人がそう言って、レオンを連れてギルドを出ていった。慌ててリフィルもそれについていって、当然のようにアレシアもついてくる。みんな一緒。

 

「ああ……」

「行っちゃった……」

「かわいかったのに……」

「お前ら……」

 

 後ろから聞こえてきた声を不思議に思いながらも、リフィルは鎧の男の人に案内されてギルドの裏手側に向かった。

 




壁|w・)異世界定番のギルドにはしゃぐレオンさん。
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