捨てられ少女の壁作り ~聖女に捨てられ魔物があふれた国で、もふもふと一緒に結界を作ります~   作:龍翠

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03-07

 アレシアと一緒にお肉をアイテム袋に入れていく。リフィルはあまり気にならないけど、アレシアはレスターの様子が気になるらしい。

 

「悪いが、今は魔道具の作成は受け付けていない」

「なんでだよ……。まだ意味のない研究をしてるのか?」

「俺は結界の研究が無駄だとは思っていないのでね」

「意味ないだろ! この国には結界があるんだぞ!」

「その結界が弱くなりつつあると、俺は再三警告しているのだが?」

「結界が消えるわけねえだろ! 数百年あるんだぞ!」

「例え千年あったとしても、それが消えないとは限らないとなぜ分からない!」

 

 なんとなく、何を言い争っているのかリフィルにも分かった。

 レスターは今の結界がいずれ消えると考えていて、結界が消えてしまった時のための研究をしている。だから今は魔道具を作っていない。

 冒険者さんは、結界が消えるなんて思っていない。だから、レスターに魔道具を作ってほしい。そういうことだと思う。

 ということは、レスターはとてもすごい魔道具作成者らしい。

 

「結界のこと、だね……」

「うん」

 

 リフィルとアレシアは知っている。今の結界はもうすぐ消えてしまうということを。そうなるとどうなるかは、リフィルが一番よく知っている。

 

「いつになったら現実を見るんだよ、レスターさん! 生活もそろそろやばいだろ!?」

「…………。俺が言っていることが正しいと、じきに分かるはずだ」

「バカ野郎が……!」

 

 冒険者さんはそう吐き捨てると、解体場を出ていってしまった。

 後には気まずい沈黙が流れてしまう。聞き耳を立てていたのはリフィルたちだけではなかったみたいで、解体場は静まり返っていた。

 

「レスターはまだ魔道具を作らないのか……」

 

 そう言ったのは、リフィルたちのお肉を解体してくれた男性だ。

 

「その……。レスターさんは、いい魔道具を作るんですか?」

「うん?」

「ぴぃ」

 

 アレシアがリフィルの後ろに隠れた。大丈夫、怖くない怖くない。なでなで。

 

「あー、その……。びびらせるつもりはないからな……?」

「だいじょうぶ」

「おう……。レスターは腕の良い魔道具職人だよ。この町一番さ。でも少し前から一切作らなくなってな。以前から少しずつしていたっていう結界の研究に没頭し始めたんだよ。まったく、何考えてることやら……」

「んー……」

 

 真実はレスターが正しいけれど、きっとリフィルが言っても意味がないだろうことは、なんとなく分かる。リフィルの言葉を信じられるなら、そもそもレスターが信じてもらえているはずだから。

 いずれ結界が完全に消えてしまった時、レスターはちゃんと評価されるのかな。それだけがちょっぴり気になったリフィルだった。

 

 

 

 レスターのお家に戻った後は、美味しい晩ご飯。持ち帰ったお肉を香草で味付けして焼いてもらった。リフィルは美味しく食べられた。レスターとミントは、ちょっとだけ微妙そうなお顔だったけど……。何も言ってないからきっと美味しかったはず。

 寝泊まりする部屋はミントの部屋になった。二階の一室で、本棚とかが置いてある。勉強用らしい。

 

「ミントさんは何をされているんですか?」

「私は裁縫のお仕事かな。お針子って言うやつ。服を作ったりとか、だね」

「おー……。わたしのふくも、つくれる?」

「もちろん作れるよ! お肉とお兄ちゃんの研究のお礼に作ってあげるよ。どう?」

「んー……」

 

 服。興味がないと言えば嘘になる。でも……。今の服は、大事な服だから。

 そう考えていたけれど。

 

「にゃう」

 

 レオンがぽふりとリフィルの足を叩いた。

 

「レオン? どうしたの?」

「にーに、にゃう!」

「つくって、もらう?」

「にゃう!」

 

 レオンは作ってもらってほしいみたい。じゃあ、そうしよう。

 

「おねがい、します」

「まかせて! 外套の方はどうする?」

「それは、いい。魔女さんにもらった、まどうぐ」

「まど……」

 

 ミントが絶句して、視線がアレシアの方へ。自分の寝床用に寝袋を取り出していたアレシアは、苦笑いしながら頷いた。

 

「はい、その……。魔道具、です。結構すごい魔女様謹製の……」

「そ、そうなんだ……。うん。それなら、外套はなしでいいね」

 

 というわけで、新しい服を作ってもらうことになった。

 新しい服。なんだかちょっぴり新鮮な響き。どんな服になるのか楽しみだ。

 

「じゃあがんばって作るからね! ほらほら、ベッドに入って。みんなで寝よう!」

「え、あ、でも寝袋……」

「いいからいいから」

「あう」

 

 ミントに引っ張られて、みんなで一緒のベッドへ。ちょっと狭い気がするけど、悪くないと思う。みんなでくっついて寝るのは気持ちがいい。ぬくぬくだから。

 

「ふふ……。なんだか妹が二人もできたみたい。楽しい」

「そう?」

「うん。お出かけとかもしようね」

「ん」

 

 お出かけ。それもいいかもしれない。レスターの研究を手伝う約束ではあるけれど、ずっと一緒にいないといけない、というわけでもないはずだから。

 

「何か見たいものはある? 行きたいところとか、買いたいものとか」

「おにく!」

「リフィルちゃん、お肉はいっぱいもらったでしょ……?」

 

 アレシアにそう言われてしまったので、我慢しないといけないかもしれない。

 でも……。食べたことがないお肉があるかもしれないのに。ちょっぴり残念。

 三人で明日の計画を立てながら、リフィルは小さくあくびをした。

 




壁|w・)おにく!
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