捨てられ少女の壁作り ~聖女に捨てられ魔物があふれた国で、もふもふと一緒に結界を作ります~   作:龍翠

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04-09

 

 のんびりと歩き続けて、やってきたのはとっても広い草原。本当にとても、とっても広くて、たくさんの動物がのんびりと草を食んでいた。

 

「うし!」

「牛だ!」

「牛よ」

 

 一番多いのは、牛。草原をゆっくり歩いて、足下の草を食べて、また歩いて……。警戒心なんて感じない、まったり牛さんだ。ただ、リフィルが知ってる牛よりも一回り小さい。そういう牛さんなのかもしれない。

 リリスが言うには、この牛さんが昨日食べたお肉なんだとか。魔女さんによる、品種改良? というものをしているらしい。難しいことはよく分からない。

 

「結界、のこってる」

「ええ」

 

 もう完全に消えたと思っていたかつての聖女の結界。ここにはそれが少しだけ残っていて、牛さんを守っているようだった。どうしてここが残っているのかはちょっと不思議だ。でも、その結界も残滓のようなもので、多分二、三日中には消えてしまうと思う。

 とりあえずここの結界を最優先で作ることにする。だってお肉が魔物に食べられてしまうから。お肉は守らなければならない!

 

「おにく、だいじ」

「なんだろう。間違ってないのに間違ってる気がする」

「きのせい」

 

 昨日と今日のお散歩で、隠れ里の全体は見ることができた。あとは結界を張るだけだ。薄く全体的に覆って、あとは魔物が入ってこれないように、魔法が維持できるように、改善していくだけ。

 改善といっても、ここから先はリフィルにできることはない。ただ足先から魔力を流していけば十分。三日もあれば終わると思う。

 つまり。あと三日ほどはこの村でのんびりと、だ。

 

「それじゃあ、お弁当にしましょう」

「おー!」

「お弁当!」

 

 そう、今はお散歩、ピクニック。ピクニックと言えばお弁当だと、リリスが言っていた。

 広い草原のど真ん中にリフィルが座る。とっても広い草原だから、こんな場所に座っても牛さんの邪魔にはならない。すごくいい場所だ。

 アレシアとリリスも隣に座ってきて、リリスが持っていた箱を開いた。

 

「サンドイッチ」

「そう。パンにお肉とサラダを挟んだだけのものだけどね」

 

 パンはいつものちょっと固いパン。でもこんがり焼かれたお肉はちょっとスパイシーな味付けがされていて、とっても美味しい。パンがちょっと固いけど!

 

「もぐもぐもぐもぐ」

「もむもむ」

「ふふ……」

 

 とってもいい天気。そんな草原で食べるお昼ご飯はとっても美味しい。旅をしているとちっちゃい原っぱを見かけることはあるけれど、ここまで広い草原は初めて。だから、なんだかとっても新鮮だ。

 

「レオンもおいしい?」

「なう」

 

 レオンもリフィルの隣でサンドイッチをもぐもぐと食べてる。リフィルの問いに、レオンは尻尾を揺らしながら答えてくれた。かわいい。尻尾を握ってみたい。

 だから握った。

 

「…………。にぃ」

「だめ?」

「にゃう……」

 

 レオンはちょっと不満そうだったけど、ゆらゆらと尻尾をリフィルに近づけてくれる。それがとっても嬉しくて、レオンの尻尾をにぎにぎした。普通の猫なら多分怒ると思うから、レオンはやっぱりいい子だ。良い子で、かわいい!

 

「にゃ」

 

 そうしてサンドイッチを食べていたら、牛さんがこちらに寄ってきた。もしかしてご飯を食べたいのかも、なんて思ったけど、そうでもないらしい。

 寄ってきた牛さんは、五頭。リリスはちょっと警戒していたけど、みんなリフィルの周りに座り始めた。一頭だけ、頭をリフィルにこすりつけてくる。かわいい。

 

「なでなで」

 

 牛さんを撫でると、気持ち良さそうにしていた。うん。やっぱりかわいい!

 

「にゃあ!」

 

 そんな牛さんに夢中になっていたら、レオンが体を割り込ませてきた。自分も撫でろ、とでも言いたげに。そんなレオンもやっぱりかわいい。

 

「レオンも、もふもふ。うしさんも、もふもふ」

 

 牛さんはあまりもふもふはしていないけれど。それでもやっぱり、かわいいのだ!

 

「レオン、嫉妬しちゃってる?」

「ご主人様を取られると思ったのかしらね」

 

 もふもふなでなで。リフィルはとっても幸せです。

 

「でも……。大丈夫? その牛、食べるのよ?」

「しぜんの、せつり」

「変なところでドライね!?」

 

 みんなかわいいけど、それとこれとは話が別だ。生きていくためには、大なり小なり命をいただくことになるのだから。

 今までの旅の間だって、かわいい動物をレオンが狩って、それを食べたりしてる。ウサギとか。だから、今更なのだ。

 

「わたしの、おとうさんも、かりをしていた……はず?」

「どうして疑問系なの?」

「えっと……。いろいろあるんです」

 

 アレシアは魔女さんからリフィルの事情をある程度聞いているらしくて、時折こうしてフォローしてくれる。アレシアはとっても良い子。

 お話をしながらサンドイッチを食べて。食べ終わったら、ぽかぽかしているのでお昼寝。牛さんが何故か近くに座っているので、牛さんにくっついてみた。ぬくぬく。

 

「あ! リフィちゃんいいなあ……! わたしも! わたしも!」

 

 アレシアも牛さんにくっついて、お昼寝。みんなでぽかぽか、ぬくぬくだ。

 そんな様子をリリスが微笑みながら見守っていた。

 

 

 

 翌日。結界が完成するまでまだもう少し。なので今日ものんびりお散歩、と思っていたけれど。今日はあいにくの雨模様。

 

「さんぽ、する」

「雨なのに!?」

「ん」

 

 リリスが驚いているけど、旅をしている間は雨とか関係ないわけで。つまり、お散歩は雨でもできる!

 というわけで、アレシアと一緒にお出かけしようとしたところで。

 

「リリスさん!」

 

 誰かがお家の中に入ってきた。隠れ里の人、だと思う。見覚えがあるから。

 

「あら。どうしました?」

「行商人が来たよ!」

「まあ! 今回は早いわね。それじゃあ、行きましょうか」

 

 行商人。この隠れ里にも来てくれる数少ない商人さん。ちょっと興味があるので、リフィルとアレシアも一緒に行くことにした。

 




壁|w・)ピクニック!
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