捨てられ少女の壁作り ~聖女に捨てられ魔物があふれた国で、もふもふと一緒に結界を作ります~   作:龍翠

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05-02

 

 ぺたぺたてくてく。お城に到着。お城はとっても大きな建物で、リフィルには何階建てかすら分からない。ともかく、おっきな建物だ!

 そんなお城の入口は開け放たれていた。誰でも入れてしまう状態。魔物に襲われた時に、閉める間もなく入り込まれたのかもしれない。

 お城の中も荒れ果てていた。綺麗な花畑があったのだろうお庭は倒木がたくさんで土もめくりあがっていたり。中はあちこちの地面や壁がえぐられたり崩れていたり……。なんだか高そうな壺や絵画もあったみたいだけど、みんな壊されていた。

 アレシアも絶句してしまってる。ここまでひどいことになってるとは思ってなかったみたい。

 

「こんなことになってるなんて……」

「うん」

「たくさんの人が……ここで死んじゃったのかな……」

「たぶん」

 

 何の枷もなくなった魔物たちが人を見逃すとは思えない。逃げることすら許されなかったと思う。だからきっと、王都にいた人は全滅した、はず。

 王都に入ってから死体を見ていないのは……。魔物が全部、それこそ血も骨も全て食べちゃったからだ。魔物は普通の動物とは違うから、骨まで食べちゃう。そんなことを魔女さんが話していた、と思う。いろいろ教わったことの一つ。

 

「えっと……。リフィちゃん、ごめんね、わたし、ここまでとは思ってなくて……」

「うん?」

「ここで寝泊まりとか……嫌だよね?」

「だいじょうぶ」

「だ、大丈夫なんだ……」

 

 だって、もう何年も前の出来事だ。そんなことは今更だと思う。むしろ雨風をしっかりしのげてお金もかからない! とてもすばらしい!

 

「ただ。とてもいいこと」

「あ、あはは……」

 

 頭の上のレオンも頷いてくれてる。なのできっとリフィルが正しい。

 ぺたぺた歩いて、一階を見て回る。たくさんのお部屋があったけど、何かしらの作業の部屋が多いみたい。とっても大きな厨房もあった。

 厨房。食べ物、あるかな?

 

「たべもの、ない?」

「あっても腐ってると思うよ?」

「たしかに」

 

 言われてみれば当たり前だ。そもそも食べ物が残っていたら、それも魔物たちが食べていたと思う。

 そこまで考えたところで、レオンがリフィルの頭の上から下りた。ふんふんと小さな鼻を動かしてる。ぴくぴくと。かわいい。

 

「うにゃ?」

「かわいい、かわいい」

「にゃあ……」

「何やってるの?」

 

 レオンのちっちゃなお鼻をちょんちょんしてる。レオンはかわいいのだ!

 レオンがはっと我に返って、周囲をさっと見回した。そして歩き始める。出入り口とは違う方へ。

 

「レオン?」

「どうしたのかな?」

 

 レオンが意味のないことをするとは思えない。いや、あれ、わりとしてるかも。でもこんな場所で遊ぶことはない、はずだ。多分。

 レオンの後を追うと、レオンが大きな箱をかりかりとひっかき始めた。石でできた大きな箱。部屋の隅っこにあるそれは、リフィルとアレシア二人がすっぽり入ることができるほどの大きさだ。

 その箱のふたはしっかりと閉じられていた。もちろんふたも石。とっても重たそう!

 

「中に何かあるの?」

「にゃ!」

 

 アレシアが聞いて、レオンはこくんと頷いた。それなら頑張って開けてみたいけど……。

 

「んー……。むり」

 

 とりあえずがんばってみた。一瞬で理解した。リフィルとアレシアの二人じゃ無理。びくともしない。

 

「レオン」

「にゃ?」

「んと……。いいだしっぺ? がんばって」

「うにゃ!」

 

 任せろとレオンがちょっとだけ体を大きくする。そして器用に前足でふたを開けてしまった。最初からやってほしかったと思ったのは内緒だ!

 

「魔力……?」

 

 アレシアが不思議そうに首を傾げて、箱の中をのぞき込んで……。

 

「わあ……!」

 

 そんな歓声を上げた。

 

「リフィちゃん! すごい! すごいよこれ!」

「どうしたの?」

「これ、アイテム袋と同じ仕組み! 中のもの、腐ってない!」

 

 腐ってない。それはつまり。

 

「おにく!」

 

 リフィルも駆け寄って箱の中をのぞき込んでみる。そこにあったのは、たくさんの食料だった。なんだかとっても美味しそうなお肉に、みずみずしい果物、新鮮なお野菜……。たくさんだ!

 

「おー……!」

「そっか、アイテム袋の中なんて魔物には分からないから……。無事だったんだ……!」

 

 もしふたがずれていたりすれば、きっと魔物たちはこの中身も全部食べ尽くしてしまっていたと思う。でも、実際にはそうなっていない。食べ物はこうして守られてる!

 

「どうしよう、リフィちゃん」

「ぜんぶもらう」

「だよね!」

 

 ふたをすれば、また長い時間、誰にも知られず保存されたままになるんだと思う。そんなのはもったいない。見つけたリフィルたちが有効活用するべきなのだ!

 

「おにく、おにく」

「あまい、くだもの」

「にゃんにゃん、にゃおん」

 

 そんな不思議なリズムの歌を歌いながら、せっせと中身をリフィルのアイテム袋に移していく。せっかくだからお肉は少しここで食べよう。美味しい焼き肉が食べられそう!

 それにしても。

 

「おっきい、アイテム袋。ふべん」

「うん……。あの魔女さんのアイテム袋がおかしいだけだからね?」

「ほうほう」

 

 つまり、魔女さんはすごいってことです。それなら納得だと頷きながら、どれを食べようかとお肉を吟味する作業に戻った。

 




壁|w・)ダンジョン探索の宝箱発見、みたいなのり!
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