捨てられ少女の壁作り ~聖女に捨てられ魔物があふれた国で、もふもふと一緒に結界を作ります~   作:龍翠

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 いろんな服をもらった後は、一階に戻った。兵士さんも一緒だ。兵士さんはリフィルたちに興味を持ったらしい。

 

「子供二人だけで旅だなんて……」

「レオンも、いっしょ」

「そんな小さい猫ちゃんなんて、魔物には太刀打ちできないわよ」

「そうなの?」

「ふにゃ!」

 

 レオンが怒っていますとばかりに前足をぺしぺしとしてる。リフィルの頭の上で。つまりリフィルの頭をぺしぺし叩いてる。

 別に痛くもないし怒るわけではないけれど、とりあえず抱き上げてもふもふ地獄の罰にした。もふもふもふもふ。

 

「えっと……?」

「あはは……。リフィちゃんとレオンは仲良しなので……」

「もふもふ」

「うにゃあああ!」

 

 レオンが逃げようとするけど逃がさずにもふもふする。もふもふ。

 

「えっと……。それで? どうして旅なんてしてるの?」

「リフィちゃん、話しても大丈夫?」

「だいじょぶ」

 

 この人は悪い人じゃない、というのはなんとなく分かるから。そう言うと、アレシアは笑顔で頷いた。

 

「結界を張る旅、です」

「結界? 結界って……。え? 聖女の?」

「今までの結界とはまた違うらしいですけど」

 

 地下の魔脈の魔力を使うので維持の必要がなく、一度張ったら半永久的に持続する結界。そうアレシアが説明すると、兵士さんはとっても驚いていた。

 だからこそ、かは分からないけど。兵士さんは少し考えてから言った。

 

「その旅、私も同行していいかしら」

「なんで?」

「子供二人でなんて、危険だもの。しかもそんな大事な結界を張る旅。これでも腕に覚えはあるから、力になれると思う」

「いらない」

「でも……!」

 

 これは言葉では納得してもらえないと思う。兵士さんはきっと善意で言ってくれてるから。リフィルはそう考えて、レオンを床に下ろした。

 

「レオン」

「うにゃ!」

 

 さすがレオン、リフィルのしてほしいことを察してくれたみたい。レオンはあっという間に巨大化した。

 目を丸くする兵士さんと、その兵士さんを見下ろすほどに大きくなったレオン。

 レオンは大きくなってももふもふだ。むしろもふもふがパワーアップしてる。もふもふ! とてももふもふ! おっきいもふもふレオン!

 

「もふもふ」

「はい、リフィちゃん、こっちでお肉食べようね」

「おにく!」

 

 アレシアに促されてアイテム袋からお肉を取り出す。もふもふよりお肉!

 兵士さんはおっきなレオンを見ながら、なんだか悲しげに微笑んでいた。

 

「あなたがいるなら……大丈夫ね。うん……。大丈夫そう」

「うにゃ」

 

 レオンが鼻先を兵士さんに押しつけてる。兵士さんは不思議そうにしながら、レオンをなでなでしてくれた。レオンはかわいいからいっぱい撫でればいいと思う。

 

「へいしさん」

「うん。なにかしら」

「わたしも、シアも、おひめさまには、なれない。かわり、できない」

「…………」

 

 兵士さんは大きく目を見開いて、その後は何も言わずに小さく頷いただけだった。

 

 

 

 せめてこの王都にいる間だけでも、ということで、兵士さんはしばらくリフィルたちと一緒にいることになった。王都をあちこち探検しながら結界を張って、たまにお城に行ってちょっと遊んでみたり。

 兵士さんはお姫様に詳しくて、ちょっとリフィルたちもお姫様っぽくなったかもしれない。かわいいドレスを着て、くるくると。

 

「いや、リフィちゃん、お姫様はくるくるしないと思う」

「くるくる」

「わわわ!?」

 

 アレシアの手を取ってくるくる回ってみる。その場でくるくる。アレシアはちょっとびっくりしていたけど、なんだかんだと笑顔だった。

 兵士さんともたくさんお話をした。兵士さんは、定期的にこの王都に足を運んで、墓荒らしみたいな奴が来ていないかを確認しているらしい。

 ここはみんなが眠る場所だから、大事にしたいのだとか。

 

「もちろん、ここで新たに暮らすのならいいのだけどね。お金になりそうなものをただ盗んでいくだけとかは、ちょっとね……」

「わたしは、いいの?」

「むしろあなたたちこそが持っていくべきよ。結界の糧になるなら、きっと姫様も喜んでくれるから」

「うん」

 

 それじゃあ、遠慮なく持っていく。これでしばらくはお金に困ることはなさそう。

 そうして、三人と一匹でのんびりと過ごして。王都に来てから十日ほど。それは、お昼過ぎのことだった。

 

「みゃ」

 

 最初に気付いたのはレオン。お昼ご飯の果物をもしゃもしゃ食べていたら、唐突にレオンが

顔を上げた。視線は、外へ。リフィルたちが王都に入ってきた門の方へと。

 

「誰か来たわね」

 

 次に気付いたのは兵士さん。視線を鋭くして、剣を確認してる。そうしてから立ち上がった。

 

「二人はここで待って……」

「レオンがいるから、だいじょぶ。いく」

「そう……」

 

 どうにも兵士さんは来てほしくないみたい。きっと、守りながら戦うのは大変そうだと思っているんだと思う。でもレオンがいるから、安心安全だ。

 レオンはかわいくて、もふもふで、そして何よりも強いから!

 そんな主張をしてみたら兵士さんに呆れられた気がする。きっと気のせい。

 みんなでお城を出て、門の方へと向かう。リフィルとアレシアにも入ってきた人が確認できた。

 男の人と、女の人と、あとはあちら側にも何人かの兵士さん。

 リフィルの側にいる兵士さんは、先頭にいる女の人を見て目を丸くして。

 

「聖女様……!?」

 

 それを聞いて。リフィルは、そしてレオンの目はすっと細められた。

 




壁|w・)邂逅。ここまで長かったなあ……。
なお、レオンくんちゃんのちょっと変な思想が入ってくるのでこの先はほんのり注意、です。
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