捨てられ少女の壁作り ~聖女に捨てられ魔物があふれた国で、もふもふと一緒に結界を作ります~   作:龍翠

65 / 65
エピローグ

 

 ぺたぺたてくてく。今日もリフィルとアレシアはのんびりと森の中を歩いていた。リフィルの頭の上ではレオンがのっかっている。

 王都を出発してから一週間。次の町はまだ見えてこない。ちょっと遠いかも。

 

「でもそろそろ見えてきてもいいよね?」

「うん」

 

 というわけで、地図を確認。アイテム袋から地図を取り出して広げてみる。この広い国の全ての村や町が記載されているとってもすごい地図だ!

 王都を出発する時に、出会った兵士さんからもらったもの。本来なら機密情報の一つらしいのだけど、機密なんてものはもう今更らしいから。

 もっとも。広い国をむりやり紙一枚に描いているので、距離とかはわりとざっくりとしているらしいけど。

 つまり、何が言いたいのかと言うと。

 

「たぶん、もうすぐ……?」

「本当に……?」

「た、たぶん……。レオン。レオン」

「にゃん」

「わかんないって」

「あ、あはは……」

 

 ぶっちゃけとっても分かりにくい!

 しかも森の中なので、まっすぐ目的地に向かっているかも実は分からなかったりする。レオンが言うには、ちゃんと真っ直ぐらしいけれど。

 この先にあると信じて歩くしかない。大丈夫、ご飯は問題なく食べられる。お城でたくさん手に入れたから! それに、王都から離れると動物もわりと多く見るようになったから、レオンが捕まえてきてくれる。安心。

 でもそろそろ町も見てみたいと思うのも本音。せめて人が住んでいる町まで行けば、次の場所も詳しく教えてもらえるから。

 少しだけ不安を抱えていたら、リフィルの隣にふわりと誰かが下りてきた。

 

「リフィル。久しぶり」

「魔女さん!」

 

 あの時と同じ、黒いローブの魔女さんだった。とりあえず魔女さんに抱きついてみる。間違いなく魔女さんだ!

 

「ふふ。どうしたの? リフィル」

「てんちゅう」

「いたい!?」

 

 とりあえず手を取った後に全力でしっぺというものをしてみた。満足。

 

「じ、地味に痛かった……。なに? どうしたの?」

「レオン。しってた、よね?」

「…………」

 

 そっと魔女さんが目を逸らした。それが答えだと思う。

 

「おしえて、ほしかった」

「ごめんね? どこかの誰かが黙っておいてほしいって言ってたから」

「む……」

 

 頭のレオンを抱き上げる。レオンはうにゃ、ととっても可愛らしく首を傾げた。あざとい。とてもあざとい。

 

「やっぱりレオンがリフィルちゃんの言ってた子なんだね」

 

 そんな、アレシアの声。振り返ると、なんだか優しげに微笑んでいた。

 

「魔女様からいろいろと聞いていたから、なんとなくそんな気はしてたよ」

「おかしい……。わたしだけが、きづいてなかった……?」

「うにゃ。ふにゃにゃや」

 

 とても、笑われた気がする。腕に抱いてレオンの前足を揉んでおく。こいつめ、こいつめ! これでもか!

 

「うにゃあ……」

「とっても気持ち良さそう……」

 

 リフィルも気持ちいい。レオンの肉球は侮れないのだ!

 そんなリフィルたちの様子を、魔女さんは楽しそうに笑って眺めていた。

 

「うん。大丈夫そうで安心したわ。聖女とも会ったみたいだから、心配していたのよ」

「にどと、あいたくない」

「ふふ……。でも、あの聖女のおかげで、レオンのことを知ったでしょう?」

「む……」

 

 それを言われると、まあそうなのだけど……。でも、それはそれ、これはこれ、だと思う。とにかく、あの聖女とは二度と会いたくない。絶対にだ!

 

「聖女は、嫌い」

「そっか」

「うん」

 

 魔女さんが頭を撫でてくれる。それがとっても気持ちいい。

 

「次の町だけど、あなたたちが進んでいる方向で問題ないからね。そうね……。あと二日ほどで着くと思うわ」

「おー。ありがとう」

「ありがとうございます!」

「うん。がんばってね」

 

 そう言って、魔女さんは姿を消してしまった。神出鬼没、というのはこういうことを言うのだと思う。たぶん。

 ともかく。このまま歩いて問題ないらしい。がんばろう。

 そうしてまた歩き始める。ぺたぺた、てくてく。

 二人と一匹……。いや、三人の旅は、まだまだ続く。この国はとても広いから。ゆっくりのんびり、壁を作る旅を続けていく。

 

「次はどんな町なのかな?」

「んー……。おっきな、まち、らしい?」

「兵士さんが言ってたね」

「うん」

 

 王都ぐらいの大きな街らしいけど、王都が魔物に襲われたから慌ててたくさんの人が逃げ出した。今では住人が半分ぐらいになってるらしい。

 それでも、今まで通ってきたどの町よりも人が多いらしい。それはちょっと楽しみだ。

 どんな町で、どんな人がいるのだろう。少しだけ期待してしまう。

 

「にゃ」

「うん?」

「うにー?」

「ん……。うん。そう、だね」

 

 最初は、たった一人で壁作りをするつもりだった。でも……。

 腕の中のレオンを見る。もふもふしてる。

 隣を歩くアレシアを見る。目が合って、にっこりと笑ってくれる。

 それに。訪れる町でたくさんの人と出会ってきた。お世話になった人も大勢いる。

 

「うん……。たのしいよ」

 

 こんなに楽しい旅になるとは思わなかった。故郷の人にはちょっとだけ悪いと思うけど……。

 

「うーにゃ!」

「うん。たのしんで、いこう」

 

 ぼんやりと見ていただけだけど、あのお母さんとお父さんなら、きっと笑って許してくれると思うから。

 だから。この先も、リフィルはレオンとアレシアと一緒に、楽しく壁作りを続けようと思う。

 聖女に見捨てられた国だとしても、リフィルはこの国が、とても好きになったから。

 でもとりあえず。

 

「そろそろ、ごはん」

「え」

「おにく!」

「にゃあ!」

「まだ早いよ!?」

 

 がんばる前に、お肉を食べよう!

 

 

 ぺたぺたてくてく。リフィルたちは今日も歩いていく。ぺたぺたと、壁を作りながら。

 

                                       了

 




壁|w・)本作はこれにて完結となります。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
ぺたぺた歩く幼女が書けて満足でs……なんでもない。

次は……魔法少女ものも書いてみたいな!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

異世界帰りな最強魔女の気まぐれ観光 ~帰ってきた日本はニチアサヒロインが戦う世界でした~(作者:龍翠)(オリジナル現代/冒険・バトル)

日本に帰還したはずの魔女シオンが降り立った先は、知らないニチアサアニメの世界だった。▼変身ヒロインたちが怪人と戦う中、偶然そのど真ん中に現れたシオンは、指パッチン一つで怪人を消滅させ、ヒロインたちの魔法まで解除してしまう。▼「せっかくニチアサの世界に来たんだから、好き放題してのんびり見学させてもらおうかな」▼敵の幹部を軽くねじ伏せ、悪の組織の本拠地に遊び半分…


総合評価:268/評価:8.75/連載:24話/更新日時:2026年08月24日(月) 08:30 小説情報

その魔法少女、死霊魔術師につき(作者:やーなん)(オリジナル現代/冒険・バトル)

魔法少女がおぞましい災厄に立ち向かう現代日本。▼亡くなったはずの最強の魔法少女の姿が、目撃されるようになり始めて……。▼最近の魔法少女って、死に過ぎない? そうだ、再利用すればいいじゃない!!▼そんな発想から生まれた物語です。


総合評価:562/評価:8.48/連載:20話/更新日時:2026年08月10日(月) 11:11 小説情報

ディストピアのネット友達が優秀すぎる(作者:名無しのペロリスト)(オリジナルSF/文芸)

ディストピア世界に転生した、元オタクOLは絶望した。▼飯がクソ不味いだけでなく、前世にあったサブカルチャーが絶滅していたのだ。▼それに都市に貢献しない者を生かしておくほど、アバシリシティは甘くない。▼だからと言って過酷な労働はしたくはないので、せめて身の回りの環境を改善するために仮想空間で色々していると、何故か上級市民のお嬢様がログインしてきて──。


総合評価:4677/評価:8.57/完結:28話/更新日時:2026年06月07日(日) 00:00 小説情報

かぐや「かぐやがいない間に、彩葉がかぐやと浮気したー!」(作者:超かぐや姫!に脳を焼かれた人)(原作:超かぐや姫!)

原作後のお話。▼月人の転生者の影響で、2041年の地球に不時着したかぐやの話。▼なお、酒寄彩葉(28)は、現実世界に顕現させたかぐや型アバターボディとヤチヨ型アバターボディとよろしくやっているものとする。▼かぐや「かぐやがいない間に、彩葉がかぐやと浮気したー!」▼※輪廻は、転生者というバグの存在により機能しておりません。


総合評価:2961/評価:8.92/完結:2話/更新日時:2026年05月26日(火) 20:00 小説情報

ポストアポカリプス世界でTS少女になりました〜廃墟の聖女と呼ばれるまで〜(作者:Naito)(オリジナルSF/冒険・バトル)

崩壊した東京で目覚めたアラフォー男は、八歳ほどの銀髪少女になっていた。▼大人用の装備を引きずり、「おむすびが食べたい」と泣きながら、彼女は廃墟を歩く。▼その小さな手には、傷と穢れを癒やす【浄化】の力があった。▼砦、夢の国、壊れた共同体。▼居場所を得るたび、彼女は「守られる子供」から「求められる聖女」へ変わっていく。▼ポストアポカリプス×TS少女×おねロリ×聖…


総合評価:1003/評価:7.97/連載:29話/更新日時:2026年05月26日(火) 20:20 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>