男の娘シスターに憑依転生した俺が神を殺すまで〜クソ難易度の死にゲー世界の男の娘シスターに憑依転生した俺はクソッタレの神に復讐をする〜   作:ミタケ

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第十四話 聖女

「ゴク……!」

 

 目の前に広がる料理の品々……それらを見て、俺は思わずのどを鳴らした。

 

「これ全部食べていいのか!?」

 

「はい! 遠慮しないで是非、食べてください!」

 

「シャル様……!」

 

 目の前に広がる様々な料理を食べていい……と、言われて感激してしまう。

 

 心なしかシャルの後ろには威光が差しているように見える。

 

「そういえば、家から出て一日も経ちますけど何か情報は見つかりましたか?」

 

「へ?」

 

 思ってもない事を言われて、ガツガツとご飯を食べる手を止めてしまう。

 

 一日? ……家から出て? ちょっと待ってほしい、どういうことだ……!

 

 そういえば、図書館の管理人にも昨日と言われていた。

 

 つまり……

 

「俺は一日中、本を読んでたのか!?」

 

 道理で、図書館に入る時と出た時の太陽の位置が変わらなかったわけだ……思えば現在、異様に腹が減っているのはこの町に入って二日間何も食べてなかったからだろう。

 

 自分がそんなに集中できた事に驚愕する。蕁麻疹ができる程の読書嫌いとしては快挙ではないだろうか?

 

 まぁ、そんな事は置いといて。

 

「……いや。情報に関しては特に見つからなかったな……」

 

「そうですか……」

 

「だけど、この後も探してみるから……まぁ、安心してとは言えないけど待ってて欲しい」

 

「……はい」

 

 言ってなかったが、現在俺とシャルがいる場所はシャルの家だ……図書館の管理人から逃げたあの後、俺のお腹が盛大になってしまいシャルがご飯を御馳走してくれるとの事で現在……俺たちは食卓を囲んでいた。

 

 一端会話を打ち切って、ご飯を食べる事数分……俺達はご飯を食べきっていた。

 

「そういえば……シリカちゃんがいいならなんですけど、明日以降もよければこうやってご飯を食べませんか?」

 

 食事を終えて、俺は再度あの図書館に戻ろうとした所……突然シャルがそんな事を言い出した。

 

 少しだけ震えて、期待の目で俺を見るシャル。

 

 おそらくだが、今まで一人で寂しくご飯を食べていたのだろう……だから今回、一緒に食卓を囲んで楽しかったのだろうか。

 

 だから、明日以降も一緒に……との事ではないだろうか?

 

「いいよ……明日も一緒に食べよう」

 

「はい! 今日も明日も……ここで待ってますから、帰ってきてくださいね!」

 

 俺の返答に、目を輝かせてそう言うシャルの姿に笑みが零れる……そんなやり取りを終えて俺はまた図書館に向かった。

 

 

 

 ^^^

 

 

 

「モルモット君……待ってたよー!」

 

「げっ……」

 

 図書館に入ると、案の定と言うべきか管理人がそこにいた。だが、管理人は昨日の様にやる気のない姿では無く……いかにもやる気満々です、と言う感じの姿である。

 

「出会ってそうそう嫌な顔……酷いんじゃないか?」

 

「出会い頭にモルモット扱いされるよりかは、ましな方だと思うんだが……」

 

「ハハ! その通りだね」

 

「……と言うか、ずいぶんキャラチェンしたな」

 

「ここの管理は詰まんなかったからね! 詰まんない事やると気落ちしてしまう物さ……」

 

 椅子に座ったまま、そういう管理人。

 

「それより……早く実験を始めようじゃないか!」

 

 にこやかにそんな事を言う管理人。

 

 それにもちろん俺は──

 

「いやです!」

 

 ──管理人と同じく、にこやかにそう返す。

 

「そんな! ……これからモルモット君を解剖したり実験したりと妄想を膨らましてたのにぃ!!」

 

 そうやって地面に崩れる管理人の姿を、俺は白い目で見ながら図書館の中進む。

 

「……よし」

 

 昨日の記憶を頼りに本棚の中を進めば、クロノスについて書かれている本の棚。

 

 軽く百を超える本の中の一冊を、俺は再び手に取るのだった。

 

 

 

 ^^^

 

 

 

 我らが神……クロノスは時間を司る神である。

 

 神……クロノスは時間を操り、我らが存在しているこの世界の時間と言う概念を創造した神である。

 

 我らが神はあまたの危機から我らを救い導いてくださった。

 

 時には空を飛び回る邪竜をその肉体一つで地に伏せ。

 

 時には魔獣とその上位種である魔族による侵攻を時の結界で防ぎ。

 

 時には知恵を我らに与え、我らが文明の発展を手助けをしてくださった。

 

 

 

 我らが神は種族的にか弱い我ら人間種に力を与えてくださった……。

 

 力を与えられた人間は、その眼に時を示す刻印がされている。その者は我らが神にその身を捧げる事を、許された清い存在である。

 

 

 その者は我らが神に認められた唯一の存在である──

 

 

 

 

 

 

 

 ──その者は聖女の地位を与えられる。

 

 

 

「…………」

 

 最後のページを読み終わった本を閉じた。

 

「……聖女」

 

 原作には未登場である聖女の事。嘘か本当か、それはわからないが少しだけだが判明した。

 

「ねぇ」

 

 この本曰く、聖女と言う存在は神の力を与えられた人間らしい。

 

 この本はクロノスが男神と記されているあたり嘘である事が書かれてあるのだが……

 

 俺の変異したこの目の事が書かれているあたり、全部が全部嘘ではないのだろう。

 

「ねぇって」

 

 だがクロノスから力を与えられた存在が聖女というなら、原作主人公である勇者は違うのか?

 

 勇者もクロノスから力を与えられた存在だ……だが、聖女と呼ばれていない。それどころか、原作では聖女と言う言葉自体が登場していない。

 

 なら……聖女と言う存在は? 勇者との違いはなんだ……

 

 いくら考えても、答えは出ない。

 

「このまま考えても仕方ないか……」

 

「さて……次の本を──」

 

「ねえってば!!」

 

 本棚にある本を手に取ろうとした瞬間。耳元に爆音が鳴り響いた。

 

 面倒くさそうだから放置してたのに……。

 

 激痛がする耳に手を押さえて、爆音の発生源を睨む。

 

 そこにはこの図書館の管理人が頬を膨らませて、俺をジト目で睨む姿があった。

 

「なんで無視するのさ……」

 

「面倒くさそうだから」

 

「結構傷つくこと言うじゃないか」

 

「本当の事だろ……」

 

「実験に付き合ってくれないかってお願いしようと思ったのに……」

 

「そうだろうと思ったよ……!」

 

 肩を下げてあからさまに私は落ち込んでいます……と言う、ポーズをしている管理人。

 

 それを横目に、先程取ろうとしていた本に手を伸ばす。

 

「それにしても聖女様は、勉強熱心だねえ……こんな時間からカミサマに関して調べてるなんてさ……私は天才だから勉強なんてしなかったからねえ」

 

「やっぱり、この目は目立つのか……」

 

「そうだねぇ……多分今頃この街の皆は、聖女様があらわれた! ……てヒソヒソ話してるんじゃないかなぁ」

 

 自分は目立っているだろうとは思ったがそこまでとは……

 

 おどけながらそう話す管理人の姿を見てそう考えてしまう。

 

「じゃ……お勉強の邪魔しちゃ悪いから私は戻るかな」

 

 背中を向けながら手を振る管理人の姿を横目で見る。

 

 先程まではおどけていたりしたが、その背中は少しだが……残念だったなぁ、と言う思いがにじみ出ていた。

 

「……管理人」

 

「なんだい? もしかしてモルモット……ゲフンゲフン、実験の手伝いをしてくれるのかい?」

 

 此方へ振り返らず動きだけを止めて返事をする管理人。

 

「それはしないが……」

 

「……それなら何さ」

 

「寂しいのか?」

 

 その後ろ姿を見て何故か俺は、この管理人が寂しそうだなと思った……。

 

「……っ」

 

 息をのむ音が聞こえた……おそらく図星なのだろう。

 

「ふふ! そういわれたのは初めてだね!」

 

 テンションを上げて、そういう管理人……。

 

 だけどその後ろ姿は寂しそうなままだ……。

 

「まぁ、何だ……片手間でもできるなら、俺が手伝ってもいいぞ」

 

「……!」

 

 管理人の姿が一瞬震えたのが見えた……。

 

「なにさ、そんなにわかりやすかったかい?」

 

「いや……何か寂しそうだな、と思っただけだ」

 

「馬鹿正直に反応してたからわかりやすいしな」

 

「この天才に対して馬鹿なんて言葉使えるの君くらいじゃないかな?」

 

 管理人は無理に上げた声のテンションを下げてそういった。

 

「じゃ……その話、お願いしようかな」

 

 俺の方に振り返ってそういう管理人。管理人はそのまま俺の方へ走り出して──

 

「いった……!!」

 

 ──そのまま髪の毛を数本まとめてぶち抜いた。

 

「じゃ! 早速で悪いけど髪の毛もらうねっ!」

 

「この野郎……!」

 

 俺の髪の毛を、手にして走り去る管理人を睨むが効果はなし。

 

「固有者の頭髪ゲットだぜー!!」

 

 軽くジャンプしながらそう言う管理人。

 

 ……言葉の節々から感じてはいたが、あいつマッドサイエンティストの類だ……!

 

 だがまぁ、片手間でできる事なら手伝うと言ってしまったしな……

 

「このくらいは許容範囲内か……」

 

 そうして俺は手元の本へ視線を落とす。

 

 

 

 

 

 

 その本の題名は聖女伝説……という物。

 

 それを見て思うのは先程の本の事。

 

「まさかな。それが本当なら、俺の……いやシリカの────」

 

 俺は一人、その言葉を呟いた。その呟きは図書館と言う静かな空間では、やけに響きわたる。

 

 本に囲まれた静かな空間で、俺は先程の考えを振り払うため。意識を本へ集中させるのだった……。




☆9評価
わらび餅4649 様

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