男の娘シスターに憑依転生した俺が神を殺すまで〜クソ難易度の死にゲー世界の男の娘シスターに憑依転生した俺はクソッタレの神に復讐をする〜 作:ミタケ
「おや? 今日は珍しく可愛らしい格好してるじゃないか、聖女様?」
「好きでこんな格好をしてるわけじゃない……!」
俺の格好を見てにやにやと笑う管理人。それに俺は今の姿を見られないように体を縮めて隠そうとする──
「おやおや? 恰好に加えて、随分可愛らしい反応をするようになっているじゃないか」
──が、当然そんな程度で体を隠すこともできない。
「……ぐっ! 見るなぁ……!」
畜生! 最悪だ……! こいつにこんな格好見られるなんて……!
あの幻想的な花畑を見た翌日。
俺はいつも通りの格好で図書館に行こうとしたのだが……。
シャルに「せっかく買ったんですからこれを着てください!」と言われて昨日着ていた服とは別の女物の服を着させられていた。
いつの間に買ったんだ!? ……と聞けば、俺が着せ替え人形になって現実逃避している間に買っていたらしい。
如何やら他にも可愛らしい服を、何着か一緒に買っているらしく……シャルは満面の笑みで「別のもあるので楽しみにしててください!」との事。
これに俺は地面に崩れ落ちた。
そういうわけで、俺は昨日に続いて女物の可愛らしい服を着ていた。
「では映像記録魔法で……」
「今なんていったこの野郎……!」
「……ん? 勿論、その可愛らしい恰好を記録として残そうかとね」
管理人は手元に簡易的な、魔方陣を出してそう言っていた。
「やめろぉ!」
「勿体ない……」
必死に訴えれば管理人は、やれやれとばかりに肩をすくめて魔方陣を消した。
「はぁ。何で朝からこんなに疲労が……」
「まぁ、いいか……じゃあ、俺は何時もの所に行くから」
「わかったよ」
^^^
「今日も収穫は無しか……」
もう50冊程読んだが、それらしい情報が一つも見つからないとは……
クロノスに関する物は、残り六割を切っている。
だが……呪に関しての物や神殺しに役立ちそうな情報は見つからなかった。
その事に、この場所に情報は本当にあるのかと言う疑念に駆られる。
だがそんな事を考えても仕方ない……今はただ、ここに情報が在るのに賭けるしかない。
それにシャルの母親の様子も気がかりだ。
俺はあの呪に関して何も知らない。いつ状態が悪くなるか……時間がどれくらい残されているかですら分からない。
出来るだけ早いうちに、情報を集めたい所なのだが……
先日シャルに休みを取れと言われてしまったので休みなく探すことが出来ない。
「どうするか……」
八方塞がりまでとは言わないが、手詰まりな状況。
「どうしたんだい?」
「んあ?」
突如聞こえた方を見るとそこには管理人が居た。
「何か、悩んでいるように見えるがこの天才が手助けしてあげるかい?」
管理人に手伝ってもらう……か。
実際、今の状況としては猫の手も借りたい程だが……さすがに危険だな。
管理人だけではない。シャルにも呪がかけられている事自体は言ってはいるが、その相手クロノスであることは言っていない。何故か?
……危険だからだ。
シャルにクロノスの事を教えて、明確にクロノスと敵対してしまったらこの先命が幾つあっても足りない。
今はまだ天界の奴らは動き出していないが、もう原作は始まっている。
もう少しすれば、原作は大きく動き出して天界の奴らも地上に降りてくる。
そうなれば、天使共はクロノスに敵意を持つ者の一斉虐殺が始まるだろう……。
天使共はクロノス絶対主義の連中だ。あいつらは何よりクロノスの事を思って行動をする。
そんな奴らがクロノスに、敵意や不信などを持つ者を見逃すだろうか?
……答えは否だ。
アイツらは絶対に、その存在を見逃さない。何処に居ようが探し出して「主の為だ!!」とか何とか言って、殺すだろう。
それなら、何も知らないでいた方がまだましだ……
明確な殺意を向けている俺とは、違ってシャルと管理人はまだセーフだ。
俺に関しては上位天使の殺害、明確な敵対宣言、シャルの母親を介してクロノスに接触、とスリーアウトである。
「いや……大丈夫だ」
「そうかい? ……まぁ、無いなら無いでそれで良いんだけどさ」
「……で、俺の所に来たからには何か手伝って欲しい事があるんだろ? 片手間程度なら手伝えるが……」
「おお! やっぱり君は素晴らしいよ!」
「前回は血液の採決だったろ……今回はなんだ?」
片手間程度の事なら手伝うといったあの日から、俺は管理人の実験──主にサンプル採取なので実験と言う実験はしていない──を手伝っている。
少しめんどくさいが、約束をしてしまったのでしょうがない。
でも流石に尿をサンプルに欲しいと言われた時はドン引きだである。
まぁ、流石にそれは断ったのだが。
「今日はねぇ、取り合えずこの魔方陣の上に立ってくれたらいいよ」
「わかった」
管理人の正面にはいつの間にか作られていた、黄色く光っている魔方陣が地面に描かれていた。
俺は言われた通りに、その魔方陣の上に立つ。
「終わったよー」
魔方陣の上に立って三十秒くらい経って、管理人にそう告げられた。
「思ったより何もないな……」
魔方陣の上から出た後。腕を回したりして体の調子を見てみるが特に変化はない。
魔方陣の上にいた時も、違和感は何もなかったし……いったい何をされたんだ?
「今回は何をしたんだ?」
「今の魔法は解析魔法……君の体の隅々まで調べさせてもらったよ。……それはもう体重やホクロの位置までね!」
「おい……それ完全なセクハラだろ!」
「セクハラ? ……さて、何の事かな」
にやにやと嫌な笑みを浮かべながらそう言う管理人。
言葉だけならこの世界には、セクハラの概念がないのか……でお終いだったのだが、この反応は知っている奴の反応である。
この管理人……出会ってから一週間しか時間が経っていないのだが、表情やら言動によく出るタイプなので反応を見るだけで遊んでいるのか嘘をついてるのかが分かりやすい。
反応を見るに今回は前者である。
だが……この世界にセクハラと言う概念があっても、残念な事にこの世界には警察がいない。
誰かこいつを警察の代わりに捕まえてほしいものだ……
「んー。でも普通の人間とあんまり変わらない……か」
「……でも、その右目だけは異質だ。何もわからない……」
そう言われて右目を手で覆う。いつの間にか変異した右目……。
この世界では聖女の証である物、原作では登場しなかった物。
「……そうか」
異質……やはりこの右目には他に何かあるのか?
「じゃあ、俺は帰る……遅くなるとシャルに怒られるからな」
^^^
空を見るともう夕暮れ時……
今となっては見慣れた街を進んで行く。
図書館とシャルの家は意外と近い位置にある。
図書館から数分も歩けばシャルの家が見える程だ。
いつも通りに夜ご飯前に帰ってきたのだが、何か様子がおかしい……
今朝もご飯を食べてシャルと会話をした家。
普段ならこの時間に帰れば光が灯っているのだが、今回は光がついていなかった。
それだけなら、ただ家主が外出しているだけとなるのだが。
「何でドアが開いたままなんだ?」
何故かドアが開いたまま放置されている。シャルは普段ドジだが流石に、家の扉を開けたまま出かけるなんてしない筈だ。
だとしたら何故……
「何時までもここで考えても仕方がない」
取り合えず家の中に入るべきだな……玄関前でいつまでも立ち止まっていても、埒が明かないだろうし。
ドアの閉め忘れだけだといいのだが……
そうして、ここ一週間で随分見慣れた家の中へ歩を進めた。
「……!?」
家の中に入って進んで行くと俺は、次第に目を見開いていった。
何故なら毎日奇麗に掃除されていた家は、見る影も無く荒らされていたのだから……
家具等はボロボロの状態で、そこらへんに散らばっている。
壁や天井なども同じくボロボロの状態で今朝とは様子が大きく違っていた。
「……ッ」
俺がいない間に何が起こった!? シャルは何処にいる……!
「シャル母親は……!」
この家にはシャルの他にも一人、住民がいる筈だ……。
寝室で今も寝たきりの状態で、いる筈のシャルの母親。
それを思いだして、俺は寝室の方に走った。
「……よかった」
幸いな事に寝室には、シャルの母親は居た。
安らかな状態で眠っている姿に、死んでいるのではないか? ……と思ってしまったが息をしているのを見ると生きている事が分かる。
その事に軽く安堵した……
だが……この家をこんな状態にした奴は何が目的だ?
……それにシャルは。
強盗や人攫い等の、可能性を考えるがどれも違う気がする。
だとしたら、相手の目的は。
その事について考える事、数分は経っただろうか……
何やら、人がこの家に入ってきた気配がする。
大体4~5人程の足音が聞こえる。そのどれもが今、俺がいる部屋に近づいてきている……
そうして一分も経たないうちに、この部屋にそいつらが入ってきた。
状況的に今後ろにいる奴らが、家を荒らした犯人だろう。
でなければ、こんなに大きく足音を立てて家に入ってくる訳がない。
そして背後から感じる敵意……それに魔力。普通の人はこんな物は出さないだろう……
「お前らか? ……家をこんな風にした連中は」
俺は扉の方向にいる奴らへと、振り返ってそう言う。
やはりと言うべきか、そこにいたのは4人組の男……
その誰もが魔方陣を展開して、その矛先を俺に向けている。
「……いや、もう答えなくていい。答えはわかった」
そいつらは俺の言葉を無視して、魔方陣を次々に構築していく……
「あんたらの目的は知らないが、今はそんな事如何でもいい……」
「そんな事よりも聞きたいことがあるしな」
「さて……シャルの場所は
その言葉を発した瞬間、俺に向いている魔方陣は一段と輝くのだった……。
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