男の娘シスターに憑依転生した俺が神を殺すまで〜クソ難易度の死にゲー世界の男の娘シスターに憑依転生した俺はクソッタレの神に復讐をする〜   作:ミタケ

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第十八話 魔神

 飛来する閃光。

 

 赤、青、黄……大小問わず様々な魔力の塊が俺に接近してきた。

 

 一場面だけを切り取って見れば、花火のような幻想的な物。

 

 バラの花には棘がある……と言う言葉通りに幻想的なそれらは、手を伸ばしてしまえば決して小さくない外傷を負う事だろう。

 

 そんな奇麗で暴力的なものに、俺は避ける事をせずに受け止めた。

 

「な……!」

 

 攻撃を受けた所が元の状態に巻き戻っていく事に関してか。攻撃に対して避けもせず、受け止めた事に関してか……

 

 魔力の塊を放ってきた、男の内の一人が驚愕の声を漏らした。

 

 さて……取り合えずこいつらは半殺しにして、情報を引き出すことは確定なのだが……

 

 そう思考して背後へ視線を向けると、未だ眠ったままの状態でいるシャルの母親の姿。

 

 ここで戦ったら流れ弾があっちに行くか? 

 

 だが、遠くで戦ってもその内に何か起こらないとも言えない……

 

「はぁ……」

 

 正面に居る敵を見ると、魔方陣を形成していく姿が見えた。

 

 どうやら敵側はこちらの事情に構ってくれないらしい。

 

 それもそうか、相手の目的は知らないがこうして此方を攻撃してくる所を見るに……友好的ではないのが目に見えてわかるしな……

 

 こうして考えるとこの街に来てから厄介事が次々に来ている気がするが、本当に呪がかかっているのではないか? 

 

 そうして、思考に時間を費やしていると。次弾の準備を完了した敵がまた魔力の塊を放ってくる。

 

 先程のよりも少しだけ威力とスピードが増したそれを、先程と同じように体で受け止めていく。

 

「こっちには守らないといけないものもあるんだけど……なッ!」

 

 次々に放たれていく魔力弾を、体で受け止めながら敵に突進していく。

 

 そのまま、敵の懐へ入り男の一人を身体強化した拳でアッパーを入れてよろけた男に回し蹴りを放った。

 

 それだけで気絶した男を横目に、シャルの母親の前へ戻る。

 

「よし……ヒット&アウェイで行こう」

 

 今の一瞬で判明した。

 

 目の前の魔術師は近接戦に慣れてないらしい。魔法に頼り切っている魔術師の典型である。

 

 仲間一人が早くもやられた事に、正面の魔術師連中は焦ったらしく慌てて次の魔法の準備に取り掛かっている。

 

 さて……敵は一人倒したとしても残り3人。先程は油断をしている所を狩ったが、もうしないだろう……それに俺の後ろには守らないといけない者がいる。

 

 あまりにも此方が不利な状況で笑ってしまうが、何故かそれ程絶望していない自分がいる。

 

 それについて、考えると直ぐに何故かわかった。

 

 思いだすのはあの絶望。あの時は何も守る物は無かったが、現在目の前に居るこいつらより圧倒的な強さを持つ天使の存在。

 

 あのクソ野郎に比べれば、目の前の魔術師なんてチンピラ同然だろう。

 

 そう考えると今の状況は、それ程絶望的ではない。

 

 なら、こいつ等を倒す事など俺に出来ない筈は無い。今回目指すのは護衛対象に傷一つ負わせず目の前の敵を倒すのみ。

 

 あの天使と比べれば、あまりにもイージーゲームだ。

 

 

 

 

 ……さて、いこうか。

 

 

 

 ^^^

 

 

 

「……化け物っ!」

 

 それが、目の前の存在に対する俺の抱いた感想だった……。

 

 標的は年端もいかない女のガキと油断していたとは言え、仲間の一人がこんなすぐにやられるとはだれが思うだろうか? 

 

 俺達は今回、あの化け物を無力化した後に誘拐することを依頼された傭兵だ。

 

 最初は15もいっていない女のガキを、誘拐するだけのイージーな依頼だと思った。

 

 だが、誘拐対象があんな化け物だと誰が予想できる!? 

 

 誰が魔力弾を……それに術式も込めた魔法をその身一つで受け止める等、だれが予想できた!? 

 

 それにそれだけじゃない……! 

 

 俺があいつを化け物と呼ぶ理由。

 

 それは、あいつは笑っているという事だ! 

 

 あの化け物は自分の内臓や骨が露出するレベルの攻撃を受けている筈なのに、俺達に向ける笑みを絶やさずに俺達に攻撃を仕掛けてきた。

 

 それに仲間の一人は錯乱し、あいつの攻撃をもろに受けて気絶した。

 

 この戦闘が開始してそれほど時間は経っていない筈なのに、俺達は仲間の半数をあの化け物にやられてしまった……! 

 

 事前に依頼主から渡された資料を見たが、あれは聖女と呼ばれる存在なのか!? 

 

 そんな優しい物じゃない! あれは、まるで魔王……いやそんな程度で済まない! 

 

 そんな事を考えているうちに、仲間の一人が火炎の術式を込めた魔法を化け物に放っていた。

 

「イタイな。こちとら、いくら戻るって言っても痛覚はちゃんと機能してんだ……よッ!」

 

 そう化け物は、独り言ちて仲間に蹴りを放つ。

 

 仲間はその蹴りをまともに食らってしまい。数メートル吹っ飛んだ後、壁を突き破って地面に倒れた。

 

 仲間が起き上がってくる様子はない。

 

「ありゃ、結構飛んだな……」

 

 化け物は倒れている仲間を一瞥した後、視線を俺に向けた。

 

 化け物の左半身は大きく焼け焦げていた。着ていた服も焼け焦げて原型が分からない程で、化け物の肌も黒く焦げている。

 

 だが……まだだ! 

 

 あの化け物はこの程度ではすぐに治ってしまう。こうして見ているうちに、焼け焦げている肌は少しずつ治っていっている。

 

 今ので最後の仲間までやられてしまった、残るは俺の一人だけ。

 

 なら! ……化け物の傷が治っていない、今のうちに畳みかける! 

 

 そうして、腰に装備していた剣を抜いて化け物に切りかかった……! 

 

 付け焼刃程度だが、仲間は近接戦で化け物にやられた……それならないよりかはましだろう。

 

 そう思いあらかじめ構築していた、氷の術師を込めた魔法を放ちながら切りかかる。

 

 流石の化け物も、俺が近接戦で戦うとは思わなかったのか動きを止めた。

 

 よし……! 獲った!? 

 

 俺の剣が化け物の体に深く突き刺さった。

 

 刃が思ったよりも進まない……? 

 

 何故かあるところから突然刃が止まった。

 

 刃の方向を見ると黒く焼け焦げた左手が、剣の刃を力強く握りしめていた。

 

 そのまま化け物は剣を体に突き刺さった状態で放置して、剣を掴んでいた俺の腕を掴み──

 

「……っが!?」

 

 ──俺の顔面を右こぶしで殴りつけた。

 

 俺はそのまま吹っ飛ぶこともできずに、腕を掴まれて固定される。

 

 その状態で化け物は俺の腹へ蹴りを決めた。

 

 尋常じゃない痛みに視界がかすんできた……

 

 かすむ視界で捉えた化け物の姿はやはり笑っていた。

 

 それを見て俺はそいつがどんな存在か理解した。

 

 こいつは魔王……ましてや化け物なんて生易しい存在ではない。

 

 俺を見下ろしている圧倒的な恐怖に、身体が震えてしまう。

 

 指先は震えて言うことを聞かない。それは唇も同様だったが何故かその言葉だけは口に出すことが出来た。

 

「……まっ、魔神……!」

 

 それが、薄れていく意識で言った俺の最後の言葉だった……。

 

 




☆9評価
arca様

感謝感謝!!

今回、敵目線が主人公よりも多くなってしまった……

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