男の娘シスターに憑依転生した俺が神を殺すまで〜クソ難易度の死にゲー世界の男の娘シスターに憑依転生した俺はクソッタレの神に復讐をする〜   作:ミタケ

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第二十五話 『神を殺す覚悟はあるかい?』

「さて、確か……大図書館の一番奥。その一番右の棚だったな」

 

 おっさんとの戦闘の後。俺は一度大図書館でシャルの母親を回収してから、シャルのとその母親を猫の給仕亭で寝かせてその日を終えた。

 

 何故シャルの家ではなく、猫の給仕亭で寝かせたのか……と言う疑問が出るだろうが。それはシャルの家が魔術師との戦闘で壊れていて、とてもじゃないが一晩過ごせるような状態ではなかったからだ。

 

 そして、猫の給仕亭で過ごした次の日。

 

 現在俺は、とある事を確認するために大図書館に訪れていた。

 

『お前がよく通ってる大図書館……その一番奥。その一番右の本棚……そこに行って、その角の本全部押し込んでみな』

 

 それは昨日……おっさんの放った言葉。

 

 何故そんな事を俺に伝えたのか。そこに何があるのか。何か思惑があるのか……その全てが不明だ。

 

 敵からそんな事を言われたのなら、普通は罠だろう……と警戒するかもしれないが。

 

 何故か、あの時のおっさんからは罠を仕掛けてくるとは感じなかった。

 

 だから、俺はこうして昨日おっさんに言われたまま、大図書館の最奥部……その一番右の本棚の前に立っていた。

 

「後はこの棚の四つ角全てを押し込むだけ……」

 

 そんな事を呟きながら、四つ角の本を一つずつ押し込んでいく。

 

「ぬぬぬ……!よしっ」

 

 身長が低いせいで、上の方にある本を押し込むことに苦戦したが、無事に四つ角全ての本を押し込むことが出来た。

 

「何も起こらない?」

 

 おっさんの言った通りに本を押し込んだのだが、何も変化は起こらなかった。

 

 その事に騙されたか?……と思案する事十数秒、何か重たい物が引き摺られるような地響きがあたり一面に鳴り響いた。

 

「何だ……?」

 

 その事に、警戒しながらさらに数秒が経過した刹那……四つ角全てを押し込んだ本棚が急に地面へ沈みだした。

 

「これは……」

 

 そうして本棚が地面に沈み、本棚の裏にあるだろう白の壁はその場には無かった。

 

 代わりに、そこには一つの異様な雰囲気の扉があった。

 

 木で作られたであろう一般的な何処にでもあるような物。

 

 ……その筈だ。だがこの扉はとてもじゃないが一般的とは思えなかった。

 

 それは、あるべき筈ではないだろう場所に設置されている違和感からか……

 

 それとも、この扉の奥にある何かがそれ程までにその異質感を生んでいるのか……

 

 或いはその両方か、それは分からない。

 

 ……ただ、こんな大掛かりな仕掛けで隠されていたのだ。

 

 この扉の向こう側には、この仕掛けを作った何者かにとって何か、大事な物が隠されているのだろう。

 

 おっさんが敵である俺に見せたい物は、この扉の奥のある物の筈だ。

 

 そして、この奥には何か俺にとって必要なものがある。

 

 ……そんな予感がした……

 

 そう思うと、扉のノブを握る手に緊張が走った。

 

「……っ」

 

 それから数秒、俺は息を吞んでドアノブを捻り扉を開けた。

 

 結構な年季が入っているのか、キイィィッ……!と言う音を鳴らしながら開いていったドアの先には、一つの部屋があった。

 

 薄暗く、かなりの時間清掃されなかったのか地面と家具には埃がかなりの量溜まっていた。

 

 そんな中、埃とカビの独特の匂いに顔をしかめながらその部屋の中進んで行くと、一つの本が部屋の中心にある机の上に置かれていた。

 

 軽く見た感じ、その机と本は周囲に設置されている家具と同じように一般的な物に見えた。

 

「これは……」

 

 ……だが。その机の上に置かれている本からは先程、扉の前で感じた異様な雰囲気が感じる。

 

 気づいたら俺は、その本をまるで何かに魅了されたかのように手に取っていた……

 

 手に取った感じこの本は、何か特別な何かで作られたような物ではないし……何か魔法をかけられているような痕跡も無い。

 

 ならば何なんだ、この異質感は……

 

 他にも気になるところは山ほどあるが、そんな事をここで延々と考えても仕方が無い。

 

 この中身を読み進めて行けば、この異質感の正体もわかるだろう。

 

 そうして、俺は本を開いて読み進めるのだった。

 

 題名『神殺しを果たさんとすべし者たちへ』

 

 

 ──さて、この場所に辿り着き。隠し扉を開け。この本を開いた……そんな、顔も、声も、力も、何もかも解らない君に最初の質問をしよう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──神を殺す覚悟はあるかい?

 

 ──まぁ、この本に辿り着いている時点で愚問だろうがね。

 

 ──この本の題名……そして、先程の質問でこの先の内容はある程度予測できるだろう。予測できなくても大丈夫!そんな君に私が説明して上げようじゃないか

 

 ──この本は神殺しを本気で果たそうとしている、イカレている奴らのために私の人生全てを捧げて探った。この世界の神……クロノスのについての事と。そいつの殺しうる可能性だ!

 

 ──そういえば、本題に入る前に軽くこの場所についての説明をしておこうか。まずこの部屋について……

 

 ──何故こんなまどろっこしい場所に隠したのか……それは、奴の狂信者と眷属共からこの本を隠すためさ!

 

 ──燃やされるなら未だしも、()()()()に見つかると大分厄介な事になりそうだしね!そうだとすると、この本の隠し場所が少し簡単すぎだって?

 

 ──其処らへんは対策済みさ!この大図書館及びこの部屋にはとある認識阻害の魔法が掛けられている。この部屋はおろか、この部屋に辿り着く通路ですら、クロノスに敵対心を持たない者には見つけられない筈さ!

 

 ──極めつけにあの本棚の絡繰り。あれには魔力が一切使われていないから、本棚の場所が見つかっても魔力便りの奴らには見つけられない!知り合いの『創製の固有者』に作ってもらった仕掛けさ!……八割以上趣味だけどね。

 

 ──と。この本を開いた時点で君の目的はある程度判明しているのさ!

 

 ──殺したいんだろう?クロノスを……

 

 ──なら、この先を読み進んでくれよ?……神殺しを果たそうとしているイカレ野郎どもよ……

 

 

 ──さて、私が分かっているクロノスの事は三つだけ。たったの三つと言わんでくれよ?あいつら滅多に天界から動かないんだ。

 

 

 ──まずクロノスについて一つ目、彼奴は五名の天使に己の権能を与え、それを一番の側近にしている。

 

 ──二つ目、彼奴を殺すことは人間には不可能に限りなく近いと言う事。

 

 ──三つ目、彼奴は結構な頻度で人間に力を与えている。

 

 

 ──これを見て君は一つ疑問を感じているだろう。二つ目の項目について……なら、どうやって彼奴を殺すんだ?……と。

 

 ──実際クロノスを殺す事は人間にはほぼ不可能だ。そもそも、殺す殺さない以前に、人間の力程度では傷を付ける事自体難しいだろう。仮にも神……上位存在とはそういう物だ。

 

 ──だが、人間が上位存在を殺すことは不可能ではない。それに限りなく近いだけだ……

 

 ──下手したら傷一つつけられない存在をどうやって殺せと?……答えは武器だ。

 

 ──人間には無理でも、神殺しに特化した武器に頼ってしまえばいい!神殺しの剣……とでもなずけようか、それがある場所はここには書けないがヒントだけは言っておこう。血の海、黒城、レッドムーン。答えはまでは言えないけれど、君がたどり着けるのを待っているよ!

 

 ──そして三つ目の項目について、クロノスは結構な頻度で人間に力を与えている……まぁ、殆どの人間がその力に耐えきれず、体が爆発したり寝た切りになってるけどね……

 

 ──下手したらこれがきっかけで、神殺しをしようとしている人も居るかもね。

 

 ──ただ、これの解除法は私でもわからない。

 

 ──だけど。クロノスに力を与えられ、それに耐えられなかったのなら……その力を取り除くことが出来れば、寝たきりの人間は起きるかもしれないね……

 

 ──もちろん。仮説の域を出ないし、爆散した者は二度と治らないけれど……

 

 

 ──これで私の分かっている内容について、全部書き切ったかな。おっと、少ないとか言わないでくれよ?これでも30年以上かけて探した情報さ……

 

 ──最後に、私はもう奴を殺せなくなってしまった。……だが、置き見上げは残してある。だから、君が奴を殺してくれよ?

 

 

 ──神殺しを果たそうとしているイカレ野郎どもにせめて……幸あれ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダリア・レッカート」

 

 最期のページ……そこに細々と書かれた、この本の著者であろう人物の名前を呟いてその本を閉じる。

 

「五名の天使。神殺し。クロノスの力に耐えられなかった人間……」

 

 この本に書かれていた情報は、既に知っている内容が殆どだった。

 

 ……だが、この本で新しく判明した情報もある。

 

「五人の天使。そしてクロノスが勇者以外に力を与えている事……」

 

 原作を通して、この世界の殆どの事を知っていたと思っていたが。

 

 聖女然り、この本然り。この世界は原作にない物が、次々に出てくる。やはりゲームの様には行かないのだろう。

 

 原作には、クロノスの権能を持った天使は四名しか存在しなかった。そして、クロノスに力を与えられ勇者の様に適合しなかった者の末路……

 

「……力を与えた人間は一人だけではなかった……」

 

 それ即ちクロノスの力を、持った人間は勇者だけではないと言う事。クロノスが魔王に対抗するため、一人の人間に力を与えたと思っていたのだが、それは違った。

 

 クロノスは力が適合する者が、現れるまで片っ端から人間に力を与えていた。

 

 それに、あの日シャルの母親から感じたクロノスの気配……

 

 点と点が繋がった。

 

 恐らく。偶然その力に適合するのが勇者で、適合しなかったのがシャルの母親だっただろう……

 

 この本には仮説だが、クロノスの力に耐えきれず寝たきりの人間を起こす方法が書かれていた。

 

 ……クロノスの力が、原因だったのならそれを取り除けばいい……

 

 その仮説が本当だったなら。俺は今、その手段を持っている。

 

 片掛けのポーチ越しにそれを触れる……

 

「その可能性が一でも、あるなら実行しない手は無い……」

 

 この仮説が間違いだったとしても、また一から探せばいいだけだろう。

 

 そんな事を考えながら、俺はその部屋を後にするのだった……

 

 

 

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