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入学式当日、空は白の染み模様が一切ない空色一色だった。
まだ涼しさが残る風は、穏やかに新しい景色の香りを運び、それとは対照的に、太陽の熱は力強くも優しい活力を見る者すべて、平等に与えていた。
まさに芽吹く者への邁進を願う季節、桜色に染まった道を意気揚々と通り過ぎるには最高のシチュエーション……だが、それでもどこかに必ず、影は落ちているものだ。
――はああ…………。結局、お友達できなかったな……。
一人の少女が帰り道で新品の制服、新品の学生鞄にしがみつきながら、急ぎたい訳でもない足を急かしていた。
誰からも向けられていない自分を嗤う視線から「早く逃げろ」と、絶えず自分が背中を押してくるのだ。
生徒A「最近できたお店!クレープ屋さんなんだけど、フルーツがすごい乗ってるらしくてさ!」
生徒B「そこ知ってる、私も行きたいと思ってたとこ!」「すごいよね、イチゴ一パックくらい使ってそう」
生徒A「そーそこそこ!」「え~写真、めっちゃ可愛い~!」
桜色の道路を越え、住宅街の景色に溶け込んでいると、前から弾んだ声で会話している生徒たちの後ろ姿が近づいていた。
少し前を歩く二人、おそらく今日友達になったであろう二人。
――そのお店、私も知ってる!、今度一緒に行かない!?、って話しかけても……。
「え、ああ……そうなんだ……はは……」
「えーっと……ど、どなた……ですか?」
――こうなっちゃうかもだし……、いきなり話しかけても迷惑だよね……。
頭の中で希望を潰す。到底、後生大事に抱え続けるべき癖では無いことは誰よりも理解している。
だがそれと同時に、自分の一部を切り離して変化するほどの勇気が無いと理解、いや……諦めていた。
――学校が変わっても、私の居場所は変わらないままなのかな……。
生徒B「――のシーンがさぁ、――と――なのかなって」
生徒A「――っちゃ分かる!、絶対――心が、――よね!」
いっそ抜き去ってしまいたいが、新品の靴で靴擦れした足が抵抗するので、程よく距離を保ちながら歩くことにした。
焦れる速度の中、叶う事なら目の前二人が道を曲がっていなくなる事を願っていた……いや、私が曲がれば良いか――そう、思った瞬間。
キギッー!
――っ!
生徒A「きゃあっ!」
生徒B「何なの!危ないわね!」
二人の前に、突如として銀色の箱型自動車が轟音と共に現れる。
ヘルメットリーダー「よぉ、嬢ちゃんたちぃ、オレ達とドライブに興じないかぁ?」
生徒B「興じないわよ!、っていうか誰!」
車の中からフルフェイスメットを被り、武装した不良生徒が現れた。
ヘルメットA「ズタズタヘルメット団だ、よく覚えておけ!……おっと、大人しくしろよ!」「お前らトリニティの新入生だよな?、悪いが誘拐させてもらうぜ!」「……ってなんだお前ら友達か?色々載せてるから二人も乗れねぇぞ……」「うーん……、どっちが乗るか選んで良いぞ!」
生徒A「どっちがって何!?、どっちも嫌なんですけど!」
ヘルメットA「なんだお前、抵抗する気か!?」
曲った道の壁に張り付き、入学式の説明を思い出していた。
「自治区内には生徒を狙った犯罪グループも多く存在しており、多くは身代金目的の誘拐などが……」
――初日から出くわすだなんてっ!?、せっかくキヴォトスでも比較的治安が良いと噂の”トリニティ総合学園”に入学したのにっ!?
――た、確か正義……なんだっけ、何とか委員会に通報しなきゃなんだよね!?、……番号、覚えてない……。
助けに出られるわけでもないのに、二人の安否を確認するため顔を覗かせる。
ヘルメットリーダー「そうカリカリしなさんな……悪いなぁ、嬢ちゃんたち」「こいつも、まだまだ青くていけねぇぜ」
ヘルメットA「いや、同い年だろうが!」
ヘルメットリーダー「察するに嬢ちゃんたち、今日友達になったばかりなんだろう?」「どっちかだなんて選ばせて、それをきっかけに芽生えたばかりの友情を破綻させちまったらよぉ……」「立つ鳥跡を濁すってもんだぜ……ん?」
ヘルメットA「じゃあ二人を乗せてテメェを置いてってやろうか!?」「――あと気取った喋り方する前に、言葉の意味をちゃんと理解しやがれ!」
ヘルメットB「ちょっと、何コントしてるの!?、早くしないと通報されちゃうよ!?」
生徒B「……ズタズタっていうより、グダグダじゃない?」
生徒A「なんかわかんないけど、仲間割れしてるみたいだし、今のうちに逃げよっ!」
ヘルメットA「おい!大人しくしろって言っただろ!」「――痛い目見ないと分かんねぇのかっ!?」
二人が来た方向に逃げ、ズタズタヘルメット団の一人が、二人の背中に銃口を向ける。
トリガーに指が掛けられ、無数の弾丸が二人を――。
――「待ってくださいっ!!」
全員「――っ!?」
銃声よりも先に、私の声が路地で木霊した。
こちらに走る二人の顔を見てなぜか、名前の無い勇気が芽吹いてしまったのだ。
ヘルメットリーダー「……なんだ?、後ろにもう一人いたのか?」
ヘルメットA「オイお前!、通報なんてしてみろ!こいつらがどうなっても――」
――「私はどうでしょうかっ!」
ヘルメットリーダー・A「――は?」
生徒A・B「え?」
――「私なら一人です!見ての通りお友達いないです!」「…………」「や、まだ……いないだけで、これから頑張って……と、とにかく!」「誘拐するなら私がピッタリだと思います!」
生徒A,B「……」
ヘルメットA「あ……あぁ、たしかにピッタリ……かもな……」
ヘルメットリーダー「こりゃあ、熱いコーヒーがいるな……」
ヘルメットA「お前は後ろだ」
ヘルメットリーダー「オレの隣、座りな」
――「は、はい……」
バタンっ!
窮屈な車内だった。後部座席は無く、フロアには座椅子とその近くにシートベルト用のバックルが固定されており、景色の半分を独占するダンボールが足を延ばしきるのを許さなかった。
ヘルメットB「危ないからシートベルトしてねー」
生徒A「あの……、私たちは?」「一応、目撃者だけど……」
ヘルメットリーダー「この嬢ちゃんの勇気に敬意を称して、見逃してやるよ」「嬢ちゃんたちにもう用はねぇぜ、時間を取らせて悪かったな」
生徒B「あの子は……」
ヘルメットA「手荒なことはしねぇから安心しな、ただしお前らが今ここで通報なんかしたら話は別だ!」「アイツに恩を感じるなら何もしないねーことだ、分かったか!?」
生徒A「うん……」
生徒B「……ねえ聞こえる?」「――ありがとう!」
――…………っ!
ヘルメットA「よし出せ!」
その言葉に振り向く間もなく、座席が地面とタイヤの摩擦を伝えてきた。
後悔は半分していた。しかし、見て見ぬふりをして逃げた未来ではもう半分、あるいはそれ以上の後悔に追いやられていたかもしれない。
そうと思うと、少しでも人の輪に貢献できたのだと自分を励ますことができた。――それに何より。
――何してるんだろう……私……。
自虐だが。孤独のせいにして自分で首を締め上げていたさっきまでの私を、無様な勇気を振りかざし黒歴史を生んだことによって、今は少しばかり羞恥できていることに、僅かな安心を覚えていた。この調子で私はきっと変われるぞ、と。
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二人の少女は立ちすくんでいた。原因は言わずもがな、先ほど目の前で起きた略取事件。
自分たちの身代わりとなった同級生に向けての憂慮が、未だ二人に問題の解決を義務付けてしまっていた。
生徒B「危害は加えないって言ってたけど、あんな連中の言葉信用できない……」
生徒A「ど、どうしよう……、でも通報したらあの子が人質にされちゃったりするのかな?」
この心痛は自分たちが背負う必要のない感情だと無意識には理解していた。
だがそれを言い訳に、この感情をあっさり捨ててさっきまでの日常を再開するほど、利害関係に頓着している二人では無かった。
――そんな無力と責任という岩の間で身じろぐ二人の元に、事態を解決する糸口が駆け寄ってきた。
トリニティ生徒「ねぇ!今、もしかしてあの子誘拐されたの!?」
生徒A・B「――っ!」
生徒A「そうなんです!私たちを庇ってくれて……」
生徒B「誘拐犯に、通報したらあの子を痛い目にあわすって言われて……」
トリニティ生徒「なるほどね、何となく分かったわ!」「よく頑張ったわ二人とも!、――あとは私達に任せなさい!」
おそらく同じ学園の先輩、制服に”校章が描かれた盾のエンブレム”を付けているその生徒は、二人の絞り出す少量の助けを求める声に、最大の理解で応えてくれた。
生徒A「私達、別に何も……というか、どちら様?」
生徒B「……あ!、もしかして入学式で言ってた……治安維持の……」
トリニティ自警団員「私達は、トリニティ自警団」「――あなたたちの味方よ!」
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揺れる車内、武装した犯罪グループが支配するこの空間では、息が詰まるほどの緊張感が充満して――無かった。
ヘルメットリーダー「しかしアンタ大したモンだぜ!ああいう時、普通は見ないふりして道を曲がるものだが、アンタは違った!」「見ず知らずの二人のために、人に言いづらいことをバラシてまで庇うなんざぁ簡単にできる事じゃねぇ!その他人のために自分を顧みない姿勢、感動したよ!」「友達がいないなんて少しの間さ、アンタほどの器の持ち主なら、いずれファンが付くほどになるだろうよっ!」
先の咄嗟の行動を称賛されると同時に、セルフカミングアウトの内容について背中をさすられていた……。
――「はあ、どうも……」
ヘルメットリーダー「友達を作るコツはやっぱり挨拶だぜ!最初の印象こそが本当のアンタの顔になるってことだ。その点アンタはいい声してる、おはようって上目遣いで言えばイチコロ間違いなしだ!」
――「そ、そんなにうまくいきますかね?……」
ヘルメットリーダー「そう気ィ落とすなよぉ、初日が上手くいかなかったからなんだって話だ。終わった今日に縋るよりも、明日のために早く寝た方が人生上手くいくぜ?」
ヘルメットA「いや、落ち込んでる原因作ってるの私達だろっ!」
――この人たち仲いいな……、私もこんな風に……。「あ、あの!……わ、私ってこれからどうなるんですか?」
ヘルメットA「少しの間、私たちの拠点で監禁させてもらう。でも椅子に縛ったりとか、そういう乱暴なことはしないから安心しな」「学園がアンタの身代金を払ったら解放してやる、早ければ今日の夜には帰れる予定だ」
ヘルメットB「それまで一緒にゲームしたり、漫画読んだり、ゆっくりしてて!お菓子とジュースもあるよ!」
――なんか、お友達の家へ遊びに行くみたい……。
想像よりも明朗とした犯罪現場は、疎外感しかくれなかったまともな日常よりも光って見えた、――だが。
ヘルメットリーダー「だがそれは……、アンタが大人しくしていればの話だぜ」(スチャッ……)
隣に座るリーダーが懐から半分だけ、……銀色に光る脅迫の証を見せる。
それは、少しでもそちら側に踏み込もうとした自分に対する警告であり、勘違いを正す、ある種の優しさのようにも感じた。
ヘルメットリーダー「アンタは良いやつだ、……頼むから、撃たせないでくれよ?」
――「はい……」
ここにも、私の居場所はない。
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片側二車線道路の交差点で、円形の歩道橋が四方向から集まる道を繋いでいた。
陽が傾いてオレンジ色の時間帯、少し肌寒い風を浴びる特等席に、明るい銀色の長髪を靡かせる少女が一人、帰路につくデイライト達を見送っていた。
自警団員「犯人の車は現在二八番街通りを南下しています」「――さん、今どこですか?」
銀髪の少女「今、交差点の歩道橋の上で張っています」「バンの特徴は?」
自警団員「銀色のミニバン、ルーフキャリア付きで、赤いキャンプ用コンテナを載せていました」「私も数分でそちらに着きます。合流して――」
銀髪の少女「――っ!」
会話から逸らしていた視界に、知らされた特徴と一致する車が写る。
銀髪の少女「――見えました!行きます!」
自警団員「え、ちょっと!?――」
その勢いは獲物を狙う猛禽類の攻撃が如く。
鳥が羽ばたくように、少女は歩道橋の柵を飛び越え、空中へと飛び出した――。
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ヘルメットリーダー「嬢ちゃんは、ピタゴラスの船って知ってるか?ようは焦って一気に直すんじゃなくて、少しずつ変えていくことが肝要って話さ」
ヘルメットA「…………」「……それ、テセウスじゃね?――」
ドンッ!
突然天井から響いた音が、車を揺らした。
ヘルメットリーダー「ん?」
ヘルメットA「なんだ?」
ガガガガガッ!――ババババババババッ!
違和感の正体が、強烈な金属の弾ける音からすかさず、屋根の一点から降り注ぐ無数の弾丸の雨へと姿を変え、車内の者たちを容赦なく混乱に海へと溺れさせた。
――「うわぁぁ!」
ヘルメットB「うぉおおおお!?、いきなりなにっ!?後ろどうなってるの!?」
ヘルメットA「良いからお前は前見て運転しろっ!」「もしかして正義実現委員会!?あいつら、通報しやがったか!」
ヘルメットリーダー「いや、いくらなんでも早すぎるなぁ、これは……ククク」「――間違いない、奴らだ!」
――……奴ら?
ヘルメットリーダー「いきなり発砲とはご挨拶だな!」「――トリニティ自警団!」
そう言うとベルトを外して立ち上がり、懐からさっきの銃を取り出して、天井の穴ではなくその後ろ。――着地音のした場所を狙った。
ヘルメットA「お、おい!ちょっと待て!――」
ヘルメットリーダー「挨拶されたら、返すのが礼儀ってもんだろっ!」
パァンッ!
――「きゃぁッ!」
耳を穿つほどの破裂音と共に、放たれた弾丸は周りの音をかき消しながら車の天井を貫通し襲撃者に命中、……することはなく。
というか貫通することもなく、車内で数回跳弾し、結果的に撃った本人の眉間に命中し気絶させた。
ヘルメットリーダー「ギャフッ!」
ヘルメットA「あっぶねぇなアホ!お前の口径じゃ貫通できねぇよ!」「――振り落とせ!」
ヘルメットB「つかまって!」
銀髪の少女「!――」
バンが大きく揺れ、車上の少女がバランスを崩した。
銀髪の少女「…………」
耐えてしがみつく必要は無かった、少女は身をひるがえしてバンから飛び降りる。
決して追撃を諦めた訳でも、犯人を逃したわけでもない、――なぜなら。
ゴトン。
ヘルメットA「――?」
ゴロゴロ。
既に無力化の成功を確信していたから。
ヘルメットA「――閃光弾っ!」
――――――――バンッ!
突如車内に現れた白の衝撃と、空間を内側から圧し潰すような爆音が、搭乗者全員の視界と意識を消し飛ばした。
ッギィィィイイイガシャァァァアアアアン!
制御を失った車が、交差点の真ん中で派手に横転する。
銀髪の少女「犯人の車、無力化しました!、……切れてますね」
自警団員「――じ――か!?」
銀髪の少女「――!」
少女は声のする方を向く、さっきまで通話していた同志の一人がこちらに走ってくるのが見えた。
自警団員「はぁ……はぁ……、無事ですか!?、今の状況は……え?あれ犯人の……」「……もう……終わったんですか?」
銀髪の少女「はい、急ぎ被害者の保護と、犯人の身柄の拘束を!」
自警団員「相変わらず無茶を……、お怪我はありませんか?」「……スズミさん」
スズミ「お気遣いなく、私は大丈夫ですので」
そういうと少女は、不愛想な無表情でも、明るい笑顔でもなく……そう、微笑んだ。
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――……………………………………。
まだ少し体が揺れている。次第にお尻の感触がここを車の中ではなく、アスファルトの上であることを伝え、視界に滲む深い青とオレンジ色が、今は陽が沈んですぐであることを伝えてくれて……。
耳から入る氷のように凛とした声が――。
スズミ「気が付いたようですね。お怪我はありませんか?」
私の無事を教えてくれた。
――「…………」「……は、はい!大丈夫です!」「あの!、えっと!……どうなったんですか?」
スズミ「あなたは不良グループに誘拐され、今、救出されました」「もう大丈夫ですよ」
柔らかい笑顔だった……。あの一瞬であの人数をいなしたつわものから想像できないほどに、身を預けても大丈夫なんだと無意識に安心をくれる表情をしていた。
――「その……失礼ですが、あなたは……」
スズミ「――!、失礼しました!」「トリニティ総合学園二年、自警団員の守月スズミです。通報を受け、あなたを助けに来ました」
――「スズミ……さん……自警団……助け」「――っ!、す、すみません!私なんかのために!」
自分が被害者であることに疑いは無かった。
だが、自分のために誰かが動いてくれるという社会的権利を用い慣れていない私は”迷惑をかけてしまった”と、自分でと自分に頭を下げさせていた。
スズミ「あ、あなたが謝る必要など……それに”私なんか”、などと仰らないでください」「攫われそうになった所、あなたが身代わりになってくれたと、通報していただいた方たちから伺っています」「素晴らしく……誇るべき勇気の持ち主ですよ。あなたは!」
――「……、そんな、大したこと……そっか、あの時の……」「……というか何をされているんですか?」
スズミは誘拐犯の三人を電柱に縛り上げ、一人ずつ頭にヘッドホンを被せていた。
スズミ「これで、穏やかな心を取り戻してもらいます」「……って、またあなた達ですか!、えっと……グダグダヘルメット団の皆さん……?」
ヘルメットA「――ズタズタヘルメット団だ!二度と間違えんなっ!」「――って、おい!またこの曲かよ勘弁してくれよ!もう夢でも流れてくるくらモゴゴゴゴ!」
ついでに猿轡も。
スズミ「ふー……、これで一件落着です!」
――「す、すごく慣れていますね……もしかしなくても、よくあるんですか……?こういうの……」
スズミ「そうですね……、多い時は一日に十件を超えることも……」「あ!、ですがご安心ください!トリニティ自警団一同、皆様の安全のために日々尽力して――」
――「……ほ、ほとんど毎日?……そ、それって……大丈夫なんですか!?」
スズミ「……?、大丈夫というのは……?」
――「毎日こんな感じで戦ってるってことですよね?、……辛くはないのですか?」
スズミ「お心遣いありがとうございます……」「ですが、ご心配には及びません。この活動は自発的に続けているものなので、苦に感じたことはありません。……それに」「何もしない方が、私のとっては苦痛ですので!」
――「そ、そうなんですね……」
自分とは大きく価値観が違うと思った。私は誰かのために自分を犠牲にすることなんて……ついさっき、やってたっけ。
生徒A「あ!あれじゃない!?」「おーい!」
生徒B「うわ、車ボコボコじゃん……、あの子は大丈夫なの?」
スズミ「どうやら、あなたを心配して来てくれたようですね」「大した事、あったじゃないですか♪」
遠くから聞こえた声は、さっき私が身代わりとなった二人のものだった。
正直意外だった。二人が私を心のどこかで感謝するだけでも十分だったのに、心配して様子を見に来てくれるだなんて!
生徒A「あー!いた!大丈夫!?」「どこも、ヒドイことされてないよね?」
生徒B「ホンっとに、ありがとう!」「あなたも自警団?、本当にありがとうございました!」
スズミ「いえ、私は当然のことをしたまでですので」
二人から送られた抱擁と安堵の喜びは、今まで自分に向けられた感情の中で最も困惑、最も動転を強いるものばかりで、そして何より……照れ臭かった。
――「あ……あぅ……あ」「こういう時……どうしたらいいのでしょうか……?」
スズミ「うーん……胸を張るというのはいかがでしょう?」「エッヘン、って」
――「え、……エッヘン!、……どうでしょう?」
視界に写る皆が笑い出し、私もそれにつられ、体の内から笑った。
今だけは、人からの視線を忘れることができた。
生徒B「そうだ!名前教えてよ!私――」
――「――は、はい!私――」「
生徒A・B「!……」
しまった、と思った。我ながら食い気味過ぎた、ほとんど被せるような自己紹介なんて絶対に嫌われ――。
生徒A「アハハ!うん、セラちゃんね!」「よろしく!私――」
――「…………はい!、よろしくお願いします!」
私のトリニティ入学初日は、散々だったけど、結果的に最良とも言える一日だった。
良くも悪くも充実しすぎた日々を振り返ると、自然と頭の中から感動が大声で叫び始めた。
――トリニティ自警団、すごかった!あんなにも頼もしい治安組織がいたなんて!
――お友達もできた!お嬢様学校って聞いていたから薄情な人ばっかりだ%)@ってたけど、――全然そんなことなかった!
――こんな夢みたいな環境で□――これか%dら――勉強できて、遊べて、――恵ま※縺?k――。
――明日からが本当に楽しみ!
――絶対、私!――こ■トリニティ総合学園――をで青を,@/縺ァ髱*を&繧陥落※させ定ャウ豁謳歌#るんだ――!
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