おつかれ勇者とつるぎの魔女   作:調味のみりん

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28話 作戦合議

 

 

 永遠に春が続く空間の中。

 ルーク達は少女の手を取ることを選び、彼女は恐れながらも手を伸ばした。

 

 そうして少しの時間が流れ、ある程度身体が癒えたころ。

 

「きちんと、休めたかい」

 

 長椅子に場所を移し、装備の点検や休息を取っていたルークのそばに老婆が現れ気安い口調で言った。しわがれた声だ。前に見た時と同じく唐突に近くに来て、気配は感じられなかった。

 

「この春の異界も間も無く()()()

 

 さぁ、と春の穏やかな風が吹く。ここは現実世界とほとんど同じだが、全てのものが〇.八倍速のようにゆっくりだった。風や、蝶の動きが。

 老婆とルークの会話は静かで、勇者のすぐ隣、同じく長椅子の上で丸くなって寝息を立てているカランコエは微かに鼻を鳴らしただけだった。

 

「閉じるとどうなるのですか?」

 

 ルークは尋ねる。

 異界が閉じて、どうなるのか。また同じ場所、つまり妙来軒に戻り、騒ぎの原因を探し回っている衛兵から逃げるのはごめん被りたかった。

 足が四つある椅子に腰掛けていたアスナヴァが、こちらの様子に気がつき、注視している。シュンカは気が付かず香炉の手入れを続けていた。

 

「閉じると、べつの場所に通じる。蒼燕の都の、どこかの使われていない店に」

 

 そうですか、と答えた。

 魔法のようなものだろうか、とルークは考えた。魔法は魔術とは違い、神秘と固有を秘めた奇蹟だ。

 常人の理解出来ないルールがあり、摩訶不思議な手法であり、使い手も実力があれば必ずしも至れるというわけでもない。実力がなくても幾つかの数奇な組み合わせで魔法使いになることもあるのだ。

 または、未だ解明できていない事象を大雑把に魔法と呼んでいるとも言う。

 事実、カランコエの魂の鍛造も、キチンと理解できない類のものだ。

 

「あとどのくらいですか」

 

「一時間ほどじゃな」

 

 ルークは頷いた。

 そして長椅子から立ち上がり、アスナヴァのいる机の所まで戻ると彼女に目線を送った。アスナヴァはルークの意図を汲み取ったように静かに頷き、勇者は軽く手を打ち鳴らした。

 

「出る前に、もう一度問題点を整理しよう」

 

 勇者の腰に抱えられた寝起きのカランコエは不機嫌そうに欠伸をひとつこぼした。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 状況は時間制限付きで動き出した。

 ルーク達を取り巻く環境は複雑さを増し、安全地帯である異界から弾かれるまでの一時間で次に取る手を考える必要があったのだ。

 

 

 ルークは皆んなを机を囲むように椅子に座らせ、状況を整理し始めた。席についたのは、ルークとカランコエ、アスナヴァにシュンカ、そして老婆の五人だ。以下が挙げられる現在の状況と、問題点である。

 

 

 その一。現在、次の帝位を巡る水面下での争いに巻き込まれている。

 

 その二。シュンカは本人の意思とは関係なくその有力な候補の1人として挙げられている。

 

 その三。シュンカは命を狙われ、それを保護する支持基盤も持たない。

 

 その四。狙っているのは第一公主をはじめとするこの国随一の有力者である。

 

 その五。シュンカが狙われる理由は、彼女と不可分のものである。

 

 

 なぜ、シュンカは最後の継承権の順位でありながら、帝位を継ぐ可能性のある脅威と見做されたのか。その理由は──

 

「龍の眼」

 

 ルークが言い、同じ机を囲う少女に視線を向ける。

 彼女は少し恥ずかしそうに耳の端を赤くして俯いた。先程のやり取りを引きずっているらしい。

 

「龍は今も実在しているのか?」

 

 アスナヴァが透徹した瞳で疑問を呈すれば、シュンカは『はい』と頷いた。窓の近くの席を選び、日光を浴びて居た老婆が補足するように口を開く。

 

「居るとも言えるし、そうでないとも。ま、会えるかどうかで言えば一応会えるな」

 

 そうですか、と銀の麗人が首を軽く振った。

 ともかくルークは話の流れを戻し、解決策を挙げていく。

 

 蒼燕の政争に巻き込まれ、命を狙われるに至ってしまった少女、シュンカ。

 そんな彼女を助けるには──

 

 

 

「国外に逃す?」

 

 ルークが薄い茶髪を揺らして指を一本立て提案する。

 横に座っていたアスナヴァがかぶりを振った。

 

「それでは解決にならないだろう。彼女が生きている限りは、派閥の頭として機能するからだ。実際に彼女がそう動くかは関係なく、脅威がある、というだけで排除されるには足る理由となる」

 

 だから国外に運良く逃げおおせたとしても、いずれは追手にやられてしまうだろう。

 

「眼をどうにかする、とかは……」

 

 次に思い浮かんだのは、シュンカが狙われる原因の根本を断ち切る策だった。勇者は少し目線を上にしながら再提案をする。

 

「その……申し上げにくいのですが、この龍の眼は存在そのものと結びついております。わたしから外れることは無く、抉ったとて、回復術の使い手が癒せばまた戻るでしょう」

 

 シュンカは先ほど晒した激情が恥ずかしいのか、どこかそわそわとした様子で、時折顔を手であおぎながら答えた。

 

「鍛造、りゅうの眼のがいねんごとしてしまおうかしら」

 

 まだあまり目が開いていないカランコエが机に頭を伏せながらぽつりと呟いた。白い髪が木の天板に広がって、雪のようになっている。

 

「それが叶うのであれば」

 

 シュンカは眼を伏せて軽く頭を下げた。白髪の魔女は“だいじょうぶ?”とシュンカに問い、彼女はすこしあわてて格好を整えた。カランコエなりに心配をしていたらしい。そして魔女は相手の了承を得たと確認すると、そのちいさな手を伸ばし、藍染の目隠し布に触れた。

 一瞬の静寂の後、ぱち、という音と共に魔女は手を引いた。

 

「はじかれた」

 

 カランコエはそう言って唇を尖らせる。少しの譲歩もなく、鍛造が通らなかったことが不満らしい。ルークが宥めるように少女の頭を撫でれば、唇はすぐに引っ込んだ。ただ、あまりこの手を濫用すると逆に怒られる。ルークは奥の手を一回消費した。

 

 

 カランコエの鍛造は、対象が有する魔力量によって必要な力が変わってくる。弾かれたということは、龍の眼が宿す力はかなり強力なものらしい。

 

「ふむ」

 

 アスナヴァが長い睫毛を瞬かせた。

 

 ルークが次に思い浮かんだのは、口には出さないが、政争など関係ないくらいにこの国ごとひっくり返してしまうこと。

 しかしそれも現実的でない。ルークやアスナヴァがいかに実力者だからといって、上には上がいる。事実、蒼燕の勇者であるミョウメイも2人の実力を合わせたものより上回っていた。

 また、表には出てこないが、きっと国の中枢にはツヴェート救護団長であったタポールと同等か、あるいはそれ以上の力量を持つ英雄がいるだろう。

 

 というか勇者として、ルークの望むところとして混乱を巻き起こすのはあり得ない。取りえない選択肢だ。ばかばかしいと勇者は思考を切り捨てた。

 

 

 

 事態は硬直する。  

 皆、頭を悩ませ、シュンカは申し訳なさそうに肩を落とした。

 

「あっ」

 

 うーんと頭を抱えて考えていたルークは、腕を動かした拍子に膝がぶつかって、湯呑みを机から落としてしまった。

 咄嗟にキャッチをし、破損は免れたが、上下逆さまで掴んでしまったため、中身が床に溢れてしまう。

 

「うわ、やっちゃった」

 

 ついでに手もびしゃびしゃになり、茶の優しい香りがあたりにむわりと広がった。床にカーペットや敷物がなくて助かった。ルークは胸を撫で下ろす。

 

「ん?」

 

 そして、逆さまになった湯呑みを持ち上げて、まじまじと眺める。

 逆さま。逆。ぎゃく……。思考が加速して、遠いところで要素と要素が結合していく。

 

 

「逆から考える?」

 

「手をふきなさいな」

 

 濡れた手のまま思案に耽り出すルークに、カランコエが雑布をルークの懐から引っ張り出し、呆れたように押し付けた。

 ルークは上の空の状態で布を受け取ると、顎に当てて考え出す。そして、あっ、と声を漏らし言った。

 

「むしろ、お姉さんを確固たる継承者にしてしまえばいいのでは?」

 

 シュンカをどうにかするのではなく、そもそも争いの原因を進めて解決の段階まで落とし込んでしまう。

 

 アスナヴァが一瞬息を吐こうとして、すぐに動きを止めた。そして真剣な顔つきになり、脳内で検討を始める。

 

 ルークの出した案は、これまでのどの考えよりも現実性があり、考慮に値するものだったから。

 

「一度、その方向で考えてみよう」

 

 アスナヴァがそう言い居住まいを正した。

 何が必要か。

 

 どのような状況になれば、一番上の公主が確たる地位を確立して、帝位を継承するに相応しいとなるのか。

 ルークは頭を回しながらなんとなしに視線を走らせる。すると霞色の髪を垂らしながらうんうんと唸るシュンカが目に入る。彼女は龍に寵愛、祝福をされたが故に特別な眼を持っているのだったな、と思い起こす。

 

「龍に、第一公主さまも祝福をして貰うとか」

 

「可能か? 何かで誘因できるような存在なのか、対話が成り立つほどの高位の存在か、いずれにせよ龍を動かす必要がある」

 

 ぱっとしたルークの思いつきに、アスナヴァが鉱物のように硬い声で問う。否定ではなく、勇者ルークの言葉を信じているからこそ真剣に多視点から検討をするための問いかけだった。

 

 老婆がほっほっと笑った。

 

「出来なくは、ないじゃろうて。普通はそんなこと考えんがな」

 

 龍は試練の克服を尊ぶ。

 初代皇帝も、龍との試練に打ち勝ちこの地に国を興したという。

 

 老婆はそう語った。

 

「それに龍の所在……生息地か? も分からん」

 

 アスナヴァが首を振りながら言った。シュンカも分からないらしく、眉根に皺が寄っていた。

 半ば伝説の存在。それに辿り着く方法など、常人が知っている筈がなかった。

 

「ふむ、ならば、一応呼んでいたものが来るかもしれんな」

 

 ああ、とまた会議が停留しそうになった時。

 老婆が思案顔で呟いた。

 

「来る?」

 

 ルークが聞き返す。

 

「なんでも屋じゃ。万屋とも言う」

 

 客間の奥で木が軋んだ。

 間も無く夕方となる。この空間は時間は流れているようで、温度変化に木材が変形したのだろう。空気の埃のようなものが西日に存在を明らかにされていた。

 

「この世と、ここではないところの物を売り買いしているやつじゃ。やつならば、あるいは龍のところに辿り着く答えを売っているだろう」

 

 事もなさげに老婆は語った。

 だが内容がとても常識とは離れていて、子供の頃に聞かせてもらった物語の不思議な現象を思い起こさせるものだった。若干の困惑を滲ませながらルークが口を開く。

 

「それは……いったいどのような存在で……」

 

「ここは蒼燕。古来、数千年神秘から続き、伝統が息づく符術と風水が支配する土地ぞ」

 

 老婆は独特の雰囲気のまま言葉を切った。

 外の池で何か跳ねる音がして、静まり返る。老婆は部屋の隅にある椅子に歩いて行って、腰掛けた。もう喋るつもりはないらしい。

 ルークはなぜか緊張が解けず、唾を飲み込んだ。背もたれに体重を預ける。木の滑らかな感触と、温度のない木目が伝わってきて体の熱を吸い取ってくれるようだった。

 

 案はある程度出尽くした。ここからは、老女の言っていた『異界』が閉じる時間まで待機することになるだろう。ルークは疲れをできる限り抜くために、細く息を吐きながら瞼を下げた。目の前が暗くなる直前、横に座っていた魔女がソワソワとしているのが目の端に写った。

 

「りゅう……どんな味になるのかしら」

 

 ぼそり、と。

 あまり聞き取れないくらいの音量で。だがカランコエの契約者であり、ある程度の感覚を共有しているルークに聞こえないはずもなく。閉じかけていた瞼をパッと開けて、身体を起こし懇願した。

 

「……止めてよ? ねぇ、カランコエ。もしかして大路で食べた蜥蜴思い出してない?」

 

 そのやり取りを見ていた、シュンカは驚いた顔をして、老婆は口を開けて笑った。庭の木に茂っていた葉がいちまい、ひらりと部屋の外を流れていった。

 

 ルークはカランコエの肩を本気の顔で掴み、魔女は知らん顔を決め込む。勇者が続けて口を開こうとした時、カランコエはぱっと顔を中庭と中を繋ぐ引き戸の方に向けた。

 

 

 その瞬間、からんからんと引き戸が開く音がした。

 そして大きな背負籠に、三角の笠を被った大男が入ってきた。

 

「来たか」

 

 老婆が呟く。

 

「呼んだかね、何でも屋を」

 

 大男は腹の底に響くような声で宣った。壁越しに聞くような、透明感のない声をしていた。蓄音機で聞いた声のような、声の要素が少ないような。そんな音だ。

 

 男の身長は2メートルを優に越し、天井に笠がつきそうになっている。体格もよく、まるで壁が歩いてくるようだった。

 

「情報が欲しくてね」

 

 老婆がいつもの調子で客間にある椅子の一つを指し示し、大男はそこにどしりと腰を下ろした。

 段々と暗くなる直前の、日差しが橙に染まる時間帯も相まって、どこか現実感の希薄な状況であった。

 

「情報か。ふむ、それはウチで取り扱っているものだね」

 

 何でも屋と名乗った男は子供の腕ほどもある太い指で額のあたりをトントンと叩いた。そして背負籠を脇に置いて、中のガラクタのようなものが崩れるのをお構いなしに足で隅に寄せた。

 

「アンタらは疑問があって、疑問に対する答えが知りたいんだろう? なら、対価が必要だな。最初に言ったろう。ウチは商店なんだ」

 

「知っているんですか、龍と接触する方法ですよ」

 

 本当にそんな情報を持っているのか。ルークは確かめる目的で口を開くと、何でも屋の大男は勇者に視線を向けた。ルークはぴくりと眉を上げる。大男の眼窩には眼が嵌っておらず、ゆらゆらと青い幽玄な炎が揺れているだけだったから。

 

 ──人じゃない。

 

 勇者は気がついた。

 ここからは対応に細心の注意を払わなくてはならない。人ならざる者との接触においては、一つのミスや、間違い、認識の齟齬が致命的な状況への落とし穴となると知っていたから。

 

「この情報はカネじゃどうにもならんな」

 

「では?」

 

「そんな顔するなよ。別に何でもいいんだぜ。価値のある物を払ってくれるなら」

 

 アンタが支払うのか? 

 ソラナム王国を追放された勇者よ。

 

 男は体を揺すりながら言った。たぶん、分かりづらいが笑っているのだろう。ルークはあまりに自身の情報があっさりと把握されていることに冷や汗を一つかいた。先ほど出会ったばかりなのに。

 

 対価の支払いを迫られたルーク。

 何を払うのかと思考を加速させる中、さっと目の前に小さな影がさした。

 

「わたしが支払います」

 

 影の正体はシュンカであった。

 彼女はちいさな身体でルークの前に庇うように立ち、大男に毅然と向き直っている。

 

「ほう、公主か。しかも愛し子」

 

 シュンカは頷く。

 背後でルークが止める気配がするが、大男から眼を逸さなかったし、退くこともしなかった。

 ふらりと現れた何でも屋。いつ居なくなるかわからない。このチャンスを逃すわけにはいかない。それに、この問題の発端はシュンカであるのだ。これ以上外からの客人であるルークやアスナヴァ、そしてカランコエという特異な少女に負担を支払わせるのは、彼女の中に、あんな環境ながらも培われていた矜持が許さなかった。

 

 そして、もうひとつ。決して口には出さない理由だが、彼の前でもう、無様で無力な小娘であることは、とても胸が痛くなったから。だから、シュンカは普段からは考えられないほど迷いなく一歩、交渉の場に立った。まだ曖昧で言語化できない何かが彼女を突き動かしていた。シュンカは必死だった。

 

「では、お前の血を貰おう。この小瓶ひとつ分だな」

 

「それだけでしょうか?」

 

「おうとも。はは、お前はちったぁ自分に流れている血の価値に目を向けた方がいいな」

 

「……わたしを縛るものに、ですか?」

 

「お前にとってはそうか。まぁ、思いはどうあれ価値は変わらんさ。で、どうだ。取引、するか」

 

「はい、いたします」

 

 あっさりと。

 とんとん拍子にやり取りは進み、ルークがあっという間に物事は進みきった。

 

 シュンカが首を縦に振った瞬間、ぱちんと手を打ち鳴らす音がして、周囲が一瞬明るくなった。朧げな、蛍火のような明るさだ。だが、それもすぐに収まり、大男の持つ小瓶には色鮮やかな赤色が揺れていた。

 

「取引は成った。では、教えようか。龍との接触方法を。一度だけだ。聞き逃しても、返品はせんぞ」

 

 大男は小瓶をいそいそと仕舞い込み、机に腕を億劫そうにおいて話し始める。その口調は先ほどよりも幾分か、改まって聞こえた。

 

「今からちょうど78日の後に、天気と、昼間の星々の形と、お前らの目に見えない何かが噛み合って、龍に続く道が正午の1時間だけ飛燕山脈の頂上に開く」

 

 ただ、態度とは裏腹に語り口は真剣で述べられる内容もはっきりとしている。大男はあくまでシュンカに向き、彼女の反応を見ていた。取引相手がこの小さな少女だからだろうか。男の被りっぱなしだった笠が草ずれのような音を立てた。

 

「行けば分かる。空気が石鹸の螺鈿色に輝いているからな。それを息を止めて潜れ。そんなら目の前に龍がいるだろうよ」

 

 大男はそこまで言い切ると、よし、と膝を叩き椅子から立ち上がった。

 やる事は終わったとばかりの様子だ。実際にそうなのだろう。取引が終わった彼は背負籠を片手でひょいとつかんで乱暴に背中に背負った。

 

 そして名残など一切感じさせず、ずんずんと歩き出し、出入口の戸を掴み、くるりと首だけ振り返って言った。

 

「これはオマケなんだが──ふだん俺はそんな事はしないが、アンタの苦難の運命を偲んで教えてやる」

 

 男の瞳となっている火が、風の強い夜の篝火のように揺らめいた。

 

「龍の試練は苛烈だぞ。今のまま行ったところで、アンタらじゃまず勝てん。よく考えるんだな」

 

 

 

 そう言い残し、ぴしゃりと戸は閉じられた。

 

 

 

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