銃が撃てないモブちゃん 作:ん、曇らせ
アビドスに来てから数日。
私は、どこか場違いな居心地の悪さを抱えながらも、彼女たちの中で過ごしていた。
「はい、これ食べてください☆」
ノノミが、また私の机にお菓子を置く。
笑顔は相変わらず、太陽みたいにあたたかい。
「……ありがとう」
私は小さな声で礼を言った。
「おじさんは今日もお昼寝タイムといこうかなぁ」
教室の隅で伸びをするホシノに、すかさずセリカが声を上げる。
「ちょっとホシノ先輩! 真面目にしなさいよ!」
アヤネはそのやり取りを見ながら、おずおずと私にお茶を差し出した。
「こ、これ粗茶ですが……」
「……うん」
シロコは前と相変わらずランニングをしている。
そんな何気ない時間が、続いていた。
――こんな日常は、本当に久しぶりだ。
ゾンビも、絶望も、血の匂いもない。
ただ、笑い声と小さな喧騒があって。
それが、逆に怖かった。
ここが“本当に安全なのか”と、心が拒んでしまう。
私はお菓子を一口かじりながら、無理やり笑ってみせた。
「……美味しい」
「ほんとですか~? 良かったです☆」
ノノミが嬉しそうに笑う。その無邪気さが、胸を締めつけた。
――その時だった。
ガシャァンッ!
窓ガラスが割れ、甲高い音が響く。
「っ……!? 伏せて!」
セリカの叫びと同時に、銃声が室内を裂いた。
「いったぁ……!?」
ノノミが頭を押さえてよろめく。
「ノノミちゃん!」
ホシノが即座に体制を整えノノミの心配をしセリカとシロコが銃を構える。
幸い、ノノミはすぐに顔を上げた。
ヘルメット団の銃弾はかすり傷にしかならず、近くにあったマットが衝撃を吸収していた。
……けれど私には、そうは見えなかった。
ノノミの頭に穴が空き、血が溢れ出す幻覚。
銃を構えた自分の姿。
――あの日。私は、自らの手でノノミを撃った。
「ひっ……」
息が詰まり、喉から声にならない声が漏れる。
視界が赤に染まる。ノノミがこちらを見て笑う、その顔が“崩れていく”。
(また……私が、撃った……!)
「……ごめんなさい……ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……っ!」
私は無意識に銃を落とし、頭を抱えて崩れ落ちた。
「えっ!?大丈夫!?」
セリカが駆け寄ろうとするが、その姿が焼き付いた幻影と重なり、胸が抉られる。
「……っ来るよ!」
ホシノの声が飛ぶ。
ヘルメット団の影が次々と窓から飛び込んでくる。
セリカが反撃に出る。シロコも無言で銃を構えた。
ノノミは頭を気にする様子はなく銃を構え、仲間と並ぶ。
私は――ただ膝を抱えて震えていた。
(また守れなかった……また……!)
耳鳴りがして、銃声と悲鳴が遠ざかっていく。
現実の音と、過去の記憶がごちゃ混ぜになり、頭の中で何度も何度も、ノノミの崩れる姿が再生される。
「……ごめんなさい……」
もう何度目かわからない言葉が、勝手に漏れる。
ホシノが横目でこちらを見て、わずかに表情を曇らせた。
「……ゲマトリアか…いやわからない……まずは様子見…っとそんなこと考えてる暇もないみたいだね、いこうか。みんな」
その言葉とともに、彼女は銃を乱射し、敵を制圧する。
教室内はアヤネだけが残り本当に襲撃にあったのかわからなくなるくらい静かだった。
でも、私の心の中は激しく揺らいでいた。
――銃を持てば、またあの惨劇を繰り返す。
――撃たなければ、また誰かが死ぬ。
どちらも選べないまま、私はただ謝罪を繰り返し、膝を抱えた。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
やがて敵の数が減り、銃声が収まる。
ホシノが深く息を吐き、セリカが怒鳴った。
「はぁ…やっと終わった!」
ノノミは額を赤くしながら、私に駆け寄った。
「だ、大丈夫ですか……? すごく、辛そうで……」
その優しい声が私を蝕む。いっそ捨ててくれたらいいのに…そんな事アドビスの皆がするわけないのに、そう思わずにはいられないほど私の心は…荒んでいた
「そういえば名前わからないの不便ですよね~♠」
「うーん、なにがいいかなぁ…」
「ん、シロにすべき」
「じゃあシロちゃんでいこっかー!」
的なやり取りをやったものとします。すいません普通にいれるの忘れてました