百合に挟まる訳ないだろ。(挟みに来た!?) 作:究極の闇に焼かれた男
それと今回の話は幕間という名のオリジナル(れな子視点)の回となります。
「ねぇ、奏汰はどうしてわたしに優しくしてくれるの…?」
それは中学3年生の頃、ある出来事により不登校となり引き籠りと化したわたしが奏汰に対し、ふと気になって尋ねた時の事だった。
あの頃のわたしは家族以外の他人と関わるのを拒絶し、部屋で毎日を過ごす日々を送っていた。
そんな日常に変化が訪れたのは、教師に頼まれてプリントを届けに家を訪ねに来たという奏汰との出会いだった。
陰キャで引き籠りなわたしに対して奏汰は一定以上は踏み込もうとせず適切な距離感で接してくれて、何より口で伝える必要性がある時は扉越しに話し掛け、決して返事を急かさずにわたしが口を開くのを待ち続けてくれた。
だからこそ、わたしは毎日のようにプリントを届けに来てくれる奏汰に面と向かってお礼を言おうと思い、意を決して部屋の外へと出たのだ。
中学では3年間同じクラスだったわたしと奏汰だけどまともに顔を合わせて話したのはこの時が初めてで、最初に奏汰の顔を見て中性的な顔立ちで優しい目をしていると思った。
リビングで待っていたわたしを目にした時の奏汰の表情は凄く驚いていたけど直ぐに表情を変えて、「こうして顔を直接合わせるのは初めてだな。 改めまして、立宮奏汰です」と、改めて自己紹介をしてきたのだ。
こうして、わたしと奏汰は本当の意味で出会いを果たした。
そして暫く経ったある日、わたしは少し気になっていた事を奏汰に尋ねたのである。
「いきなり改まって何だ?」
「だって、わたしみたいな陰キャに対して奏汰は優しくしてくれるから気になるよ」
「うーん……どうしてと聞かれると難しいかな。 でも、あえて理由を挙げるとするなら、変に肩の力を入れずに自然体で接せるからかな」
「えっ?」
奏汰の返した言葉にわたしは思わず声を漏らした。
「正直に言うと、他人にバレないよう気をつけてるだけで、他人と話す時の俺って変に肩の力が張ってるんだよ」
「意外、奏汰って優しくて明るいから陽キャだと思ってた」
「理由は自分でもよく分からないけど、どうしても他人と話をしようとすると力むんだ。 だけど何でかな、れな子と話す時だけは自然体でいられる。 こんなの初めての経験だから、自分でも驚いているよ。 それと俺は陽キャじゃないからな」
「そう、なんだ……っ///」
奏汰の語った内容を耳にしたわたしは急に顔が熱くなるのを覚え口元がニヤけてしまい、思わず視線を逸らしていた。
その時は分からなかったけど、今だからこそ分かる。
きっと、初めて顔を合わせた日から既にわたしは奏汰に恋をしていたんだと思う。
そして奏汰の話を聞いてその想いが更に強まったのだろう。
そこからわたしが自分の恋心を自覚するのに大して時間は掛からなかった。
奏汰が芦ケ谷高校を受験すると知ると、自然とわたしも同じ高校を進路先として選んでいて、一緒に合格した時は凄く喜んだのを今でも覚えている。
奏汰と出会ってからのわたしは自分でも驚くくらい初めての気持ちを知ることが多く、特に奏汰に対して恋愛感情を抱いていると自覚した時は幸せな気持ちで満たされていた。
だからこそ、わたしは決めた。
高校を卒業する前に、わたしの想いを奏汰に伝えようと。
でも、高校1年目にして奏汰に告白する事になるとは思いもしなかった。
それに加え、まさか他の女の子と一緒に告白するなんて…
けど、奏汰の一番だけは誰にも譲るつもりは無いから。
それだけは覚悟してよね、奏汰。
ヒロイン(れな子)視点の回でした! 正直に言うと、上手く出来ているか不安ですが、楽しんで貰えたなら幸いです。
他のヒロイン視点の回もやろうかと考えていますので、今後もよろしくお願いします。
それでは皆様、また次回。
それとコメントお待ちしております。