稲荷様は平穏に暮らしたかった。   作:味八木

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激動!パーパルディア皇国の興亡
パーパルディア皇国の懲罰〜前編〜


 

 

 

―フィルアデス大陸第三文明圏列強パーパルディア皇国

第三外務局―

 

「あの計画はどうだ?」

「現在皇国監査軍東洋艦隊の22隻がフェン王国懲罰のため出撃します」

 

第三外務局の面々はある作戦が計画、実行されようとしていた。ここで、パーパルディア皇国の第三外務局の役割について話そう。

 

第3外務局は文明圏以外の国、彼等が蛮国と呼ぶ国々を相手にする仕事である。高圧的に出てどれ程相手から絞りとれるかが試される。蛮国は量が多く外務局人員の6割がここに属する。 独自の皇国監査軍と呼ばれる軍を保有し懲罰行動を行わせる権限を有する。

 

つまりこれからパーパルディア皇国第三外務局は皇国監査軍を用いてとある国に懲罰を行うつもりだ。その名はフェン王国。

 

第3文明圏列強パーパルディア皇国の東側約210キロの地点に、縦150キロ厚さ60キロのまが玉を逆にしたような形の島がある。その東側には内海を挟んですぐフェン王国を鏡写しにしたようなまが玉の形の国ガハラ神国がある。そこから東へ500キロ行った位置に日本がある。パーパルディア皇国の現皇帝の国土拡大計画の一端として第3外務局ではフェン王国の南部、縦20キロ横20キロの範囲をパーパルディア皇国に献上するよう求めた。その場所は森林地帯だ。皇国外務局としては国土を得たという実績が、フェン王国は森林地帯であり使用していない地域を献上することでパーパルディアに忠誠を誓う事になり準文明圏国家として技術供与が行われる。さらにパーパルディア皇国同盟国として箔が付き周囲からの侵略の可能性が激減する。そんな国土も発展し国が富む提案をフェン王国が断ったため第2案として準備していた同場所を498年間租借する案を出した。この租借案に対してフェン王国の剣王シハンは丁重に断ってきた。

 

―列強の顔を潰された―

 

そう捉えた第三外務局局長カイオスが監査軍東洋艦隊を派遣したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

―フェン王国首都アマノキ王城―

 

この国は剣に生きて剣に死ぬ。日本の古き武士道が残っている国だ。(ちなみに日本にも武士道精神は残っているが剣を使わない為に余り重要視されることはない)

 

そんな国の首都にある王城でこの国の行く末を決める会議を行っていた。

 

「…パーパルディア皇国と戦争になるやも知れぬ…」

 

剣王シハン…つまり国王である彼から出た言葉に一同は驚愕した。

 

パーパルディア皇国といえば数多の国を攻め滅ぼし属国化してきた、現在存在する列強国の1つだ。

 

そんな国と戦争になるかもしれないとの事で一同に緊張が走った。剣に生きる国であるフェン王国には魔信などが使えない。しかもパーパルディア皇国に兵数や航空戦力であるワイバーンも負けている。フェン王国には隣国ガハラ神国に風竜と呼ばれるワイバーンの上位種がいる為にワイバーンが怯えてフェン王国に住み着かないのだ。

 

こんな兵力差がある国が勝てる訳がなかった。数カ月前までは…

 

 

 

 

 

 

 

 

―数カ月前―

 

「剣王、現在日本国と名乗る国が国交樹立を行いたいと連絡が」

「日本国?あぁガハラ神国経由で聞いた。何でも東の地に出来た国らしいな」

「ガハラ神国が言うには5つの大きな島からなる国で人口は1億人を超え、列強をも超える文明を有していると」

「そんな馬鹿な話があるか!しかし、ガハラ神国が列強を超えるとまで言うのは興味がある。よし!会おう」

 

こうして、日本国は剣王と会談をする事になった。

 

 

 

 

外務省の島田は身の引き締まる思いだった。フェン王国は決して豊かとは言えないが日本に似た精神を有している。

 

「剣王が入られます!」

 

その言葉に島田は正座していた足を直して立ち上がり剣王にお辞儀する。

 

「そなたが日本国の使者か?」

「はい。今回、国交を結びたく参りました。こちらが献上する品です」

 

そう言って島田が指した場所には日本の伝統工芸品の数々が並んでいた。剣王は真っ先に刀を手に取り抜いた。抜いた刀をじっくりと見た剣王は刀の良さに気を良くして事前に聞いた国交樹立による条件や書類による認識の誤差が無いようにする。そして、1番気になっていた項目について聞く。

 

「島田殿。私はこの情報が本当なら対等な関係を築き技術供与をしてもらえる…これは断る理由が無いのだ。しかし、この『兵器輸出』に関してだが、貴国を疑う訳では無いがどの様な兵器があるのか目で見て見ぬ事には分からぬ」

 

剣王はついに本題を切り出した。

 

「貴国の水軍、海上自衛隊というのには駆逐艦と呼ばれる物があるらしいな。今その船がそこに停泊している。その船の性能を我が国の練習艦で見せてほしいのだ」

 

外務省は面食らった。稲荷神様の方針で軍艦で向かい最低限舐められない様にする。つまり軽めの砲艦外交を行う事になっていたが実力を見せて欲しいといって来たのは初めてだ。しかし、先方が希望しているのだから…と外務省と防衛省に連絡して許可が可及的速やかに下りることになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

―数時間後―

 

フェン王国首都のアマノキ沖合に城と見紛う程大きな船がフェン王国の練習艦からかなり離れた場所に停泊していた。

 

剣王シハンが日本国にお願いした日本国の実力が見たい。その答えが今出ようとしていた…

 

日本の船に備え付けられた砲から煙が連続で上がる。ダン…ダン…ダン…ダンと計4回の音がする。直後標的艦4隻は爆発炎上する。

 

「これは…凄まじい…」

 

剣王シハンの言葉が側近達の総意だった。2キロも離れた地点から正確に一発の砲弾で1隻を沈めている。しかも、連続して攻撃している。こんな芸当は圧力を強めている列強パーパルディア皇国にも出来ないのは明白だった。

 

「直に日本と国交を結ぼう。不可侵条約や安全保障条約を可能なら結び、日本から兵器輸入を予算の許す限り行おう」

 

そして後日フェン王国は軍艦と飛行戦力として単葉機を輸入する事になる。

 

 

 

 

 

 

 

時を戻して

 

 

 

―フェン王国 首都アマノキ―

 

この日、フェン王国では5年に1度の『軍祭』が行われていた。文明圏外国の国々が参加するこの祭りでは多数の武官がやって来て自国の最新装備を見せ合い牽制する祭りでもある。

 

文明圏の国も呼びたいのだが『蛮国の祭りに興味はない』と参加するのはごく少数だ。今回の祭りには日本も呼ばれていた。

 

そんな祭りが行われる首都アマノキではガハラ神国の風竜騎士団長スサノウは親善として上空を旋回していた。

彼の視線の先には大きい灰色の船2隻と平べったい大きな船1隻が見える。東の国の日本という名の新興国家らしい。スサノオも情報は得ているがどういった国かは知らない。

 

『眩しいな』

 

風竜はワイバーンと比較にならない速度と知能を誇り念話で会話する事が可能だ。スサノオの相棒の風竜が会話をする。

 

「今日は快晴だからな」

『太陽ではない。あの下の灰色の船から光が様々な方向に照射されているのだ」

「光…そんなものどこにも…」

『人間には見えぬよ。我々が同胞と会話する際に用いる物に似ている』

「どれ程の距離だ?」

『個体差があるな。あの光は私の光より遥かに強い』

「…って事は遠くの飛竜や魔信以外の手段で交信出来るのか…凄いな日本国」

 

 

 

 

 

 

 

 

―海上自衛隊駆逐艦秋雨―

 

艦長やその他レーダー手は驚愕していた。フェン王国上空にレーダーに似た電波を放つ風竜がいたからだ。別班の情報からワイバーン以外の航空戦力があると聞かされていたがまさかレーダーを持つとは思わなかった。

 

文明圏外国でレーダーを持つ生物がいるのなら文明圏にはこれを大規模に運用している国も存在する可能性がある。この報告を受けた防衛省はステルス機の生産を再開する事になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

―パーパルディア皇国第三外務局皇国監査軍東洋艦隊―

 

ワイバーンロード部隊20騎はフェン王国に懲罰攻撃を加えるために首都アマノキ上空に来ていた。軍祭には文明圏外の各国武官が来ている。その目前で皇国に逆らった愚かな国の末路はどうなるか知らしめるべくあえてこの祭りに合わせて攻撃の日が決定されていた。今回の攻撃で各国は皇国の力と恐ろしさを再認識する。そして逆らう者の末路や逆らった国に関わっただけでも被害が出ることを知らしめる。その為にワイバーンロードの部隊はアマノキに攻撃を加える。

 

今回も軍祭にはガハラ神国の風竜3騎が首都上空を飛行している。風竜が皇国のワイバーンロード含めたワイバーン種を見るとワイバーン種は上位種の畏怖で風竜から目を逸らす。その為に高い練度が求められる。

 

「ガハラの風竜には構うな!フェン王城と…あの目立つ白い船に攻撃を加えろ!」

 

そう言ってワイバーンロード部隊は半分ずつとなってフェン王国王城と駆逐艦雪風に迫る。

 

ワイバーンロードがフェン王国王城に火炎弾をぶち込む。その瞬間、ワイバーンロードが蜂の巣になる。さも何事だとその方を見ると、ムーで使われている様なプロペラを付けた飛行機―九七式戦闘機―が3機ワイバーンロードの相手をしていた。

 

何故ここに日本のレシプロ機があるのか?それは航空戦力が無いフェン王国の航空戦力として大金を払って3機購入していたのだ。350キロ以上の速さで動き攻撃力と防御力共にワイバーンロードより高い戦闘機に敵うはずが無かった。しかし、ワイバーンロードも奮戦して1機に軽微な損傷を与えたが、他の飛行機に全騎撃墜された。ちなみに滑走路はインフラ輸出でアマノキ近郊に小規模だが作っている。

 

この様子を見ていた駆逐艦秋雨の艦長白木は攻撃を受けたと判断した。

 

「対空戦闘を開始しろ!稲荷神様をお守りするのだ!」

 

駆逐艦秋雨や雪風の射撃管制システムで制御された主砲から放たれる弾丸が寸分狂わずワイバーンロードに命中して次々と墜落していく…こうしてフェン王国へ懲罰を行おうとしたワイバーンロード隊は全滅、空母出雲にいた稲荷神は無傷で済んだ。(信仰パワーで当たったとしても無傷だけど…)

 

 

 

 

 

 

 

 

剣王シハンは日本国の力にまた驚かされた。ワイバーンロード隊をすごい速さで排除するのも見事だが、ワイバーンロードと渡り合う日本国の航空機の性能にも驚愕させられた。

 

今までのフェン王国の常識として1騎を落とすのに1個武士団でも不足している。そもそも、ワイバーン種は鱗が硬く弓を通さない。バリスタを不意打ちで直撃させるかフェン王国に伝わる伝説の剛弓、『ベルセルクアロー』を使うしか無い。しかし、ベルセルクアローは硬すぎて国に3名しか使える者はいない。戦闘態勢にあるワイバーンロードを仕留めるのは事実上不可能だ。文明圏外の国が1騎でもワイバーンロードを落とすことが出来れば国として世界に誇れる。しかし、日本はいとも簡単に、大した損害はほとんど受けず列強の精鋭ワイバーンロード竜騎士隊を20騎も叩き落してしまった。

 

日本は文明圏外の武官が集まっている軍祭で各国武官の目の前で各国が恐れる世界の列強であるパーパルディア皇国の精鋭ワイバーンロード部隊を赤子の手をひねるように叩き落とした。歴史が動き世界が変わる予感がする。事実、科学を突き詰めた飛行機がワイバーンロードに勝った。これを変革と言わずに何という。

 

あのワイバーンロードはフェン王国への懲罰的攻撃に来たのだ。日本をこの紛争に巻き込めたのは天運ではなかろうか…剣王シハンは嬉しくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

―パーパルディア皇国皇国監査軍東洋艦隊―  

 

 

竜騎士レクマイアはフェン王国懲罰は簡単な仕事だと思っていた。第三文明圏列強パーパルディア皇国のワイバーンロード部隊であればフェン王国のようなワイバーンも持たない蛮族の国など自分1騎で1個騎士団を相手にしてもおつりが来る。軍祭という各国武官や軍船まで招いての祭りが行われているのであれば蛮族どもにパーパルディア皇国の力を再認識させる機会にもなる。フェン国というパーパルディア皇国の覇道に反目する国の祭りに参加していると痛い目を見るということを解らせるために近場の目立つ大きな船を狙った。しかし、その船は大砲と思しき兵器で高速飛行中のワイバーンロードを的確に狙ってきたのだ。大砲の球は弓をも跳ね返すワイバーンロードの硬い鱗を引き裂き相棒に大きな傷を負わせた。自分は運良く海へ落下して海上から上空を見上げると仲間たちはさらなる悲劇にみまわれていた。仲間の竜騎士は他の巨大船から放たれた大砲で木っ端微塵に吹き飛ばされていた。

 

大砲が空を飛ぶ物に当たる等パーパルディア皇国に所属する彼には理解しがたい現実である。この世で自分たちの敵となりうる存在は他の列強しか無いと思っていた。しかし、自分たちがなすすべもなく破れた相手に興味も持った。彼は海に浮遊中に自分が攻撃した船に浮き輪を投げられ救助された。

 

 

 

 

 

 

「竜騎士隊からの連絡が途絶えました!」

 

皇国監査軍東洋艦隊の上層部に激震が走った。ワイバーンより上位のワイバーンロード20騎が撃墜されたと考えたからだ。この報告を受けて提督ポクトアールは嘆きたくなった。嫌な予感がした。しかし、これは第3外務局長カイオスの命令だ。国家の威信をかけた命令であり、軍人たる彼には実行しない訳にはいかなかった。

 

皇国監査軍東洋艦隊22隻はフェン王国へ懲罰を加えるべく、そして、今回ワイバーンロードを倒した皇国に恥をかかせた敵を各国武官の前で滅するため風神の涙を使用し東へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

―日本国海上自衛隊所属空母出雲―

 

フェン王国が軍祭と呼ばれる祭りを開催すると聞いて祭りで出される屋台のお菓子や食事を食べ歩きしようと数名の近衛とお世話係を伴って軍祭に向かう海上自衛隊の船に同乗して来ていた。

 

稲荷神は沢山の軍艦や陸上兵器、風竜等と呼ばれる珍しい物を観ながら食べ歩きが出来て満足だった。日本より味は劣るとはいえ、異世界の食事が気になっていた稲荷神にとってこの祭りはまたとない機会だ。なんせこの祭りを目的に数多の国の商人がやって来ているのだ。情報収集も兼ねる事が出来て一石二鳥だ。

 

だが、稲荷神の機嫌を損なう様な出来事が起きた。突如として西の空から現れたワイバーンがアマノキに来襲したのだ。しかし、防衛省からフェン王国が九七式戦闘機―設計図をデータベースに保管していたので再現は容易だ―を中島飛行機が再現して輸出したと聞いていた為、レシプロ戦闘機がワイバーンと格闘戦をした。

 

これに稲荷神は驚いた。100年以上前のレシプロ戦闘機がワイバーンと互角に戦っているのだ。乗っているのがフェン王国人とは言えこれは凄いことであった。

 

格闘戦をワクワクしながら見ていると軍祭に派遣されていた駆逐艦雪風にワイバーンが向かっていったのだ。駆逐艦雪風と秋雨はワイバーンに攻撃を加えた。

 

稲荷神は驚いて空母出雲の艦長山本に聞いた。

 

「あれ?あのワイバーンってデモンストレーションじゃないの?!」

「はい。いいえ。今回の軍祭ではフェン王国からガハラ神国から風竜が上空を旋回するとは聞いていますがワイバーンが来るとは聞いてないです。ですのでこれは何処かの国の攻撃になります」

 

山本の言葉に稲荷神はワクワク気分から一瞬で焦った。稲荷神は海上自衛隊やフェン王国の人達に死傷者が出て居ないか気になった。しかし、稲荷神と山本が会話をしている内に襲ってきたワイバーンは全騎撃墜された。

 

『こちら秋雨。死傷者は無しです』

『こちら雪風。同じく死傷者無しです』

 

無線によると海上自衛隊に死傷者は無く、後の調査で軍祭に来ていた人やフェン王国の航空機パイロットも無事だった。これは稲荷神は知らぬ事だがパーパルディア皇国の懲罰の第1段階は失敗に終わったのだった。

 

 






―コラム―

九七式戦闘機なんて輸出して新世界技術流出防止法大丈夫?

航空自衛隊の航空機はジェット機である以上レシプロ機を輸出しても問題ないと言う判断。尚、技術者等も派遣するが修理等は有料にするつもりだ。

評価10や9を付けてくれた皆様ありがとう御座います!
評価8や7を付けてくれた皆様感謝します!
評価5を付けた皆様今後の作品改善の余地ありと見ていきますよ〜!

ペロリストの紳士淑女の皆様!稲荷神様の描写を増やしたよ!満足かい!?

パーパルディア皇国は滅ぼすべき?

  • 聖戦だ!滅ぼせ!
  • いやいや、講話でしょ
  • クーデター政権と講話
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