稲荷様は平穏に暮らしたかった。   作:サード・アイ

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100話超えてたの気づきませんでしたwありがとう御座います!

6月7日加筆修正しました。


帝都ラグナ空襲

 

 

ー第二文明圏外グラ・バルカス帝国帝都ラグナ。夜明け頃ー

 

つい先日、第二文明圏連合軍からの降伏期日を過ぎて直ぐにラグナ港に攻撃を受けた帝都ラグナ。

 

そのラグナ港近くにある帝都防衛艦隊司令部はお通夜ムードであった。帝都防衛艦隊司令官ディーニッツは複数枚に渡る書類を手に持ってワナワナと震えていた。

 

それは、深夜に起きたラグナ港の惨状であった。報告によると、戦艦1隻、正規空母3隻、軽空母2隻、重巡洋艦1隻、軽巡洋艦5隻、駆逐艦8隻、輸送船及びタンカー10隻が港に着底してしまった。

 

信じたくない被害だが、問題は港の底に着底してしまったと言う点だ。船が沈んだことでドックや埠頭が使えない状態に、着底した艦艇から漏れ出した重油がラグナ港に溜まり、船舶の収容能力が低下している。

 

また、空爆によって石油コンビナートに被害が出た。それに伴う火災は現在も続いている。何万バレルもの石油が燃えたのか見当もつかない。それに、軍艦に乗っていた乗組員達の被害も馬鹿にならない。現在は人的資源が減少の一途をたどっているため、この損失は手痛い。

 

帝都の港を攻撃され、多くの艦を撃沈され、石油コンビナートは大炎上、港湾機能は麻痺し、人的資源が損失した。帝都へのビラ撒きに続いて帝都の安心を抱いていた人々は不安に駆られている。グラ・バルカス帝国海空軍の威信は完全に失墜したことになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー第二文明圏外グラ・バルカス帝国帝都ラグナー

 

もうすぐ日の出が見えると言う時間帯でありながら、帝都にそびえ立つニヴルス城の一角ではもう既に明かりが灯っていた。

 

その部屋にいたのは、帝王グラ・ルークスその人であった。彼は寝ている最中にラグナ港襲撃の報を聞き、執務室に籠もって情報収集と対応に当たっていたのだ。しかし、今では敵は去ったと結論づけ、仮眠を取ろうとしていた所だった。しかし、仮眠は取れそうになかった。

 

日が昇る頃、太陽が昇る東と同じ方角から爆発音が響いたのだ。それは連鎖的に発生する。また、帝都の空を赤い火球が彩っている。一部の者は事故では無いかと疑う。しかし、深夜に起こったラグナ港襲撃を知っていた者達は気づく。これは、敵襲だと。

 

事実、この爆発や火球は日本国のステルスジェット戦闘機富士によるものだった。帝都へのビラ撒きを許した事例から、帝都防空網は見直され、強化されている。当然、哨戒として"アンタレス07式戦闘機改"は飛んでいる。"アンタレス"が富士の"02式空対空レーザー"によって撃破されたのだ。

 

この事実に気づいたグラ・ルークスは近場で呑気に寝ていたグラ・カバルを叩き起こして避難を開始する。避難する途中で見えた機体は正に異形であった。

 

夜が明けて直ぐなので不鮮明だが、プロペラがなく、主翼が斜め後方に向かって生えるという、アンタレスとは確実に異なる機体。後部から青白い炎を吐き、アンタレスなど比較にならない高速であっという間に飛び去っていった。この航空機に2人は混乱する。

 

圧倒的技術格差の前では皇族であろうと関係ない証明であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

所変わって帝都防衛隊所属の対空レーダー、対水上及び低空レーダーのレーダーサイトを見ているレーダー手達は、みな真剣な様子だった。

 

しかし、つい最近までレーダー手は不人気な仕事だった。それは、来る筈もない敵を、反応する筈のないレーダーサイトを数十分、数時間にも渡って見るのは苦痛でしかないからだ。

 

しかし、帝都上空に敵航空機の侵入を許した後に待っていたのは、担当者と現場責任者の予備役送りであった。そんな役は御免だと皆が目が疲れるほどにレーダーサイトを見ていた。

 

トカヤミ伍長もそんな一人であった。

 

しかし、いち早く異変に気づいたのはレーダーサイトを見ていた彼らではなく外で見張りをしていた者達だった。

 

カシニール伍長は外で見張りをしていた。しかし、他のレーダー施設が破壊されているのを見て、頭が良い彼は敵は電波を逆探知している事に気付いた。

 

グラ・バルカス帝国は日本国にある様な逆探知機を装備していない。これは単に、グラ・バルカス帝国に敵対した各国がレーダーを開発、配備する事が出来なかったから、開発する必要がなかったからだ。

 

そして、その事実を伝えようとレーダーサイトを見ているトカヤミ伍長に連絡しようとした。しかし、無線は使えなかったので伝声管を通じて共有しようとした時だった。

 

彼らが駐留しているレーダー施設は戦闘機富士の爆撃を受けて意識を絶った。

 

戦闘機富士はイルネティア王国を出港し、グラ・バルカス帝国付近にまで接近したムー大陸派遣軍の空母から発艦してきたのだ。如何にグラ・バルカス帝国が帝都の防空網を強化しようとステルス製を有し、"アンタレス改"より速いのだ。レーダーサイトに反応する筈もないし、目視で確認出来る頃には過ぎ去っている。グラ・バルカス帝国が日本国の戦闘機を迎撃するなど夢のまた夢であった。

 

他にも、帝都ラグナ郊外に作られた帝国最大の飛行場にもご丁寧に一定間隔で"05式空対地誘導ミサイル"が撃ち込まれる。それだけではない。燃料タンクや格納庫にも撃ち込まれ、辺り一面は航空機の残骸が燃え、火の海になっている。比較的内陸にある空軍施設も同様の被害を受けている。

 

また、帝都にほど近い小島に作られた泊地にも攻撃が加えられ、駆逐艦や哨戒艦が被害を受けている。

 

他にも、帝都近郊にある火力発電所にもミサイル攻撃を加える。それだけではなく、比較的大規模なグラ・バルカス帝国の火力発電所も同様に攻撃を受けた。攻撃を受けた火力発電所や高圧線はミサイル攻撃によって、石炭が燃え広がる。空襲によって引き起こされた火災は次々と発電所内を駆け巡る。また、高圧線の鉄塔は崩れ落ちて周囲へ被害を加速させる。

 

他にも、対空砲陣地や軍司令部を攻撃する。ミサイルが余った機体は、帝都ラグナと接続している橋や鉄道を爆撃している。また、重要な鉄道の要衝とみられる場所には特に徹底して爆撃を行っている。果てには鉱山や農園、漁港までごく僅かだが攻撃を加えている。

 

また、グラ・バルカス帝国帝都ラグナに爆撃をするにあたって本土近海に派遣された日本国海上自衛隊、ムー大陸派遣軍に所属する駆逐艦は人工衛星でグラ・バルカス帝国船舶の主要航路を割り出して機雷まで敷設している。

 

徹底的にグラ・バルカス帝国を干上がらせる算段だ。今回の攻撃で、グラ・バルカス帝国の中部から東部にかけて、帝国史上初めて敵に攻撃を許してしまった。

 

因みに、稲荷神様はムー大陸反攻作戦が片付いたと言う事でグラ・バルカス帝国本土上陸作戦が目前に迫るまで日本国本土に戻って休暇を満喫する予定です。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー同日午前10時頃グラ・バルカス帝国帝都ラグナ、ニヴルス城ー

 

深夜から夜明け頃における一連の攻撃が終わり、軍関係者は被害の確認に追われていた。そして、被害確認が終わった事から、緊急の帝前会議が地下に作られた会議室で行われようとしていた。

 

参加者は以下のとおりだ。

 

・帝王グラ・ルークス

・帝国軍本部長 サンド・パスタル

・帝都防衛隊長ジークス少将

・帝王府長官カーツ

・帝王府副長官 オルダイカ

・外務省長官モトロフ

・戦時外交官ゲスタ

・経済産業省長官ジマア

 

その他、陸海空軍の元帥が参加している。

 

「では、深夜から明け方にかけての敵襲における国内状況をお伝えします」

 

経済産業省長官ジマアが一拍置いて言った。

 

「今回の一連の攻撃ですが、軍部からの報告で日本国によるものだと分かりました。彼らは帝都の軍港や施設を爆撃すると共に国中の複数の火力発電所に対して同時爆撃を行いました。攻撃の結果、燃料となる石炭が燃焼し、発電所および周辺地域に大規模火災が発生しているとのことです。この火災によって石炭を多数使用して発電していた火力発電所の殆どが焼け落ちました。

 

数多くの火力発電所が焼け落ちた事で、総合的な発電能力が大幅に減少する見込みです。幸い、水力発電所などは無事なのでそこまで深刻な事態には陥っていませんが、民需、軍需問わず電気代が高騰し、使用できる電力を制限する必要があります」

 

ジマアが言い終わると、空軍元帥が挙手をして言う。

 

「ジマア長官の報告に付け足すと、我々が偵察を行った所、火力発電所で発生した火災の内、少なくとも3箇所で工場や穀倉地に引火しています。2箇所は消火に成功しましたが、帝都ラグナ近郊の火力発電所は規模が大きく未だに鎮火には至っていません」

 

空軍元帥の言葉に皆が一斉に口を開く。

 

「なんていうことだ…」

「電気がなければ工作機械などガラクタ同然…」

「おのれ…日本国め!」

 

つまり、グラ・バルカス帝国は深刻…とまでは言わないが中部から東部に至る区間で発電能力が低下し、電力不足に陥っているのだ。まだ水力発電所が残っているので辛うじて生き永らえているが、水力発電所が攻撃されたら民生品や兵器を生産をする機械が完全に停止してしまう。

 

「軍の被害を述べよ」

 

帝王グラ・ルークスの言葉に、陸軍元帥が立ち上がった。

 

「陸軍の被害として、帝都ラグナ郊外に建てられたラグナ航空機地を始めとする主要な航空機地は軒並み使用不可能になりました。目下、修復作業を急がせていますがラグナ航空機地の滑走路だけでも1週間は掛かります。その他施設や他の航空機地と成りますと、一ヶ月以上必要とするかも知れません。また、帝都やその他主要都市に展開していたレーダー網も破壊されました。こちらも再建がいつ頃になるかは不透明な状態です。人的被害としては約5000名以上が死傷しています。陸軍からは以上です」

 

次は海軍元帥が立ち上がる。しかし、彼の表情は固い。

 

「海軍の被害ですが、その被害は甚大です。再建中でした東部方面艦隊は6割が沈没し着底。壊滅状態です。帝都防衛艦隊についても4割の艦艇が被害を受けています。ドックも被害を受けており、艦艇修理に大幅な遅延が発生することでしょう。また、電力不足も合わさって復旧は大幅に延びると考えられます。現在の被害は空母の被害や駆逐艦、軽巡洋艦の被害が多く、燃料を食う戦艦や重巡洋艦はある程度健在です。最後に、ラグナ港は沈没した艦艇が着底、更に着底した艦艇から漏れ出した重油の影響で港湾機能が大幅に減少しています。海軍からは以上です」

 

最後に空軍元帥が立つ。

 

「最後に空軍の被害ですが、帝都に展開していた航空機はすべて喪失し、格納されていた航空機も全滅しました。また、帝都の飛行場が破壊された他、主要な航空機地も全滅した為、帝都どころか本土の上空哨戒網は壊滅状態です。現在は海軍に協力を仰ぎ、航空母艦による哨戒を検討しています」

 

悲報と言う他ないだろう。グラ・バルカス帝国は遂に帝都にまで泥を塗られたということになる。しかし、希望もあった。

 

「他に報告すべき事は?」

 

そう言うグラ・ルークスに、空軍元帥が言った。

 

「陛下。空軍より報告すべき事が1つあります。しかし、これは軍機ですので、僅かな人達にしかお話できません」

 

そう言う空軍元帥に他の参加者から突き上げがあったが、帝王グラ・ルークスは鋭い眼光で言う。

 

「空軍元帥の言う通り、各軍元帥及びサンド・パスタルのみ残れ」

 

そう言われては仕方がないので、他の列席者は席を外した。聞き耳を立てている者が居ないことを確認して空軍元帥は言った。

 

「空軍は、かねてより新兵器の開発に着手してきました。国立大学でも研究報告を義務付け情報漏洩対策を徹底していました」

 

そう言って手渡された資料を見て、技術職ではない彼らは首を傾げる他ない。しかし、彼らでも分かったことが1つだけあった。

 

「何?この1つの爆弾で1都市を破壊できるだと?」

「はい。大した使い道のない環礁にて実験した結果です。しかし、この爆弾…原子核兵器の運用方法は極めて難しいです。噴進弾を利用する考えもありましたが、現在では高高度から投下する方向で進んでいます。幸いにも、特殊殲滅作戦部が保有している超大型爆撃機"グティマウン"ならば搭載は可能です。これをイルネティア島あるいはパガンダ島に投下する考えです」

 

流石の帝王グラ・ルークスもコレには思わず息を呑んだ。この兵器さえ量産出来れば現在の戦線を巻き返せるどころか日本国すら圧倒する技術で全世界を再び手中に収める事が出来る。そう考えてしまった。

 

「何故、これ程の兵器を私に報告しなかったのだ?」

「はい。先ほども言ったように機密保持なのが1つ、そして、原子核兵器が毒の光を無作為に齎すためです」

「毒の光だと?」

「はい。敵国にこれを落としても占領した時に我が国の将兵たちが毒の光を浴びてしまいます。なので、我々はこれを秘匿していました」

 

そう言って空軍元帥は着席した。これで、この兵器を使うかどうかは帝王グラ・ルークスの采配に委ねられた。

 

「…これ程の兵器を出し惜しみしても仕方あるまい。今すぐ開発計画と作戦立案を立てよ。予算も惜しみなく投じよう」

「ははっ!しかし、製造には膨大な電力を必要とします。つきましては、製造するに当たり発電所を至急復旧して頂きたく存じます」

「分かった。そう指示しておこう」

 

グラ・バルカス帝国はパンドラの箱を開こうとしていた。

 

 

 

 

 






稲荷神様「やっと帰れる。ホームシックだったよ」

〜コラム〜

原子核兵器

皆さんご存知核兵器。愚帝さん試作品作ったから核分裂のプロセスと作り方を理解しちゃってる。後は大量生産するだけ。早く決着つけないと!世界が核の炎に包まれちゃう!稲荷神様!無敵の狐火で世界を救ってください!

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グラ・バルカス帝国の存亡について

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