稲荷様は平穏に暮らしたかった。   作:サード・アイ

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追記、X始めました。リンク貼る方法が分からなかったので、Xで『サード・アイ』と検索すれば出ると思います。

追追記、日刊ランキング200位内入賞ありがとう御座います!


強襲上陸作戦

 

 

ー第二文明圏圏外ロレア島ー

 

この島は、グラ・バルカス帝国から見て最も近い大きな島だ。元々この島は文明圏外国家が支配していたが、例に漏れずグラ・バルカス帝国によって植民地となっていた。

 

立地的にグラ・バルカス帝国から見て南西にあり、攻撃拠点として栄えていたが、現在は西方植民地から本土への補給拠点として機能していた。

 

因みに、この島は特産品として"天使の実"と言う木の実がある。この木の実を寝る前に一粒摂取すると素晴らしい夢を見て目覚めがスッキリすると言う代物だ。だが、残念ながら見た夢を忘れてしまうのが欠点だろう。

 

因みに、この"天使の実"だが、ロレア島から見て東の果ての第三文明旧列強パーパルディア皇国の皇族レミールがその存在を知っていた。この事実が、この木の実の有名さを現しているだろう。

 

この島は前述した通り、グラ・バルカス帝国本土に程近い大きな島であり、西方植民地の玄関口である事からこの島より西は文明圏外国よりも劣った技術しか持たない。船が古代ギリシア頃の船である事からも伺い知れる。そのため、この島には植民地警備と現地民反乱鎮圧の為に部隊が駐屯していたが、この島に来る敵など居ないと思われていたので半ば保養地扱いであった。

 

本土攻撃を受けて約2カ月経った今でこそ、本土が攻撃されているので危機意識はあるが、若干油断していると言っても過言ではなかった。そんなロレア島の中央にある航空基地エルドから発進して哨戒飛行をしているのは、"アンタレス07式戦闘機"である。"アンタレス07式戦闘機改"は本土防衛や現在再建中の外征可能艦隊に回されていて植民地防衛は"アンタレス"が現役であった。

 

日が昇る頃、哨戒飛行に当たっていた哨戒部隊の隊長機が突然黒煙を出して急降下したのだ。他のメンバーは驚いて原因を探る。すると、直ぐに"アンタレス"の上空に機影を見つけた。それは、日本国のステルスジェット戦闘機"富士"であった。

 

富士の小隊は"02式空対空レーザー"で素早く残りの"アンタレス"を片付ける。富士は、勢いそのままロレア島上空にまで飛んだ。

 

この電撃戦にグラ・バルカス帝国は対応が遅れていた。そもそもの問題として、対空、対水上レーダーを重用していたのが主な理由だ。そもそも、第二文明圏外には魔力探知レーダーすらない国が多数だ。つまり、レーダーと言う概念自体が無いのだ。更に、通商破壊作戦に伴う燃料不足で哨戒飛行も最低限だったのも対応の遅れを招いている。

 

上空を飛行していた航空機は全て撃墜したが、まだ地上には戦闘機や滑走路などの航空基地が無事だ。そこを叩き潰して制空権を確保する必要がある。

 

射出された"05式空対地誘導ミサイル"は対空砲陣地に突っ込み炸裂する。高射砲がミサイルの爆発によって引火誘爆した砲弾によって鉄の棒へと変わる。慌てて迎撃部隊を出撃させようと集まる戦闘機をパイロットや滑走路諸共吹っ飛ばす。

 

更には、レーダーアンテナにミサイルを打ち込み、レーダーアンテナは鉄骨があらぬ方向に折れ曲がって崩れ落ち、別の場所では燃料タンクに引火して大炎上を引き起こしている。

 

戦闘機や対空砲に向かおうとする者達を見つけては機関砲で処分する。高射砲を撃ち込んでも撃墜には至らず、機銃に限っては撃墜出来る距離では無い。

 

飛行場近くに併設された司令部にもミサイルは命中し、中の書類や機材一式を焼き払う。近くにあった兵舎をも焼き払う。そんな中、ミサイルに搭載されたカメラは司令部から逃れてきた者達が地面の中に消えるのを捉えた。この情報は直ぐに富士のAIに共有され、攻撃に参加する全てのパイロットに共有された。結果、そこに1本のミサイルが撃ち込まれた。

 

ミサイルは正確に地面に命中し、地面を少し抉って木やコンクリート付近で爆発した。何故、地中にコンクリートや木があるのかと言えば、ここが防空壕になっていたからだ。この防空壕は、ワイバーンを想定して作られていた。第二文明圏外国家がワイバーンロードを使役出来ていない上に、そもそも航空機などを運用する国がいなかったからだ。第二文明圏連合軍がやって来るなど露とも考えていなかった彼らはワイバーンの導力火炎弾を想定して地下壕を作っていた。

 

しかし、投下されたミサイルは導力火炎弾とは比にならない被害をもたらした。導力火炎弾を想定しているだけあってコンクリートは薄い。天井は圧倒的な破壊に耐えきれず崩壊。中にいた者達は生き埋めとなった。

 

攻撃が終わった頃には基地に残る建物は1つもなかった。地下壕が発見されず生き残った兵士達はエルド基地の惨状に驚愕するしか無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

エルド基地が攻撃を受けている頃、カイル軍港とその周辺のグラ・バルカス帝国本国艦隊、輸送船団も攻撃を受けていた。このカイル軍港にいるのは"オリオン級戦艦"1隻、正規空母1隻、軽空母1隻、重巡洋艦1隻、軽巡洋艦2隻、駆逐艦5隻からなる艦隊だ。

 

ボイラーの火を落として停泊していた時だった。突然、オリオン級戦艦の第2主砲を中心として爆発を起こしたのだ。この爆発に乗組員は右往左往する。レーダーには反応はなく、水上にも敵艦の姿がない。故に、誘爆事故では無いかと疑う者もいた。しかし、それは間違いだ。

 

この爆発を引き起こしたのは電磁式加速砲(レールガン)だ。射程1000kmの電磁式加速砲(レールガン)はグラ・バルカス帝国の戦艦の主砲より遙かに遠くから発射することが可能なのだ。彼らが勘違いするのも無理もないだろう。

 

他にも、正規空母や軽空母を攻撃し、制空権を奪う。空母が全て撃沈された事を確認した日本国海上自衛隊は重巡洋艦、軽巡洋艦、駆逐艦の順に攻撃していく。

 

戦艦より主砲の射程が劣る重巡洋艦は射程が約20km前後だ。それに対して、日本国海上自衛隊の主砲は約35km前後だ。

 

戦艦と言う長射程の艦艇が撃沈したグラ・バルカス帝国の艦艇はボイラーの火を落としていて、出港までに時間が掛かると判断して、海上自衛隊ムー大陸派遣軍を接近させた。その後、重巡洋艦に電磁式加速砲(レールガン)を撃ち込んで撃沈し、軽巡洋艦、駆逐艦を正確無比な主砲射撃によって撃破した。

 

数十分後にはロレア島に駐屯する本国艦隊所属船は一隻残らず沈没してしまった。

 

その後、海上自衛隊は軍港の倉庫目掛けて攻撃を行い、倉庫を塵に変えてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ロレア島のグラ・バルカス帝国本国艦隊が壊滅して2日後、ロレア島近海に多数の船団が現れた。それは、グラ・バルカス帝国の船よりも洗練されている。しかし、グラ・バルカス帝国程の威容さは感じられない。

 

それは、日本国の艦隊だった。派遣されたのは以下の戦力だ。

 

空母…1隻

巡洋艦…5隻

駆逐艦…3隻

強襲揚陸艇…15隻

稲荷神…1柱

 

このロレア島に上陸を仕掛ける戦略的目標として、グラ・バルカス帝国本土への空爆が挙げられる。空母を使えば上陸する必要などないが、ムー大陸から約5000km、イルネティア島からでも4500kmある。富士ならば行って戻ってくる事は可能だ。更に言えば空中給油をすれば余裕で戻っくることは可能だろう。

 

しかし、第二文明圏連合軍は違う。神聖ミリシアル帝国もムー国も日本国の技術支援を受けて航空機の性能を高め、両国とも量産とまでは行かずともジェット機の生産に着手している。しかし、彼らのジェット機ではイルネティア島からグラ・バルカス帝国本土を攻撃して戻ることは不可能だ。更に言うと、空中給油と言う概念もない。

 

また、この世界の主要な航空戦力であるワイバーン。その上位のワイバーンロードでは何千キロも飛行するのは不可能だ。竜母で運ぼうにも竜母は黒船がベースであり、長距離の航行には不向きだ。

 

だからこそ、日本国は必要はないとは言え、他国が必要だからこそ危険な上陸作戦を敢行しているのだ。被害を少なくするため稲荷神も参加する程である。

 

さて、そんな日本国海上自衛隊は強襲揚陸艇から水陸機動団が乗る揚陸艦をロレア島東海岸に乗り上げた。生き残ったグラ・バルカス帝国兵達が乗り上げた瞬間に弾丸を撃ち込もうとする。

 

しかし、それは出来なかった。何故なら、最初にロレア島に上陸したのは水陸機動団の水陸両用戦車だったからだ。小銃の弾丸など戦車の装甲の前では話にならない。ならば、迫撃砲や野戦砲、戦車を使えば良いと思うかも知れないが、ここは敵がやって来ることなどを想定していない。

 

暴徒鎮圧の為の小銃や野戦砲はあれど迫撃砲や戦車といった塹壕戦などで使える兵器は銃すら持たない第二文明圏外の植民地人には過剰と見なされて全て本土やムー大陸戦線に回されていた。

 

更に言うと、本土防衛の為にグラ・バルカス帝国はロレア島への武器配備を縮小していた。その為、彼らの手持ち兵器は小銃と野戦砲だけである。その野戦砲も上陸前の空爆で軒並み破壊され、残るのは1、2門程度だ。

 

水陸両用戦車目掛けて野戦砲を撃とうとする。しかし、呆気なく反撃され、野戦砲は2門とも沈黙してしまった。こうなってしまえばグラ・バルカス帝国側にはどうする事もできない。あっという間に上陸を許してしまった。

 

そこからは怒涛の出来事だった。事前に忍び込ませておいた別班の工作員がロレア島現地民に接触、反乱を引き起こしたのだ。

 

工作員は事前に武器の扱い方を教えていた。彼らは初めて見る"銃"と言う武器にびっくりしながらも訓練に参加していた。他には、コンパウンドボウと言う既存の弓とは比較にならない性能を持つ弓を供与してくれた事だ。

 

彼らは銃を扱ったことが無いが、弓なら経験がある。ならば、弓の方が呑み込みが速いと考えた訳だ。実際、それは正しかったようで、銃よりも弓の方が彼らには適していた。しかし、念のために銃を数十丁渡してある。

 

ただでさえ練度が低く、数も少なかったロレア島守備隊はゲリラ戦を展開しながら西へ西へと追い詰められていった。彼らの武器は小銃だけであり、航空支援もない。孤軍奮闘するが、彼らの最大の障壁となったのは、我らが稲荷神であった。

 

稲荷神の目、耳は人間のソレより遙かに優れている。遠くから狙撃を試みる敵を見つけては狐火で燃やし、物音を立てずに近付いてくる敵にも狐火を浴びせた。

 

日本国陸上自衛隊も奮闘する。森が広がる中、ドローンによる低空索敵や火炎放射器によって洞窟に潜む彼らを炙る。

 

航空自衛隊も無人ヘリの機関砲やナパーム弾、ミサイル攻撃を用いて索敵及び掃討をする。

 

グラ・バルカス帝国軍は外に外敵、内に反乱を抱えることになった。しかも、反乱軍は小型の拳銃を所持している上、弓を多数装備していた。最初は弓が銃に勝てるかと内心で嘲笑っていた将兵達も自分達の知る弓とは性能が段違いである事を目の当たりにして驚いていた。

 

なにせ、従来の射程より大幅に伸びていて、発砲音が聞こえないから何処から狙われているのか分からなかった。

 

こういった理由で彼らは数をどんどん減らして西へと退却していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「准将閣下!援軍は?!」

 

比較的若い将校が、これまた准将と言う位にしては若い男に問う。

 

この司令部はグラ・バルカス帝国より西側の植民地を統括する司令部として機能していた。しかし、その西方植民地を取り纏める頭脳が機能不全になりかけていた。そこで、彼らは西方植民地に援軍を求めたのだ。しかし、准将の答えは首を横に振るだけだった。

 

「クソっ!」

「落ち着け。彼らにも来られない理由があるのだ」

「そう言っても、既に我々はロレア島の8割を敵に奪われています!ここもいつ陥落するか!」

「…落ち着けと言った。彼らも来たくても来られないのだ…日本国の通商破壊作戦のせいでね」

「まさか…潜水艦が潜んでいるのですか!?」

「ああ。援軍を乗せた輸送船団が攻撃を受けて壊滅したそうだ。潜水艦は撃沈できず、西方植民地に日本国の潜水艦が蔓延っている時点で援軍は来れないと考えろ」

 

それは、ロレア島奪還が事実上不可能になった事を意味していた。

 

「最早こうなったらこの司令部に立て籠もりましょう!我々、グラ・バルカス帝国軍人の底力を見せてやるべきです!」

「だが、武器弾薬、食糧も少ない。そんな中戦闘ができるわけが無い!」

「閣下は死んでいった仲間の弔い合戦が出来ぬと言われるのですか!?」

「そうだと言っている!我々は降伏する」

「そうですか…」

 

血気盛んな将校と総司令部の司令官が言い争う。その様子を中佐や少佐、一部の大尉も見ていた。そんな時だった。大佐の位にある血気盛んな将校が突然発砲したのだ。

 

「大佐…何を!」

「准将閣下は戦死なされた。よってすべての指揮系統は私に移譲される」

 

そう、大佐は准将に向けて発砲し指揮系統を略奪、自分の思想のために部下を思いやる准将を死に追いやったのだ。そんな凶行も厭わない大佐に部下達は止めることができず、一部のものは大佐の目を逃れて降伏したが、大佐の監視があった者たちは大佐の思想のための道連れとなり、戦死した。玉砕であった。

 

こうして、日本側、グラ・バルカス帝国側にも予想が付かない形で戦闘は終結。日本国はロレア島を奪還し、現地民を解放。第二文明圏連合軍のグラ・バルカス帝国本土攻撃の橋頭堡を手に入れたのである。

 

なお、稲荷神はロレア島の住人に祀り上げられる事になり、チベスナ顔になるのだが、それは置いておくことにしよう。

 






〜コラム〜

天使の実

日本国召喚外伝に記された木の実。これを飲むとぐっすりと眠れるらしいが、睡眠をしても夢を見ない稲荷神には縁のない物だ。しかし、稲荷神が服用すれば夢を見る事が出来る。

因みに、稲荷神は東京行幸の際に酒を沢山飲んで夢で織田信長と徳川家康さんと酒盛りをしたそうな。残念ながら豊臣秀吉さんは羽柴姓のままで、天下人にはならず織田家重臣に留まっていた。

グラ・バルカス帝国の存亡について

  • 徹底抗戦からの無条件降伏
  • 講話する
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