稲荷様は平穏に暮らしたかった。   作:味八木

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軍祭のその後

 

 

 

―日本国首都東京稲荷大社謁見の間―

 

稲荷神が波乱の幕開けとなったフェン王国の軍祭から帰国して数日後、防衛省から連絡が入った。未確認の帆船がやって来たと言う話だ。彼等は日本国との国交を結びたいとの事で近場の港に停泊。その後、クワ・トイネ公国同様に常識を最低限教えてからリニアで首都東京に来ていた。

 

彼等は日本国との国交樹立や技術供与を行って欲しいと頼んだ。外務省としては国交を結べる国が増えるのは喜ばしい事だ。しかし、技術供与の中には軍事技術も含まれている。軍事は稲荷神直属であるが内閣からでも指示は出来る。しかし、形式的には稲荷神にお伺いを立てることになった。

 

そして、国交を樹立しに来た国―トーパ王国―は稲荷神と謁見する事になった。

 

「はじめまして。私は日本国で神皇と呼ばれる地位に就いている者です」

 

そう言って稲荷神は軽く会釈した。トーパ王国側も会釈して話し始める

 

「ありがとう御座います。聞き及んでいるとは思いますが我々は貴国と国交を結びたく存じます。特に軍事技術供与を望んでおり、無理なら貴国の型落ち品の武器でも輸入したいと考えています」

「私としては技術供与に関しては日本と定期的に貿易が行えるのなら構いません。しかし、貴国トーパ王国について興味が有るので教えてもらってもよろしいですか?」

「構いません。では僭越ながら…」

 

そう言ってトーパ王国の代表は話し始める。

 

「我がトーパ王国は日本国から見て西にある国です。フィルアデス大陸とグラメウス大陸と呼ばれる部分と半島の様に両大陸から繋がるようにある島国です。グラメウス大陸には魔物…ゴブリンやオーク等の生物が多数生息してきます。その為、我が国はフィルアデス大陸に魔物が侵攻して来ないようにする為に、『世界の壁』と呼ばれる壁をつくり防衛する役割を担っています。その為に貴国のパーパルディア皇国より優れているとお見受けする武器を少しでも輸入して戦力増強に強めたい考えです」

 

稲荷神は話を聞いて今すぐトーパ王国に行きたくてウキウキだった。異世界と言えばのゴブリンやオークが出てきたからだ。稲荷神は実際に見てみたいと思ったが民意で(仕方なく)神皇の地位にいる以上勝手な真似は許されないのだ。しかし、いつもの直感が働いた。

 

「すみません。誰か地図を…」

 

そう言うと一人のお世話係がタブレットを持ってきた。この世界の監視衛星で日本周辺を重点的に正確な地図を作成していた物がこのタブレットには記載されているのだ。そして稲荷神はトーパ王国の島を指さして見せる様にタブレットを使節団に見せて話し始めた。

 

「それは世界の地図です。この島がトーパ王国で間違いありませんか?」

 

トーパ王国側は正確な地図がこんな小さな板切れに載っている事に驚いたがそんな事は稲荷神は露知らずトーパ王国を指さしてある提案をした。

 

「現在、フィルアデス大陸やフェン王国より以西の国はフィルアデス大陸を迂回して第三文明圏や第三文明圏外国に行く必要があります。ですが、貴国、トーパ王国とグラメウス大陸を繋ぐ陸地に運河を建設するのはどうでしょう?そうすれば貴国は運河の通行料等で豊かになると思われます」

「……なるほど…確かに運河をつくれば通行料で産業が少なく、軍事費が財政を圧迫している我が国には願ってもないことです。おそらく本国でも承認されると思います」

 

こうして日本政府とトーパ王国との協議の元、技術供与と貿易を行うことが決まり、運河建設に伴い完成の暁には4対6の比率で日本が6割の利権を手に入れる事になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

トーパ王国の使節団が帰国してから数日後、入れ替わる様にパンドーラ大魔法公国の使節を名乗る一団がやって来た。

 

彼等にもトーパ王国と同じ様な日程で常識を教えた上で日本国首都東京の稲荷大社にて稲荷神に面会していた。

 

「我が国はパンドーラ大魔法公国と言い、魔法の研究を行っている学術学校です」

 

その事を聞いた稲荷神はとあるの学園都市見たいな物かな?と思った。そして、代表は話を続ける。

 

「我々は先日のフェン王国で行われた軍祭にて貴国の船がパーパルディア皇国のワイバーンロードを簡単に撃墜し、監査軍の船もいとも容易く撃沈し青い炎で乗組員のみをピンポイントで燃やしたと聞いています。我が国にはあの様な簡単にワイバーンロードを撃墜し戦列艦を撃沈する魔法を知りません。ですので、我が国は貴国の魔法を少しでも知りたいと存じます」

「失礼ですが…我が国は科学と呼ばれる魔法とは異なる物を発展させており魔法は使っておりません」

「なんと…ではあの青い炎は一体…」

「それは私のみ使える…魔法と言えば魔法…なのかな?」

 

パンドーラ大魔法公国の一同は首を傾げたが稲荷神が使える魔法というのには興味が尽きなかった。しかし、今は外交の場だ。パンドーラ大魔法公国は改めて目的を伝えた。

 

「我が国は貴国のカガク…と呼ばれる物を上手く魔法に取り入れたいと考えています。ですので改めて技術供与をお願いしたい」

「分かりました。我々も魔法については興味があります。ですので、貴国からは魔法を輸入したいと考えます」

 

その後、日本国政府陣も交えた会議を行った。結果として魔法を日本国は輸入する代わりに日本国は科学をパンドーラ大魔法公国に輸出する事を決めた。

 

その後もひっきりなしに第三文明圏外国の国々が帆船でやって来るたびに稲荷神との面会をする事になり、稲荷神は悲鳴を上げることになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

―日本国首都東京稲荷大社ラジオ放送室―

 

朝の約10程度のラジオ放送大本営発表にて稲荷神は本音をぶっちゃけた。

 

『この一ヶ月で数々の国と国交及び貿易を行う事が決まりました。しかし、この世界は悲しい事に戦争が尽きません。そこで、海外に貿易を行う船に対してシーレーン防衛を兼ねて海上自衛隊が護衛する事を決定しました。

 

また、観光に行きたい人もいると思います。しかし、紛争に巻き込まれる可能性があるため行き帰りは護衛をしますが旅行は自己責任です。それでも行く人は防衛省が作成したアプリをインストールしてもらいます。これは紛争に巻き込まれる可能性があると教えてくれます。このアプリから連絡があったら直ぐ様近くに居る海上自衛隊の船に避難して下さい』

 

何故こんな注意勧告をしたか、それは現在の世界情勢にある。地球世界とは違い、この世界は帝国主義がまかり通っている。しかも、帝国主義時代には表向きは廃止されていた奴隷や処刑が横行しておりとても危険だ。その例がロウリア王国の侵攻でありパーパルディア皇国の懲罰攻撃だ。日本は紛争に巻き込まれてしまった以上、日本人が被害を受けかねない。だからこそ首相たちと協力してシーレーン防衛と観光客の護衛を行うことになったのだ。

 

今後、日本では貿易船は決まった日時に貿易船を集めてで護衛する船団護衛を行うに当たり駆逐艦を急ピッチで建造していく事になる…

 

 

 

 

 

 

 

 

―大東洋諸国会議―

 

この会議は大きな出来事が起きた場合に臨時的に開かれる会議だ。参加国は文明圏外の国々で構成されている。この会議の提唱国が文明圏外の国であったために列強のパーパルディア皇国を始めとする第3文明圏の国々は『蛮国の集まり』と言って例年不参加となっている。会議に文明圏の国々はおらず過去に開かれた会議は国同士の会議としては珍しく腹の探り合いが少ない平和な会議が行われてきた。今まで行われた会議ではパーパルディア皇国の動向等が会議の主題となることが多かった。しかし、今回は違う。新興国家『日本国』についてである。この会議に当事国である日本国も参加していた。

 

マオ王国は日本国を危険視してそれ以外のトーパ王国やシオス王国、クワ・トイネ公国やアワン王国は日本国を歓迎した。

 

日本国の代表として稲荷神も出席していた。

 

「我が国としては皆さんが我が国をどう捉えようと構いません。貿易等を行いたいのは事実ですが我が国に戦争を仕掛けないなら我が国は基本的に戦争はしません。皆様その事を念頭に置いてくれると嬉しいです」

 

結果として拡大政策をここ10年続けているパーパルディア皇国を注視する方向でまとまった。日本はパーパルディア皇国の情報を国交を樹立した各国から多角的に集めていく。

 

しかし、稲荷神の言葉が少なからず現実になるのはもう少し先の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

―パーパルディア皇国第三外務局―

 

この日第三外務局に所属する外交官の1人は第三文明圏外国であるトーパ王国の外交官と面会していた。

 

「何!奴隷の献上をもう行わないだと!?」

 

第三外務局局員はトーパ王国外交官に怒鳴りつける。

 

「ええ。我が国は貴国への奴隷の献上を今日をもって終わらせようと考えます」

「ふん!では貴国だけ技術供与を停止させるぞ!」

「ええ。構いませんよ」

 

技術供与を止めると言って脅迫する。パーパルディア皇国の常套手段であった。旧式技術の供与を文明圏外の国々に少しずつ行っていた。しかし、それは周辺国家も変わらない。少しずつ国力が各国共に増すためパワーバランスは変わらない。しかし、1国だけ供与が停止されるとパーパルディア皇国よりもたらされる技術が他国から抜かされ国力差が出る。結果として周辺国に先を超され国力は衰退する。そうやってパーパルディア皇国は各種技術供与も外交手段の一つとして利用していたのだ。

言うことを聞かなければ、工具や、釘などの部品の輸出の停止まで視野に入れている。これで完全に国が立ち行かなくなるのだ。

 

しかし、トーパ王国は違う。日本と言う超文明の国と連携して運河を着工している。他にも自国の技術士官がパーパルディア皇国とは比べ物にならない技術の結晶と称した銃や軍艦等を奴隷を献上せずともしてくれるのだ。技術も態度も悪いパーパルディア皇国と付き合う必要は無いのだ。

 

「我々には日本国がいますから」

 

こうしてトーパ王国はパーパルディア皇国との国交断絶をしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

―パーパルディア皇国第三外務局食堂―

 

現在は休憩中であり職員は思い思いの食事に舌鼓をうちながら雑談を行っていた。

 

「なあ、最近第三文明圏の蛮族共が妙に反抗的なんだ」

「あぁ、自分も気になっていた」

「前まではビクビクしながら伺いを立てていたシオス王国側から奴隷の献上を断られた。脅したら『日本国から技術供与をしてもらう』とか言っていたぞ」

「俺もだ!トーパ王国からも奴隷の献上をする様に催促するつもりだったんだ。だが、彼奴等と来たら奴隷の献上をこれ以上する気は無いと言ってな。技術供与をしないと言ったら『日本国がいるから』とか抜かしてた」

 

「おい?誰か『日本』って国を知ってるやつは居るか?」

「知らん」

「俺も」

「大体何処にあるんだ?」

 

パーパルディア皇国第三外務局は謎の『日本』と言う国の情報を集めることになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

―日本国首都東京稲荷大社聖域―

 

こじんまりとした平屋の一軒家、そこには稲荷神がお供え物として贈られてきた京都名物八ツ橋を食べながらIHKの放送を観ながら寛いでいた。

 

稲荷神は現在はっちゃけていた。何故なら入れ替わり立ち代わりに各国の使節団がやって来くるのだ。彼等は国交樹立をしたいと言う。それは別に構わない。

 

しかし、彼等は何故か知らないが稲荷神との面会を求めてくるのだ。政府としても国交樹立が出来ないのは問題であり稲荷神に事情を説明して何とか面会をしてもらっていたのだが…

 

それが20カ国近い国と相次いで国交樹立を行ったが為に休みが無いハイパーブラック労働になっていたのだ。稲荷神は休みたいと思ったが国民のお参りで払ってくれたお金を使わせてもらっている以上仕方がないと耐えきったのだ。

 

しかし、その代償は重かった。稲荷神は疲れに疲れて何もする気が起きなくなってしまった。だが、それが却って良かったのは転移前からの生活が送れるようになった。だから今、テレビを観ながらお菓子を食べて漫画を見る様な生活を送っているのだ。

 

しかし、稲荷神の怠惰でゆったりとしたこの生活もお騒がせな国のせいで終焉を迎えることになる。

 






―コラム―

運河

稲荷神は直感で感じたことを実行すると何故か丸く収まるので、直感に従って作るように指示した。政府も利権が貰えるので稲荷神の直観云々もあって乗り気だ。

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パーパルディア皇国は滅ぼすべき?

  • 聖戦だ!滅ぼせ!
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