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それは突然だった。突然現れた眩い光は稲荷神と"
稲荷神にとっては眩しい程度だったが、"
何が起きたのか誰一人理解できなかった。だが、稲荷神だけが理由を朧気に理解していた。
(これは…
そう、稲荷神はガハラ神国の使者から"
加護と表記したが、実際には分け御霊と表現した方が正しいだろう。つまり、稲荷神は天照大神の力を部分的に扱えるようになったのだ。
天照大神の権能は多岐に渡るが、一番有名なのは太陽神だろう。太陽神である天照大神は世界を照らし、世界に光と生命を授けるのだ。そして、天照大神の話として最も有名なのは『天岩戸隠れ』だ。
天岩戸に天照大神は隠れてしまった。その影響で世界に闇と災いが生まれたのだ。だが、彼女が姿を現すと闇と災いは姿を消したとされる。つまり、天照大神の司る光とは魔を祓う破邪の光であるのだ。
つまりだ。「魔」という存在を許さない光を操る天照大神の力を部分的に扱える稲荷神にもまた、破邪の光を扱えるのだ。
そして、稲荷神は日本中、地球世界(東アジアは除く)、そして第三文明圏外や第三文明圏で信仰されている。恐らく歴史的に見て最も多くの信者を集めている稲荷神が破邪の光を扱えば、本家本元を越えるのも不思議ではない。
故に、破邪の光を至近距離で受けた"
"
稲荷神もこの隙を逃さず、体の彼方此方を斬り刻む。
"
だが、決定打がなかった。"
◆
ー高天原ー
そこは地上とは隔絶された異界であり、日本の高位の神が集まる場所であった。
そんな場所で天照大神は中津国で戦っている娘と"
「稲荷ちゃん!頑張って!私の加護ならあんなヤツすぐにやっつけられるから!」
そう言って右ストレートやアッパーをしてさながらスポーツ観戦をしている様な白熱ぶりを見せている。そこに、やって来る神がいた。
「姉貴、何見てるんだ?」
「
やって来たのは稲荷神の叔父に当たる
そんな彼がやって来た事に少し機嫌を悪くする天照大神だったが、"
「
「アドバイスつったて…アイツは酒飲ませて首全部斬って、体を斬り刻んだだけだぞ…」
「それよ!首を全部切ればいいのよ!私の加護で回復する力を失いつつあるから可能性はあるわ!」
そう言って、天照大神は中津国に降り立つのだった。
◆
ー日本国首都東京首相官邸ー
石原総理は目の前の戦いを祈るように見ていた。"
敵は満身創痍になりながらも移動しているが、着実に敵を消耗に追い込んでいた。特に、稲荷神の様子はさながらアクション映画も真っ青の躍動感がある映像だった。
そんな中、石原総理宛に電話が回ってきた。相手は稲荷大社を統括する宮司さんであった。
「おや、どうされました?今は"
「いえ、今稲荷大社に天照大神様が降りていらっしゃいます。そして、"
この宮司と石原総理は友人であり、政教分離が稲荷神教限定で機能していない現状、日々の愚痴を語り合ったり、昔話をしたりする仲であった。だからこそ、フランクに話し掛けた総理だが、宮司さんの言葉に天啓を得た。
「それは本当か!?なら電話を代わってくれ!何なら今すぐ車を回すぞ!」
「いえ、それは不要です」
声がした方向に視線を向けると、そこには天照大神の姿があった。
「天照大神様…」
「今、私の娘たる稲荷ちゃんが戦っています。私達神々は日本から出るのは危険なため私の出来る範囲でサポートをしました。そして、我が愚弟。
神々しさを感じる神からのお告げ、それも稲荷神様の母君であり、皇室の祖先ともなれば疑う理由など一つもなかった。
「すぐに無線連絡!現場に首を切れと伝えろ!多国籍軍にも伝えて対処する!稲荷神様にも伝えるのを忘れるな!」
彼らは国のため、神のために奔走する。
◆
天照大神の加護を受けた稲荷神は"
"
『稲荷神様!防衛省から連絡です!天照大神様からの助言により、怪物は首が弱点です!すべての首を切断ないしは破壊すれば怪物は倒れるとの事です!』
「分かりました!しかし、回復してしまっては意味がないのでは?!」
『はい!なので陸海空自衛隊及び米英独豪各国、そして稲荷神様が首の一つを担当して破壊する事になりました!』
「分かりました!そのタイミングは?!」
『我々がそれぞれの首に向けて対艦ミサイルを発射します!稲荷神様は首を一つ斬る前に一言合図を送ってくだされば、後は我々にお任せください!』
「わかりました!」
了承した稲荷神は背中から首に向けて駆けていく。そして!直近の首の真上に来た。
「それじゃあ、いきます!」
そう一言言って稲荷神は首を切断した。しかも、切断面を狐火で覆い、再生されないようにしている。稲荷神の宣言を受けて、陸海空自衛隊、米英独豪の多国籍軍はそれぞれが対艦ミサイルを事前調整の通りに割り当てられた首に向けて発射した。
鉄と火薬の暴威が稲荷神と共に"
首を失い、回復する魔力も方法も失った"
日本は未曾有の危機を多国籍軍と稲荷神直轄の自衛隊、そして稲荷神によって乗り越えたのだった。
◆
ー日本国首都東京ー
"
「では、今回の"
防衛大臣の言葉に皆はホッとする。しかし、そこに待ったをかけたのは環境大臣であった。
「はい。確かに民間の被害はゼロですが、環境被害は無視できません。"
「そして、"
環境大臣の後に、経済産業大臣が言う。だが、環境問題は良い方向に進むだろうし、医療技術も一長一短ではない。取り敢えず棚上げして次の議題に入る。
「では、外務省からの提案ですが、ガハラ神国についてもっと詳しく調べる必要性があると考えます。そこで、調査団の派遣を提案します」
「そうですね。予言を我々に伝え、実際に起こった以上、無視できません」
外務大臣の言葉に法務大臣が答える。この案については内心では、賛成だった石原総理はその提案を受け入れる。実に素早く調査団の提案は受け入れられ、準備に奔走するのだが、ここでは割愛する。
「それでは、我が国で受け入れている聖王女ニース殿とその付き添いの方はどうされますか?」
「そうですね。クルセイリース大聖王国の都が滅んだのなら、中央政府は崩壊したと考えるべきなのでは?」
外務大臣の言葉に稲荷神が答える。稲荷神としては、早く肩の荷を下ろしたいと言うのが心境だった。
「そうですね。中央政府の高官達は事前に逃亡したようですが、都に住民がいなければ国としての機能もありませんし、そんな者達を住民が信頼する筈もありませんからね。我々が支援して第二戦線に終止符を打つのが適切かと」
防衛大臣が言う。彼は自衛隊あがりの人物であり、文民統制の立場から政治家に転職したが、その軍学まで失った訳では無い。
「では、そのようにして対グラ・バルカス帝国戦への内容に…」
そう石原総理が宣言しようとした直後だった。防衛省の官僚が防衛大臣に耳打ちする。そして、報告を聞いた防衛大臣は驚愕し、閣僚と稲荷神に説明する。
「今入った情報ですが、クルセイリース大聖王国ですが、正体不明の艦隊によって侵攻されていることです」
◆
ー第三文明圏外文明国クルセイリース大聖王国元聖都セイダーー
"
そこは瓦礫の山であり、飛空艦と思しき残骸と共に火が彼方此方で燃えている。まさしく、地獄の光景であった。ミネートは思考誘導されていたとは言え、この様な惨事を引き起こしたことに強い後悔と自責の念があった。
「よし、通信可能な基地に救援要請を送れ。救助活動に当たる」
彼は"
やがて、各地の駐屯地から飛空艦が兵士を乗せてやって来た。そこから、救助活動が始まった。兵士達は瓦礫を一つずつ片付け、ローラー作戦で救助者を探していく。
日本国とは違い、救助犬が居ないので難易度は高い。魂を食べられ、助けを呼ぶ声すらしないのでは、救助活動の難易度も上がると言うものだ。
救助活動をして暫く経った頃、本国から最西端に位置する駐屯地から救援要請が届いた。
『報告!正体不明の艦隊が我が方に向けて攻撃しています!ワイバーンだけでは食い止められません!救援を!』
その様な報告が時間を置くことなく立て続けに起こったのだ。
軍王ミネートは救助活動が難航し、見つかった者達は例外なく、事切れている事から救助活動を縮小し、救援を送るべきだと判断した。
飛空艦隊に救援に向かうように伝え、彼らを送り出す。軍王ミネートは日本国と言う強国の存在を今は正しく認識している。魔信では『正体不明の艦隊』と言っていた。つまり、日本国やシルカーク王国、パールネウス王国ではない。西側に位置する国ということになる。
そして、木造船なら木造船と伝えるだろうし、日本国の艦艇の魔写は配布してある。つまり、日本国を超えるか、それに準ずる敵であることを見抜いたのだ。
故に彼は、救援に全軍を送り込んだ。完勝とは行かずとも、善戦してくれると信じていた。だが、その期待は裏切られた。
数時間後、彼の目に飛び込んできたのは飛空艦隊の姿ではなく、海上の巨大な艦艇の姿であった。
◆
巨大な艦艇が数隻集まった姿はまさしく圧巻であった。これが、自国の艦艇であればよかったが、国籍不明の艦隊だ。
艦隊の一部は陸に近づき、上陸してくる。そして、聖都セイダーに防衛可能な陸上戦力はない。
軍王ミネートは自身も武器を持ち、戦うが相手はクルセイリースよりも威力も射程も高い銃であり、空を飛ぶ航空戦力もワイバーンではなく、羽ばたいていない。
彼らは悠々と上陸し、軍王ミネートを始めとした敵対勢力を排除し、聖城テンジー城に彼らの国旗が立てられたのだった。
〜コラム〜
正体不明の艦隊
次回の本編で明かすが、ここで少し情報を小出しします。
ヒント
①近代的
②日本人が見たらSFと呼ぶ
③何回か国名は出ている。
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