稲荷様は平穏に暮らしたかった。   作:味八木

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今回はタイトル通り稲荷神要素はほぼ無いです。ペロリストの皆さんごめんなさい…

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アルタラス王国の歴史初

 

 

―アルタラス王国王都ル・ブリアス―

 

フィルアデス大陸の西側に位置する文明圏から少し外れた所にあるアルタラス王国。人口1500万人を抱え文明圏外国としては国力も人口も大国である。魔石鉱山のあるこの国は資源輸出国であり国は富んでおり人口1500万人を抱えた国の王都ル・ブリアスは人々の活気にあふれている。だが、そんな活気とは裏腹に王城において頭をかかえる人物が1人いた。

 

国王ターラ14世は苦渋に満ちた表情をしていた。苦渋な顔になる理由はパーパルディア皇国からの外交文書にある。

 

パーパルディア皇国は前皇帝が崩御した後に現皇帝ルディアスが即位した。皇帝ルディアスは拡張政策を掲げて各国に領土の献上を迫っている。しかし、それは無難な案や折衷案、双方に利がある物が多い。しかし、今回はアルタラス王国に全く利が無い物だった。

 

それは、魔石鉱山と王女ルミエスの献上だった。そして、最後の『武力は使いたくない』これはアルタラス王国国王を怒らせるために要求したとしか思えない。挑発的な文言だった。日本人が聞けばかの『ハルノート』に近いかもっと酷いものだ。しかし、高圧的な要求から引き下げることで相手の心証を良くしてパーパルディア皇国に利がある内容にする交渉術もある。なにはともあれ、真偽を確かめるべくターラ14世はパーパルディア皇国第三外務局アルタラス王国支部に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

―パーパルディア皇国第三外務局アルタラス王国支部―

 

「待ってたぞ!アルタラス国王!」

 

アルタラス王国支部の所長ブリガスは椅子に座り足を組んで待っていた。国王の椅子は見当たらず部屋にあるのは所長が座る椅子1つである。仮にも一国の国王を呼び付けておいてこの態度はあり得ないものだ。しかし、追及するのも面倒なので話をする。

 

「今回こちらに来たのはあの外交文書の真意についてです」

「真意も何も言葉の通りだか?」

「要求された魔石鉱山は我が国最大の鉱山です。それを献上せよと言うのは…」

「なんだ?ルディアス陛下に逆らうのか?」

「いえ、そういう訳では有りません。しかし、我が娘の事は…」

「あぁ、それか?王女ルミエスはなかなかの上玉だ。俺が味見をするためだ」

「………はぁ?」

 

国王は絶句した。一体何処の世界に一国の王女を堂々と味見する等という常識が無い奴がいるんだと声を大にして言いたい。脳が半ばフリーズしているとこの無礼な外務局長は言う。

 

「聞いておるのか!?俺が味見してやろうと言っているのだ」

「……それもルディアス陛下の意思なのですか?」

 

ターラ14世は最後の理性を振り絞って問う。しかし、帰ってきたのは侮辱だった。

 

「その反抗的な態度は何だ!?皇国の大使である俺の意思はそれ即ちルディアス様の御意思だ!蛮族風情にわざわざ時間を取っているのだ!」

 

我慢の限界を迎えたターラ14世は無言でパーパルディア皇国第三外務局支部を立ち去った。その時にブリガスは散々わめき散らかしていたが無視した。

 

 

 

 

 

 

 

―アルタラス王国王城―

 

ターラ14世は激怒した。必ずや邪智暴虐なパーパルディア皇国皇帝を許してはおけない、一矢報いると決意した。

 

「あの蛮国の蛮族大使をパーパルディア皇国へ送り返せ!外交文書も断る!国交を断ずるとはっきり断りパーパルディア皇国の資産を凍結しろ!」

 

国王は怒りのままに話を続ける。当然だ。あの様な要求を飲めばアルタラス王国は立ち行かなくなる。魔石鉱山を献上しても王女を差し出すなど国王として、1人の父親としても断じて許容出来る話ではない。

 

「軍を召集し王都の守りを固めろ!予備役も全員招集し、日本から輸入した艦も投入せよ!監査軍が来る!パーパルディア皇国に我が国の誇りを見せ付けてやれ!」

 

ハルノートより酷く屈辱的な条件を飲めばアルタラス王国が舐められもはや国ではない。故に監査軍に一撃を加え早期講和に持ち込む他ない。あのプライドの高いパーパルディア皇国が本気で挑んでくる可能性は無くはないがそうしなければアルタラス王国に生きる道は無い。

 

豊富な魔石資源で軍のレベルは文明圏の国々と肩を並べる力がある。パーパルディア皇国の旧式の監査軍ならば日本からの輸入艦で十分戦えるはずだ。

 

国王は夕日を眺め来るべき皇国戦に決意を固めるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

―パーパルディア皇国皇都エストシラント―

 

第3文明圏で唯一の列強パーパルディア皇国その皇帝であるルディアス皇帝の住まう皇宮はその威を示すために柱の1本1本まで繊細な彫刻が彫られ見る者を圧倒する。この世の天国を思わせる程に鮮やかだが繊細に整備された庭だ。宮殿の内装は豪華絢爛の1言でありこの世の富を集めた皇宮だと言えるだろう。この皇宮を訪れた各国の大使や国王は思う。柱を造るための気の遠くなるほどの彫刻師、天国を思わせる美を追求した庭、そしてそれを維持する能力。この世の富を集めたかのような宮殿の内装とその規模はなんと凄まじい国力だろうかと。(属国ありきの富なのは言えない約束)

 

皇都エストシラントは間違いなく東の第3文明圏で最も繁栄した都市と言えよう。訪れた商人や民たちは思うだろう。「何と凄まじい規模の都市なんだ」と。

 

そんな皇都の皇宮において跪く男が1人いる。

 

第3外務局局長カイオスは冷汗をかいていた。

 

「面を上げよ」

 

顔を上げた先には27歳の若さからは想像も出来ない威厳を保つ皇帝ルディアスの姿があった。

 

「フェン王国への懲罰に向けた監査軍の派遣、余への報告はどうした?」

「はっ!監査軍派遣の報告を行わず真に申し訳ございま…」

「たわけ!!」

 

ルディアスの叫びが響いた。彼が怒っているのは報連相の失態では無かった。

 

「余に派遣の報告を行わなかった事は良い。それは余が認めた第3外務局の権限だ。一々蛮国への侵攻報告なそ聞いていたら1日が終わってしまう。それは良いが問題は敗北した事だ」

 

カイオスの額に汗が大量に流れる。

 

「フェン王国にやられたのか?」

「ははっ!目下全力で対象国の割り出しを行っておりますが現在までの調査結果は文明圏外の国と思われます。しかし、情報が錯綜しておりまだご報告する段階にありませぬ」

「まだはっきりとせぬか…」

 

皇帝の声色から怒りに満ちているのが窺える。

 

「旧式艦とはいえ我が国に土をつける文明圏外の国がいるとは…その国には必ず責任を取らせよ!皇国に逆らうという事がどんな事かきっちり教育を行え」

「はっ!」

 

カイオスは深く頭を垂れた。

 

「各国は我が皇国がフェン王国ごときに敗れたと見るだろう。我が国に逆らった国が判明したならば本国艦隊をもってフェン王国もろとも叩き潰す」

「はっ!話は変わりますが陛下…アルタラス王国の件ですが予定どおり魔石鉱山の献上を断ってきました」

 

皇帝の顔が悪い笑みにあふれた。

 

「また、彼の国は国内での皇国の資産凍結、国交断絶を伝えてきました」

「ほう…予定調和とは言えここまでの反逆をするか…舐められたものよ…」

「アルタラス王国は監査軍では無く本国艦隊で叩き潰す。分かったな?」

 

皇帝が視線を向けた場所には軍関係者がいた。

 

「了解しました。皇帝陛下の命でいつでも出撃できる準備は整っています。陛下の御言葉ですぐにでも出陣してアルタラス王国を滅した暁にはすべての魔石鉱山を皇帝陛下に献上いたします」

「そうか…では任せる。アルタラス王国人の取り扱いについては好きにせよ」

「はっ!」

 

そしてこの日、パーパルディア皇国はアルタラス王国に宣戦布告した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルタラス王国とパーパルディア皇国の戦いはワイバーン同士の戦いから始まった。

 

だが、アルタラス王国のワイバーンのパーパルディア皇国のワイバーンロードは性能に差が有りすぎる。結果としてアルタラス王国ワイバーン部隊は1騎も撃墜できぬまま敗北した。

 

100門級戦列艦を含む砲艦211隻、竜母12隻、地竜、馬、陸軍を運ぶ揚陸艦101隻からなる本国艦隊とアルタラス王国艦隊の海戦が始まった。

 

パーパルディア皇国艦隊に対してアルタラス王国は日本からの輸入品を出し惜しみせず投入した。それは蒸気戦艦と呼ばれる物だ。本来ならば蒸気タービンを動かす燃料に石炭を使う必要があるがアルタラス王国は国内にある魔石で炎を発生させ進んでいく。

 

日本が作った艦の名は回転丸だ。

スペックは以下の通りだ

 

蒸気戦艦回転丸

重量1678トン

長さ70.10m

幅10.46m

出力400馬力

武装50ポンド鋳鉄前装式施条砲 1門(船首)

40ポンド鋳鉄前装式施条砲 10門(舷側)

15センチ銅製榴弾砲 2門

  7.62ミリ対空機銃5門

 

となっている。こんな艦が3隻もある。アルタラス王国はオイルマネーならぬ魔石マネーで豊かな国のため、蒸気戦艦を3隻も購入する事が可能だった。

 

スペックは上記で述べた通りだが、現代日本の鋳造技術で製造され舷側砲は通常2キロから5キロ、艦首砲は最大10キロ程度の射程がある。また、速度も早く、【風神の涙】も使用しているため、通常の蒸気船よりも素早い移動を可能にする。

 

他にも【風神の涙】をふんだんに利用した射程2キロのバリスタなど仮想敵国をパーパルディア皇国に定め、軍備拡張をして来た。その成果が今海戦で出ようとしていた。

 

まずは日本製軍艦の砲撃から始まった。パーパルディア皇国の射程2キロより遠い場所から攻撃を行い着実に攻撃する。命中しない玉もあったが敵艦を沈めていく。他艦艇はパーパルディア皇国艦隊に接近してバリスタを放とうとする。

 

しかし、パーパルディア皇国の艦砲の射程は2キロ、それに対してバリスタも2キロだ。しかし、バリスタは威力が低い。100門から放たれる艦砲射撃にアルタラス王国艦隊は次から次へと撃沈していく。だが、負けじと蒸気戦艦がパーパルディア皇国の軍艦を沈めていく。だが、蒸気船以外の帆船は全て撃沈され残りは蒸気船3隻のみとなった。残った3隻はパーパルディア皇国艦船より速い速度で移動してアウトレンジ攻撃を仕掛ける。パーパルディア皇国艦隊は撃沈していくが、数が数だ。

 

数多くの戦列艦が沈没したが、砲弾を多く消費した結果、砲弾が尽きてしまった。

 

結果として戦列艦は全て撃沈する事が出来た。しかし、砲弾が尽きてしまった以上攻撃手段がない。だが、彼等はラム戦を敢行した。

 

結果として残ってしまった揚陸船がアルタラス王国に上陸した為に陸戦を行うことになったが、こちらも輸入していた歩兵銃や野戦砲で上陸したパーパルディア皇国兵や地竜リンドブルムを撃破して撃退した。アルタラス王国はこの日、一矢報いるどころか歴史上初めての大戦果を上げたのだった。

 

 

 

 

 

 

―日本国首都東京稲荷大社謁見の間―

 

「稲荷神様。パーパルディア皇国がアルタラス王国に宣戦布告した模様です」

 

首相からお耳に入れたい情報があると言われ稲荷神は謁見の間に来ていた。そこで告げられたのはウンザリする物だった。

 

「それで結果は?」

「はい。別班からの報告ではアルタラス王国が勝利した模様です」

 

それは喜ばしい事だった。貿易でお世話になっているアルタラス王国は『魔法』と呼ばれる未知の分野の研究材料として良い貿易相手だったからだ。

 

「アルタラス王国はパーパルディア皇国を撃退しました。これによりプライドが高いと言われているパーパルディア皇国は更に多くの軍隊でアルタラス王国を攻める可能性があります。ですのでこの2カ国を中心に諜報をお願いします」

 

こうして、監視衛星や諜報員によるパーパルディア皇国の情報戦が本格化する事になる。

 

「アルタラス王国と言えば…魔石と呼ばれる物は分かりましたか?」

「はい。研究者の反応によると魔石や魔法は過程を無視して結果を得るものとの事です」

 

稲荷神は?を感じて首を傾げた。それを見越して首相が報告する。

 

「簡単に言うと料理の材料から調理と言う過程を飛ばして料理を作る様な物です」

 

首相の説明に稲荷神はポンッと手を叩いて納得した。そして首相に魔法についての研究成果を聞く。

 

「魔法を利用した物はまだまだですが…魔石を利用した物は研究が続いています。現在は酸素魚雷にこの世界の動力に使われている【風神の涙】を使用し、原子力潜水艦のスクリュー音を消す事も検討しております。他には火の魔石で火炎放射器の動力としたり水の魔石で民生品を代用、他にも風や火の魔石で発電を行う事を検討しています」

「詳しい事は技術者に任せます。餅は餅屋ですから。利用できるものはどんどん利用しましょう」

 

 

 






―コラム―

別班

自衛隊に所属する特殊諜報機関。江戸幕府設立当初から稲荷神が情報を制するものは世界を制すると公言して諜報機関を設立した。また、友好国のオーストラリアを筆頭に各国にも支部が置かれている。棲み分けとして公安は国内を非合法的に別班が海外を非合法的にといった風だ。

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パーパルディア皇国は滅ぼすべき?

  • 聖戦だ!滅ぼせ!
  • いやいや、講話でしょ
  • クーデター政権と講話
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