今回は時系列が飛び飛びになります。好評であれば本編完結後に外交関係や民間関係の話を挿し込んで行こうと思います。
日本の外交努力
ークイラ王国ー
時は日本国が転移してすぐの頃に遡る。日本国は農業の宝庫たるクワ・トイネ公国と国交を結んだ。その後、同国の外交関係者からクイラ王国には黒い水が、そこかしこに湧いていると聞く。
クワ・トイネ公国に派遣された田中はこの旨を本国に報告。中東と並ぶ油田であると考えた日本国は国内の石油需要が史実より少ないとは言え、重要な物資であることからクイラ王国に柳田外交官が送られ、早急に国交樹立に成功した。
そんなクイラ王国だが、日本資本による油田開発によって油井が急ピッチで建設されていた。
今まではムー国が小規模ながら石油を購入する程度であり、大規模な買い付けは皆無に等しかった。これは、ムー国の軍艦は石炭を利用しており、戦車用の燃料が少量必要だったからだ。
だが、この石油が日本国にとっては宝の水であり、クワ・トイネ公国と共にインフラ輸出によって劇的な変化を遂げていた。
そんな中、ある企業が石油採掘をするべく地質調査をしていた。クイラ王国は彼方此方から原油が湧き出るが、安全確認の為に地質調査を行っていた。
「すみません!
「何だと?異世界の遺物なんて、どうすれば良いか我々には判断しかねるぞ」
「取り敢えず、本国に伝えましょう」
こうして見つかった遺物に日本国政府はクイラ王国に問い合わせた。しかし、その回答は以下のものだった。
「該当地域に何らかの遺跡があった記録はない」
この報告はつまり、当自国ですら知らない遺跡があると言う事になる。日本国はクイラに問い合わせ、遺跡の発掘許可を求めた。クイラ王国側からすれば断る必要性もないので、クイラ王国立ち会いの下で発掘を許可した。
その後、発掘を進めていった日本国だったが、5カ月程度で採掘に成功した。その遺物とは20mにも及ぶ遺物だった。
この遺物、驚くべき事に土の中に埋もれていたにも関わらず、今なお作動していたのだ。この遺物をクイラ王国やクワ・トイネ公国にも問い合わせたが、成果は得られなかった。
日本国はクイラ王国の許可を得て、この遺物を日本国に輸送するのだった。
◆
ー日本国文部科学省宇宙航空開発機構ー
日本国は転移によって人工衛星を全て失った。故に、日常生活に必要不可欠なGPSや気象情報、通信機能が途絶えた。これは国民生活に重大な影響を及ぼすとして、稲荷神の音頭の下、GPS用の衛星や気象衛星、通信衛星など様々な衛星が急ピッチで打ち上げられた。
多少のミスもあれど、概ね順調に進んだ衛星の打ち上げは軍事衛星に注力し始めていた。
また、この星の周囲を調べる意味合いでもこの惑星について調べていると、不思議なものがあった。
「おい、これ何だ?」
技術者がこの惑星を撮影した写真に不思議なものが映っていた。それは、人工衛星の様に見えた。それからというもの、似たような物が幾つも確認できた。詳しく調べた所、これらの物体はこの惑星を周回している事が確認され、衛星と呼ぶ割には小さいことから人為的なものである事は明らかだった。
回収する案もでたが、この世界の未知の国の人工衛星である事も否定できず、回収は見送られた。
「まるでブラック・ナイト衛星みたいですね」
判断を仰いだ文部科学省上層部に稲荷神が言った言葉である。彼女は動画投稿サイトの解説動画で取り上げられていた地球を周回する未知の人工衛星と似たような物では無いかと考えたからだ。
そして、稲荷神はその神の如き(神です…)勘をもって内閣の技術統括をする課に問い合わせた。
そうして、文部科学省が発見したブラック・ナイト衛星とクイラ王国から発掘された遺物を比較研究した。その結果、クイラ王国に埋まっていたのはブラック・ナイト衛星に酷似していると結論づけた。
つまり、この世界には古代に人工衛星を飛ばす技術力を持つ国家が存在すると言うことだった。これを受けて、軍事衛星による国家調査やこの世界の歴史研究が盛んになる事になる。
◆
ー第1文明圏列強神聖ミリシアル帝国ー
先進11カ国会議がグラ・バルカス帝国の宣戦布告に伴う強襲によって中断され、カルトアルパスから会場が東の地方都市カン・ブリッドに移された。
そこでは、グラ・バルカス帝国への非難決議と、各国が一丸となって野蛮で幼稚な世界征服を掲げるグラ・バルカス帝国に対して対抗する旨が取り決められた。
「では、これにて会議を閉じたいと考えますが、何か話のある国は御座いますか?」
そう言ったのは神聖ミリシアル帝国のペクラスである。
「わが国から皆様に聞きたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」
そう言うのは、第三文明圏の列強パーパルディア皇国を下し、列強に並び立った転移国家と目される日本国であった。
「わが国は第三文明圏外のロデニウス大陸のクイラ王国にてある遺物を発見しました。クイラ王国側は遺物の正体を知らず、正体不明だったのですが、わが国はそれを人工衛星と結論づけました」
そう言って、朝田は人工衛星を様々な角度から撮影した写真と、惑星を公転している人工衛星の拡大写真を配る。
「この遺物を作った国は宇宙…空の遥か上にまで物体を飛ばす技術を有していました。皆様にはこの遺物を作った国について何か知っていることは無いかと確認したい次第です」
朝田の言葉に、ペクラスは思わず声を漏らす。
「それは…古の魔法帝国の僕の星では…」
この言葉は劇的だった。この一言に、会議場は騒然とする。しかし、それを制したのはエモール王国のモーリアウルだった。
「日本国よ!その僕の星について何か分かった事はあるか?!」
竜人族たる彼は、古の魔法帝国に対してヒステリーを起こしたように叫ぶ。朝田は冷静に質問に答えた。
「この人工衛星ー僕の星ーですが、詳しいことは科学文明であるわが国には分かりませんでした。しかし、分かっていることはこの遺物が今なお動き続けていると言うことです。我が国では解析が不可能でしたので、魔法文明として抜きん出ている神聖ミリシアル帝国との共同解析を行いたいのですが、宜しいですか?」
「ええ、至急相談させて頂きます。恐らく認可されるものと思われますので、その話はまた後日改めて返答させて頂きます」
朝田の質問にペクラスは答える。そして、後日には共同解析を承認する旨の文書が日本国に返答され、対グラ・バルカス帝国戦の中での解析が行われた。
◆
ー第1文明圏列強神聖ミリシアル帝国帝都ルーンポリスー
グラ・バルカス帝国をムー大陸から追い出し、この戦争の終結を作るキッカケを模索するために集まった三国会談。
そこでは、グラ・バルカス帝国と共に世界の敵たる古の魔法帝国、ラヴァーナル帝国についての会議も行われていた。
「所で、人工衛星…「この世界では僕の星ですよ」僕の星について分かった事はあるのでしょうか?」
稲荷神の問いに、神聖ミリシアル帝国の技術者及び軍事担当として参加していた古代兵器分析戦術運用部部長のヒルカネ・パルペが答えた。
「はい。僕の星の解析には苦労しましたが、日本国の協力でその全貌が大まかに分かりました」
そう言って彼は概要を説明する。
「日本国のご指摘どおり、僕の星ですが現在も稼働し続けている事を確認しました。その機能は主に3つ。惑星の位置座標、時間座標、空間座標を測る機能が搭載されていました」
そして、彼は一拍して続けた。
「そこで、ある仮説が浮かび上がりました。この僕の星は魔法帝国がこの世界に正確に復活するためのビーコンなのではないかと言う仮説です」
それは凶報であった。魔法帝国は『復活の刻来たりし時、世界は再び我らにひれ伏す』と記した碑石を残している。
日本国も調査を通じて、古の魔法帝国についての全貌を大まかに捉えていた。その認識はこの世界の者達と同じ、『共存は出来ない』この一点である。そもそも、国家間同士のやり取りは『対話』だ。外交努力によって解決すべき問題が平行線になり、切り札として武力を見せつけることはある。だが、武力を使うのは最終手段であり、その戦争も最終的には『講和』と言う外交が必要になる。
つまり、国家間のやりとりに『対話』は必要不可欠なのだ。だが、魔法帝国は最初から武力をチラつかせる。そして、武力を振るうのに躊躇いがない。更には倫理観が欠如した作戦、行動を平然と個人どころか国家レベルで行う。その様な相手に外交努力など無駄の極みだ。
そんな国が復活するとあっては日本国も黙っては居られない。更に、稲荷神にしてみれば、この魔法帝国に対処するために
「…今後とも研究に努めていきます」
ヒルカネ・パルペの話が終わると、稲荷神が挙手をした。
「私からも一ついいですか?」
「どうぞ」
神聖ミリシアル帝国の外務大臣ペクラスの発言許可をとって、話し始める。
「私から2つ提案があります。1つ目は、我が国はこの世界では唯一の僕の星を製造、運用できる国です。さらなるサンプルの確保のために宇宙空間の僕の星を回収するのはどうでしょう」
稲荷神は勘で得た持論を語る。要約すれば、『宇宙空間に存在する僕の星を残らず破壊すれば復活できないのでは?』
というものだった。その案にヒルカネ・パルペは否定的であったが、最終的な対策案としては止むしだとの意見だった。そして、稲荷神は2つ目の意見を述べる。
「2つ目はグラ・バルカス帝国の様な侵略行為やエスペラント王国事変の様な国家レベルの非常事態が発生した時に各国が共同して対処に当たる国際的な機関、国際連合を作るべきだと提案します」
この言葉に、神聖ミリシアル帝国、ムー国共に驚く。彼らにとって国際的な問題に各国が共同で対処に当たるなど歴史上類を見ない。それこそ、直近のグラ・バルカス帝国討伐戦くらいだろう。
ミリシアル8世は稲荷神の言葉の意味を半ば正確に読み取りつつ、問う。
「稲荷神殿、貴殿の言う国際連合とはどの様な物だろうか?」
「色々とありますが、例えば犯罪捜査や各国間の警察組織の連携を図る国際刑事警察機構の様な物を傘下に組み込むのは如何でしょう」
稲荷神は朝田外交官から渡されていたカンペを読む。神聖ミリシアル帝国とムー国には事前にエスペラント王国事変についての概要を事前説明している。もちろん、祟り鬼神やアジ・ダハーカの復活に作為的な物が見受けられたり、魔物の集落に人種に近い痕跡があったりなど、何者かが謀略を企んでいたという事実も。
「その、国際連合とやらを設立するのは賛成だ。グラ・バルカス帝国の様な阿呆を企む国も少なくない。貴国が滅ぼしたパーパルディア皇国などその例だ。我が神聖ミリシアル帝国はその提案を全面的に支持する」
「ムー国としても異論はありません。我が国も設立を支持します」
この世界の列強である神聖ミリシアル帝国とムー国が支持を表明した以上、早急に設立に向けた準備をする必要がある。三国会談は三か国にとっても、世界にとっても有意義な物になったとこの場にいた誰もが実感した。
◆
その後、世界に向けて神聖ミリシアル帝国、ムー国、日本国の三国から驚きの声明が発表された。それは、国際的な相互互助組織の立ち上げであった。
国際連合と名付けられた組織は拠出金を参加国の国力に合わせて支払う。その見返りに、多くの代表を送り込める仕組みだ。だが、日本国は地球世界からの教訓から拒否権は無くし、純粋な多数決で物事を決める仕組みを作った。
国際連合の機関は多岐に渡るが、日本国の発案だけあって地球世界にあった組織を多く作っている。
例えば、世界保健機関、国際通貨基金など様々だ。だが、地球世界とは異なる点が2つある。
1つ目は安全保障理事会が存在しないことだ。いや正確に言えば総会がその役目を担っている。参加国代表による多数決で平和を乱す国に対しての経済制裁、武力制裁が可能となる。
2つ目は対魔法帝国に対する国際機関がある事だ。ここでは、主に魔法帝国に関する情報共有及び対抗するための技術支援の優先的な取り決めなどを裁決する。
長々とした国際機関の説明に対して、発案国である三か国は広く文明国、非文明国問わず加盟を各国に呼びかけた。
設置場所は利便性を考えて第1文明圏列強の神聖ミリシアル帝国の東部の大都市である"ゴースウィーヴス"に置かれた。
各国の評価は様々だった。この動きを歓迎する国、謀略を画策する国など様々だった。だが、日本国との同盟関係を構築している第三文明圏外国、主な国としてアルタラス王国、フェン王国、ガハラ神国、トーパ王国、シオス王国、クワ・トイネ公国、クイラ王国、ロウリア王国、シルカーク王国など。
そして、つい最近まで世界から孤立していたエスペラント王国や北東の三国であるカルアミーク王国なども参加している。
また、第2文明圏ではマギカライヒ共同体、ソナル王国、ニグラート連合、ヒノマワリ王国、そして列強のイルネティア王国が挙げられる。
また、後の話になるがグラ・バルカス帝国も参加をしている。
第1文明圏、通称中央世界からはミルキー王国、トルキア王国、リビズエラ王国、ギリスエイラ公国、アガルタ法国、中央法王国。そして列強であり、他国とあまり関わりを持たないエモール王国も参加している。
その他にも大小様々な国々が参加する組織になるのだが、それはまた別の話である。
〜コラム〜と言うか疑問〜
魔法帝国を詳しく調べる度に思うんですが、本文にもある様に魔法帝国が残した碑石が残されていると言う話ですが、詳しい復活地点が明記されていないので、その石碑を海に投げ捨てたのか、結界からその石碑だけ弾いたのかは不明。
植民地に置いたと言う線もあるが、その石碑がある場所(隕石落下予測地点)が大陸復活場所なのではないだろうか?
お気に入り登録、高評価宜しくお願いします!次回からはアニュンリール皇国戦に入ります。
やっぱり戦争にしたほうが良いですかね?
グラ・バルカス帝国の存亡について
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徹底抗戦からの無条件降伏
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