ー第一文明圏列強神聖ミリシアル帝国ゴースウィーヴスー
国際連合が設置されたこの地に、新たに日本国の紹介や北方の列強と称されるエスペラント王国の紹介によって加盟した鬼人族の国、ヘイスカネンから国家元首たる鬼姫エルヤその人が重要な話があるとして日本国の駆逐艦に乗ってやって来ていた。
稲荷神とエルヤは仲よさげに話をしながら総会の会場に向かう。周囲は見慣れない鬼人族の姿を見てヒソヒソと話している。中には気分の悪くなる物もあり、稲荷神の地獄耳よりも凄い耳はそう言った話も聞き取れる。
友人のエルヤの容姿や魔物と同列にする偏見に対して稲荷神は少しイラッとくる。だが、エルヤは全く気にせず総会の会場に向かうのだった。
◆
ー総会会場ー
少しの休憩を挟んで総会が開かれた。議題はヘイスカネンから世界へと銘打たれており、どの様な話をするかは明言されていない。世界は大した物では無いと気にもとめていなかった。
だが、エルヤの美貌に見惚れる者も複数いるが、各国の代表として揃っている者達は内心思っていても、口に出すことは無かった。
そして、エルヤは壇上に登り、演説を開始した。
「妾の事は皆が知っている故に紹介は省き、結論を言おう。妾はお主らが言う南方世界のアニュンリール皇国によって数年前まで捕らえられていた」
その言葉に驚きと冷笑が交える。一国の主が突拍子も無いことを言う驚きと、"風神の涙"も扱えない蛮族が魔物溢れるグラメウス大陸から国家元首を誘拐できる技術があるわけ無いと一蹴する者の二手に分かれた。
「主らは妾の事を法螺吹きと思っておろうが、これは事実じゃ。妾は数年間、彼奴らの生物研究所で監禁生活を強いられ、研究対象となっておった。だが、日本国の計らいによって妾は解放された。そして、主らがグラ・バルカス帝国などと言う敵と戦っておったので我が友稲荷神の願いで今まで口を噤んでおった。だが、その敵は去った。故に、妾はアニュンリール皇国に対して制裁を願うべくやって来た次第である」
エルヤの演説に多くの国は賛同しなかった。日本国とグラ・バルカス帝国の件がある故に、重要視しないのは可笑しい様に思われるかも知れないが、それには理由がある。
何故なら、日本国やグラ・バルカス帝国と言った初めて聞く転移国家であれば二カ国の強さを知る各国は舐めた態度を取ることはない。しかし、アニュンリール皇国は違う。
昔から知られる南方世界の長たる国であり、2つの大陸を支配する国だ。しかし、それとは裏腹に技術力は文明圏外国と同程度であり、先進11カ国会議にも形式的に呼ばれており、大して注目されていない。
そんな国がそんな馬鹿な事を起こすことが無いと思っているのだ。エルヤは理解を得られない様子に腹を内心立てる。しかし、そこに助け舟を出したのは日本国…と言うか稲荷神だった。
「ここからは私、稲荷神がエルヤに変わって話します」
そう言って、稲荷神は説明する。
「そもそも、私達がエルヤの救出を依頼されたのは彼女の代わりに纏め役となっていたバハーラさんからでした。彼は、アニュンリール皇国の者に洗脳され、エスペラント王国を攻めていました。幸い、私達が介入して事態は収束しましたが、彼からアニュンリール皇国によってエルヤを誘拐されたと言われました」
「当然、我々も事前調査の末にエルヤが攫われたのは事実だと確認が取れ、グラ・バルカス帝国戦の最中に返還を要請した次第です」
稲荷神の言葉に議場はざわつく。稲荷神は数々の戦勲でその信頼感は地球のチョモランマにまで迫りつつある。そんな彼女の言葉に各国は一気に信じるムードに偏った。そんな中、稲荷神は告げる。
「実を言うと、今日はエルヤの他にもある国の王女を呼んでおります。聖王女ニースさんです」
そう言って壇上に上がってきたのはクルセイリース大聖王国の聖王女にして亡命していたニースである。
「皆さんも、グラ・バルカス帝国本土決戦前に日本国やパールネウス王国がシルカーク王国に接近した文明圏外文明国の名前はご存知だと思います。彼女はそのクルセイリース大聖王国の王室の最後の生き残りです」
皆は稲荷神の言葉に疑問符を浮かべる。日本国がクルセイリース大聖王国を倒したのなら、王室に属する人間を全て抹殺するなどと言う野蛮な行為をするはずが無いからだ。だが、その理由は明らかになる。
「此方の写真をご覧ください」
そう言って会場に設置されたスクリーンに投影されたのはクルセイリース大聖王国が神聖ミリシアル帝国の様な軍艦に艦砲射撃を受けている様子だった。
「神聖ミリシアル帝国が滅ぼしたのか!?」
「そんな事をする筈がなかろう!」
「しかし、あの艦艇は間違いなく神聖ミリシアル帝国の…」
会場は殆どの者達が神聖ミリシアル帝国が滅ぼしたと口口に述べている。あらぬ疑いを向けられる神聖ミリシアル帝国の代表は必死に違うと弁明している。
「お静かに願います。皆さんは神聖ミリシアル帝国の仕業と思われるかも知れませんが、それは間違いです。この艦隊はアニュンリール皇国から出航しているのを人工衛星の衛星履歴から確認しています」
稲荷神の言葉に、皆はアニュンリール皇国の意図が分からず首を傾げる。先進11カ国会議には"風神の涙"も使用していない帆船でやって来るアニュンリール皇国が仮に神聖ミリシアル帝国レベルの艦艇を保有しているのなら、何故それを誇示しないのか。
誇示すれば列強入りも夢ではなく、自国の発展に大きな影響を与えられる筈だ。それを隠す意図が彼ら彼女らには分からなかった。
「稲荷神殿達はアニュンリール皇国の目的を知っているのですか?!」
「いえ、そこまでは分かっていません。しかし、クルセイリース大聖王国に封印されていた
稲荷神の言葉に、聖王女ニースは涙を流しつつ、告げる。
「稲荷神殿が言った通りです!私の国はアニュンリール皇国に滅ぼされました!私の母や弟は恐らく捕まり、安否は分かりません。民達も同様です。アニュンリール皇国は国を滅ぼし、要人を誘拐するような野蛮な国です!彼の国に対してエルヤ殿と私は説明責任と賠償を求めます!それに伴う経済制裁、そして武力制裁を強く願う所存です!」
ニースの呼び掛けに大きな拍手が起こった。そして、議長を務める神聖ミリシアル帝国代表が言った。
「ヘイスカネン及びクルセイリース大聖王国亡命政府の決議案に賛成の者はご起立願います」
賛成案に殆どの者達は起立した。ここに、アニュンリール皇国への非難決議が採択されるのだった。
◆
ー南方世界アニュンリール皇国皇都マギカレギア、アヴェストリア地区ー
国の中枢機関が集うアヴェストリア地区の中央に聳え立つオラナタ城で皇帝ザラトストラは諜報部が入手した情報を聞き、驚愕した。
「何?国連が我が国への非難決議を採択しただと?!」
「はい。我々が解放したエルヤがグラ・バルカス帝国戦争終結後に設立された国際連合に加盟しました。そこに彼女は我々が彼女を誘拐した事実を公表しました」
「日本国はこの事実を公にしないと言っていたのでは無いのか?」
皇帝の質問に答えた諜報部長官に外務大臣は答える。この国は長年鎖国をしていた為に外交馬鹿になっているのだ。少しは考えれば分かりそうなものだが、彼らは分からなかったらしい。
確かに、日本国はアニュンリール皇国の行動を世界に公開しないと約束した。だが、『共同で』や『他国の方を持つ』などとは明言していない。つまり、日本国とは異なる国、それこそアニュンリール皇国の被害者たるエルヤのヘイスカネンや聖王女ニースの旧クルセイリース大聖王国が告発をしても日本国は知らんぷりだし、何なら肩を持つだろう。
その事を彼らは思い至らなかったのだ。だが、そんな事を知らない彼らは会議を続ける。
「非難決議と言っても彼らの対応は?」
「まずは経済制裁でジャブを置く気の様で、今すぐ軍事行動に移ることは無いようです」
「キャノラ外務長官」
「はっ!」
「奴らの非難決議とやらで我が国へ、そして我が国の各国に対する対応が変わるやも知れん。お前はブシュパカ・ラタンに異動し、外交部の指揮を取れ」
「…はっ」
キャノラ外務長官は露骨に肩を落とし、その場にいる者達は彼に同情の視線を送る。何故なら、ブシュパカ・ラタンは偽装工作をしているので、本土で使われている魔導筆記具は使用出来ず、非効率な手続き、それでいて仕事は多いの三重苦だ。
このブシュパカ・ラタンを多くの者達はテーマパークと揶揄し、本土の者達もタイムスリップ勤務と揶揄している。しかし、キャリアコースの一種であるため、キャノラ外務長官もこの島での勤務を経験しているだけにもう一度タイムスリップ勤務する事に対してショックを受けていたのだ。
そんな彼を置いて、皇帝ザラトストラは指示を飛ばす。
「インター軍務長官。お前はいつ戦争になっても良いように各種兵器の装備点検及び魔石備蓄を急ピッチで行え。しかし、装備点検の怠りは許さん」
「はっ!早急に現場に伝えます!」
皇帝ザラトストラは他にも戦争に向けて余計な支出削減や兵站備蓄の強化を命じ、軍需産業への大幅予算増額をするなど、戦争経済に向けての準備を着実に進めていくのだった。
◆
ー第一文明圏列強神聖ミリシアル帝国ゴースウィーヴスー
国際連合の総会では、アニュンリール皇国への非難決議が採択され、経済制裁が行われる事になった。だが、ここで一つ疑問が残る。アニュンリール皇国は元々鎖国国家であり、貿易を国家規模ですることは無い。精々が商人規模での取引だった。
その商人が貿易にやって来なくとも、裏の顔があるアニュンリール皇国にとっては多少痛いかも知れないが、問題は全くない。
では、何故経済制裁をするのか?それは情報収集までの時間稼ぎだった。アニュンリール皇国は鎖国国家であり、正規での本土入国は不可能だ。つまり、入国手段は非合法的な手段に限定される。方法としてパッと挙げられるのは、潜水艦による上陸と空挺降下だった。だが、空挺降下では動かせる人員が限られる。その点、潜水艦による上陸であれば多くの人員を送り込める。
既に情報収集に当たっている諜報員の協力の下、多くの別班員が送り込まれた。
◆
ーアニュンリール皇国エリア35ー
別班員達は手分けして情報収集に当たっていた。そんな中、高度に偽装された地下基地を軍事衛星が捉えた。
彼らの目的はアニュンリール皇国が使用する兵器の性能調査だ。今までの敵対国は地球の武器の性能を参考に見当を付けて、調査していた。しかし、アニュンリール皇国は鎖国しているので情報は入って来ない。軍事衛星の写真から分かる範囲での調査は可能だが、科学とは異なる魔法兵器相手では日本国も正確な判断は出来ない。
そこで、別班員達は軍事基地と思われるこの通称エリア35にやって来ていた。
そこは、山と海が近くに隣接した基地であり、中には鉄道(魔法文明なので魔導列車)が敷かれる程の広さだった。そこで見たのは驚く兵器の数々だった。
神聖ミリシアル帝国がグラ・バルカス帝国戦に導入した空中戦艦パル・キマイラ、陸上兵器のコンバットフレーム、天の浮舟や回転翼機、各種魔導艦もある。更に言うと、巨大な要塞と言うべき代物が海に浮いていた。
さながら、巨大な兵器格納庫と言った様相だった。別班員達は兵器の写真を撮影し、情報を得る。そして、更なる正確な性能を調査するべく機密書類を入手すべく足を奥に進めた。
途中、邪魔になった徘徊している警備兵達の眉間を撃ち抜き、死体を遺棄し、順調に奥に進めていた。
そして、複数の有翼人を捕らえて吐かせた機密書類などを扱っているだろう責任者のデスクルームに到達した。(勿論、捕らえた有翼人は適切に処理しました)
そして、彼らは軽い嫌がらせの為に爆弾やブービートラップを仕掛けて、書類を盗み取ると、彼らは悠々とこの地を後にし、潜水艦に回収されて日本本土に向かうのだった。
◆
ー第三文明圏外国列強日本国首都東京ー
東京に建てられた防衛省の秘密の部屋、そこは別班のAIが置かれていた。そのAIは忙しなく働いていた。何故なら、別班員達が集めてきたスペックや写真を下に性能を目算しているのだ。戦争に置いて情報とは金にも勝る宝だ。だからこそ、彼らは危険を犯して行動に移ったのだ。
情報を精査した結果、大まかな兵器のスペックが判明した。小銃や陸戦兵器、軍艦などは1950年代の各国の軍艦のスペックに近い事が判明した。だが、陸戦兵器は神聖ミリシアル帝国の様な多脚兵器ではなく、搭乗型のコンバットフレーム。この世界風に言うならばゴーレムだ。
ゴーレムの武装は魔力を元にした光弾であり、神聖ミリシアル帝国などの魔力を威力に振り分けした場合は、1950年代の戦車相当になる可能性がある。
また、背中や足付近に反重力エンジンを搭載しており、予想以上に機動性が高いことが判明した。これは、神聖ミリシアル帝国の魔導車などに付いている機構と類似していたから判明した物だ。
だが、問題が2つ程ある。それは、空中戦艦パル・キマイラと水上要塞だ。
空中戦艦パル・キマイラは対策として対艦ミサイルを空中にも撃てるようにプログラミングを変更されているが、水上要塞パルカオン(機密書類から名称が判明)は水上要塞と言うだけあってその機能は凄まじかった。
なんと、外装が氷で出来ていたのだ。海水に触れている限り、海水から熱エネルギーを奪って氷の装甲を纏い、魔法防御だけでなく、物理攻撃にも耐性がある要塞だ。
空中戦艦パル・キマイラは物理攻撃に弱い弱点があったが、この水上要塞パルカオンは物理攻撃耐性も備えている。鉄壁だった。また、武装も強力の一言だった。何故なら、攻撃手段として
これでは、今までの敵国より余程手強い相手だ。そして何より、彼らの文明偽装の理由が分からなかった。クルセイリース大聖王国を火事場泥棒しているが、それがどんな目的の元行われたのかも判明していない。日本国は彼らの目的を探り始める。
〜コラム〜
コンバットフレーム
アニュンリール皇国の陸戦兵器。所謂ゴーレムである。その兵装は対物ライフルの様な到底人では撃てない様な大型の銃を使用する。Avatarと言う映画に出てくる搭乗型のコンバットフレームを想像してもらえたら幸いだ。
《お知らせ!》
作者はミリオタではなく、多少軍事を知っている程度のペーペーです。そこで、皆さんにアニュンリール皇国及びラヴァーナル帝国の兵器を募集します。その中から個人的に気に入った物や、ドクトリンに合いそうな兵器を採用する予定です。DMでお待ちしております。
アニュンリール皇国戦について
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原作?知るか?!
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原作出るまで待ちます
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平和に終わる