稲荷様は平穏に暮らしたかった。   作:サード・アイ

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今回はアニュンリール皇国戦争作戦の概要となります。構想を練っていたら時間が掛かってしまった…


開戦前夜

 

 

ー第三文明圏外国列強日本国首都東京ー

 

聖域に隣接するように建てられた稲荷大社、そこの謁見の間では上座に稲荷神が座り、下座に政府の大臣やその部下が並んでいる。

 

「では、これより、アニュンリール皇国に対しての武力制裁の作戦会議を行います」

 

司会の言葉と共に会議が始まった。まずは、防衛大臣が作戦概要を話始める。

 

「では、作戦概要を説明します。質問のある方は適宜挙手をお願いします。まず、アニュンリール皇国に対して外交によるコア魔法撤去とそれを見届ける監査団の受け入れを要請します。期限を1日とし、それが受け入れられなければ宣戦布告をします。その後、空母3隻、巡洋艦9隻、駆逐艦12隻、原子力潜水艦4隻を派遣してミサイルによる重要施設を破壊します」

 

その言葉に、稲荷神が手を挙げる。

 

「稲荷神様、どうぞ」

「その作戦には事前に私も同行する話をしたと思いますが、何故そこまでの戦力を投入するのですか?」

 

稲荷神の質問に、防衛大臣は答えた。

 

「それは、今回の戦争を短期決戦で敵の継戦能力を可能な限り奪い、核兵器の破壊にあります。敵は核兵器をミサイルで運用が可能です。故に、長期的な戦争は敵に核兵器使用を決断させかねません。それを阻止する事を主眼としています」

 

防衛大臣の言葉に稲荷神は「ありがとうございます」と言って、続きを促した。

 

「第1目標として、敵のレーダー施設、地対空ミサイル、航空基地、軍司令部の4つです。これらを空母を旗艦とした3つの艦隊で破壊します。尚、優先順位を鑑みて破壊する場所は絞っての攻撃となります」

 

「すまない。優先順位と言うが、具体的に何処を攻撃するのだ?」

 

総理の言葉に防衛大臣は答える。

 

「最優先目標は核ミサイル基地の破壊を目指しています。敵は戦術核を保有しており、これが派遣した艦隊に向けて発射される可能性があります。しかし、前もって破壊すればその心配は要りません。その後、地中貫徹爆弾や多量の爆弾を搭載した爆撃機に戦闘機の護衛の下、敵基地に投下して核兵器を無力化します。その際の誘爆による核爆発によって生じる周囲への影響はコラテラルダメージと割り切りましょう」

 

「作戦の第1段階は理解した。では、その後はどうするのだ?」

「はい。第2段階では敵の継戦能力を可能な限り削ります。その候補として、最も効果的な場所として以下の4つを目標とします。1つ目はブランシェル大陸の隣の大陸、ノワカーネ大陸の東海岸にあるエンキナと呼ばれる港湾施設です。この場所は彼らが滅ぼしたクルセイリース大聖王国に一番近い軍港であり、彼らの資源不足を誘発せる事が可能です」

 

「少し待ってくれ。我が国にはクルセイリース大聖王国亡命政府として2名の亡命者を受け入れているが、クルセイリース大聖王国領は放置するのかね?」

 

大隈外務大臣の言葉に、泉川防衛大臣は簡単な問題を解くようにスラスラと答えを述べる。

 

「それは、アニュンリール皇国が鎖国をしているからです。僅かに交易は行っていたようですが、2つの大陸に住まう住民の食料や各種インフラ施設、資源を賄えたからこそ今までの鎖国政策が機能してきたのです。旧クルセイリース大聖王国領との海上輸送手段が途絶えても空路や自前で賄えると判断したからです」

泉川防衛大臣の言葉に別班の長官伊桜は桜井司令から受け取った報告書を提示した。

 

「泉川防衛大臣の言葉につけ足しをしますと、彼らがクルセイリース大聖王国を征服した背景には資源不足があるものと思われます」

「その理由は何故ですか?」

「はい。彼らはクルセイリース大聖王国にて、魔石鉱山を始めとする各種鉱物資源を優先的に採掘しています。神聖ミリシアル帝国が保有する兵器も世界有数の魔石鉱山を有するアルタラス王国からの輸入が少なからずある様で、彼らは鎖国の関係上輸入出来ません。そこで、資源不足解消の為にクルセイリース大聖王国を征服した物と思われます」

 

稲荷神の問いかけに、伊桜長官は答えた。

 

「分かりました。ありがとう御座います。泉川防衛大臣。続きを」

「はい。2つ目の攻撃目標は彼らの首都に程近いイナントゥ軍港です。この軍港はアニュンリール皇国最大の軍港であり、大規模な入渠ドックや建造ドックなど、海上戦力の整備などに使われています。ここを破壊できれば、彼らの海上戦力の補充率が激減する事でしょう。

 

そして、最後の目標はアニュンリール皇国最大の工業地帯、ニンフルナム工業地帯です。ここは民需から軍需に至る製品を数多く生産しており、ここに打撃を加える事で彼らの継戦能力は3から4割程度落ち込むと試算されています」

 

泉川防衛大臣は目の前に置かれた天然水を飲み、話を続けた。

 

「以上の目標地点を艦隊地ミサイルや戦闘機による攻撃で壊滅させます。その他大小の基地や生産拠点に関しては、弾薬補給をしつつ何日かに分けて行う予定です。そして、敵の攻撃能力を可能な限り奪った後に降伏勧告を行います。応じなければ陸上自衛隊による上陸作戦を行うつもりです」

 

「上陸作戦と言うが、補給拠点をどうするのだ?一々日本に戻って補給するのは、燃料の無駄だと思うが」

「はい。それはニューランド島のチエイズ王国、グルード騎国のグラ・バルカス帝国の基地跡を利用する予定です。ニューランド島はアニュンリール皇国に程近いので、補給基地として最適です」

 

経済産業大臣の質問に簡単な問題を解くようにスラスラと答える泉川防衛大臣。彼の言葉に納得したのか、経済産業大臣は沈黙した。

 

「では、次に国連軍の編成です。これは、外務省の方から宜しくお願いします」

「はい。では、国連軍参加を表明したのは以下の国々です」

 

《第一文明圏》

・神聖ミリシアル帝国

・エモール王国

・トルキア王国

・ギリスエイラ公国

・アガルタ法国

 

《第二文明圏》

・ムー国

・イルネティア王国

・マギカライヒ共同体

・グラ・バルカス帝国

・ヒノマワリ王国

 

《第三文明圏》

・パールネウス王国

・トーパ王国

・ネーツ公国

・アルタラス王国

・エスペラント王国

・ヘイスカネン国

・パンドーラ大魔法公国

 

であった。

 

「以上の国がアニュンリール皇国への武力制裁に対して参加を表明しています。しかし、ヒノマワリ王国やアルタラス王国に関しては人員の派遣ではなく国連軍への支援という形で参加する様です。そして、各国の戦力が此方になります」

 

『第一文明圏』

 

《神聖ミリシアル帝国》

・ミスリル級魔導戦艦…1隻

・シルバー級魔導巡洋艦…6隻

・ロデオス級航空魔導母艦…2隻

(搭載機…"エルペシオ4")

・小型艦…10隻

 

《エモール王国》

・風竜騎士団

 

《トルキア王国》

・魔導戦列艦…3隻

・風竜母艦…3隻(エモール王国の風竜を搭載)

 

《ギリスエイラ公国》

・魔導戦列艦…50隻

 

《アガルタ法国》

・魔法船団

 

『第二文明圏』

 

《ムー国》

・ラ・カサミ級改戦艦…2隻

・ラ・カガ級空母…2隻

(搭載機…"ラ・シデン")

・ラ・ミョウ級重巡洋艦…3隻

・ラ・アガノ級軽巡洋艦…5隻

・ラ・アキ級駆逐艦…5隻

 

《イルネティア王国》

・雷竜母艦…1隻

・神竜…1匹

・魔導戦艦…1隻

(性能的には蒸気戦艦)

 

《マギカライヒ共同体》

・アルトマルカ級戦艦…1隻

(戦艦三笠クラス)

・ヴェストファーラ級飛竜母艦…2隻

(空母鳳翔クラス)

 

《グラ・バルカス帝国》

・ヘラクレス級戦艦…1隻

(長門型戦艦)

・スコルピウス級重巡洋艦…2隻

(妙高型重巡洋艦)

・ルプス級軽巡洋艦…1隻

(阿賀野型軽巡洋艦)

 

航空戦力

・グティマウン型爆撃機

 

『第三文明圏』

 

《パールネウス王国》

・蒸気戦艦…2隻

・飛竜母艦…1隻

 

《トーパ王国及びネーツ公国》

・睦月型駆逐艦…4隻

 

《アルタラス王国》

・蒸気戦艦…4隻

 

《パンドーラ大魔法公国》

・飛空船…5隻

 

《クワ・トイネ公国》

・睦月型駆逐艦…3隻

 

《クイラ王国》

・天龍型軽巡洋艦…1隻

 

《ロウリア王国》

・睦月型駆逐艦…1隻

 

グラ・バルカス帝国懲罰に集められた世界連合よりも規模は大規模だ。しかも、グラ・バルカス帝国戦の最中に各国から軍需産業として航空機や軍艦、陸上兵器の設計図や材料など、生産に必要な物を販売して日本国は儲けていた。故に、各国。特に第三文明圏を中心に魔法兵器から科学兵器の転換期が訪れていたのだ。

 

「一つ問いたい。グラ・バルカス帝国は我々が武装解除と研究停止を命じていた筈だが、これはどう言う事かね?」

 

外務大臣大隈が質問する。泉川防衛大臣はその解を既に用意していた。

 

「はい。大隈外務大臣が仰った事は事実です。しかし、武装解除は命じましたが、その武装の処分はまだされていませんでした。それを今回は引っ張り出しています。特に彼らが持つ"超大型爆撃機富嶽" に酷似したグティマウン型爆撃機は圧倒的な積載量を誇ります。彼らの機体を使って爆撃をすれば安上がりだと言う判断です。そして、軍隊の不保持を出雲条約で決められていましたが、魔法帝国と言う脅威が迫る中、そんな悠長な事は言っていられないと言う判断です。勿論、手綱はしっかりと握ると言う但し書きは付きますが…それに、これはグラ・バルカス帝国の為でもあります」

 

泉川防衛大臣の言葉に稲荷神を除く殆どの役人が彼の主張を理解した。

 

「すいません。それはどう言う事です?」

「はい。彼の国は本土決戦で本土の至る所が焼け野原であり、復興には多大な時間が掛かると思われます。しかし、軍需産業はその不景気を払拭する力があります。故に、国力に見合った軍隊を再結成する事で国内の雇用問題など、経済的な問題を解決する狙いがあります」

 

稲荷神の質問に泉川防衛大臣は懇切丁寧に説明した。稲荷神の頷きに理解出来たと解釈した泉川防衛大臣は説明を続ける。

 

それは、主に各国の兵器の質に関してだった。神聖ミリシアル帝国は皇帝ミリシアル8世の強い希望の下、日本国の設計思想を取り入れている。主に、対空兵装の拡充が挙げられるが、一番の変更点は魔導母艦だろう。

 

ロデオス級航空魔導母艦は双胴艦として運用していたが、それを一新して双胴を廃止して日本の様な発艦場所と着艦場所を変える傾斜飛行甲板を採用した。更に、"エルペシオ3"がグラ・バルカス帝国のアンタレス07式艦上戦闘機に劣っていたので、日本の技術者の意見を取り入れ、後退翼やエンジンの諸々を改善した結果、巡航速度時速約900kmの機体、"エルペシオ4"が開発された。

 

また、トルキア王国やマギカライヒ共同体には鳳翔型空母の設計図や必要資材を輸出し、この世界初の機動動力型の竜母、そして風竜母艦が完成した。更に言えば、イルネティア王国は神竜の念話を使って雷竜の使役に成功。

 

雷竜は風竜の最高速度約500km/hをゆうに超える最高速度約600km/hだ。だが、その速度故に竜騎士が耐えられない。つまり、イルネティア王国の竜騎士はワイバーンや風竜よりも過酷な訓練を耐え忍んだ者のみがなる事が出来るエリート中のエリートになったのだ。そんな者達は、ほんの一握りであり、数は揃えられていない。

 

ムー国は日本国の技術支援により、魔改造を受けた"ラ・カサミ級戦艦"を始め、加賀型正規空母の設計図を下に作られた"ラ・カガ級空母"に加えてて妙高型重巡洋艦、阿賀野型軽巡洋艦、秋月型駆逐艦をモデルにした艦艇を建造している。

 

日本国と関係が深い第三文明圏の各国は蒸気戦艦を建造したり、技術支援を受けている。更に言えば、オイルマネーで儲かっているクイラ王国は駆逐艦ではなく軽巡洋艦をムー国から購入している。その他駆逐艦の購入先はもっぱらムー国だ。

 

つまり、日本国がムー国から技術支援のお金を受け取り、そのお金で各国から物品を購入し、そのお金でムー国から兵器購入をすると言うサイクルが出来ている。

 

まさしく、好景気と言う他ない。

 

そして、肝心な日本国の編成だが…

 

《第1艦隊》

・司令部兼旗艦…空母白虎

・木曽型巡洋艦…1隻

・淀型巡洋艦…2隻

・大潮型駆逐艦…2隻

・陽炎型駆逐艦…2隻

 

《第二艦隊》

・旗艦…空母蒼龍

・木曽型巡洋艦…1隻

・淀型巡洋艦…2隻

・大潮型駆逐艦…2隻

・陽炎型駆逐艦…2隻

 

《第三艦隊》

・旗艦…空母玄武

・木曽型巡洋艦…1隻

・淀型巡洋艦…2隻

・大潮型駆逐艦…2隻

・陽炎型駆逐艦…2隻

 

《潜水艦隊》

・依10型原子力潜水艦…4隻

 

となる。泉川防衛大臣は各艦隊の割り当てを述べる。

 

「まず、第1艦隊は第1目標とイナントゥ軍港の襲撃。第2艦隊は第1目標とニンフルナム工業地帯、第3艦隊は第1目標とエンキナ港です。そして、潜水艦隊は旧クルセイリース大聖王国領とアニュンリール皇国の通商破壊の任に就いてもらいます」

 

泉川防衛大臣の一連の説明が終わった。纏めると、空母を旗艦とする3つの艦隊がレーダー施設、航空機地、地対空ミサイル基地を破壊し、その後、核ミサイル施設を破壊。

 

そして、弾薬がある限りイナントゥ軍港、ニンフルナム工業地帯、エンキナ港を攻撃し、その他別目標を破壊して継戦能力を奪い、降伏に応じなければ上陸作戦を行うと言う物だった。

 

だが、会議に出席している者達に1つの疑問が浮かんだ。

 

「泉川さん。各国の戦力はどうするのですか?話を聞く限り、全て私達が担当しているのですが」

 

稲荷神の言葉が皆の意見だった。今回の作戦だと、各国の軍艦は何もしていないのだ。不思議に思うのも無理はないだろう。

 

「それについては、各国とまだ協議中の段階ですが、自衛隊としては、敵の攻撃能力を削いだ上で、艦砲射撃や機銃掃射などの攻撃に当たって欲しいと考えています。第三文明圏の国々にエンキナ港、第二文明圏の国々にニンフルナム工業地帯、第一文明圏にイナントゥ軍港を担当してもらいたいと考えています」

 

つまり、自衛隊が対艦ミサイルなどの攻撃手段を削いだ上で、安全に敵地を攻撃するという事だ。

 

「…分かりました。その作戦でいきましょう。各国との協議は任せました」

「「「「「ははっー!」」」」」

 

間もなく、歴史の転換期が起きようとしていた。

 





〜コラム〜

淀型巡洋艦・陽炎型駆逐艦

淀型巡洋艦は謂わばミサイル巡洋艦。陽炎型駆逐艦はイージス艦の事。勿論、装備仕様は地球の各国より1世代は変わっている。



アニュンリール皇国戦について

  • 原作?知るか?!
  • 原作出るまで待ちます
  • 平和に終わる
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