稲荷様は平穏に暮らしたかった。   作:味八木

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今回はレミール閣下がご登場しますよ!

※9月17日に大幅加筆修正を加えました。


降りかかる厄災

 

 

 

―パーパルディア皇国皇都エストシラント第1外務局―

 

第1外務局局長エルトの指示で日本と呼ばれる国の情報が集まってきた。

 

日本とグラ・バルカス帝国とは関係が無く、第3文明圏外国にあると思われる。これにより皇国監査軍を退けたのはほぼ日本であることに間違いは無い。監査軍のワイバーンロード部隊が全て未帰還となっており、どうやったのかは不明だ。また、撤退した皇国監査軍東洋の生き残りは敵の主力艦は砲が1門しか付いていないという。何故1門にしたのかは不明だが多少命中率が高いくらいで100門級戦列艦の艦砲射撃を覆せるとは思えなかった。

 

どうしてもそれほどまでに差があるとは思えない。

 

それが第1外務局の総意だった。

 

グラ・バルカス帝国の【グレードアトラスター】と呼ばれる魔艦はたった1隻でレイフォルを滅ぼすに至ったという。しかし、この情報は何かの間違いではないかと思えてくる。どう考えても盛りすぎだからだ。ただし、グラ・バルカス帝国がレイフォルを滅する力があるのは事実であるため、今後帝国には気をつけなければならない。皇国監査軍の提督ポクトアールの報告書で百発百中の砲が配備されていたと報告されている。この件について皇国の頭脳集団である兵器研究所【兵研】に問い合わせてみても「百年後の未来の皇国の技術でも不可能」との答えだった。やはり文明圏外国家が映えある列強パーパルディア皇国よりも100年以上進んでいると考えるのは現実的でない。

 

ロウリア王国と日本の戦争でヴァルハルなる人が荒唐無稽な報告書を挙げてきている。彼を医師に診断させたところ精神病を患っているとのことで彼の報告書は信用に値しない。

 

だが、日本については第3国経由で情報を入手した。日本国は軍備に現時点で国内総生産の2%程度しかかけていないらしい。これでは多少装備の質がよかろうが数がそろわない事には軍としては役に立たない。

 

ナメてはいけないが、恐れる敵ではない。そして日本が軍備を拡張される前に叩く必要がある。

 

第1外務局はこう結論づけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

パーパルディア皇国 皇都エストシラント 皇城

 

国の重臣達が集まる会議にて上座には彼等重臣にとって至高の存在がいた。

 

パーパルディア皇国皇帝であるルディアス帝である。

 

御前会議が始まると皇帝ルディアスが答えた。

 

「アルタラス王国制圧はどうなった?」

「実は…派遣した本国艦隊約314隻を派遣しましたが…100門級戦列艦を含めた戦列艦は全て撃沈され…僅かに残った竜母や揚陸船は上陸作戦を敢行…全て殲滅或いは捕虜になった物と思われます…」

 

最高司令官であるアルデがアルタラス王国制圧の失敗の報を教えるとルディアスは目に見えるほどに顔を真っ赤にさせた。

 

「蛮国の分際で…映えある我が国の主力艦隊を殲滅…だと?……徹底的に殲滅だ!あの国の蛮王を処刑し彼の国の魔石鉱山を全て余に献上するのだ!」

「「「ハハッー!」」」

 

その言葉に多少気分を良くしたルディアスは第1外務局局長エルトに聞いた。

 

「ところで…東の地に日本という国があったな…我が国の皇国監査軍東洋艦隊を壊滅させた元凶とのことだったな?」

「はい。私共が集めた情報が御座います。こちらをご覧下さい」

 

そう言って配った資料を見たルディアスは話す。

 

「ふむ…どれも根拠がない情報だな…まあいい。まず彼の国に近いフェン王国を制圧せよ。日本への足がかりとすると共に各国に日本と友好国になるとどうなるかを知らしめるのだ。その後、アルタラス王国を制圧し万全をもって日本へ侵攻せよ。出来るな?」

 

最高司令官アルデはルディアス帝に言われて断言する。

 

「はい!フェン王国はワイバーンも持たない小国です。アルタラス王国も先の戦いで3隻を除いて彼の国の海軍戦力を全て撃破しました!何も問題は有りません!」

 

今日の御前会議にてパーパルディア皇国の没落の足音が近づく事が決定したが、彼等はフェン王国人を好きにせよと言うルディアス帝に一層の敬意と忠誠を誓うのだがこれが致命的なのは後日になれば分かる事だろう…

 

 

 

 

 

 

―2週間後―

 

フェン王国西側約200キロ先洋上

 

そこには圧倒的な戦力の艦隊が進んでいた。100門級戦列艦を含む砲艦211隻、竜母12隻、揚陸艦101隻、合計324隻のパーパルディア皇国の本国艦隊がフェン王国を滅ぼすべく進んでいた。彼等はフェン王国で得られる富を夢見て士気は高かった。

 

そんな彼等を見ている存在がいるとも知らずに…

 

 

 

 

 

 

―日本首都東京稲荷大社謁見の間―

 

急遽首相から呼ばれた稲荷神は気分が悪かった。折角新作ゲームを楽しんでいたのに面倒事がやって来た感がプンプンしているからだ。

 

「緊急事態です。今日、フェン王国西にパーパルディア皇国の艦隊が向かっているのを監視衛星にて確認しています」

 

これを受けて稲荷神はすぐさま決断する。

 

「今すぐフェン王国にいる観光客等の日本人をできる限り自衛隊の駆逐艦に乗せて帰国させて下さい!そして、フェン王国沖合に自衛隊を派遣して日本人を守って下さい!」

「了解しました!」

 

こうして日本は駆逐艦5隻、巡洋艦2隻、空母1隻を派遣する事になる。

 

 

 

 

 

 

―パーパルディア皇国皇都エストシラント第1外務局―

 

一方、日本艦隊がフェン王国に向かった頃第3外務局長のカイオスは第1外務局に呼び出された。これはおかしな事であった。本来、外務局間で人事交流はあるが公的機関同士の外務局間局長を呼び出すなどありえない事だ。しかし今回は『皇帝の勅令』の文書を携えて第1外務局担当がカイオスの元にやってきた。その為、カイオスが第1外務局に出頭していた。

 

中には第1外務局長エルトや次長ハンス、下位列強担当部長シラン、そして見たことの無い20代後半の美しい女性が1人座っていた。カイオスは面々に1礼した。

 

「陛下の勅令での第1外務局への出頭とは…どういった御用でしょうか?」

「分からぬか?」

 

椅子に座った女性が棘のある口調で質問を質問で返した。

 

「失礼ですが…貴方は?」

「外務局監査室レミールだ」

 

外務局監査室とは各外務局の不正や国への対応が不利な状況になった時を考慮し設置された組織だ。同系統の監査室もあり、場合によっては担当者を処分もしくは同外交案件で同部署が担当する場合もある。外務局はエリート集団である為に監査室の構成員はすべて皇族だ。つまり目の前のレミールと名乗る女性は皇族という事だ。カイオスはレミールに頭を下げる。

 

「失礼しました。して、私に何用でしょうか?」

「日本の件だ。彼の国は私が知る限り我がパーパルディア皇国に挨拶もせず皇国付近の国々と国交を結んでいるという。そして、フェン王国で皇国監査軍東洋艦隊を撃破したという。そんな国には私自ら灸を据えてやらねばならない」

 

カイオスはレミールと名乗る皇族に毒づきたくなった。「監査室所属とは言え外交を然程しらない皇族が出しゃばってくるんじゃねぇ」…と。しかし、そんな事を言えば自分の外交官生命どころか侮辱罪で本当に死にかねない。苦渋に満ちた決断だった。

 

「カイオス。挨拶もしない国である日本への対応は第3外務局ではなく第1外務局が行う事とする。外務局監査室から私が第1外務局へ出向という内容で今後日本国への外交担当は私が行う事とする」

 

第1外務局というエリート集団の中でのこの扱い、まるで晒し者だ。カイオスはレミールを心のなかで散々にこき散らす事になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

―フェン王国西部ニシノミヤコ―

 

フェン王国西部に位置するニシノミヤコ。そこはパーパルディア皇国から1番近く最前線となる場所のため武人が約2千人常時配備されている。そして、ニシノミヤコの約3キロ西には人の住めない小島がある。この小島はパーパルディア皇国が侵攻してきた場合の監視塔としての役割を与えられた武人が2名常駐していた。

 

彼等はパーパルディア皇国がやって来た事を確認すると狼煙を上げた。

 

それを見たニシノミヤコの監視員は通信用の笛を鳴らした。彼等は戦争の準備を始める。一方、パーパルディア皇国がやって来る少し前、ニシノミヤコを観光しに来ていた日本人のスマホから政府からインストールを義務化された特別アプリが緊急連絡を上げた。これを受けて日本人はニシノミヤコ近くの沖合に停泊していた駆逐艦に向かって走り出す。そして、小型ボートでどんどん収納していく…

 

 

 

 

 

 

 

 

パーパルディア皇国は戦列艦でニシノミヤコの詰所に艦砲射撃を加えようとした。しかし、それは突如現れた軍艦によって防がれる事になる。

 

彼等は驚いただろう。水軍を持っていないと思われたフェン王国が自分たちと同じ戦列艦を保有し、中には戦列艦も霞むほどの大きさの鉄と思しき船が1隻あった。

 

これはフェン王国が日本が無傷で手に入れた戦列艦を譲ってもらったものだ。彼等は恩人である日本人が避難出来るように何としてでも足止めをする気だ。そんな彼らを尻目に駆逐艦は日本人を連れて帰国しようと逃げていく。

 

フェン王国水軍は努力したがたった5隻の船で100門級戦列艦等を含む約200隻以上の砲艦に数の暴力だった。また、竜母から発進するワイバーロードからの攻撃に日本から輸入した小口径の機銃で対抗した。そのため、戦列艦を10隻を撃沈、ワイバーンロード3騎撃墜する事に成功したが、フェン王国水軍は再度全滅した。だが、海上自衛隊所属の駆逐艦に攻撃を加えようとしたワイバーンロードは全騎撃墜された。

 

 

 

 

 

 

 

 

フェン王国ニシノミヤコ近郊の浜辺に上陸するに当たりパーパルディア皇国艦隊は艦砲射撃を行った。一通り射撃をした後に上陸をしたが、フェン王国武人は鎧兜を身に着け砂浜に身を隠していた。そして、彼等が上陸を開始すると身を現し、できる限り日本から輸入した銃剣で対抗した。パーパルディア皇国兵は自国のマスケット銃より高性能な銃で対抗され肉薄したとしても銃の先にある剣で対抗されてしまった。しかし、多勢に無勢で生き残った200名のフェン王国武人はパーパルディア皇国の上陸部隊1000名中約500名を倒したが全滅した。

 

想定外の損害を出したパーパルディア皇国だったが地竜リンドブルムや地竜に牽引させた魔導砲でニシノミヤコにある西城は城門を破壊されワイバーンロードの地上や上空からの攻撃に耐え切れず陥落した。

 

 

 

 

 

 

―パーパルディア皇国皇都エストシラント第1外務局―

 

この日、日本国宛に第3国経由でパーパルディア皇国から呼び出しを受けた。これを受けて言い噂を全く聞くどころか悪い噂ばかりしかない国からの『命令』という物を受けて日本は朝田外交官とパーパルディア皇国の考えを確認する為稲荷神、そして外交官護衛も兼ねて近衛が2人同行していた。

 

第1外務局がある城の中に入りパーパルディア皇国の案内人に会談場所まで案内された。部屋に入るとそこには美しい銀髪の女性が座っていた。

 

「私はパーパルディア皇国第1外務局のレミールだ。お前達日本担当の外交官と思ってよい」

「私は外交官の朝田です」

 

稲荷神も椅子に座ろうとしたが椅子は1つしか無かったので仕方なく朝田の後で近衛2人に挟まれて立っていた。

 

「今回はお前達に面白い物を見せようと思ってな…」

 

そう言ってレミールと名乗る外交官はデカい水晶の箱のような物を取り出した。

 

「これは魔導通信を進化させたもので実用化出来ているのは神聖ミリシアル帝国と我が国ぐらいだ」

 

レミールの言葉に稲荷神はテレビ通話かな?と呑気な事を考えていた。

 

「これを見せる前にお前たちにチャンスをやろう」

 

そう言ってレミールは紙を取り出した。そこには到底飲めない内容の要求が書き綴られていた。この紙を近衛2人は見れなかったが稲荷神様は常人より遥かに目が良いため、紙の内容を一言一句間違えず確認する事が出来た。そこにはやんごとなきお方を廃位してパーパルディア皇国の皇族を王にする事や稲荷神と名乗る者を皇国に差し出せとあった。

 

これを見た稲荷神は震えた。確かに地球世界では革命を起こされたら人体実験とか研究目的に何をされるか分かったもんじゃないとビクビクしていた時もあった。だけど、何事もなく今まで神皇としてやって来れた。けれど堂々とこんな事を要求して来たのは初めてだ。

 

朝田外交官が当然こんな要求を蹴る。当たり前だ。仮に了承したらそいつは非国民だ!となって日本国中から言葉の総リンチされるだろう。

 

「ふん!やはりお前たちは礼儀がなっていない様だな。我がパーパルディア皇国に挨拶もせず周辺国に媚を売りあまつさえ我が国の監査軍東洋艦隊を撃滅し泥を塗る様な国だ。鼻から期待などしていなかったが…選べ!滅びるか隷属するか」

 

稲荷神という最高統治者がこの場にいるがこんな場所で国民に意見を聞く事もなくこの場で決断することなどできない。幸い、あちらは稲荷神と言う最高統治者の存在を知っていてもどんな容姿をしているかは分かっていないらしい。

 

「我々は国交を開設する為に来た使節です。本国に持ち帰り検討します」

「ふん。やはり蛮族には教育が必要らしい。皇帝陛下が仰った通りだ。哀れな蛮族だな日本国民よ。お前たちは皇帝陛下の怒りに触れた。しかし、陛下は寛大なお方だ。お前たちが更生の余地があるか…教育の余地を与えてくださった」

 

その言葉が終わると話の前に見せられたテレビ電話らしき物に映り出されたのは捕まったフェン王国の民間人だった。これには朝田外交官含めこの場にいる皆は絶句した。

 

「この者共はフェン王国にて我が皇国に歯向かって来たもの共だ」

「彼等はフェン王国の一般人の筈です!即刻釈放してフェン王国に帰還させなさい!」

 

レミールの言葉に稲荷神はいても立ってもいられず叫んだ。そして、レミールが話そうとしたがこんな様子を見て稲荷神が動かない筈がなかった。俊足の動きで稲荷神はレミールを取り押さえにかかった。これに続いて近衛2人もレミールを取り押さえる。

 

「何をする!私を皇族と知っての無礼か!」

 

レミールが喚き散らかすが稲荷神は神様パワーで取り押さえていく。喚き散らかすレミールを助けようと部屋の外で待機していた女中が入って稲荷神に足早に向かうが近衛は隠し持っていたパワードスーツで目にも留まらぬ様な早さで峰打ちを食らわし気絶させる。レミールも同様に気絶させた。

 

水晶テレビには処刑人が今にも処刑しようとしていた。だが、稲荷神は魔導通信から狐火を処刑人に放った。放った狐火は1秒の誤差なく処刑人を青く燃やし尽くす。それは青い火の柱となって城の一角を破壊した。

 

「朝田さんを守って脱出して下さい!私はフェン王国の人達を助けに向かいます!」

 

そう言って部屋の窓から飛び出し、処刑場に迷いなく入った。入ると稲荷神は縄を狐火で燃やしフェン王国人を解放した。そして、近衛1人と一緒にフェン王国人を連れて皇城を脱出する為に動き出す。彼等は中庭に来ると輸送ヘリを近衛が稲荷神名義で呼んだのか近くには沢山のヘリが来ていた。彼等はフェン王国人や朝田外交官を乗せるとパーパルディア皇国に来た時に乗っていた原子力空母に向けて去っていった。

 

稲荷神や近衛は飛んでくるワイバーンオーバーロードを狐火や携帯火器で護衛して無事に原子力空母に全員避難させる事に成功した。

 






―コラム―

レミールについて

レミールを取り押さえた稲荷神だが、フェン王国の人達を助けるのが先なので余計な荷物を増やしたくないと言う理由からレミールはその場に放置しました。

9や8その他評価を下さった皆さんありがとう御座います!





パーパルディア皇国は滅ぼすべき?

  • 聖戦だ!滅ぼせ!
  • いやいや、講話でしょ
  • クーデター政権と講話
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