稲荷様は平穏に暮らしたかった。   作:味八木

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パ皇本土攻撃

 

 

 

―パーパルディア皇国皇都エストシラント皇城―

 

皇帝ルディアスは至急謁見したいと申し出てきた第1外務局長エルトの話を聞いていた。

 

「…以上より日本国との戦闘で確認された飛行機械はムー国大使の言葉が真実なら日本国自ら開発した物だと判明しました。ですので、日本との戦争の今後の方針を伺いたく参上した次第です」

 

報告を受けたルディアス帝は沈黙を貫く。この時間はエルトにとって苦痛の時間だった。やがてルディアス帝が口を開く。

 

「エルトよ、日本が怖いか?」

「いっいえ!そのような事は…私は真実を報告したまでです」

「エルトよ貴様は大事な事を3つ忘れている」

「…と申されますと?」

 

ルディアス帝は話始める。

 

「1つ目は、戦とは攻めよりも守るほうがずっと楽に戦えるという事だ。過去2回の戦闘で我が国はどちらも攻める側だった。つまり完全な油断からの奇襲だったという訳だ。我がパーパルディア皇国が本格的に構えるのだ、もう奇襲も通用しない」

 

「2つ目は、日本は軍備に国内総生産のたった2%前後しか金をかけていない事実だ。この程度の軍事費では大国であっても大した軍は持てない。おそらく日本軍は、兵器に関して質は良くとも量は少ないのだろう」

 

その言葉にエルトは大声で言いたくなった。

 

「そんな軍事費が少ない国に我々は2度も負けている!」

 

と。しかし、皇帝が話している時に口を挟むのは許されざる大罪だ。それが赦されるのは同じ皇族のみだグッと我慢して話を聞く。

 

「3つ目は今回の戦争は相手がたとえ、かの第一文明圏の列強、神聖ミリシアル帝国級かそれ以上であったとしても超えなければならない。これは世界を統べる我がパーパルディア皇国に神が与えた試練なのだ!日本国と戦ったのは主に海軍だ。故に、陸軍の大部隊は未だ健在。最新兵器があり、錬度も高い我がパーパルディア皇国陸軍は無傷だ!そして、新兵器のワイバーンオーバーロードもまだ十分に残っているではないか」

 

話はまだ続く。

 

「海軍は手痛い損害を受けたが、陸軍戦力の被害はフェン王国に派遣した部隊のみであり大部分が健在だ」

「おおっ!」

 

エルトに希望が見えてきた。確かに損害を受けたのは海軍が多く、パーパルディア皇国本国に駐屯している精鋭の陸軍は未だ健在だ。日本国の兵器に気をつければ地の利を生かして日本軍を殲滅出来る!例え神聖ミリシアル帝国でも引けを取らないだろう。そう考えたエルトは深く平服したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

―アルタラス王国王都ル・ブリアス―

 

城下町がよく見える王城のバルコニーで国王ターラ14世、稲荷神とルミエス王女は王都の郊外にある日本国が改造して新しくなった空港を眺めていた。そこには第2文明圏列強ムーの航空機より洗練された航空機が数十機が今にも発進しようとしていた。発進する航空機を、バルコニーから見ていた稲荷神は深く敬礼する

 

これを見ていた戦闘機富士や爆撃機星影のパイロットは稲荷神に深く敬礼し返した。

 

この様子をアルタラス王国国王と王女は憂いた。勝算はあるとは言え、パーパルディア皇国を焼く為にパーパルディア皇国本土上空に向かうのだ。半数が戻ってくればいい方だと思っている。彼等の安否と作戦の結果を2人は神に祈ったが、稲荷神は彼等の勝利を疑っていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

―パーパルディア皇国皇都エストシラント近郊上空―

 

成層圏と言うこの世界の国家では辿り着くのはほぼ不可能な高度に見慣れぬ飛行物体があった。それはアルタラス王国から発進したステルス爆撃機星影と星影を護衛する戦闘機富士の姿があった。

 

戦闘機富士に備え付けられた敵味方識別システムで自分達よりも低い高度にワイバーンロードと思われる敵航空戦力が警戒をしている。これ程の航空戦力を有しているパーパルディア皇国の国力に驚かされる。しかし、敵航空戦力のワイバーンは成層圏までは上がってこれない。わざわざ敵に見つかっていないのにアドバンテージを崩す必要もない。爆撃機星影は空対地誘導爆弾を使用してパーパルディア皇国皇都エストシラント近郊の基地に攻撃を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

―皇都エストシラント北方陸軍基地―

 

この基地は未曾有の危機が訪れていた。何故ならワイバーンロードやワイバーンオーバーロードが発進する為の滑走路を爆撃機星影から放たれた空対地誘導爆弾によって等間隔に滑走路をピンポイントで破壊されてしまったのだ。

 

空からやって来る空対地誘導爆弾は滑走路のみならず1発で管制塔や宿舎、ワイバーンロードやワイバーンオーバーロードの竜舎、地竜リンドブルムの竜舎を破壊していく…パーパルディア皇国はどこから攻撃されているのかも分かっていなかった。理由は魔力探知レーダーにあった。これはワイバーン等の魔力を持つ生物等を探知する為、対地、対空用のレーダーとして使われている。しかし、日本の兵器はムーと同じ純機械兵器だ。魔力を発していないので魔力探知レーダーに反応することは無い。皇都エストシラント近郊の基地は何処から空か、海どっちからかやって来る事すら分からなかったのだ。

 

どちらにしろ、敵の位置を確認する事は叶わなかった。何故なら魔力探知レーダーがある管制塔は空対地誘導爆弾によってレーダー諸共破壊されたからだ。

 

警戒任務をしていたワイバーンオーバーロードは未知の飛行物体が自分達が数十分前にはいた基地に向かっていたのを確認した。彼等は未知の飛行物体を追跡しようとしたが簡単に振り切られてしまった。その数秒後、基地がある方向から爆音と共に煙が上がってくる。

 

彼等は基地が壊滅したと悟るほどの煙と爆音だった。これでは滑走路で陸地に戻る事も出来ない。故に、彼等は攻撃を行ってきた敵を探す事に躍起になった。しかし、探さずとも敵からやって来た。

 

今回の爆撃対象である基地が壊滅して残るは皇都エストシラント港に停泊している戦列艦のみだ。それらを空爆する前に攻撃を受けているのをパーパルディア皇国側も察知している。故に、邪魔する前に戦闘機富士が空対空ミサイルを発射することにした。しかし、それは現場の判断だ。緊急事態なら致し方無いが今は戦闘機、爆撃機共に損傷も故障もしていない。故に現場から本部へ許可を取る必要があった。

 

「こちらフォックス01、本部応答願います。オーバー」

『こちら本部、フォックス01?どうしました?オーバー』

 

本部に無線連絡をすると本部からの連絡で聞こえてきたのは稲荷神の声だった。意図せず稲荷神と会話できた戦闘機富士の隊長は声には出さなかったが、大声を出しそうになった。

 

「現在、敵軍基地の爆撃完了。残るは敵海軍戦力のみ。我々は敵航空戦力の撃破に向かう。空対空ミサイルの使用許可を。オーバー」

『こちら本部、敵航空戦力は迎撃に上がっていますか?オーバー』

「こちらフォックス01、敵航空戦力はこちらを視認出来ていない模様。オーバー」

『こちら本部、敵航空戦力の撃破を許可します。オーバー』

 

稲荷神も稲荷神で実戦での無線連絡にドキドキしていた。アルタラス王国に臨時本部を設立して稲荷神も本部に勤めていたのだが、本部長がカンペを見せながら無線連絡をお願いしてきたのだ。稲荷神はチベットスナギツネの様に心を無にして理由を聞かずに対応したのだ。だが、この行動で爆撃機隊と戦闘機隊双方の士気が爆上がりした。これを見越しての行動なら本部長は策士だろう。

 

戦闘機富士は敵航空戦力がこちらを視認しておらず、かつ、成層圏まで上がってこれない。故に、爆撃機隊に皇都エストシラント港の戦列艦を任せて戦闘機はワイバーンロードを落としに向かった。

 

ワイバーンロード隊の隊長は空からやってくる飛行機械を発見した。遥か上空からやって来る飛行機械を撃ち落とすべく、高度を上げていく。しかし、パーパルディア皇国の次期主力航空戦力になると言われているワイバーンオーバーロードの限界高度すら超えている。そんな遥か上空にいる飛行機械を撃ち落とそうにも、火炎弾は単発式でワイバーンやワイバーンロードより速いとはいえ、敵飛行機械より遅い。攻撃を放っても当たることはなかった。お返しとばかりに戦闘機富士から発射されたミサイルはマッハ3以上の速度でワイバーンオーバーロードの遥か上空から、ワイバーンオーバーロード目掛けてやって来る。ワイバーンオーバーロード隊は音を響かせてやって来る空対空ミサイルを発見、回避行動をとる。しかし、ジェット機よりも遅く、回避手段すら持たないワイバーンオーバーロードが回避出来る訳が無かった。ものの数分でワイバーンオーバーロード隊は全滅した。これでパーパルディア皇国皇都エストシラントを守る航空戦力は滑走路の修復が終わるまでなくなってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

パーパルディア皇国爆撃に参加していた爆撃機星影の部隊は成層圏からパーパルディア皇国の皇都エストシラント港に向かっていた。今回使っている爆弾は誘導弾ではあるが空対地ミサイルではないため、上空で推進して進むことは出来ない。故に、港上空から爆弾を落とす必要がある。落としたら誘導で海軍施設を破壊する必要がある。

 

今回は軍港に隣接している海軍基地の破壊だ。その後、指揮系統の乱れたエストシラント港に停泊している戦列艦を海上自衛隊やジェット戦闘機で破壊する計画だ。

 

まず、爆撃機星影から投下された空対地誘導爆弾が海軍司令部や修理ドッグ、宿舎などの基地を破壊していく。陸軍基地が破壊された事により、ワイバーンオーバーロードが迎撃に上がろうにも上がれない。竜母艦隊は日本海軍がやって来ると考えられるため、パーパルディア皇国南方の海域の哨戒任務に就いており迎撃出来なかった。どちらにしろ、攻撃は当たらないが…こうして、パーパルディア皇国皇都エストシラントの海軍基地は消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

―パーパルディア皇国皇都エストシラント南方海域―

 

日本国海上自衛隊は空母【青龍】を旗艦として駆逐艦8隻、巡洋艦3隻の12隻がパーパルディア皇国艦隊の撃滅の為に向かっていた。

 

パーパルディア皇国艦隊は陸軍基地の攻撃を受けて出撃を命じられたのか途方も無い大船団が移動している。しかし、海軍基地はその後の攻撃で消滅している。故に、この艦隊を撃破すればパーパルディア皇国海軍戦力の半数を撃破した事になる。

 

パーパルディア皇国艦隊が何処にいるのかは水上レーダーで確認している。司令長官高杉は航空母艦【青龍】に搭載された戦闘機富士の出撃を命じた。攻撃目標は敵航空戦力と竜母である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パーパルディア皇国のワイバーンロードは哨戒任務に就いていた。哨戒任務に就いていたワイバーンロードの一騎が異変を察知した。

 

それは日本国で使われているという飛行機械だ。しかし、今までに見たことがない程の素早いスピードでやって来る。すると、不意に飛行機械の下にあった円錐形の物体が発射される。それは寸分狂わずワイバーンロードの後を追尾してワイバーンロードを爆散させた。そして、数十機存在している飛行機械はミサイルの雨をワイバーンロードにばら撒くと、速度を落として竜母艦隊に狙いを定める。数十機の戦闘機から放たれる機関砲はパーパルディア皇国艦隊の戦列艦を始めとした艦を破壊していく…

 

だが、既に離陸していたワイバーンロードは竜母艦隊の命令により日本国の海軍戦力の削減のためにパーパルディア皇国主力艦隊と共に対艦支援をすることになった。

 

一方、司令長官高杉は稲荷神と無線連絡していた。

 

「現在、敵竜母艦隊を撃滅しました。後は数百隻に及ぶ戦列艦の群れだけです。対艦攻撃の許可を!」

『許可します。しかし、漂流者は救助して下さい!』

「了解です!」

 

司令長官高杉は稲荷神に激励を頼んだ。

 

『今海戦でパーパルディア皇国艦隊を撃滅すればこの戦争にも終止符をうつ布石になるでしょう!又、制空権はあなた達が握っている現状、こちらの負け戦はまずあり得ません!皆!皇国の荒廃この一戦にあり!各員一層奮励努力せよ!』

 

この激励で艦隊の海上自衛官の士気は同じくうなぎ上りになった。彼等は主砲をパーパルディア皇国艦隊に照準する。また、戦闘機や戦闘ヘリを発艦させて戦闘準備が整いつつあった。ここにエストシラント沖海戦が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

日本国海上自衛隊はパーパルディア皇国艦隊距離20キロ付近で攻撃を開始した。

 

射撃管制システムによって正確に砲弾は制御され1発で1隻の戦列艦を破壊していく。そこに、竜母艦隊を破壊した事で帰還出来ず、日本軍に一矢報い様とワイバーンロード隊が海上自衛隊艦隊に向かってきた。しかし、空母から発艦した戦闘機が迎撃する。戦闘機の速さを目の当たりにした一部のワイバーンロードは艦隊に攻撃すべく向かっていく。

 

だが、どちらの選択も悪手だと言えるだろう。戦闘機と戦ったワイバーンロードは空対空ミサイルによって撃墜される。艦隊に向かっていくワイバーンロードに対しては艦対空ミサイルを射出する。結果は戦闘機と戦っていたワイバーンロードと同じ道を辿った。

 

この場合は逃げ帰るのが生存の道だったと言えるだろう。ひとたび飛び立つと、7つの軍を滅ぼすと言われて、恐れられた第3文明圏最強の部隊、250騎の竜騎士は全て撃墜された。

 

又、海上自衛隊の艦砲射撃や戦闘ヘリによる無慈悲な機関砲による攻撃で戦列艦は次々と撃沈される。パーパルディア皇国艦隊の艦と艦の距離は1キロという本来はあり得ない程の『面』で展開している。この戦術なら同面内に敵艦が入ってきた場合に、複数の艦が攻撃に参加する事が出来る。列強ムーでも効果がある作戦の筈だった。

 

だが、海上自衛隊の艦隊にはこの戦術は効かなかった。戦闘ヘリや戦闘機を撃ち落とす為の対空兵器はバリスタのみ。艦砲射撃をしようにも射程外から海上自衛隊は攻撃するのでパーパルディア皇国艦隊は何の成果も得られなかった。

 

このエストシラント沖海戦によってパーパルディア皇国は海軍の主力をほぼ失い、壊滅状態となった。

 





―コラム―

フォックスというコードネームは明治時代に来日したニコライ2世を影からの護衛するべく稲荷神と他の自衛官が使っていたコードネームです。その名残で今も使われています。他にも、ウルフ(後方支援)や稲荷神を示すクイーン等が使われています。その時に稲荷神の護衛をどうするかで近衛と自衛隊で揉めに揉めくじ引きで近衛隊長が補佐につきました。

つまり、旧日本軍の陸海軍のいざこざが近衛と自衛隊で起きてます。


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パーパルディア皇国は滅ぼすべき?

  • 聖戦だ!滅ぼせ!
  • いやいや、講話でしょ
  • クーデター政権と講話
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