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ーパーパルディア皇国聖都パールネウスー
パーパルディア帝国の首脳部を捕え、日本は抵抗勢力に投降を促した。しかし、一部の列強パーパルディア皇国の敗北を認める事が出来ない皇国兵士は散発的にゲリラ戦を展開した。しかし、ゲリラ戦をしようにも日本国は特殊部隊による制圧を敢行。ほとんどが制圧された。
戦火を免れ、かつ属領からも比較的近いこの都市でパーパルディア皇国を切り分ける講和会議が開かれていた。
参加国は以下の通りだ。
日本国
パーパルディア皇国
フェン王国
アルタラス王国
リーム王国
その他元属領
これらの外務大臣や全権大使、報道陣が詰めかけていた。中でも目を見張るのは、日本国と書かれたプレートの前に座る我らが稲荷神だ。進行役は外務大臣だが、アドバイザーとして稲荷神が参加している。
「では、これより対パーパルディア皇国戦争における講和会議を行います」
この言葉から始まった会議に手を挙げたのはとある元属領の全権大使だ。
「我が国、及びその他の元属領はパーパルディア皇国に属領になった過去があります。故に属領の旧領回復、完全独立、パーパルディア皇国に連れて行かれた奴隷の開放を求めます」
これは至極真っ当な主張であった。地球世界でもドイツ帝国に対して、植民地を戦勝国が獲得した歴史がある。しかし、これは植民地が行動した結果ではないので植民地は独立出来なかったが。
「では、第三文明圏の元属領の国々はパーパルディア皇国に対し、奴隷解放、謝罪と賠償、旧領回復を求めるのでよろしいでしょうか?」
日本国外務大臣は概要をメモして続ける。
「では、次に領土についてですが…」
この言葉に各国代表の目が変わったことを外務大臣は気づいた。この世界は、産業革命も起こっていないため、領土=国力なのだ。つまり、各国は少しでも国力を伸ばそうと必死なのだ。
「その前に、我が日本国稲荷神様より皆様に伝えたい事があるとのことです」
「稲荷神です。今回ですが、我が国はパーパルディア皇国に対して領土の要求はしません」
その言葉に各国大使はどよめいた。上記の通り、領土獲得の機会を棒に振る考えが衝撃的だったからだ。
「ということで、我が国はパーパルディア皇国に対して領土拡張は要求しません。しかし、技術の公開や領土内での鉱物資源等の採掘優先権を要求します」
あまりの衝撃に参加国代表は皆沈黙しきっている。その様子を見た稲荷神は稲荷講和会議みたいだな…なんて事を考えていた。
「要求がないということは、先ほどの奴隷解放、謝罪と賠償、旧領の回復だけでよろしいですか?」
「それは困る!」
一番慌てたのはリーム王国だ。パーパルディア皇国のパイの一部を得るべく参戦したのだ。何も得られなかったら参戦した方が意味がない。リーム王国代表の発言を皮切りに元属領も声を荒げる。
「旧領回復は当然だ!」
「パーパルディア皇国領も一部割譲しろ!」
そんな声が上がるのも当然だ。パーパルディア皇国の統治は恨みを買い続けてきたのだ。そこに稲荷神が割って入る。
「じゃあ…私から一つの案があります。パーパルディア皇国の領土を拡張前のパールネウス共和国時代の領土まで戻すという案です。賠償金に関しては現在のパーパルディア皇国の経済規模を考えて各国に支払いが出来る程度の金額を分割払いで支払うことを提案します」
稲荷神の案はパリ講和会議を参考にしたものだ。各国はドイツに対して必要以上の賠償を求めていたのを稲荷神が止めた過去があるのだ。
「それなら…」
「しかし、我々(属領)以外の国はどうされるのですか?」
この言葉に稲荷神へ目線が集中する。稲荷神は足りない頭をフル回転する。そして、出した結論が…
「では、日本との優先的な国交開設とインフラ設備の優先配備でどうでしょう?」
その提案にリーム王国側は賛成した。今回の戦争に参戦したのは日本国へ取り入るのとパーパルディア皇国から多くの権利を得るためだ。だが、日本国側から優先してもらえるならパーパルディア皇国等という過去の遺物となったものに興味はない。リーム王国はこの提案を受け入れた。
パールネウス講和会議にて決まったのは、
属領の独立と旧領の回復
属領への奴隷解放
戦勝国への賠償金
技術の公開
日本国への採掘権
となった。パーパルディア皇国は主権を失う事は無かったが、食糧事情の悪化から賠償金の支払いは数年後、しばらくはクワ・トイネ公国の食料援助が入る事となった。ここにパーパルディア皇国は列強の座から転がり落ちた。この席に日本国が入るのは誰の目にも明らかだった
後任の元首には穏健派の皇族が即位、国名もパールネウス王国という立憲君主主義国家へと政治体制は変化した。
◆
―神聖ミリシアル帝国帝都ルーンポリス―
神聖ミリシアル帝国の情報局局長アルネウスは多忙を極めた。しかし、それは情報局員にも言える事だった。ただでさえ、グラ・バルカス帝国という正体不明の国家の情報収集に予算や人員を割いている途中だというのに、第三文明圏列強パーパルディア皇国が文明圏外国の国である日本国に降伏したという話だった。文明圏外国が文明圏、それも列強に勝利するという一大事が立て続けに二度も起きている。
他にも、現地にいたスパイによると今までの戦闘の際にも見かけた天の浮舟や鉄の地竜、鉄の鳥、ゴーレム、そして空を飛ぶ人だ。一部の国ではエリート中のエリートのみが空を飛ぶことが出来るが、魔力消費が激しく多用することは無い。その技術を日本国という文明圏外国がもっている。この情報は驚きの一言だった。
「今回の件は軍部と外務省、その他政治家に一刻も早く連絡する必要がある。現在、情報局で注目されているグラ・バルカス帝国と日本国と国交を開設すべきだ。どちらも列強を倒しているからな。使節を送ることになるだろう。ライドルカ、君には日本国へ行ってもらうことになる。情報収集を忘れるな」
「了解しました。局長」
(しかし、プライドのお堅い政治家どもや外務省への根回しは気が引けるなぁ)
アルネウスの苦労は続く…
◆
ー第二文明圏列強ムー首都オタハイトー
「日本国とパーパルディア皇国の戦争は予想された通りパーパルディア皇国の完敗か」
ムー統括軍の庁舎にて軍高官が会議を行っていた。議題は勿論、パーパルディア皇国と日本国との戦争だ。
「戦争も終わったのなら、観戦武官の二人を呼び戻さなくては」
「ああ。マイラス君は我が国の優秀な技術者だ。ラッサン君も戦術士官として高い能力を有している。貴重な我が国の人材を派遣したんだ。マイラス君によると戦車や神聖ミリシアル帝国の天の箱舟と似た航空機、果てには誘導魔光弾と驚く技術ばかりだ。日本国の書店で売られている専門書や在日駐留大使から送られた一部技術資料もある。特に航空機とグラ・バルカス帝国のグレードアトラスター級戦艦に対抗出来る技術は何としても完成させなくては」
グラ・バルカス帝国という仮想敵国の存在がいる今、少しでも戦力を増強する必要がある。金属製単翼機や魚雷技術は喉から手が出るほど欲しいものだ。
ムーはパーパルディア皇国の未来などそっちのけで今後について未来を馳せる。グラ・バルカス帝国との戦争の危機がある中、彼らは必死なのだった。
◆
ーグラ・バルカス帝国情報局ー
電子音が絶えず鳴り響く部屋の中、男が二人会話していた。そのうち一人は格式高い服に身を包んでいる。
「東の果で行われていた戦争当事国の情報収集が完了しました」
そういって男は書類を渡す。格式高い服を身に着けた男はアーンティークな椅子に身を委ねながら書類に目を通す。
「まず結果から申し上げますと日本国の勝利です。パーパルディア皇国は戦列艦程度の技術力であるのに対し、日本国は設計思想は分かりませんが軍艦や戦車を保持しているとのことです」
「日本国の情報はあるのだろうな」
上官の問いに報告している男は「はい」といって続ける。
「今回、情報を収集できたのはパーパルディア皇国の本土上陸時のみです。現地の諜報員が我がアンタレスの倍以上の速度を誇る航空機や巨大な戦車砲、ロボットの様な物を確認しています。また、先日の講和会議では日本国は領土拡張を行わず、資源採掘権等しか要求していません。これは、日本国が植民地統治のノウハウが無い証拠です」
話は続く。
「日本国は人口1億人以上、国土面積に比べ若干食料自給率が低く、ロデ二ウス大陸からの輸入を行っています。戦争になった場合、潜水艦による海上封鎖を行えば数か月で干上がるでしょう。また、巡洋艦は確認できますが、戦艦は今戦闘で確認されていません。また、設計思想が分かりませんが巡洋艦の砲も一門で口径も小さいので豆鉄砲当然です。日本本土に送り込んだスパイは全員連絡が取れなくなっており、これ以上の情報は得られませんでした。しかし、一部技術は突出していますが我が国に勝てる訳がありません」
「…そうだな。誰も我が国の覇道を止められる国は無い」
◆
ー日本国某所ー
薄暗い部屋、そこには一人の男が座っていた。しかし、男の手足はロープで固定されておりどう見ても監禁状態である。
しかし、周囲に人はいない。彼はそう思い今すぐロープを切ろうとする。しかし、そうは叶わなかった。
「おや。お目覚めですか?」
その言葉に男は震えた。彼は最早逃げられないと悟り口に隠しもっていた毒を飲もうとする。しかし、それは出来ない相談だ。しっかりと猿轡がはまっており舌を噛んだり毒を飲むことも出来ない。
「さて、日本国へと侵入したスパイ…それもグラ・バルカス帝国の手引きですね」
そう、男はグラ・バルカス帝国の諜報員だ。潜水艦で日本国へ潜入して、日本国の軍事技術を調べていた。しかし、日本国の対外情報機関別班に捕まった結果、尋問を受けていた。
日本国は彼にありとあらゆる尋問を行った。脅迫から食事抜き、果ては自白剤とあらゆる方法で彼から情報を抜き取った。そして、彼の行方は稲荷神も知らされなかった。
彼からの情報や衛星からの情報、その他情報筋から第2次世界大戦時の日本国レベルの軍事技術を有していると確認が取れた。別班は今日も稲荷神が統治する日本国の為、稲荷神の裏で暗躍して稲荷神の平穏を守っているのだ。
◆
ー日本国首都東京最高裁ー
今回のパーパルディア皇国の捕虜達の裁判を行うに当たり、稲荷神が一日最高裁判長として軍事裁判を行う事となった。
稲荷神に詳しい法律は分からない。なので、裁判官達(主に裁判長)が耳打ちしながら被告人に対して判決を下していた。
(私っていつから人を裁くまで偉くなったんだろ)
そんな事を稲荷神は思っていた。三島事件の時もそうだったが、元は女子高校生である稲荷神は人を裁くという行為に自己嫌悪に陥っていた。しかし、彼らの行った属領統治は情報を聞く限り酷いものであった。なので、稲荷神も三島事件の時よりかは幾分マシだった。
何人もの被告人を何日かに分けて裁いていく。そして、今日はその最終日だ。すでに第三外務局長や軍最高司令官アルデ等は裁いている。
基本的に、軍関係者以外は刑は軽くなっており、精々禁固刑や懲役刑が多い。中には、特に裁く必要なし。という観点から、釈放されたものもいる。しかし、今日は皇帝と皇族が控えているのだ。
稲荷神は与かり知らぬ事だがパーパルディア皇国上層部は東京に移送される道中で日本国の凄さにを目の当たりにして反抗心はもう尽きている。
「被告ルディアスは多数の国を征服。そして、被征服地の住人を搾取あるいは奴隷として利用させていた。これは許されざる行為です。よって、被告人は無期懲役刑とします」
無期懲役…それは死刑に次ぐ罰であり、被告人が死ぬまで牢の中で暮らす刑罰だ。しかし、これは仮釈放が存在する。具体的には一定の年数を過ごしたら条件に当てはまるが保釈金を支払えば、可能性は低いが釈放される可能性もある。
つまり、パールネウス王国は保釈金を支払えば現在、服役中の元政府高官を本国に呼び戻す事が出来る。つまり、実質的に賠償金を少量貰えるのと同じなのだ。まあ、そのことに気づいているのは稲荷神以外の裁判官全員だが…
え?裁判官の原則?ちゃんと日本国の法律に基づいているし、稲荷神が賛成なされた以上口を挟むつもりはありません。
皇帝の判決が終わり、次に来るのは日本国を戦争へと誘い日本国民を怒らせた元凶である皇族レミールである。
「被告人レミールはフェン王国の人々を処刑しようとしました。これは、大量虐殺…ジェノサイドに繋がりかねない事態です。また、日本国民を殲滅すべしと意見具申したのも被告人であると確認がとれています。故に被告人に死刑を言い渡します」
判決を受けて、レミールは暴れようとするがスタンガンで気絶させ、法廷外へと連れ出されていった。
稲荷神はやっと肩の荷が下りた気がした。稲荷神は気分を変えようと家に帰ってお菓子をほうばりながら、狼達と戯れて自己嫌悪などコロッと忘れてしまうのだった。
ーコラムー
パリ講和会議
ドイツの多額の賠償金がナチスドイツによるユダヤ人被害に繋がると知っていた稲荷神は講和会議で賠償金の減額、分割払い、食料援助を表明。ドイツが暴走すれば日本国民に血が流れようと止めると宣言した。そのあとは我関せずといるつもりだったが、各国から意見を聞かれ頑張って考えていた。
尚、この話を聞いたちょび髭のおじさんは感銘を受けて、ドイツ稲荷主義労働者党を結成。党首になった。その後、対ソ戦で稲荷神に感謝を表明したという。ちなみに、ドイツは敗戦国とは思えない発展を遂げ、後年には稲荷神の絵を描いたとか描いてないとか
三島事件
自衛隊に内閣が指示を出せることになった事を契機に三島さんが総監を拘束。駐屯地の自衛官を集めて演説をした。重度のペロリストの彼は七生報國(七たび生まれ変わっても朝敵を滅ぼし国に報いるの意)の鉢巻きをまいて要約するとこんなことを主張した。
「稲荷神の軍隊ではなく政府の軍隊は嫌!」
といった。結局彼とその仲間は捕まり、稲荷神による軍事裁判が行われ国外追放…とおもいきや、国内に潜伏するペロリストの暴動が怖いため稲荷神に尽くすのなら無罪放免となった。
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パーパルディア皇国は滅ぼすべき?
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聖戦だ!滅ぼせ!
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いやいや、講話でしょ
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クーデター政権と講話