前回のネタは不評だったようなので、原作の稲荷神に出ない物は出さない方向にシフトチェンジします。
感想、高評価、お気に入り登録ありがとうございます。今回は、以前から期待されていた異世界技術の融合を少し載せてます。尚、この設定は作者の自己設定です。ご了承下さい。
―トーパ王国―
グラメウス大陸に一番近い国、トーパ王国に侵攻した魔王軍は自衛隊と稲荷神によって殲滅された。
この魔王だが、古の魔法帝国の産物である可能性が高かった。故に、魔法帝国の遺産を研究し大国となった第一文明圏列強神聖ミリシアル帝国も援軍ではないが、密かに観戦武官を送り込んでいた。
神聖ミリシアル帝国情報局の局員、ライドルカである。彼は古の魔法帝国の遺産とされる魔王ノスグーラ。
魔王がどれくらいの魔力を持ち、どんな魔法を使用するのか、一般人に紛れ確認する。それが今回彼に課せられた任務の1つだった。
残念ながら魔王はミナイサ地区から出てこず目視での確認は出来なかった。だが、レッドオーガとブルーオーガとの戦闘は見ることが出来た。
だが、二体の伝説の魔獣の能力は分からなかった。日本国は伝説の魔獣に対して【戦車】と呼ぶ兵器を使用したことで、あっという間に倒してしまったからだ。
しかし、魔王との戦いはムーから輸入された双眼鏡と呼ばれる遠くの物を見る道具で確認する事は出来た。
まずやはり、知能の低い魔物たちを制御、統率するノスグーラの能力は凄いのひと言だった。一度に何体ものゴブリンやオークを操る能力はとてもではないが方法に見当もつかない。そして、狐の獣人に放った超高温だと一目で分かる獄炎の炎は凄いの一言だった。遠い昔に魔王と戦った勇者達はどんな苦しい戦いをしたのだろう?と思って止まない。
そしてノスグーラは、古の魔法帝国の二足歩行型陸戦兵器を模倣した【カイザーゴーレム】を使用した。通常のゴーレムよりも遥かに大きいそれは、ノスグーラの多大な魔力があるから作成し制御できるのだろう。
このカイザーゴーレムでさえも神聖ミリシアル帝国の魔導戦艦ならその巨砲で容易く消し去る事は可能だろう。しかし、陸の乗り物に魔導回路を搭載するのは現時点の技術では不可能だ。しかし、日本国の戦車からは魔力反応がない。ということは、ムーの科学技術の代物なのだろう。科学技術で魔導を超える物が生み出せることに彼は驚いて止まない。
しかし、魔王と相対するのは一人の狐の獣人だった。獣人は身体能力は優れているが、魔王を一人で相手をするのは無謀を通り越して自殺行為だろう。しかし、狐の獣人は青い炎を纏った刀で魔王の獄炎の炎を一刀両断し、防御結界と思しき物を物ともせず破壊した。それに、青い炎でカイザーゴーレムを一欠けらも残らず焼き尽くしたのだ。この青い炎も魔力反応がない。つまりは、これも科学の産物という事だ。そこに獣人は刀を上空から振り下ろした。それを受けた魔王は真っ二つになってしまった。
1人の獣人が魔王を倒した事にも驚いたが、トーパ王国側の反応を盗み聞きすると魔王ノスグーラは死に際に恐ろしい事を言っていたという。それは、近く、古の魔法帝国が復活するというのだ。
人族や、あのエルフ族でさえも遥かに上回る魔力を持った人種【光翼人】が作り上げた最恐の国家、ラヴァーナル帝国。第一文明圏列強の神聖ミリシアル帝国でさえ、彼らの兵器に使われた技術が高度故に解明できていない点が多い。時々発掘される遺跡からとても高度な文明だったことが窺える。余りにも進みすぎた文明故に、神々に弓を引いたとされる古の魔法帝国。その恐るべき国の復活が近いと魔王が言い放ったのだという。
ライドルカは得た情報を速やかに本国へ持ち帰るべく帰国準備を開始した
◆
ー第一文明圏列強神聖ミリシアル帝国帝都ルーンポリス
神聖ミリシアル帝国情報局で、情報局長アルネウスは、わなわなと震えていた。その原因は一通の報告書だった。その報告をしたのはトーパ王国へ派遣された情報局員ライドルカだ。彼は、魔王ノスグーラの力の一端を確認すべくトーパ王国に向かい見てきた全ての事実を報告したのだ。
「これは本当のことなのか?」
アルネウスは机に片手の肘をつき頭を抱えて言った。ライドルカも気まずそうに言う。
「全て真実です。私がこの目で確認いたしました」
「そうだろうな…君が嘘の報告をする筈がない」
そう言ってアルネウスはため息をついて続けた。
「神話に残るほどの力だ。魔王ノスグーラの力については覚悟はしていたが、まさか思わぬ形で日本国の力が分かるとは…」
アルネウスのため息の原因はライドルカの報告書が内容が原因だった。
魔王ノスグーラについては、概ね神話を元にアルネウスが予測した通りだった。魔王が持つ、魔物を制御する能力、高温の黒い鳥を生み出す魔法、カイザーゴーレムの召喚術、防御魔法、どれをとっても神聖ミリシアル帝国の技術での再現は不可能と判断出来る物ばかりだった。そんな魔法を行使する魔王を生み出した古の魔法帝国ーラヴァーナル帝国ーの技術力には自分たちの理解できる技術で測る事は出来ないと思えるものだった。
だが、それ以上に問題なのは日本国の兵器であった。まず、レッドオーガやブルーオーガと対峙した際に日本国が使用した【戦車】なる兵器。これは、神聖ミリシアル帝国やムー国でも使われている自動車に分厚い装甲と強力な大砲を装備した陸戦兵器だった。
「この兵器をどう思う?」
「はい。侮ることは出来ないと考えます。この戦車こそ、元パーパルディア皇国の皇都エストシラントで確認された鉄竜のことでしょう。この戦車ですが車より若干遅いです。この兵器はムーで使われている陸戦兵器に似ており、ムーより洗練されており実用性重視の機械の印象を受けました。魔力測定器が反応しなかった事がそれを裏付けてます。この戦車が装備する大砲はレッドオーガとブルーオーガを貫通あるいは爆発させ撃破しています。防御力については不明ですがそれ相応の物はあるでしょう」
「我が国の機甲兵器では勝てない…か」
「恐らく」
そして、アルネウスの悩みは別のものに移る。
「日本国の天の浮舟に似た兵器…か」
「はい。ムー国のプロペラを付けていましたが、空中に留まる事が可能なようで対地支援を行っていました」
彼らの懸念は戦闘ヘリ…ヘリコプターの可能性だ。空中に留まるのが可能という事は、小回りが可能であり地上支援を神聖ミリシアル帝国の天の浮舟よりも濃密に可能だという事だ。他にも、輸送特化にすれば兵士を大量に運ぶことが可能だ。二人はヘリコプターにおける戦略の変化についてある程度正確に読み解いた。しかし、他にも驚くべき内容があった。
「百発百中の主砲だと?見間違いではないかね?」
「いえ、魔物の中でも一際目立つ赤竜に対して艦砲射撃を行ったのですが、数隻の艦が正確に行っていました。あれ程正確なら主砲が一門しかないのも納得というものです」
トーパ王国沖合のグラメウス大陸近くから行われた艦砲射撃は逃げていく魔物達を正確に仕留めていた。しかし、目視なので正確ではないが、神聖ミリシアル帝国の魔導戦艦はおろか、魔導巡洋艦の口径より小さいという。どういった理由で主砲が一門しかないのかは気になるが、百発百中の主砲である以上油断は出来ない。
そして、頭を抱えた最大の種は…
「魔王ノスグーラを一人で相手取り魔法を一刀両断しカイザーゴーレムを未知の科学技術で青い炎を使い一欠けらも残さず消滅させ、防御魔法を物ともしない攻撃で、魔王も真っ二つにした…だと」
神話では四人の勇者パーティーが特殊個体のオーガ二体を討伐し魔王自体は封印するのがやっとだったのにも関わらず、一人の獣人が討伐してのけたのだ。
「悪いがこんな話、君から言われなければ信じていないだろう」
「私とて、直接見ていなければ信じていないでしょう」
「…まずいな…」
「そんなに不味いことですか?」
アルネウスは頷いて話始める。
「考えても見ろ。この青い炎が魔法なのか科学による物なのかは、どうでもいい。だが、常識的に魔王が召喚したカイザーゴーレムを塵芥も残さず一瞬で消滅させるなど不可能だ。それに、この獣人とは思えぬ身体能力…下手をしたら我々の兵器ですら破壊できる可能性がある」
そこまで言われてライドルカも気づいた。青い炎の性能がどれほどの物かは分からないが、古の魔法帝国の遺産である魔王を軽々と倒す事が出来る獣人など戦略的価値が高すぎる。下手をしたら政治的あるいは軍事的脅威になる可能性がある。
「はぁ。パーパルディア皇国が大敗するのも納得だ。情報は貰っていたが、正確な日本国の情報はなかったからな。戦列艦やワイバーンロードを持っているパーパルディア皇国が負けるのも無理はない。事実、我が国が戦えばあっという間に殲滅出来るからな。第三文明圏外国がこんな軍事技術をもっているのか謎だが日本国を軽視出来ないのは確かだ」
一区切りつけてアルネウスは特大の爆弾に目を通す。
「…古の魔法帝国が復活する…だと?これは確かか?」
「私も直接聞いた訳では有りません。しかし、トーパ王国の上層部が日本国の人達と話していた事を確認しています。なんでも、魔王が滅びる間際に言い放ったとか」
古の魔法帝国…その名はこの世界の住民なら拒絶反応が出ても可笑しくないバケモノだ。そんな国が復活する…アルネウスの悩みが増えたのは言うまでもない。
◆
―トーパ王国近郊―
稲荷神は魔王討伐が終わっても帰国せずに魔王に率いられた魔物が逃げ出したグラメウス大陸の措置をどうするかでトーパ王国側と会談していた。
「改めて、今回の魔王討伐。ありがとう御座います」
「いえ、成り行きの作戦とは言え死者が出なくてよかったです」
社交辞令を交わし、雑談をしてから本題に入る。
「実はですね。トーパ王国側としてはグラメウス大陸をどうするおつもりなのでしょう?」
「どう…と、おっしゃいますと?」
「いえ、現状維持をするのか攻め込むのか…という話です」
「いえ、あの大陸は魔物の数も相当です。絶え間ない魔物の襲来で攻め込むどころか、こちらが疲弊しかねません。なので、【世界の扉】を再建して現状維持の方向です」
それを聞いて稲荷神は考え込む。そして、ある結論をだした。
「もしよければ、グラメウス大陸の魔物を殲滅しましょうか?」
「そんな事が可能なのですか!?」
「ええ、空爆による空からの面制圧をすれば行えるでしょう」
「それは願ってもない話です。よろしくお願いします」
「微力を尽くしましょう」
そうして、後日に集まった爆撃機による日本が開発したものの使用機会など無いに等しかったナパーム弾を増産し投下した。グラメウス大陸は文字通り地獄の様相を呈しほとんどの魔物は焼失、枯れ果てた大地となった。だが、人工衛星によりグラメウス大陸奥地に都市がある事は確認されていた為、被害が及ばない程度で都市周囲の森に潜む魔物にもナパーム弾を投下した。そして、この未知の国家と国交を結ぶのだが、この時の稲荷神は知る由もない。
◆
ー日本国首都東京防衛省ー
防衛省の建物の一室に技術士や自衛隊高官、政府要人が緊張した面持ちで会議室の椅子に座っていた。何故なら、彼らの上座に座るのは憲法や法律で明文化されている訳ではないが、戦国時代から実質的に国教となっている至高の存在である稲荷神が座っていた。そして、会議が始まる。
「これより、新兵器開発会議を行います」
そう言って、技術士は立ち上がり説明を始める。
「まず、元パーパルディア皇国の技術開示によってロウリア王国の【風神の涙】よりも高品質の【風神の涙】の作成方法が分かりました。この【風神の涙】を利用すれば、現在の純酸素魚雷のローコスト化に成功するでしょう」
その言葉に経済産業省の関係者は驚きの声を漏らす。純酸素魚雷は強力だがコストが高い。億を超える魚雷が安くなるなら予算を別口に回せるのだ。嬉しい知らせだった。まだ話は続く。
「また、この【風神の涙】をパワードスケルトンや空軍のコンバットフレームに搭載すれば更なる軽量化と性能の向上が見込めるでしょう」
この知らせも嬉しいものであった。何故なら、今でこそパワードスーツは纏まった数を揃えられているが、そこから発展させたコンバットフレームは各種武装や装甲を盛り込めば盛り込む程、重心や全体が重くなる。さらに、関節部分の動きは精密さが要求される。重量が重すぎると、足関節や腕関節の動きがぎこちなく、下手をすると動けなくなる。その重量問題を少しでも解決できるのだから嬉しいのも当然だ。
「他にもカタパルトやドローンにも使えると考えています。現状の開発案は以上です」
その言葉に対して、稲荷神は一言いった。
「では、その案を採用するので開発頑張ってください」
「はっ」
司会者が他に話がある人がいないか聞くと、別班の幹部が起立した。
「では別班から一点、お耳に入れて置きたいことが…」
前置きをして話始める。
「稲荷神様からの指示でこの世界の神話について調べたところ事実を元に作られている可能性が浮かび上がりました。何故なら、太陽神の使いの船が保管されているとのことで、確認をしたところ、第二次世界大戦中の日本のジェット戦闘機彗星がクワ・トイネ王国のリーン・ノウの森に安置されていたことがその理由です。また、先日稲荷神様が討伐なされた魔王を製造したといわれる古の魔法帝国について朧気ながら分かりました。魔王は消滅してしまいましたが、レッドオーガとブルーオーガを解剖や遺伝子鑑定したところ、高度な遺伝子操作の痕跡が判明しました。この神話に登場する魔法帝国は人類とは別種の民族が統治する国で、技術力の差に物を言わせて多種を奴隷どころか家畜の様に扱っていたようです。そして、最近国交を結んだ国のカルアミーク王国に魔法帝国のものと思われる古代遺跡がありました。そして、その古文書に核兵器…こちらの世界ではコア魔法と呼ばれる兵器の記述がありました…」
別班幹部の言葉は遮られた。稲荷神が立ち上がったからだ。普段は座布団や椅子から降りる事は無い稲荷神が立つのは珍しいことであった。
「その話が本当なら早急に対処する必要があります。別班は更なる情報収集、自衛隊と防衛省は早急な対応策をゆっくりで良いので組み立てて下さい」
「はっ」
稲荷神は物思いに耽る。
(お母さまから軽く聞いてはいたけどこの国をどうにかして欲しいって事だよね。多分、私は信仰されてるから力があるけど、お母さまやイエス様、ブッタ様は昔よりは力を取り戻したらしいけど、全盛期には及ばないらしいし、戦の神じゃないからこの手の荒事は弱いっていってたな…イエス様はどうにか出来そうだけど…)
稲荷神は転生する前から持っていたチート【勘】で、日本を転移させた天照大神の目的を正確に看破していたのだった。
―コラム―
兵器開発
地球世界でも稲荷神を筆頭にした神様や悪魔は超常現象を引き起こしていたが、人間には使えなかった。だが、日本国召喚の世界は魔法があるので技術者の人達は超常現象の一端を稲荷神によって授けられた!と歓喜しているそう。
高評価、お気に入り登録よろしくお願いします。モチベーションに繋がります。